フィフスは人類を絶滅させるつもりはなく、絶乳魔法もまた人類の存在が必要不可欠という悪夢じみた仕様となっています。
そのあたりを特に慎重に行っているため、抑止力の発動をフィフスは回避することに成功しました。……まあ、世界が違うので形月ほどの事象は曹操発生しないことになりますけど。
アザゼルSIDE
なんて奴だ、フィフス・エリクシル。
ここまでイッセーのおっぱい覚醒をピンポイントについた能力を開発しているとか、俺は本気でビビってるぞ。
「
「……真面目に対応しないといけないのは分かるんだけど、ちょっと待ってほしいの!」
悪いな高町、そんな余裕はなさそうだ。
何せ今、通信越しでやばい情報が舞い込んできやがった。
「おいフィフス。今上からの通信で、こっちに降下する軌道が取れる当たりの衛星軌道上にたくさんなにかがいるって来たんだが、お前さんの仕込みか!」
「その通り! 以前宮白兵夜には
高笑いするフィフスは、ゆっくりと上を指さした。
「
更にフィフスは指を鳴らすと、一斉に二種類の魔獣がそこかしこから現れる。
サソリのような陸戦型の魔獣と、鳥のような空戦型の魔獣。それらがそれぞれ三十ぐらいは出てきやがった。
「邪龍軍団だけだと龍殺しを量産されれば詰みかねないし、今の俺は魔獣創造の下位互換じみた能力を持ってるんでな。こういったのも用意できるってわけだ」
「相も変わらず人海戦術が大好きなことだな、このインテリ脳筋!」
宮白が歯噛みするが、これは流石にまずいんじゃねえか?
場合によっては、此処を放棄して脱出することも考えないとまずい。
俺がそれを想像して奥歯を食いしばった時だった。
……なんかフィフスの耳元に魔方陣が展開して、フィフスが慌て始めた。
なんだなんだ? 何があった?
俺がちょっと気になってると、フィフスは宮白に睨みを利かせやがった。
「やってくれたな、宮白兵夜……っ」
「………ふ、ふふふ……ふははははは! どうやら仕込みが決まったようだな! ほら、教えてやるから言ってみろ!!」
宮白の奴が高笑いして悪役ムーブしやがった。
なんて奴だ、狼狽したと思ってたら、事前に仕込みをしていたってのか。
これがうっかりすることを自覚している男。まさか事前に衛星軌道上にまで仕込みをしているとは思ってなかったぜ。
俺も含めてほぼ全員が評価の目を宮白に向ける中、フィフスはめちゃくちゃ悔しそうな表情をしてきやがった。
「衛星軌道上の部隊が襲撃を受けてやがる。……何時の間に衛星軌道上で戦闘ができるレベルの戦力を用意してやがった。お前がこの世界に召喚されてから、まだひと月ちょっとしかたってないはずだぞ!?」
おお!
「すげえ! 何時の間にそんな準備を整えてやがった!」
「凄いぜ宮白! 準備万端だったんだな!!」
左とイッセーが称賛の声を上げる中、宮白は髪をかき上げるとフィフスに嘲笑を見せた。
「かかったな馬鹿め」
「……おい、まさか」
ん?
なんだなんだ? まさかフィフスの奴は喰らった手なのか?
俺達が首をちょっと傾げていると、宮白は胸を張って宣言した。
「……情報収集の為のブラフだ! 俺は全く知らん!」
……抜け目がないと褒めるべきなんだろうが、なんかムカつくから褒めない。
「期待させんなあああああ! なんであんな黒幕ムーブでハッタリかませんだよてめえはぁあああ!」
「……まさかはぐれサーヴァントが協力してくれたのか!? ……いや、味方面して利用する気満々の手合いも少なからずいるから、とりあえず気を付けなければならんな、うん!」
「時空監理局の部隊は全員会議に参加しているって聞いてたし、じゃあ誰が? 地球の技術で衛星軌道上の艦隊に攻撃を仕掛けられるような戦力は無かったはずだけど……?」
近くで銀時がツッコミを叩き込んだり、後ろでゴルドルフが不安になるようなことを言ったり、高町は真面目に考察しているが、だが今はいい。
すぐに戦闘できる奴のほぼ全員がそれを理解して、一気に戦闘態勢に入る。
これは好機だ。ここでフィフスを無力化することに成功すれば、あいつらは盛大に躓くことになる。
文字通り世界規模でやらかされてるからな。遠慮する理由はかけらもねえ。
「行くぜ野郎ども! ここでフィフスを潰せぇえええええ!!!」
「「「「「「「「「「「「了解、先生!」」」」」」」」」」」」
宮白含めたオカルト研究部が攻撃に転じるが、同時にフィフスも冷静さを取り戻したらしい。
「なめるなこれが! こっちにも伏せ札の五種類や十種類は用意しているんだよ!」
「多いわ!」
思わず突っ込んだが、フィフスは躊躇も遠慮もしない。
どこからともなくアタッシュケースを取り出すと、それを一気に開いて宙へと投げる。
なんかでかくて骨っぽい意匠がついたUSBメモリみたいな……あ、ガイアメモリか!
