第3話 分岐点 だいなごん横町?
会社の方も軌道に乗り、このままこの町で中流生活を満喫してくのも悪くないなあ、そう感じていた時だった。
夜、部屋の空気を入れ替えるために窓を開けてたんだけど、そこから一羽のフクロウ、ミミズクかな? が入って来た。
お手紙くわえて。
流石にファンタジーかと思いましたよ。
で、その手紙をとうちゃんに見せた所、下部組織(犯罪系非合法組織をうちの会社に取り込んだんですわ、今じゃ普通の下請け)の所にいる「変な兄ちゃん」を呼び付けたんだよね。
いっつも陰気な顔をしている30過ぎくらいの男の人なんだけど、そいつに手紙を見てもらったところ、「ホグワーツ魔法魔術学校」への入学案内なんだと。
なんだそりゃ、と思ったんだけど、文字通り魔法を勉強する全寮制の学校だそうで。
どうやら私は魔法族、と呼ばれる存在らしい。
魔法族とはそのまま魔法を使える人間だそうで、幼少期に私が起こしたらしい心霊現象も魔力の暴走っぽいのだ。
そうなると、魔法とやらを使いこなせるようにしとかないといけないんじゃないかな、と。
精神的に不安定になったらまたぞろ心霊現象、もとい魔力の暴走が起きる可能性は無きにしも非ず。
普通の生活にそれはまずいよね。
そう思ったんでとうちゃんにホグワーツに行くことを希望してみた。
とうちゃんは眉をしかめ(どう見ても極道面)全く知らない環境に行くことを心配していた。
だけど、変な兄ちゃんは「行けるのであれば行っておいた方がいい」とのこと。
ならば行って見ようじゃないか。
数カ月かけて、私は準備を整えた。
いやあ結構大変でした。
なんせお金はあるものの、それはまるぐ? まぐる? まあとにかく「こっち側」のお金で、魔法界のお金はまた別らしい。
流石に魔法世界の事なんてほとんど分からないので、魔術学校からお手伝いの先生が来てくれました。
なんか厳格そうな男の人です。
お名前は「セブルス・スネイプ」先生だそうで。
いやあ意外に気があっちゃって、お話が盛り上がりました。
なんの?
それはですね、「漢方」です。
中国の民間薬学ですね。
ちょうど先生も魔法「薬」学の教授だそうで、マグル側の薬学(漢方としてもちょっとメジャーから外れるかな?)と、比較が出来てなかなか興味深いとか。
向こうに行く時、漢方系の教書でも持っていこうかなあ。
さて、買物をするだいなごん横町、あれ? ダイアゴン横町だったっけ。
まあそこで色々買ったわけですが。
魔法使いとしてはまずローブ、杖、使い魔を買うのが普通だそうで。
まあローブは体の大きさを採寸して作ってもらったんですが。
問題は杖。
杖を売っている所に行くと、ヤバげな眼をしたじいちゃんが。
あれは間違いなく「オタ」系だ。
まあ正確に言うならばものっそい頑固系の職人だね。
で、その人に杖を見つくろってもらったんだけど、まあ軒並みダメ。
東洋的な顔立ちから中国系の素材で作られた奴を見てもらったんだがこれもしっくりこない。
で、まずないだろうという事で倉庫の奥にしまってあったものを持ってきてもらったんだけど。
「…
そう感動してるんだけど、これどうよ、って代物。
私の身長より長い全長。
上と下がゆるやかにカーブし、さらにはちょっと太くなってる。
なんていうかな、同僚が持ってたプラモだか何だかがこんな武器持ってたなあ、と。
そう、ゲ○ググの「ビー○ナギ○タ」みたいな感じなんですなあ。
どう見ても杖に見えねえ。
素材も鉄刃木ってなんだよ、ってなもんで。
振り回してみたらまあ馴染むこと馴染む事。
どう見ても木刀です、ありがとうございます。
良いのかこれで
まあともかく、次にはフクロウを買いに使い魔を扱うお店に。
フクロウって扱う専門店があるんですねえ、それだけ魔法使いの中だとメジャーらしいです、フクロウ。
しかし。
その途中にあるお店に目を引かれたんです。
一目ぼれでした。
つぶらな瞳の、大蝙蝠。
いや引かないで!
確かに普通はフクロウにするらしいけど!
