混界魔龍大戦駒王町―銀の風が呼ぶ運命   作:グレン×グレン

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 スプラッターホラーから逃亡した結果、昨日書き溜めが全然ないが、それでも連日投稿に走ったグレン×グレンです。土日で取り戻します( ̄▽ ̄)








 というわけで、慎二編後編に突入します。

 あとアンケートで慎二の身の振り方についてちょっと募集しますので、良ければぜひ。



第24話 自分の芝生も青く見られるもの也

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 えっと……?

 

 今二世、間桐のことが羨ましいって言ったか?

 

 サイラオーグさんの悲惨な境遇を羨ましいと言った間桐に、二世が羨ましいって言って?

 

 いやもう、それだけでもなんか分からないんだけど……。

 

「えっとなにこれ? じゃあ二世の過去バナ聞いたらサイラオーグってのが羨ましくなりそうな来歴だってか? どんな三角関係だよ」

 

 微妙な空気に銀さんが茶化すけど、二世は少し指を顎に口元に手を当てて考え込むと、静かに頷いた。

 

「……ふむ、確かに彼の来歴や生き方を鑑みれば、少しばかり羨まれるかもしれないな」

 

 え、マジで?

 

「……さて、私についての知識を知っている者は少ないが、私は衛宮達(彼ら)の視点で言うなら十年ほど前、第四次聖杯戦争にマスターとして参戦したことがある」

 

 ほ、ほうほう。

 

 俺達がちょっと聞く気になっていると、二世は目を伏せて話し始めた。

 

「当時時計塔の一生徒だった私は、当時のロード・エルメロイであったケイネス先生に自分が書いた論文を酷評され、その帰りに苛立っている時に先生宛に届けられる予定だったサーヴァント召喚の為の触媒―それも本命となる物を手にすることになった」

 

 ……どっかのラノベで主人公になれそうなこと言ってるな。

 

「聖杯戦闘という魔術儀式に先生が参戦することを知っていた私は、自分がそれに乗り込んで先生を出し抜いて優勝することで、論文として提出した「血筋に劣る魔術師でもよりよい教育を受ければ才能を発揮できる」という妄想を認めさせることも、家柄に劣るという理由で見下してくる貴族達を見返すこともできるという分かり易い思い上がりを抱いて、借金までして日本に渡った」

 

 本当にラノベになりそうな題名だな。

 

「おいおいどこのなろう系主人公だよあんた。それでそのロードの二世になってるとか、もう完全に主人公じゃねえか。無双の始まりじゃねえか」

 

 銀さんがそう言って茶化すと、二世はめちゃくちゃ皮肉って感じの笑みを向けてきた。

 

「無双? まさか、私は何処まで行っても端役だったとも」

 

 そうはっきりと、二世は言い切った。

 

「サーヴァントには最初から最後まで良くも悪くも振り回される中、それに比べて私は足を引っ張ってばかりさ。功績と言えるようなものなど、他の参加者でも余裕で出来る方法を三流であったがゆえに誰よりも早く行ったことで、敵の隠し拠点を発見した程度。それだって運悪く外出されていたうえ、別勢力の横やりもあってサーヴァントを討伐できたわけじゃない」

 

 そうはっきりと言った二世は、軽く肩をすくめる。

 

「あの戦いが物語になるのなら、主役になれるのはアイツだ。私など、精々狂言回しが関の山さ」

 

 そのアイツって言い回しに、俺は宮白をふと思い出した。

 

 宮白も俺のことかなりこき下ろすけど、並行世界で親友だったからか時々いろんな感情が込められている言葉を言っている。

 

 多分、二世にとってのアイツってのもそうなんだろうな。

 

 俺がそう思っていると、二世は再び葉巻を一回数と、そのまま煙を吐き出した。

 

「しかし幸運にも、私はサーヴァントを倒されながらも殺されることだけは免れた。逆にケイネス先生は……無残な死に方で敗北し、多大な経済面や物資面での損害だけでなく、魔術師が自分の神秘も込めて後継に託す魔術刻印、それもエルメロイという一門全体における源流刻印もまとめて大破されることになった」

 

 煙を見ながら、二世はその煙越しにどこか遠くを見ている。

 

 後ちらりと衛宮の方を一瞬見たけど、なんでだろう?

