ホグワーツの凶犬~ハリー・ポッター×男塾~   作:黒羆屋

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第30話 目が覚めて

 目を覚ましたのは、医務室でした。

 折れていた肘はすっかり治ってました。

 なんか私も治癒術師目指してみたくなってきた。

 これ覚えとくと、いろいろ潰しが効きそうだ。

 マダム・ポンフリーにはこってりと怒られた。

「女の子がこんな傷だらけになってはいけません!」

 って。

 こんな事はそうそうあるもんじゃないだろうから許して欲しいんだけど。

 あれから半日だそうです。

 私の体、やたら丈夫だからして。

 神さまから貰った「頑健な体」は伊達じゃないと言う事ですかね。

 ポッター君はまだ寝てるそうです。

 さて、すっきり目覚めてここを占拠してると言うのもどうかと思うのでそろそろ退出しようかな、と話すとまたもやマダムからお説教が。

「骨折までして何を考えているのですか!? きちんとお休みしなさい!」

 いやあの、大丈夫、とか言っても聞いてもらえず、一日寝てる事になりました、暇。

 

 次の日、やっとこさ開放されました。

 やれやれ。

 寮に戻ると、

「マリー! 目が覚めたのか!?」

「大丈夫だったのか、良かった…」

「お前が倒れたって聞いて驚いたぞ」

 マルフォイ君達三人組とか、

「マリー! 良かったわ、倒れたって聞いて驚いて…」

 パーキンソンちゃんとか、寮室のみんなとか、先輩方なんかも心配してくれてました。

 やっぱりスリザリン寮はあったかいやね。

 これに関してはくわしく話せないので心苦しいんだけどね。

 とかやってたら、

「マリー・ウェリントン、我輩の研究室に来たまえ」

 スネイプ先生からのお呼び出しが掛かりました。

 

 で、ここはスネイプ先生の研究室。

 というか、魔法薬学の準備室ですね。

「で、今回お前に何があった?」

 スネイプ先生が聞いてきます。

 なので。

 三頭犬に餌をあげていた事。

 部屋の鍵をかけ忘れ、戻ったらば三頭犬の守護する扉に侵入者があった事。

 急いで周囲に知らせるべく動いたけれど廊下に結界が張ってあり助けを呼べなかった事。

 仕方なしに中に入った所、グレンジャー、ウィーズリーにあった事。

 最奥の部屋に入った所「賢者の石」を持ったポッターとクィレルがいた事。

 賢者の石を狙っていたのはクィレルと彼に取りついた「ヴォルデモートを名乗る存在」であった事。

「まて、クィレルに取り憑いていたのは『言ってはいけないあの人』であったと言うのか!?」

 スネイプ先生が驚いています。

 まあ本物かどうか疑わしいけどね。

 弱小の妖怪や邪悪な妖精なんかが「神」「大妖怪」なんかを名乗るのは珍しいこっちゃないでしょ。

 そう言うと、

「確かに、そう言う事例はあるが…」

 悩んでらっしゃる。

 まあ、それでポッター君と共同でクィレルをぶちのめした、と。

「ずいぶん端折ったな。

 そもそも、それではお前の骨折が説明されておらん」

 まあそうですね。

 クィレルって多分この世界でも類を見ない位強力な「武術家」でしたよ。

「武術? 格闘技術と言うことか?」

 ただの格闘技じゃないですね。

 おそらく「借力(チャクリキ)」か「合気道」じゃないかと。

 相手の攻撃の勢いを利用して、その勢いを受け流してベクトルを変え、関節を極めて投げ飛ばしつつ関節を折る。

 そう言った格闘理論があるんですよ。

 ただ、それってまずトロールみたいな超重量級の相手なんかには通用しませんからね、そこに命の力、生命エネルギーを操る「気」の技術を併用して威力を上げてんです。

「…そのような事が出来るのか?」

 実際、私はまあクィレルほどじゃないですが可能ですよ。

 クィレルは武術でトロールを支配してましたから。

「ふむ、トロールは『力』を信奉するからな。

 自分より強い輩には従うだろう」

 で、クィレルの場合、達人級の武術に加えて魔法が使えますからね。

 実際、私と素手で戦いつつ、ポッター君を魔法でけん制してました。

 かなりの手練れだと思いますよ。

 彼が「闇の魔法に対する防衛術」の教授ってのはあながち間違ってなかったと思います。

「なるほどな。

 しかし、ポッターはどうやって隠された『賢者の石』を『みぞの鏡』から取り出したのか」

 それですね。

 ポッター君しか取り出せないとしたらあの場所に行ったポッター君は迂闊としか言いようがないですし。

「そうなのだ!

 ダンブルドア校長の術がどのようなものかは分からんが、みぞの鏡の間までたどり着いても『賢者の石』を取り出すことは不可能なはずだ。

 校長がそんな輩が手に入れられるような条件づけをするはずがないからな」

 ですよねえ。

 結局ポッター君がやったのはただのいらぬお節介だったのかなあ。

 と、考えているとだ。

「スネイプ先生、ちょっとお邪魔するよ」

 おや、この声は。

 

「校長? どうなさいましたか」

 スネイプ先生がずいぶんと丁寧にそう言う。

「いやいやスネイプ先生、こっちにマリー君が居ると聞いてのう、ちょっとお話を、とな」

 スネイプ先生がダンブルドア校長に席を勧め、その間に私が紅茶と茶菓子を用意、校長先生の前に置きます。

「おぅ済まんねえ、こりゃ美味しそうだ」

 ここで遠慮しないのが先生の良い所。

 茶菓子を一口食べてにっこり。

 素敵な笑顔です。

 と、ここでだらりとしている訳にもいかないでしょう。

 特にここはスネイプ先生の部屋ですし。

「儂はね、マリー君が疑問に思ってる事を答えておこうと思ってね」

 それでですか、てえことは、そこいら辺の事情はある程度スネイプ先生も御存じ、って事で良いでしょうか?

