いきなり前後編なのは勘弁してください。分量が多くて分けないと長くなりすぎるんです!
第一話 兵藤一誠のパニックだらけの一日。(前編)
ふ、ふふふ、ふふふふふ………っ
「いよっしゃぁあああああああああ!!!」
俺は我慢できずに、思いっきり大声をあげてしまった。
俺の名前は兵藤一誠。仲のいいやつからは基本的にイッセーって呼ばれてる。
モテない高校生だった俺は、この年の春から一気に生活が大変化。なんと殺されて悪魔に生まれ変わって、しかも伝説の赤いドラゴンを宿しているのが発覚って急展開。
ただトラブルもいっぱい来てて、ここ五か月近くは禍の団ってテロ組織と何度も戦うことになって大変だったぜ。
体なんて一回消滅し、新しく作るなんてことになったからなぁ。はっきり言って命がいくつあっても足りないぜ。
だけど、最近はちょっと平和に生きてこれた。
禍の団の中でもぶっちぎりででかい派閥の旧魔王派と英雄派が立て続けに壊滅したことで、動きたくても動けないって感じになっているらしい。
ちなみに俺はどっちにも襲われてます。旧魔王派のシャルバは倒したけどあいつの所為で体が消滅したし、英雄派の曹操も何とか負かしたけど何度も痛い目を見たし、大変だったぜ。
だけどまあ、それはそれとしてこうした日常も大事だしな。それに俺だって、欲しい物やこっそり買いたい物はある。
そう、これだけは譲れない……。
「―――新たなる伝説、THE・ハーレム王ⅩⅢ、シークレットバージョン……っ」
これは伝説のエロゲーとも称されるエロゲーのシリーズ最新作、それも、非公式販売されている、特別仕様!
通販はされず店舗にランダムで非予約仕様としての身売られている希少品中の希少品! 本来なら絶対に見つからないだろう代物だけど、今回は奇跡が起きた!
「……ありがとう、匿名の上級悪魔さん。おれ、おっぱいドラゴンの活動を頑張っててよかったよ……っ」
俺は涙を流しながら、この情報を届けてくれた匿名の上級悪魔さんのファンレターに感謝した。
乳龍帝おっぱいドラゴン。俺が頑張って活躍していたらいつの間にか出来上がってしまった、俺をモデルにしたヒーロー番組。
子供たちの声援は胸が熱くなるし、人気があるのはいい気分だし、子供のお母さんから人気が出たらそれはそれでぐふふだけど、歌とかに時々首を傾げることは多かった。あと人間界だと絶対流行らないというか、うるさい人が出てきそうだし。
でも、そんなファンの人がこの情報を送ってきてくれて、俺は本当にありがたいって思ったね。
頑張って良かった。情けは人の為ならずって、こういうことなんだなぁ………。
ま、おかげでちょっとどころかかなり遠くに来たけど、これも必要経費必要経費。
九州に来るなんて初めての体験だけど、観光名所に来たわけでもないからそこは我慢我慢ってね。
さてと、じゃ、あんまり時間をかけるとリアス達が心配するだろうし帰るかなぁ―
「……ふぅ~。やっと街についたー」
―と、そんな声が前から聞こえてきた。
ちょっと前を確認すると、十歳に届かないぐらいの小さな女の子が、なんか長時間歩いて疲れた感じで、膝に手を当てて息を吐いていた。
なんだろう、違和感がある……あ。
悪魔とか堕天使とかで慣れてたから気づかなかったけど、この子金髪だし、顔つきも日本人じゃない。
その割には日本語ペラペラだけど、冷静に考えると結構町中から離れているこんなところに、あんな小さな格好の女の子がいるのも気になるな。
………よし、なんか周りを見てるし、ちょっと声をかけるか。
「……ねえ君、どうかしたのかい?」
大丈夫だ、頑張れ俺。
おっぱいドラゴンの公演で、悪魔のとはいえ子供との会話とかには慣れてるからな。
警戒されないように気を付けて……と。
と、女の子の方も俺に気づいてちょっと表情を明るくした。
「あ、すいません。実は迷子になっちゃったんですけど携帯電話も落としちゃって。その、もしよかったら貸してくれません?」
なるほど迷子……か。
それにしても、ちょっと気になるな。
今の反応と動きでなんとなく分かったけど、この子結構鍛えてるな。
多分格闘技とかかじってるな。あと、迷子って言ってる割には落ち着いている感じだ。
ちょっと気になるけど、でもまあ、迷子だっていうなら子供のヒーローやってる俺が助けなくてどうするってな。
「そういうことならお安い御用さ。電話番号を教えてくれるなら、すぐにかけるよ」
「ありがとうございます! あ、あとこの辺りの場所の名前も教えてくれると嬉しいです」
「うん。ここは九州の―」
俺が答えようとした、その瞬間だった。
―何かが塗り替わった。
そういうしかない訳の分からない雰囲気の変化に、俺は飛び跳ねるように周囲を見渡す。
歩いている人はいる。会話している人もいる。今の変化に気づいている人は、見る限り誰も―
「……お兄さん、何かが変じゃないですか?」
―いや、違う。
さっきの小さい子が、拳を構えながら周りを警戒している。
「……何かが変なのは俺も分かる。だけど、何が変になったんだ?」
「周りの人達です。なんだが、みんながぼんやりしてるというか、操られているっていうか」
俺はそう言われて、ちょっと周りの人達を確認する。
……あ。そうだ。
悪魔に転生して最初の頃、リアスが俺の父さんと母さんに説明が難しい所を上手く誤魔化した時とかの感じだ。
ということは、つまり悪魔か誰かがこの辺りの人達に精神的な干渉をしているってことか?