 

「……先生が死んだのは、私が本命の触媒を奪ったことに起因する。あのバカと先生との相性は良いとは思えないが、それでもアイツなら先生を丸め込んで大暴れしただろう。そして私を遥かに上回る、先生の魔術師としての破格の才能なら私よりよっぽどあの触媒を使いこなせただろう」

 

 そういう二世は、拳を握って震わせている。

 

 よっぽど、そのことに責任を感じてるんだろうなぁ。

 

「……今でも人間としては先生のことは好きじゃない。先生も僕のことを死ぬまで軽んじていただろう。だが彼の教室で育てられた者として、彼の死でかつての僕と同じような生徒達から学ぶ機会が奪われるわけにはいかない。……結果として、既に借金をしているあるロクデナシを相手に、親友になるという対価と引き換えに教室を買い取れるだけの資金を追加で借り受けた。……これがよくなかった」

 

 なんか一瞬凄い虚ろな目をしたんだけど。

 

「あの、目が凄く暗いんですが。もしかして失敗したんですか?」

 

「いや、むしろ上手く行き過ぎたと言ってもいい」

 

 軽く引き気味だったスバルに、二世は乾いた笑いと一緒に吐き出した。

 

「奇跡的なかみ合いだったのだろう。当時の時計塔は血統とそれに由来する才能に現状以上に偏っていた。その為授業はその道の天才を見出す要素が強かった……が、私は本当に非才でね。結果として私が引退したり権力争いに負けた魔術師の力を借りて授業をすると、才能がない者にも比較的分かり易い授業になってしまい、三年間存続させた頃には評判が良くなってしまっていたよ」

 

 そこまで言うと、凄い目が虚ろになった。

 

「そこに興味を持たれた結果、負債を押し付けられる形でエルメロイの当主になったあの悪魔に目をつけられた。先生の死の要因として洗いざらい白状させられたうえ、堂々と弱みに付け込んでやれハリウッド映画の大作が作れる規模の借金をどうにかしろだの、修復に三世代はかかるだろうエルメロイの源流刻印の修復を命じられるは、とどめに自分がそこそこの年になるまでロードの立場を代行しろだのと……っ! 全部受け入れたから死に物狂いで忙しい上に胃が痛いんだよ……っ!!」

 

 胃を掴む勢いで二世は声を絞り出していた。

 

 なんか間桐もちょっと引いてるけど、何かに気づいたのかいぶかしみ始めてる。

 

「……あのさぁ、それいわゆるドアインザフェイスって交渉テクニックされたんじゃないの? むしろ全部受け入れられたから相手も困ったんじゃない?」

 

 どあいんざふぇいす?

 

 俺達の多くが首を傾げていると、レイヴェルがコホンと咳ばらいをした。

 

「交渉テクニックの一つですわ。最初に明らかに不可能な要求をして断らせてから本命の困難な要求をすることで、最初の要求を断った負い目と朝三暮四じみた難易度の錯覚を引き起こし、本命の難題を承諾させやすくするテクニックです」

 

「……ちなみに、この交渉テクニックの欠点最初の要望があっさり通ると、後がややこしくなることだ。無理難題を押し付けた負い目が仕掛ける側にできかねないし、何より相手側に「これだけ難易度高いことを受けたんだから、これ以上の追加は無しで」という筋の通った断り文句を与えてしまうからな」

 

 宮白が補足説明するけど、たぶんこいつはやったことあるな。

 

 そんでもってそれを足掛かりにして、間桐は半目を二世に向けた。

 

「しかも全部飲むとか馬鹿なの? もうちょっとこぉ、交渉の余地とかあるんじゃない?」

 

 確かに俺もそう思う。

 

 もうちょっとぐらい誘導というか、軟着陸というか、できそうな気がするんだけどなぁ。

 

 大体皆そんな感じだけど、二世は静かに首を横に振った。

 

「万が一にも命で償えなどと言われない為にも、そんな小細工を弄する暇などなかったさ」

 

