さて、この前のダイアゴン横町での買い物からしばくしてスネイプ先生から蝙蝠オッケイの連絡が!
喜び勇んで出かけて行くと、そこにはもんの凄い巨漢がいた。
髭もじゃで髪ももじゃもじゃ、ど~んと出たお腹はまるで江戸川先輩のようだ。
お名前は「ルビウス・ハグリッド」さん。
最初に先生と呼んだんだけど、彼は教師ではないそうで、ホグワーツの敷地にある「禁じられた森」という(ずいぶん物騒な)名前の所の森番をしているそうなんです。
番人を置かないといかんほど危ないって感じですかねえ。
で、道がてら、色々な話を聞きました。
ハグリッドさんはいろんなペットを飼っていたそうで、それがまた結構おっかなそうな奴がねえ…。
普通の人だとあっさりかみ殺されちゃうようなのを飼ってた(もしくは飼ってる)らしいんですよね。
よく許可が下りるもんだ。
まあ「男塾」の中でも毒蜘蛛とか毒蛇の集団とか、象とかウルフパックとかいろいろ動物を手なずけてる英傑いたけどね。
その為、私も動物の飼育に関しては色々知ってたりする。
で、ハグリッドさん曰く、大蝙蝠は比較的飼育しやすいとのこと。
餌も小動物から木の実、果物まで食べるんだそうで、
かなりの馬力があるって話で、フクロウよりも重いものを持てるってのが売りだって。
その分飛行速度は遅いらしいけど。
でも、数キロくらいのものを持って飛べるなら面白いことができそうだ。
そんなことを話しながら、お店に行くと、ちゃんといましたよ! 売れてませんでしたよ!
大喜びでお財布からお金を出そうとすると、ハグリッドさんが、
「ここは俺が」と。
いや、そりゃだめでしょ。
ホグワーツにはスネイプ先生だけでなく、ハグリッドさんまで派遣してもろてんだし。
これ以上迷惑は、ねえ。
とか言ったんだけど、
「ちっこいのが遠慮してんじゃあねえ。
ちっとはおとなにねだったっていいんじゃあ!」
ってな感じで結局支払われちゃった。
どうも魔法界の人は癖がある人多そうだなあ、と思ったのは、後々間違いではなかったことがはっきりして来るのでした。
それからダイアゴン横町を散策。
スネイプ先生が知らないような細かい所もハグリッドさんは紹介してくれました。
いやあ、雑貨屋さんとか
有名人のポスターとかあるんだけど、その写真が動いてるんですよね。
面白いなあ、誰が誰だかわかんないけど。
それと、
「ほぉい、クレープ買って来たぞぉ」
やったらとハグリッドさんが食べ物買って来るんですよね。
いや、嬉しいけど。
他にも アイスクリーム(ピーナツバター味は絶品だった!)とか、カップケーキとか。
どうやら私以外にもハグリッドさんは「マグル生まれ」の子にここを案内していたらしく、その子がどうも食が細かったそうで。
「あぁんなにちっこいんじゃ、きっとうちではちゃんと食べさせてなかったに違いない」とのこと。
いや、あんたに比べたら誰だってねえ…。
まあ私は出されたものは全部食べきる主義だから。
自慢じゃないが私は「燃費が悪い」。
普通の大人2~3人前は普通に食べるし。
それと比べると、ええっと「ハリー」君だっけ? それは小食で仕方がないと思うんだけどなあ。
それを伝えた所、
「まっだまぁだちいせぇぞぉ! もっともっとおっきくならねえと」
と言って、ひょいと私を持ち上げましたよ。
おお! 高い高い!
これはけっこう面白いぞ!?
ついはしゃいじゃいますね。
帰りはハグリッドさんの肩に乗せてもらいながら帰りました。
なんかこう、妙にほほえましい、生あったかい目で見られていたような…。
帰りがけにはダイアゴンへの入り口であるパブ「漏れ鍋」でバタービールなる飲み物をごちそうになった。
なんていうか、バターの香る生姜アメ、って感じかな?