でも、この子は影響を受けてない。
ってことは―
「……君、もしかして訳あり?」
「あ、分かります?」
苦笑いを浮かべてるし、まあそういうことなんだろうなぁ。
「大丈夫! 俺も結構修羅場とか潜り抜けてるし、すぐに仲間に連絡するから、助けに来てくれるのも速いと思―」
「……ふざけんなよ、お前ぇ!!」
今度はなんだ!?
ちょっと離れたところから、なんかパニックを起こしてるっぽい怒鳴り声が響いた。
そして殆どの人は何も気にしてない。
やっぱりこれはおかしいな。何かが起きてるとしか思えない。
とはいっても、まずは―
「……ちょっと様子を見に行かないか? もしかしたら、俺達と同じ感じかもしれない」
「はい。もしかしたら大変かもしれないです」
俺達は頷くと駆け出して、声のする方向に向かう。
そしてちょっと走ったところで様子を伺うと、そこには三人の人影があった。
赤茶の髪で俺ぐらいのなんか戸惑っている男と、その近くに白い髪をした、これまた怪訝な表情を浮かべてる女の子。そしてそこからちょっと離れたとこに、これまた俺と同じぐらいの癖っ毛の男が一人。
「まさか衛宮までとはね! どこまで僕を馬鹿にすれば気が済むんだ、畜生!」
「何の話だよ。というか慎二、なんでお前こそ魔術師なんてものを知ってるんだ!」
……なんか揉めてるみたいだけど、状況がさっぱり分からないぞ?
「……魔術師? 魔法使いの言い回しか?」
「……魔導士は地球にはいないはずじゃぁ」
………。
俺は女の子と顔を見合わせた。
ん?
なんか状況が全く分からないけど、この子もしかして、こっち側?
俺が首を傾げたその時、殺気を感じた。
あ、これヤバい。囲まれてる……っ!
「おい! そこの人達! 囲まれてるぞ!!」
俺は声をあげながら、神器を具現化する。
聖書の神が作って人に与える
中のドライグは最近激戦ばっかりしてたから今眠ってるけど、それでもないよりはましなはずだ。
っていうかマズイ。これ明らかに結構な数に囲まれてるぞ!
「え、もしかしてデバイス―」
「―なによあれ。魔術礼装どころか宝具でもない」
なんか子供側が面食らってるけど、そんなことを言ってる場合じゃない!
俺が周囲を警戒してると、いきなり真っ先になんか出てきた。
髑髏みたいな覆面をした、燕尾服姿の謎の連中。
とっさにこっちに来た奴を、俺は籠手に格納してる聖剣アスカロンを出して切り裂いた。
その瞬間、切り裂かれた奴は消滅する。
……この感じ、人間どころか生き物でもないな。
「
「ちょっと待ちなさい! あなたも聖杯戦争の関係者? さっきからこんなところで堂々と神秘を使って……魔術教会も聖堂教会も黙ってないわよ!」
周囲を警戒してたら後ろから白い髪の子にそんなことを言われたけど、なんかさっぱりよく分かんねぇ!
「大丈夫だよ! その辺のところはまだ分かってないことも多いけど、事情を説明すれば何とかなると思うから! 確かアザゼル先生、五大宗家の人達と会ったことがあるらしいし!」
多分大丈夫だと思うっていうか、これはもう正当防衛だし何とかなるだろ。
一応日本神話の人とかは和平に好意的らしいし、五大宗家はうるさいそうだけど、それでも一応は根回しも済んでるはずだし!
それにさっきの連中は全員ぶちのめした。まだ来そうだけどとりあえず一安心だしな。
「っていうか君、もしかしてどこかの魔法使い組織の人!? 何が何だか分からないけど、できればちょっと事情を―」
「―何を言っているの?」
あれ? なんか怒ってる?
「魔法使いが組織なんて規模でいるわけないでしょう? ……もしかして、どこかのテロ組織が子飼いで魔術を教えてる類? 聖杯戦争に関与するなんて、命知らずな人もいたのね」
………ん? ん~?