「……聖杯戦争という命がけに挑戦しておきながら、死ぬことだだだだけは怖いと?」

 

 スパロがそう尋ねると、二世は躊躇なく頷いた。

 

死ねないという方が正しい。王より「生きろ」と命じられている。臣下として、最期の主命を破るなどあり得ない」

 

 まっすぐに、二世はそうはっきりと言い切った。

 

 その真っ直ぐな強い目に、俺達は皆息を呑んだ。

 

 ここまでのことを言わせる王さまぁ。どんな人なんだろう。

 

「……立派なお人なんですね」

 

 アーシアがそういうと、二世は即座に()()()()()()()()()()

 

 え、何その反応。

 

「……()()()()()()()()()()()()()というのが、例えとしては近しいだろうな。いや、毛色は非常に異なるが」

 

 嫌な例え方だけど、意味が分かるから自分でもどうかと思う。

 

 それってつまり、俺のおっぱいに対する渇望レベルの何かを持っていて、良くも悪くも色々成し遂げたんだろうなぁ。

 

 俺が遠い目をしていると、二世は俺を見てちょっとだけ目を細めた。

 

「まあ奴は君のことを結構気に入るだろう。人生の秘訣として食事から眠り、果ては戦からセ……性行まで存分に楽しみぬくと言ってきたことがある。なによりあいつは暴君であり覇王だからな、強欲であることを王の資質と断言しているから、欲望を肯定する悪魔の生き方とは相性がいい所もあるだろう。……固定観念とか既得権益とか予定調和とかと相性が悪いうえ、堂々とやるなら略奪も征服もどんとこいで、王道に正義など無用とまで宣言するから、()()()()()()()()()()()()()()()だろうが」

 

 ……俺は喜ぶべきか引くべきか、どっちがいいんだろう?

 

 つまりこれ、俺が特大の問題児でもあるって意味だろ?

 

 むしろ俺以上にヴァーリと相性がいい気がしてきたぞ?

 

 後曹操とも相性いいかもしれないけど、たぶん英雄派のやり口自体はぼろっかすに言いそうだなぁ。

 

 後絶対、魔王派とも大王派とも相性は悪そう。大王派は既得権益とか固定観念とか重視してるし、魔王派も略奪や征服行為なんて本当にするほかない時以外は絶対したがらないだろうしなぁ。っていうかサーゼクス様もセラフォルー様も正義の味方(戦隊ヒーローや魔法少女)が好きだし。

 

 俺がちょっと戸惑っていると、二世はふうと息を言吐いた。

 

「脱線して失礼。結果としてケイネス先生の足元にも及ばない非才がロードを名乗るなどおこがましいから、二世をつけて呼ぶという条件込みでそこは了承した。その後はあの悪魔の代わりに政治的な折衝をする羽目になったが、講師としてはまあ箔がついたこともあり、色々とややこしいことになった」

 

 なんか額に手を当てながら、二世は盛大に愚痴の体制に入っている。

 

 後そこは要求するんだ。そういえば俺にも言ってたし、俺のおっぱいに並ぶ絶対に譲れない一線何だろうなぁ。

 

「……あほなイベントかと思ったら法政科の一部が行っている影響力調査……の皮を被った更なる厄ネタが匂ってくる「時計塔で抱かれたい男ランキング」で最終的に一位を取るわ、教え子がどいつもこいつも魔術師(メイガス)として私より上の位階に到達するわ、悪魔どもが借金返済の為に厄介な事件を持ち込んで解決する羽目になるわ。……とどめに相乗効果で「教え子を総動員すれば時計塔の勢力図をひっくり返せる」という実際にできかねない評価がされるわ。……本当に忌まわしいことばかりだ」

 

「……それは栄光ではないか?」

 

 サイラオーグさんが訝し気にするけど、俺もそこは気になった。

 

「あなたは家柄に恵まれぬ者でも大成できるという論文を書いていたのだろう? それを幾人もの若人を大成させることで実践し、自分達を冷遇していた組織の勢力図を塗り替えられるほどの影響力を手にしているではないな」

 