飲みやすくて美味しゅうござんした。
ううむ、なんか魔法界堪能したなあ、って良い気分でお家に帰りましたとさ。
ホグワーツの森番は「ちっこいの」に会う:ルビウス・ハグリッドの言
ルビウス・ハグリッドはマグル界と魔法界であるダイアゴン横町との境界であるパブ「漏れ鍋」で人と待ち合わせをしていた。
この前案内をしたハリー・ポッターと同じくマグル育ちの少女だという事だ。
この話を持ってきたのがセブルス・スネイプであった事にハグリッドはちょっと引っかかるものを感じていた。
スネイプは魔法薬学の教授であり、また彼の「スリザリン寮」の寮監でもある。
正直に言って、マグル育ちの子どもを気に掛けるような人物かというと、首を傾げる所だ。
マグル育ちはまず間違いなくスリザリン寮に割り振られることはない。
あそこは「純血」の魔法使いが入る所、そういう考えがハグリッドにもあった。
だから、スネイプが自身が担当することがない少女に対して何らかの便宜を図ろうとするという事にひっかりを感じていたのだ。
まあ、当人にあった時にはすでに忘れているであろう事柄だが。
しばらく待っていると、「漏れ鍋」に一人の少女が入って来た。
ふわふわとした栗色の髪の毛の少女だ。
とは言え、その顔立ちはなかなかに凛々しい。
昨今の「細っこい」子どもたちよりはしっかり食べているように見える、まあ、ハグリッドからすればまだまだ「ちっこい」の範囲内だ、巨人とのハーフである彼から見たら大概の魔法族はちっこい、になるわけなのだが。
手を挙げて挨拶をすると、彼女は近寄ってきて、
「お世話になります、マリー・ウェリントンです! えっとルビウス・ハグリッド先生?」
そう言いながらぴょこんとお辞儀をした。
ハグリッドは苦笑いをしながら、
「はっはぁ、わっしは先生じゃねえぞぉ、禁じられた森の森番だぁ」
そう訂正を入れた。
そこから怒涛の質問が始まった。
とにかくこの娘は知識欲が強いようだ。
それに好奇心も強い。
最初ハグリッドは戸惑い、どもってしまう所も多かった。
それが変わったのは魔法の動物に関して聞かれた事だ。
この娘は魔法界の生き物にも興味津々だった。
グリフィンやケルベロス、スフィンクスなどの魔法生物、さらに危険なバジリスクやアクロマンチュラ、
実際、これだけハグリッドの知識に興味を持つ人はなかなかいなかった。
学校内だと、ハグリッドは森番であり、教員達、生徒達との関わりは限定的だ。
例外は敬愛するダンブルドアくらいか。
また、そとの交遊関係は特殊な動物の愛好家などに限られ、こう言った連中は特定の動物にしか興味がなかったりする。
ここでも例外はチャーリー・ウィーズリーくらいか。
まあつまりはハグリッドはご機嫌であったわけだ。
さらに言えば、マリーはマグル界の動物にもある程度精通していた。
まあ、彼女の場合は「男塾」の知識に様々に奇天烈な生き物を使役する輩がおり、その関係で知識が多かった事、また動物の内臓や体液などは漢方に使われることも多いからであった。
ハグリッドにとってマリーは「ちっこい友人」に格上げされていた。
蝙蝠を欲しがっている、とセブルス・スネイプから聞いていたが、マリーの喜びようはハグリッドをして度を超しているようにも見えた。
そこまでか、と思うほどには彼女は大蝙蝠に夢中だった。
彼女曰く、「これは運命です!」とのこと。
拳を握りしめ、鼻息荒く力説する彼女を見て、ハグリッドは自身の昔を思い出す。
ちょうど学生の頃、同じように「運命」を感じ、そして彼は「アラゴグ」を飼い始めたのだったなあ、と感慨にふけることとなった。
ちょっと逃避していたのは秘密だ。
そんなことを考えていると、マリーが懐から財布を取り出し、大蝙蝠を購入しようとしていた。
ハグリッドはホグワーツの職員であり、魔法学校から給金ももらっている。
とは言え、あまり使う事はない。
生活費に関してはほとんどがホグワーツから提供されるもので事足りる。
ペット達の餌も自身で森に狩りに行けばいい訳で、よほど特殊なものでも必要経費として支給されることが多い。
なにせ森番は普通の人には危険なことこの上ない仕事だからだ。
「禁じられた森」には危険がいっぱいだ。
それに教職員や生徒を触れさせる事なく、また森から危険なものが出てくることのないように見張ることが出来るのはよほど強力な魔法使いか、ハグリッドのようなトロールと相撲を取れる様な肉体を持つ者だけだ。