「こんなこともあろうかとぉ! ガイアメモリとの同調機能をしっかり仕込んでいるんだなぁこれが!」
なるほどな。便利なものはしっかり強化するつもり満々ってわけか!
確かにそれをやられると、ちょっと状況は変わりかねないが―
「そう簡単にはさせないね」
「そそそそのとおりです!」
その瞬間、なんかメカっぽいクワガタとか蝙蝠とか蜘蛛とか、あと普通に蝶とか蜂とかがガイアメモリをかすめ取る!
「そういうことするか正義の味方側!?」
「悪いけど、ガイアメモリの悪用を前もって阻止できるのならそれに越したことは無いからね」
フィフスにさらりと返したフィリップは、ふと視線を衛宮に向けた。
「そういえば衛宮君だったね。勢い任せに出てきたみたいだけど、動きや反応から見て戦闘慣れしていないようだ」
「ま、待ってくれ! だからって女の子が前に出てるのに任せるなんて―」
「馬鹿者!」
フィリップに言い返しかけた衛宮の首根っこを、何時の間にやら出てきていたゴルドルフが掴んで黙らせた。
「サーヴァント、それもヘラクレスを一度は殺せるような奴が出てくる戦いに、魔術の使い方も分からないようなやつが役に立つか! 足を引っ張るだけだから下がっておれ!」
「そうだね。……とはいえ気が進まないだろうから、一つお願いしたいことがあるよ」
……ん?
「そうだな。亜樹子もときめもいないし、ちょっとフィリップの体を頼む」
「つい興味深くて前に出てきてしまってね。あまり君のことは悪く言えないんだ。……この後倒れるからお願いするよ」
「「……え?」」
『サイクロン』
『ジョーカー』
なんか毛色の違うガイアメモリを取り出したな。
しかも左が二本メモリを入れられそうなベルトを腰につけたと思ったら、フィリップの腰にも同じベルトが出てきたぞ?
しかもフィリップがメモリを入れたと思ったら、左の方に転送されたぞ?
「「変身!」」
『サイクロン』
『ジョーカー』
そして左がベルトを左右に動かした時に、反応は二つ。
急にフィリップの体から力が抜けると、そのままフィリップが倒れこむ。
同時に、左の全身が左右で色の綺麗に分かれた装甲に包まれた。
「うぉっと! だ、大丈夫か!?」
「確か仮面ライダーWとか言ったな!? た、倒れるなんて聞いてないぞ!?」
「おっ! その反応いいねぇ!」
『言い忘れていたのは事実だけど、確かにこの反応は心地よくなってしまうね』
何故か左の方からフィリップの声が聞こえてくるんだが。
『とはいえ忘れてすまない。Wに変身する時は僕の意識も転送されるんだよ。普段は安全圏で変身するんだけどね』
「そういうこった。相棒の体を任せたぜ?」
なるほどな。中々凄い仕組みになっているってことか。
「興味深いが、まずはこの戦闘を潜り抜けてってことでいい―」
「先生大変です!」
今度はイッセーかよ、どうした?
『ふえぇ……。心地いい世界だと思ったのに、怖い言葉を言わないでよ、お兄ちゃん』
「ドライグが本当に幼児退行してます! しかも本当におっぱいを怖がってる!? 絶乳楽土に心安らいでます!!」
こっちはこっちで大変だな!?
「仕方がない! アーシアちゃん、ファーブニルを出すんだ! いい機会だから慣れてもらおう!!」
「「お前は鬼か!?」」
宮白が酷過ぎることを言いやがったから、思わず俺とイッセーのツッコミがハモっちまったよ。
いや、だがまあ……。
「まあ、此処で逃がすわけにはいかねえわな」
「同感だぜアザゼルさんよぉ。色々と聞きたいこともあるし、訳の分からねえ展開でちょっと苛立ってるんだ」
俺に応じた左が、一歩前に出てフィフスに向き直る。
『君は僕達のこともある程度調べているようだ。なら、僕らが君に投げかける言葉も知っているだろう?』
「ああ。ここは俺達の町じゃねえが、俺達の目の前でガイアメモリで悪行を成す奴には、この言葉を言ってやる」
そして左手を前に出し―
「『さあ、お前の罪を数えろ!!』」
そしてその宣言に対して、フィフスも静かに構えをとる。
そしてはっきりと、真っ向から言い切った。
「覚えておけ。そういうのを踏み倒して相手に押し付けるから、俺達みたいなのは悪党っていうんだよ、これが」
そしてフィフスは棍を再び取り出すと、そのまま突撃を敢行する。
どうやら、一気にガチバトルってわけだな!
「リアス達! ドライグを正気に戻すまで凌いどけ! 慣れてない奴が混乱するかもしれねえから、その辺のサポートもよろしく頼むぜ!」
さて、どうやって凌いだもんかねぇ?