「…」

 ムッスリした顔、そのようですなあスネイプ先生。

 とは言え、納得はしていない、と。

 さて、最初に聞いておくのは、と。

 

 

 

 真実を語る:アルバス・ダンブルドアの言

 

 ホグワーツ校長であるアルバス・ダンブルドアは今回の事件に巻き込まれた形となったマリー・ウェリントンへ、事情を説明に来ていた。

 彼女は知る権利があるだろう。

 無論、話せる所までではあるが。

 彼女は今回の件に関しては完全に巻き込まれた被害者だ。

 その上、今回の案件が非常に良い形で終わったのもまた彼女のおかげである。

 ダンブルドアは可能な限り誠実に彼女に説明するつもりであった。

 

 まず彼女はいきなり聞いてきた。 

「今回の事、どこまで把握してました?」と。

 ダンブルドアはそれに応えた。

 まず、今年の入学式以前に「賢者の石」を狙った事件が起きるのは予想していた。

「何故?」

 それは、賢者の石を創りだした「ニコラス・フラメル」に襲撃があったからだ。

 辛くもフランスの闇祓いはそれを撃退したものの、結構な犠牲者が出たという事だ。

 その為フラメルはその強力な魔法を使い、姿を眩ませた。

 おそらくその襲撃者はヴォルデモートに取り憑かれたクィレルだったのだろう。

 彼は情報を手に入れる方法が限られていた。

 現在ではヴォルデモートの手先だった「死喰い人(デスイーター)」達の主だったものは「アズカバン監獄」に収監されており、組織だった動きは出来ない。

 当時「服従の呪文」で無理やり死喰い人として活動させられていた、と主張する魔法族も接触している様子はなかった。

 故に、次にクィレルはグリンゴッツ魔法銀行に襲撃を掛けた。

 おそらくヴォルデモートが残された力を振るい、小鬼に「服従の呪文」を掛けたのだろうと推測されている。

 グリンゴッツの従業員はグリンゴッツに掛けられている魔法によって強い呪文耐性を与えられる。

 それこそヴォルデモートでもなければその中で魔法を使うなど不可能なのだ。

 しかし、賢者の石はその時点でハグリッドによって持ち出され、ホグワーツに持ち込まれていた。

 ホグワーツは外からの攻撃に圧倒的に強い耐性を持つ、賢者の石の保管場所には最適だった。

 そしてダンブルドアの手によって三頭犬の護る扉の奥へと隠された。

 それは暫くの間は万全だと思われた。

 しかし、ハグリッドが騙され、賢者の石の隠し場所のヒントをクィレルに教えてしまった。

 その為、ダンブルドアは「みぞの鏡」を出入り禁しの部屋へ移し、その中に賢者の石を隠した。

 さらに各教授達に部屋を守るための魔法の罠を随所に設定した。

 クィレルをそのメンバーに選んだのは、難問ばかりの魔法の罠を見たクィレルが躊躇するだろうと期待したからだ。

 そうして時間を稼いでその間にクィレルの背後を洗う、そうなっていた。

 7月に入り、生徒がいなくなれば、クィレルは派手に動き出す、その時点で背後にいる者を見つけて叩く、そう言う事になっていた。

「ポッター君が賢者の石を手に入れる事が出来たのは?」

 あれはダンブルドアの仕掛けでも秀逸なものだった。

 みぞの鏡を見て、賢者の石を「見つけたい」と思う者がそれを手に入れる。

 賢者の石を「使いたい」者は、鏡を見てもそれを「命の水」に変えて永遠の命を手に入れる、錬金により金を生み出す、売って大金を手に入れる、という「望み」が写されるだけで賢者の石は手に入らない。

 そのようなカラクリになっていた。

「賢者の石はどうなったんですか?」

 フラメルと話しあって、廃棄することに決まった。

 すでにフラメルの元にあり、彼が石を消し去っている頃だ。

「それではフラメル氏は」

 彼ら夫妻は既に死を迎える準備を整えた。

 彼らほど長生きをすると、死ぬ事もまた生きていることと変わりはないのだ、と。

 生も死も、等価であると。

「深いですね」

 そうじゃな。

 まだまだわしはその域に達することは出来ておらんよ。

 ダンブルドアはそう言って笑った。

「しかし、それだとポッター君のやった事って迷惑でしかなかったんじゃ…」

 そうでもないぞ。

 もし、クィレル=ヴォルデモートがあの部屋まで行って、石を取りだす事が出来なければ次はどうすると思う?

「…なるほど、『石を取り出せる、比較的無力な生徒を誘拐して来て取り出させる』ですか」

 じゃな。

 ヴォルデモートは元々非常に頭が回る。

 あの場でハリーを使うことを思いついたとすれば、間違いなく取って返してどこかの寮を襲うだろう。

 正直、あ奴がクィレルに取り憑いていたというのが想定外じゃった。

 ハリーと君、ウィーズリー君とグレンジャー君には助けられてしもうた。

 ダンブルドアはそう言って苦く笑った。

 

 マリーは、

「最後にひとつお願いが」

 ダンブルドアにそう言った。 

「何かね、可能な事ならば出来るだけ叶えたいと思っとる」

 彼がそう返すと、マリーは。

「クィリナス・クィレルと話がしたい」

 そう、ダンブルドアに告げた。

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