「……まあ、君ならそう言うだろう。だからこそ間桐に羨ましがられるわけだがな」

 

 その二世の言い方は、自分はサイラオーグさんみたいなことを思ってないって言ってるようなものだ。

 

「そもあの論文は、自分は家柄に由来しない才能を持っていると思い込んでいた妄想の類だ。第一私自身の魔術師(メイガス)としての力量は、それだけの者を教え育て上げたにも関わらずかろうじて及第点がとれる程度しかない。つまり私は私自身の手で、自分はどこまで言っても魔術師(メイガス)として凡才だと証明しているんだ。先生の領域に教え子を近づけれたことを誇りこそすれ、私自身が三流の魔術師(メイガス)でい続けていることに何故胸を張れというのか

 

 二世はそう言って肩をすくめた。

 

「影響力にしてもそうだ。勢力図をひっくり返せるといえば聞こえはいいが、つまり今勢力を持ってる者からすれば見過ごせない存在にほかならん。ただでさえ教え子達の教育とロードとしての責務で自らの魔術を究める余裕もないというのに、()()()()()()私にとっては面倒ごとの追加だとも。……正直もっと己を魔術師として高めたい身としては、余計なもの以外の何物でもない」

 

 盛大に、二世はため息をついた。

 

 ああ、なるほど。

 

 銀さんの言ったこともあながち間違ってないな。

 

 間桐からすれば、敵意や嫌悪であってもそれが向けられてくれているから、サイラオーグさんが羨ましい。

 

 でもサイラオーグさんからすれば、自分に対する嫌悪や敵意を別に好き好んでもらいたいわけでもないから、間桐にとっての羨ましいとは合わない。

 

 逆にサイラオーグさんは、自分以外の者達の為にも魔力以外の手段で評価されやすい世界を求めているから、そう言った影響力を持てる二世が羨ましい。

 

 でも二世はそういった権力とか影響力にさほど興味が無いから、サイラオーグさんの一種の羨望とは合わない。

 

「……じゃあ、なんで二世は間桐が羨ましいんですか?」

 

「簡単だよ。彼は自分が魔術師たりえないことを認めたうえで、それを振り払うべく立ち向かおうとしたからだ」

 

 二世はそう言うと、間桐に視線を向ける。

 

「彼は、己が魔術師になりえないことを理解した上で、それをひっくり返すべく挑もうとした……言い方を変えれば、小さき己を変える為に大きな勝負を挑もうとしたのだ」

 

 そう言いながら、二世は葉巻をもう一度吸った。

 

 そして煙を吐き出して、二世はなんか複雑な感情が見える表情を浮かべていた。

 

「……ウェイバー()間桐慎二()魔術師(メイガス)というその神秘を振う力量を絶対の評価とする者達にどこまでも軽んじられ聖杯戦争という博打に挑んだ。しかし私は……少なくともあの頃は、彼の足元にも及ばないほど小物だったと断言できる」

 

 吐き出した煙を見つめながら、二世はそう言い切った。

 

「自分がみじめであることを直視せず、自分を鍛え上げて師匠に対峙するのでもなく、ただ盗んだ力で己を認めさせられると誤解した、そんな卑怯で小さい男がかつての私だった」

 

 そして、二世は視線ではなく意識を間桐に向けた。

 

「あの頃の私には君のように、自分自身を真っ向から相手にぶつけられるようにする為に挑むような気概がなかった。そして当然、自分の意見を大人に真っ向からぶつける気概もない」

 

 その背中は何処か小さく見えた。

 

「……私は聖杯戦争にただ生き残っただけ。ただうずくまる方がつらいから、立ち上がったのではなくそのままではいなかっただけだ。少なくとも、自分の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()彼は、私よりよっぽど大物だとも

 

 そして、その上でまっすぐに向き合った。

 

「だからこそ、半端な知識と独学で混じっているだろう間違いを正しておこう。魔術師(メイガス)という存在は何処までも業が深いし、何よりも君は魔術師(メイガス)というものの実態を誤解している

 

「……どう誤解してるんだよ」

 

「単純な話だ。衛宮士郎は魔術師(メイガス)ではなく魔術使いというのだ」

 

