混界魔龍大戦駒王町―銀の風が呼ぶ運命   作:グレン×グレン

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 とりあえず、ついさっき一章分の話は書き終えました。そこまではとりあえず序章という形にして、次の章から第一章という形にする予定です。


第25話 敵だって味方だって二の轍は踏みたがらないものである

 アザゼルSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんつーか、芸人率が増えてねえか?

 

「何が失礼だ何が。宇宙からの来訪者ならそれっぽいことをした方がいいだろう」

 

「んなわけあるかぁああああっ!! 戦隊ヒーローをノリでやる連中だって自重してるのに、こっちがふざけ倒してどうすんだよ馬鹿! それとも何か!? 巨大化してウルトラマ〇でもやってたってのかぁ、アァン!?」

 

 銀時にそう詰め寄られる桂だかオバ(ズィー)だかカツーラだか言う奴だが、たぶんだがなんとなく分かった。

 

「ああ悪い。たぶん魔法少女が交渉したからその辺がずれてんだ。セラフォルー様は魔法少女をこよなく愛する魔王少女だから、ノリがOKな時は公務でも魔法少女やってんだ」

 

「どんな魔王ぅうううううっ!? 公務でも魔法少女って、そっちのリアスよりは年上なんだろ!? 絶対年齢少女じゃねえよ!?」

 

 宮白が説明するとまた切れのいいツッコミを入れてくるが、こればっかりは仕方がない。

 

「いや、ミルたんを魔法少女としてのライバル視する人だから、セラフォルー様。ギャスパーを魔法少女役のオーディションにねじ込む人だからあの人。あと全員最終選考に残ってたから、普通に人間界の魔法少女実写映画化のオーディションだったのに」

 

「今すぐその審査員共を病院に叩き込めぇえええええっ! 小さなお友達も大きなお友達も阿鼻叫喚だろうがぁあああ! 特にミルたん!!」

 

 更なる補足に今度は新八が盛大なツッコミを叩き込んでくれたわけだ。

 

 ……ああ、うちの大概魔境だな。

 

 ま、そろそろ話を進めねえといけねえわけだし、いい加減俺が進めるか。

 

「で、サーゼクス。ある程度話も進んだんだろ? こっちにも情報を共有してくれ」

 

「ああ。では大まかに情報をまとめよう」

 

 サーゼクスが頷いて、そして話を進める。

 

 ―ちなみにその後ろでは、宮白がプロジェクターやホワイトボードを用意していた。

 

 準備が早いなこいつ。

 

「……では現状だが、リゼヴィム・リヴァン・ルシファー率いる禍の団を掌握した組織であるクリフォトが主犯で行動。協力者であるフィフス・エリクシルが開発した絶乳魔法(バストコンシューマー)によって獲得された莫大な魔力リソースにより、世界全土のNPC化及び、催眠学習というべき状態になっている。……全人口の内九割九分以上がこの状態になっており、間違いなく未曽有の緊急事態だ」

 

 ここまでは、リゼヴィムやフィフスの言っていた通りだな。

 

 だが、こっからが更にヤバくなっている。

 

 既に宮白がホワイトボードに、王の駒やら知恵の実やら書きこんでやがるからな。

 

「私達はアザゼルや時空管理局の方々に接触したスパロ君の情報提供から事態の危険性を認識、宮白君がリストアップしてくれた彼の世界のクリフォトの活動からピックアップするべき事象に対し、可能な範囲で先に抑えようとしていた……が、フィフス・エリクシルは既に先手を打っていた」

 

 そう言うと、宮白から油性ペンをもらい、王の駒と知恵の実に×(バツ)を書いて消す。

 

「悪魔の母リリスが天界の第三天に繋がっている煉獄の道に隠したとされる知恵の実は既に確保されていた。また、冥界暗部の秘中の秘でもある(キング)の駒を使用している純血悪魔の内、八割が行方不明で二割が襲撃されている。現状、使用者の中で生存が確認されているのはロイガン・ベルフェゴールのみで、ビィディゼ・アバドンを筆頭とするトップランカー達は行方不明。確認されている者の殆どは死体が確認されている」