「あの、なんかよく分からないんだけど? 君、いったいどこの組織の子?」
なんか話がかみ合ってないな。状況は分からないけど、もうちょっと事情を聞いた方がいいんじゃ―
「慎二、後ろだ!」
その時、その声が響いた。
見れば、さっきの癖っ毛の男の近くにも、骸骨覆面が一人いる。
赤毛の男が助けに移行としてるけど、このままだと間に合わない。
「なんだよ、畜生……ふざけんなよ!? どいつもこいつも……僕を馬鹿に………」
髑髏覆面の手には拳銃が握られている。それももう、狙いもつけられてて引き金も―
「……どいつもこいつも僕を認めずに、こんなところでぇえええええええ!」
その瞬間、髑髏覆面の横っ面に、拳が思いっきり叩き付けられた。
「「「「「―え?」」」」」
俺達が一瞬呆気に取られる中、髑髏覆面は横に一回転しながら塀をぶち壊してぶっ飛ばされる。
「……や、やってしまった! 普段藤丸が巻き込まれているレムレム睡眠、ぐだぐだとかハロウィンとかサーヴァントユニバース案件じみたことだと分かっていたのに! 冷徹な魔術師として、心を鬼にして見捨てなければ、死ぬのは自分であるという過酷な状況だと分かっていたのに!」
そしてぶん殴ったおっさんは、なんかそう言ってた。
「……いやしかし、年若い少年のこんな悲痛な叫びを聞いて黙っているわけにはいかん。まして聖杯が関わっているというならば、私は組織の長として責任がある! うん、普段藤丸達には苦労を掛けているのだ、これぐらいは……やっぱり怒られるだろうなぁ」
なんか気弱っぽいそのおっさんは、我に返るとこっちを振り返ってぎこちない笑顔を浮かべた。
「………えっとだね、とりあえずそこのキミは大丈夫かね? 見たところ大事はなさそうだが……」
「……え、あ、ああ」
「ならばよい。間に合って良かったと言っておこう」
と、癖っ毛の反応にほっとしながら、そのおっさんはなんかきりっとした表情を浮かべた。
「うむ。私の名前はゴルドルフ・ムジーク。直接ではないが似たような事例をいくらか知っている、通りすがりの貴族と言っておこう」
あの、なんか全く状況が分かってないんだけど、なにこれ?
今までもトラブルは多かったけど、なんか毛色が違う。
これも、ハーレム王になる為の試練だったりするのかなぁ。
「さて、実は私も状況がさっぱり分かってないのだ。できればお互いに情報交換をするべきだと思うのだが……どうかね?」
「あ、じゃあちょっと俺の主に連絡していいですか? 事情を説明したらとりあえず話は聞いてくれると思うんですけど」
とりあえず、こんなことになったんだしリアス部長にも連絡しないといけないしね。
全く状況がわからないから、俺もすぐに部長に連絡したい。
「ふむ。連絡が可能な状況なのか。それは羨ましい。お願い……ん?」
と、そのゴルドルフのおっさんは、なんか耳を澄ませた。
「……あれ、どうしたのおっさん?」
「おっさん言うな! 私はまだ二十代だし、というか、なんの音だ?」
二十代なのか。っていうか、音って―
『ふふふ、見つけたわ』
その声に俺達は上を振り仰いだ。
そこにいたのは一人の少女……いや、異形。
黒い翼のようなものを広げた、小さな女の子の異形。
白い髪を向け、金の瞳が殺意満々でこっちを見てる。
今度はなんだ!?
「……妖精騎士メリュジーヌ!? ええい、やはりここは特異点で、貴様は現地で召喚されたサーヴァントだというのか? 異聞帯でもないのに何でここに!?」
『あら、カルデアの人か何かかしら? でも、私の目的はあなたじゃないの』
ゴルドルフのおっさんにそう言うと、メリュジーヌとか呼ばれたその女の子はこっちにもう一回殺意の籠った目を向けた。
『……貴方が彼の言っていた乳龍帝ね? 此処を逃すとすぐには襲いに行けないから、殺してあげるわ』
………。
「「「「「乳龍帝?」」」」」
なんかはもってるけど、つまりこの人達は全員異形とかに縁がない人達ってことなんだろうなぁ。
でも問題はそこじゃないっていうか、そのね?
「こんな状況で何でそっち言うの! 赤龍帝でも名前でもいいだろ!?」
なんでだ。乳龍帝なんてシリアスで言っていい言葉じゃないってのに!
なんかこう、初対面の人達から向けられる視線がかなりキッツい!
いやほんと何、この状況何!?
しかも殺意が盛大に高まってるんだけど!?
『嫌よ。あなたがこの世界の本来の私と対を成すなんて考えたくもないわ。……というか、此処で殺すわ』
………いや、ちょっと待って。
マジでこの状況、何なんだ―
「いや、悪いがそうはいかないな」
―その声に、俺達は今度はなんだと振り返る。
そしてそこにいたのは―
「並行世界のそれだろうが、目の前でそいつを殺させるわけにはいかないさ」
なんか女の子っぽい、ロケットランチャーを構えてる少年がいた。
もう何なんだこの状況!? 訳の分からない展開ばかりで追いつけないんだけどぉ!?
くそ! 銀魂と風徒探偵が書ききれなかった!
次の話も間を置かずに投稿します。勢い重視だからインターバルは開けられないしね!