 間桐にそう返答しながら、二世は静かに立ち上がった。

 

魔術師(メイガス)という存在に魔術回路は事実上不可欠だが、極めて極論だが魔術回路が無くても魔術師(メイガス)魔術師(メイガス)たりえる。逆こちら業界の常識レベルだが魔術回路を持つだけでは魔術師(メイガス)魔術師(メイガス)たりえない。少なくとも魔術師(メイガス)と魔術使いの間には決定的な違いが存在する

 

「……それってなんだよ?」

 

 俺が首を傾げると、二世は真っ直ぐに俺の方を向いた。

 

理由だよ。少なくとも現代の魔術師(メイガス)は、魔術の先にある根源の渦に一族の誰かを到達させる為だけに、代々魔術の研鑽を行っているのさ」

 

 こ、こんげんのうず……?

 

「ゲーム的な例えをするのなら、いわゆるアカシックレコードの上位互換とでも思えばいい。本来なら名をつけて定義できるようなものでもなく、「」(から)という風にも例えられるがね」

 

 な、なんかよく分からないけど凄いってことだけはよく分かった。

 

「そして現代においては過去の原点にある根源の渦に辿り着く()()()()()()()()が、過去と密接に繋がる魔術だ。魔術使いは魔術を道具として使い必要に応じて研鑽するが、魔術師(メイガス)は魔術を極めるという行動そのものが目的だ。……一緒にすると特に魔術師(メイガス)から文句が出てくると知っておきたまえ」

 

 そう言いながら、二世は間桐にもう一度視線を合わせる。

 

「そして魔術師(メイガス)とは己の信念や魂の在り方を、己が行動を何故やったのか(ホワイダニット)というものを決して偽らずに命を懸けられる狂人のことを指す。何度か会話には出たが、倫理観や道徳を踏み越えれる者が向いている社会だからな」

 

 そう言いながらちょっと考え込んで―

 

「――そうだな。例えば天体魔術の家門出身の教え子と、父親がバラバラの死体になって実家の屋敷中に分散設置されていたという事件で再会したのだが……」

 

 なんて?

 

 ―そのあとの具体例に関しては、ちょっと飛ばさせて?

 

 自分の魂を不滅にして根源に到達したいから、本来主流の地動説じゃなくて天動説を組み込んで、自分の体を分散設置するってなに?

 

 子供にも妻にも愛情を持っておきながら、死病に侵された奥さんを化け物に作り変えたり、息子の死体を魔術刻印の修復の材料にして、修復された相手を乗っ取らせるとか、なんで妻や子供に対して悪意なくやれるの!?

 

 あと施された魔術を知りたいからって幼馴染殺すのが異常じゃないの!? 二世は卑しいとか酷評してたけど、たぶんそれ比較対象が間違ってると思う!? あと宮白とスパロが苦笑いですましてるけど、きっとゴルドルフさんはドン引きすると思うよ!

 

 とまあ、数多くの魔術師(メイガス)()()()()()()()による犯罪の数々を聞いて、間桐も流石に軽く引いてた。

 

「……まぁそういうことだ。それでも君が神秘の探求を求めるというなら、空いた時間で講義の一つでもしてもかまわんが、まあその様子だと必要はあまりなさそうだな」

 

「………っ」

 

 間桐もさらりと視線を逸らしているけど、まあ確かに。

 

 案外間桐って、性格が捻くれてるだけで感性はまともな気がしてきた。

 

「……まあ、それでもやるというのならまとめて面倒を見よう。イリヤスフィールはアインツベルンが聖杯完成に特化した思考で偏った教育を受けているようだし、衛宮士郎に関してはめちゃくちゃすぎる。物のついでに教えてやる」

 

「いいのか? 正直爺さんから教わった内容だと、全然上手くならなくて―」

 

「普通はそんな身にならない鍛錬など何年も続けず、見切りをつけるものだ。こと目的が魔術を極めることでないのなら尚更だよ」

 

 そうため息をついてから、二世はついでに宮白とスパロにも視線を向ける。

 

「魔術の基本は等価交換。良ければ君達も学んでみるかね? 共闘の対価としてそれぐらいはしよう」

 

「……よろしいのですか? ロードの講義を受けれるとは、魔術師(メイガス)としてこここ光栄です! 時間が空いている時には是非!」

 

「あのグレート……もとい、マギカ・ディスクロージャーと呼ばれる男の魔術の教導……っ! くそ! きっとこれから忙しいことになるから、受ける時間を捻出できるか真剣に不安だ……っ」

 

 スパロも宮白も凄い喰いついている……っ!