 

「………ちょっと待ってください、お兄様」

 

 リアスが思わず問い質そうとするが、サーゼクスは手の平を前に出してそれを止める。

 

(キング)の駒については、我々でも防ぎきれなかった冥界の闇である為、話が長くなるからまた個別に話そう。……今言うべき要点は、使用していた者達は殆どが殺害もしくは行方不明であり、これにより大王派の発言力は劇的に低下。更に情報が流されたことで過剰な私刑(リンチ)が発生されかねず、冥界政府も多忙を極めていることだ」

 

 そこまで言って、サーゼクスは深いため息をついた。

 

「――我々魔王派が和平を利用して少しずつでも切り込もうとしていた冥界の闇、アジュカが自ら危険視して封印し、下手に明かせば冥界が内乱で滅びかねない闇をこうも無造作に開放するとは……対テロ戦争とは常に後手に回るとはいえ、初手で深手を負いすぎたと言ってもいい」

 

 その表情に、リアス達は何も言えなくなっている。

 

 そんな中、宮白は少し考え込んでいたが、やがて顔を上げる。

 

「サーゼクス様。イッセーを呼び出したアバドン家の手紙の主ですが、彼は行方不明者の中にいるのですか?」

 

「……ああ、彼はビィディゼ・アバドンに仕えている人物だ。ビィディゼと共に行方知れずだが……おそらくビィディゼは寝返ったと考えるべきだろう」

 

「……ああ、奴さんは相手が勝ち馬だと思ったらそういうことしそうなやつだからなぁ」

 

 うっへぇと言わんばかりの表情から見て、どうやら宮白はビィディゼとやり合った経験があるらしいな。

 

 こいつはこいつで大変だな、オイ。

 

 そしてサーゼクスは気を取り直して、あえて表情を明るくする。

 

「だが、こちらも先手を打てた部分はあった。特に教会側の和平への不満を暴発させようとしていた内通者達を検挙することに成功しているし、彼ら蓮蓬の艦隊を一部借りる形で、クリフォトが奪取を試みていたアグレアスの防備を数倍にはね上げることもできた。なにより、(キング)の駒について暴発的に告発をしたという、ディハウザーに接触して説得できたのは大きいだろう。教会で溜まっている和平に対する不満に関しては、対クリフォト合同訓練の名目で鬱憤晴らしも行う予定だ」

 

 なるほどな。宮白の情報提供は無駄ではなかったと。

 

「……ただ鎖国状態で未だ接触ができていない、吸血鬼側のクリフォトと内通している者達に関してはどうしようもない。こればかりは明後日にも接触してくるだろう、カーミラの使いとの接触をきっかけにしたいところだね。……リアス、宮白君に腹案があるそうだから、後で話を聞いてやってくれ」

 

「分かりましたお兄様。……だけど、本当に当てがあるの兵夜? 相手は吸血鬼よ?」

 

「……安心してください。吸血鬼側も鎖国と独自の文化からとっかかりが作りにくいだけで、今後の交渉の余地は十分あります。……というより、俺が知っている派遣されたエージェントのエルメンヒルデ・カルンスタインですが………」

 

 そこで宮白は、ちらりとイッセーを見ると、ふと外を見た。

 

 ああ、あ~あ~あ~……。納得した。

 

 リアス達はオカ研女性陣はため息をついているし、男性陣も苦笑いを浮かべている。

 

 異世界側の連中も大体事情を察したのか、畏怖の視線を送る奴までいやがる。

 

「……おっぱいドラゴンは吸血鬼業界にも入っていくのね」

 

 最終的にリアスがまとめるが、宮白は静かに首を振った。

 

「いえ、それ以上にシーグヴァイラ・アガレス様に浸食され、別の沼に引きずり込まれます

 

 ………

 

 いやちょっと待った。

 

「待て。何故そこでシーグヴァイラが出てくる?」

 

「シーグヴァイラって、私達と同じ若手四王(ルーキーズ・フォー)の一人、アガレス家次期当主のシーグヴァイラ・アガレスのことよね?」

 

 サイラオーグとリアスが当然反応するが、あいつ何をしたら吸血鬼業界に浸食するんだ?