強力な魔法使いを拘束する金額に比べると、ハグリッドに支払われる金などおそらく2割にも満たないだろう。
そんなわけで、ハグリッドの懐はそれなりにあったかいのである。
だから、
「ちっこいのが遠慮してんじゃあねえ。
ちっとはおとなにねだったっていいんじゃあ!」
とごり押しをして蝙蝠の代金を支払った。
ハリーと同じ、小さな友人に対しての贈り物である。
買物が終わり、ハグリッドはダイアゴン横町をマリーに紹介して回った。
流石にスネイプは子どもの頃から真面目であり、またスリザリン寮で純血の上級生達に可愛がられていた(嫌味ではなくそのままの意味)だけあってあまり子どもや大人が遊び回るような場所を紹介していなかったようだ。
ハグリッドはそこいらは体格以外は年相応の子どもであり、友人連とダイアゴン横町やホグズミード村で遊び回ったものだ。
昔取った杵柄ということで、未だにそう入れ替わりのない横町の店を紹介していく。
オリバンダーの杖屋、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店やマダム・マルキンの洋装店など入学に必須なものを扱っている所は実際に行っているが、ギャンボル・アンド・ジェイプスいたずら専門店などは決してスネイプは近づくまい。
子どもの頃にひどい目に遭ったアイテムに好んで近づく性格でもないし。
いたずら専門店はいわゆるジョークグッズの店だが、どうやらマリーのお眼鏡にかなったらしい。
けらけらと笑いながら品物を見て行く。
雑貨屋では動くポスターを見て目を丸くしていたり。
クィディッチ専門店では眉をしかめながらアイテムの使い方を聴いてきたり(ハグリッドはそれほどクィディッチを知っているわけではない、そもそも箒で飛ぶのは得手ではないのだ)。
時折ハグリッドを知っている面子が声を掛け、マリーを見ていつ結婚して子どもが出来たのかとジョークを飛ばすのを聴きながら楽しそうにしていたり、と彼女はこの小旅行を満喫している様子だった。
さて、ハグリッドは少々小腹がすいてきた。
何か食べようか、そう思ったところで目に入ったのが露店のクレープ屋だ。
子どもならばなかなかに食べごたえがあるだろう。 ハグリッド? あれじゃピーナツを1つつまむのと変わらん。
そう言う訳で、とりあえずヌガーやクリームのたっぷり詰まった奴を2つ買ってきて一つを押しつけた。
ハリー・ポッターは半分ほど食べた後にもう食べられない、などと言っていたが…。
「うまい! うまい!!」
そう連呼しながらマリーはハグリッドと大して変わらない速度でクレープを食べ終わった。
これはなかなかに「食べさせ甲斐のある」子どもだ、そうハグリッドは嬉しくなった。
そして、アイスクリームも、カップケーキも、ハグリッドとマリーは同じくらい平らげたのだった。
これが普通というものだ。
ハリーはどうも親戚の一家にちゃんと食わせてもらっていないに違いない。
ハグリッドはグリフィンドール特有の思い込みをしっかり継承していた。
…まあこれに関してはあながち間違いではないのかもしれない。
なんぞと話したら、
「いや、私人並み以上に食べるから…」
そう顔を赤らめていた。
それは恥ずかしい事じゃない。
子どもはたんと食ってたんと大きくならんと。
そうハグリッドは父から言われて育った。
それは今でもハグリッドの宝物だ。
その言葉は年を経たハグリッドにとって「子どもに上手いものを食わせる」ことを楽しみとさせるようになった。
こうやって子ども達に食べ物を渡すのも楽しいし、自身で料理をふるまうのも楽しい。
…最もその料理が独特で、子どもたちに好評か、というと…どうだろうか。
そんなハグリッドだ、子どもから遠慮の言葉を聞くと、
「まっだまぁだちいせぇぞぉ! もっともっとおっきくならねえと」
にっかり笑ってそう言った。
そしてひょいとマリーの両脇を抱えると、
「ほうれ、まっだまだ軽いぞぉ!」
ついつい父親にやっていたように「高い高い」とやってしまった。
母が離れて、心を病んでしまった父は、こうやって一緒に遊ぶとけらけらと笑いながら楽しんでくれたものだ。
とは言え、年頃の子どものこうすると怯えるか怒るかのどっちかだった。
内心やらかしたか、と心配したハグリッドだが、
「お! おお!? うっひょ~い!!」
なんか楽しんでいる。
つられてハグリッドも楽しくなってきた。
その後マリーを肩に乗せて横町を歩いたが、マリーのご機嫌はハグリッドと一緒にいる間、ずっと続いていた。