 

 と、そこまで来たとき、足音が聞こえてきた。

 

「……さて、失礼するよ」

 

「お、お兄様!?」

 

 まだちょっとふらついているサーゼクス様が、リビングに入ってきていた。

 

 俺達グレモリー眷属のレイヴェルとサイラオーグさんは慌てて跪こうとするけど、サーゼクス様は手でそれを制する。

 

 あと宮白とスパロも落ち着きながらも跪こうとしていた当たり、この二人もやっぱり悪魔ではあるんだよなぁ。

 

「はっはっは。文化の違う人達も何人もいるんだ。あまり悪魔の価値観をごり押しするようなことは避けるべきだろう。楽にしてくれていい」

 

 サーゼクス様はそう言うと、二世達を見渡して頭を下げる。

 

「……この度は、本来この世界で完結させるべき問題の飛び火で、異世界の方々を巻き込んでしまい申し訳なかった。今悪魔を統率する者の一人として、管理不行き届きを謝罪する」

 

「……あまり王が頭を下げる物ではないだろう。ある程度の威圧や威厳が必要な立ち位置だと思うが?」

 

 二世がそう言うとサーゼクス様は苦笑しながら首を横に振る。

 

「これは誠意の問題だよ。私人のサーゼクス・グレモリーとしても、公人のサーゼクス・ルシファーとしても、あなた方に対して迷惑が掛かっていることには頭を下げないわけにはいかないしね」

 

「……えっと、もしかしてめちゃくちゃいい人なのか?」

 

 こっそり左さんが俺に耳打ちするけど、どうしたもんか。

 

 ……うん、此処は素直に言っておこう。

 

「めっちゃいい人だけど、同時にプライベートがかなり軽いから油断しない方がいいです。俺、戦隊ヒーローの格好したサーゼクス様とバトルことになりました」

 

「何がどうすればそんなことになるんだよ?」

 

 いや、どうしてだろう。

 

「……あとその時は手加減されましたけど、つい先日本気で勝負を挑まれそうになりました」

 

「だから何がどうしてだよ!」

 

 思わず左さんの声が大きくなっていた。

 

 サーゼクス様は静かに、神妙な顔になって―

 

魔王戦隊サタンレンジャーのレッドとして、おっぱいドラゴンに息子の興味で負けるのは、どうしても納得がいかなかった。グレイフィアには悪いが、一度真剣に決着をつけたいと思っている」

 

 ―真剣になるところそこですか。

 

「……それと、そこの方々はなんで私から距離を取っているのかね? 少女を羽交い絞めにするのはよくないと思うよ?」

 

 ……後なんで銀さん達は部屋の隅に移動してるの?

 

「き、気にしないでください! 僕達国家元首にめちゃくちゃ失礼なことをしまくってしまっているので、自粛です、自粛!」

 

「そ、そうそう! キャバクラの純粋な善意の王様ゲームで最終的にストリーキングさせる羽目になったり和平交渉を糞で結ばせるようなろくでもねえ展開になったことがあるから! 自重してます! ほら、神楽もうかつに接近するな!」

 

「何言ってるね! 私は将軍の妹(そよちゃん)とダチなんだヨ! こういう時こそフレンドリーアル!」

 

「「お前将軍にやらかしまくったろうがぁあああああ!」」

 

 そっちはそっちで平常運転なんだろうなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく。そんなことでどうするのだ銀時。それでも攘夷四天王の一角か情けない」

 

 と、そこにさっきの声が又聞こえてきた。

 

 そしてそのイケボと一緒に、部屋に入ってくる影は―

 

「先ほどは失礼。俺は宇宙海賊キャプテン・カツーラ―」

 

「「「情けないのはお前だぁああああああっ!!!」」」

 

 ……これは蹴りたくなる。蹴りたくなるよ!