てか、1年生は普通フクロウかカエル、猫がペットとして持ち込みできるそうなんだけど。
で、スネイプ先生に聞くと、ホグワーツには蝙蝠を飼うための施設がないんだとか。
どうやら他の学校にはあるらしい。
で、カエルや猫は寮生の部屋で、フクロウは専用の飼育室があるんだそうだ。
そうなると蝙蝠は部屋で、となるらしいが状況によっては相部屋の相手が嫌がる可能性も高いんだそうです。
それでも何とか!? って聞いてみたら、 敷地内の管理小屋の人に蝙蝠の巣を設置できるかどうか聞いてみてくれるそうです。
漢方の本をいくばくか持ってくのが効いたんだろうかね。
いくつか面白いのあるからホグワーツに持ってってみよう。
さて待っててねマイスイ~トちゃん♪
一緒にホグワーツ行こうね♪
「はぁ~、くぁわいい…」
この瞳がねえ、もうたまんないわぁ…。。
なんかスネイプ先生からみょーな視線が…。
この後教科書類を買い(全部普通に持ってたらスネイプ先生に妙な目で見られました、普通は持ち上げらんないらしい)、ちょいと先生とお茶をして帰りましたとさ。
ホグワーツ教員の独り言:セブルス・スネイプの言
面白い人材が入学してきそうだ。
ホグワーツ魔術魔法学園にて魔法薬学を教授している魔法使い、セブルス・スネイプはそう思った。
普段であれば「マグル生まれ」に入学の為の支援などという仕事は彼には回ってこない。
そもそも彼はマグルが好きではなかったし、「とある少女」を思い出すためだ。
あれからそれなりに長い時間が経ったが彼の心の傷は想い出と共に消えることはなかった。
今回引き受けざるを得なかったのは単純に人材がいなかったためだ。
こういった仕事を校長であるアルバス・ダンブルドアから頼まれるのは森番であるルビウス・ハグリッドが主だ。
その他にはポモーナ・スプラウトやミネルバ・マクゴナガルがその任を受ける。
が、今回はマグル生まれの魔法使いが普段より多く、他の教員も慣れない仕事を受けており、スネイプもその一人、という訳だ。
とは言え、この生徒は「当たり」だろうと彼は考える。
とにかく素直で、また「魔法界」と「マグル界」では常識が違うという意識を持っている。
それだけに様々な質問をぶつけてくる。
学問の徒はこうでなくては、スネイプはそう考える。
特に気に入ったのは彼女、マリー・ウェリントンは「漢方」なる東洋薬学にある程度精通していたことだろう。
イギリス魔法界で使われるナイフや鍋の基本的な使い方が分かっており、
基本的な器具の使い方を知っているし、「魔法を考慮しない」製薬の事をよく知っていた。
後は必要以上にマグルの知識を信用せず、魔法薬学をきちんと学習していけば一角の(魔法界の)薬剤師にはなれるのではなかろうか。
ついつい必要以上の参考資料を勧めてしまったが、彼女はそれらを全て買いこんでいた。
本来ならばそれだけの重量は大人でも大変だと思うのだが。
無論というかスネイプは見た目以上の体力があり、彼女の持っている程度の資料ならそれほど苦労せずに運べはするものの、年齢が二桁になったばかりとは思えない腕力だ。
とは言え、彼女も年相応の顔をする。
「はぁ~、くぁわいい…」
彼女はペットショップの前ですっかり蕩け切った顔をしている。
…それが、大蝙蝠、翼を広げると1メートルを超える代物で、小型の動物や果物、虫まで食する雑食性の蝙蝠、でなければ本当に普通の少女の反応だろう、本当に。
ちょっと残念な子なのかも知れん、スネイプはそう思った。
さて、ここで彼女がスネイプになんとかこの子(笑)をホグワーツで飼えないかと尋ねてきた。
蝙蝠に関してはホグワーツの1年生が持ち込めるペットの中には入っていない。
というのも、持ちこめるペットは梟、猫、蛙となっている。
これらはホグワーツにおいて飼育するための施設が整っており、なにかあった時も治療が容易なのだ。
他のものに関しては飼育するための十分な準備が出来るまで持ち込みは制限されることも多い。
かつては鼠や蛇なども許可されていたものの、蛇や猫が鼠を食べてしまったり、毒を持つ蛇が校内に逃げ出して大ごとになったりということもあったのだ。
特にひどかったのは数十年前、どこぞの生徒が小屋よりも巨大に育つ蜘蛛をこっそり飼育しており、それが元で死者さえも出た、何ぞということもあったくらいだ。
それ以来、責任が取れる状態になるまでそう言った「例外」は控えるように、とのことなのだが…。
森番であるハグリッドに聞けばなんらかの方策を教えてくれるだろう。
あの男はスネイプから見るとあまりに鈍重で知性のかけらもないような輩だが、生き物を飼育することについてはスネイプの上を行く。
実際、かなりの無茶をすることもあるが、基本的に善良で、魔法界の法を犯すようなことは
大体非常識なのだ、あそこの教員は。
校長であるダンブルドアからしてそうであるし、副校長であるマクゴナガルはクィディッチキチガイだ(実際はここ数年校内の寮対抗クィディッチ戦でマクゴナガルが寮監を務めるグリフィンドールが負け続けなので意地になっているだけである)。
どう考えても自分しかまともな教員がいない。
そう考える彼とて「優秀な」教授である以上、「おかしい」人たちの仲間である事にかわりはないのだが。
それはさておき。
セブルス・スネイプという人間は冷血に見えて実の所それなりに愛情深い。
その愛情は特に特化した所に注がれるが、自身を慕う生徒に対してもある程度は注がれるものなのだ。
故に、スネイプは(嫌々ながら)ハグリッドに相談してやろう、そう決めたのだった。