 




 どこで見たのか忘れたけど「慎二を女体化させるとギャルゲーの人気ヒロインができる」というのを見て以来、慎二に対する見方がちょっと変わったことがあるグレン×グレンです。

 ……いやマジで

1:主人公に対するひねくれた好意

2:何事においても優秀で異性にもてる

3:でも実家の事情的にコンプレックスがひどい

4:そのせいで本編で暴走して敵として戦う

5:その辺りを克服すると、癖が強いままだけど丸くなる。

 ……マジでバトル物のギャルゲーとかエロゲーとかでありそうなヒロインの設定が箇条書きマジックでありますよね、コレ。

 Fateの原案は女向けの作品だったそうですし、たぶん慎二は人気キャラになると思って設計されたんじゃないか。だから公式はネタキャラという方向性でよく出しているんじゃないか。そんなことを思ったことがありますし、たぶん一度活動報告でも出したと思います。







 話は本編に戻りますが、前話において「一方通行のうらやましい三角関係」をサイラオーグ・慎二・二世で作れるという話をしましたが、二世に対して慎二に向ける価値観は「事件簿におけるオルガマリーのそれ」に近い方向性で設計しました。

 二世のオルガマリーに対して白状した内容から見て、二世は慎二と自分を比較すると「かつての自分よりよっぽどマシな考え方で聖杯戦争に挑んでいるだろう、コレ」と思ったんですよ。いえ、だいぶうろ覚えの価値観もあるし自分のStayNightは漫画版の影響が強いので、もしかすると勘違いかもしれませんが。
 才能が文字通りないからこそ変な思い上がりも妄想レベルの過大評価もない。だけぉウェイバーがそんな状況下でサーヴァントをもらえたとして、果たして聖杯戦争に参加してまで魔術回路を得ようとするかと思いまして。あとうろ覚えですがウェイバーは慎二リベンジだとか聞いたので、そこから見ても類似性を感じました。

 逆にサイラオーグからは羨望されるでしょうが、別に政治的に成り上りたいのではなく自分の魔術師としての腕をあげたいと思っている身からすれば、「本命以外の理由で政治的影響力が高い」というのは、当人的に全く喜べることではないでしょう。
 自分が欲しい評価はもらえてないし、代用品で満足できるものでもない。ましてや本命のために割きたいリソースまで奪われてリスクを背負うはめになっているのだから、サイラオーグが羨むだろう部分は、二世にとって羨まれても全然嬉しくない。

 その可能性に思い至った時、サイラオーグという同情してくるがうらやましい男をきっかけに盛大にガスを放出して、逆に自分がうらやむ魔術回路を持つ二世にうらやましいと言われたことで冷静さを取り戻させてから、魔術師えげつないエピソードを二世にペラペラしゃべらせることで更に執着を薄れさせるという処方を選択しました。

 まあケイオスワールドのエタった外伝を見ている方はわかるかもしれないですが、実は兵夜は悪魔の駒を応用した人工的な魔術回路精製技術を自分のサーヴァントに頼んで生産できるようにしているので、実はこの作品なら慎二に魔術回路を与えることは十分可能。最も兵夜も「それを此処で言ったらいろんなものが台無しになる」とはわかっているので、あえて突っつきませんでした。
 ただマッキンさんの感想を見ていると更なる荒療治が必須な気がしたので、一捻り加えて慎二が地獄を見るようなSAN値のゴリゴリ削れる改良型でも出そうかと思います。








 そして次から少しかけて、リゼヴィムがなんであそこまで強いのかの推測回になるかんじですね。

本作における慎二の将来的なポジション、どんな感じがいいですか?

  • ホワイト酷使、兵夜の補助(実験体込)
  • ツッコミ役! ツッコミ役!
  • ケイオスって人工魔術師作れた筈だからそれ
  • ドーパントに向いてるからその方向性で
  • きれいな慎二で大活躍!
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