 

 俺達が首を傾げていると、宮白がはたと何かに気づいた。

 

「……失礼、語弊がありました。エルメンヒルデ・カルンスタイン個人の話です。あと忘れてましたが、はぐれ悪魔になった吸血鬼が、寄りにもよってイッセーの祖母がいる田舎でダンガムのプラモに光力による戦闘機能をぶっこんで軍団を作る為に人々を支配してます。年末辺りに動いていたのでさっさと網を張ってカウンターで潰しといてください」

 

「とんでもない情報ぶっこんできたな!? 俺のばあちゃん大丈夫かよ!?」

 

 あんまりな情報の追加にイッセーのツッコミが飛ぶけど、宮白はそれをなだめながら視線を逸らす。

 

「……まあそれはそれとして、だ」

 

 宮白はちょっと視線を逸らしながら、だけど意を決してギャスパーの方を向く。

 

「……その交渉を逆利用した方がいいと意見具申はしています。カーミラ側との交渉で必要最小限の裏取りができるはずですので、それが出来次第全軍を持ってツェペシュ領に侵攻する準備を。出来ればグレモリー眷属にも参加してほしいってのが本音だ」

 

「……え?」

 

 仮にも故郷に侵攻するなんて話が出てきて、ギャスパーが思わず固まる。

 

 そのギャスパーに対し、目線を合わせたうえで宮白は小さくを息を吸って覚悟を決めた。

 

「クリフォトが悪用しているオリジナルの幽世の聖杯(セフィロト・グラール)の宿主は、ツェペシュ王族の血を引くハイデイライトウォーカーのハーフヴァンパイア、ヴァレリー・ツェペシュだ」

 

 はっきりと言い切った。

 

 その言葉に、ギャスパーは目を見開いた。

 

 俺は詳しいことは知らないが、ヴァレリーはギャスパーにとって恩人であり姉同然でもある大事な奴らしい。

 

 そして幽世の聖杯は、乱用すれば精神に悪影響が出てくるヤバい代物だ。

 

 その持ち主がヴァレリーで、クリフォトは聖杯を悪用している組織。

 

 その事実を理解して、ギャスパーは宮白に詰め寄った。

 

「ヴァレリーは、ヴァレリーは大丈夫なんですか!?」

 

「時期から推測して精神汚染は深刻だが、魔術師(メイガス)が使える精神の解体清掃などを利用すれば回復は見込める。またヴァレリーの持つ聖杯はそれぞれが禁手になりえる三つでワンセットだ。おそらくクリフォトは既に一個こっそりと引き抜いているが、マリウス・ツェペシュの奴が引き出し技術の準備を整えるまでにまだ二週間以上の猶予がある。……最もフィフスは勝手に一個引き抜いているから、時間的余裕は洒落にならないレベルでないんだがな……っ」

 

 宮白からしてもマジな話みたいで、表情が険しい。

 

 だが、時間的余裕は決してゼロじゃない。

 

 ギャスパーもそれは理解していたのか、涙目になりながらもリアスに振り向いた。

 

「……リアス部長! ヴァレリーを、ヴァレリーを助けに行かせてください!!」

 

 その光景に、かつてのギャスパーの臆病で引きこもりの雰囲気は見当たらない。

 

 平時は未だに色々となる時もあるが、有事においてギャスパーは勇敢に立ち向ける奴になった。

 

 根性馬鹿なところのあるイッセーの影響が、いい意味でこいつを変化させたってわけだ。サイラオーグとのレーティングゲームでも、こいつは本当に根性見せてるしな。

 

 そして、仲間を大事にして命までかけられるのは、グレモリー眷属の共通項だ。

 

 誰もがお互いに頷き合って、笑みすら浮かべて戦意を高める。

 

「当り前だろ、ギャスパー。なによりお前だけ行かせるわけがねえだろうが」

 

「ええ、ギャスパーにとって大切な人なら、私達が助けない理由はないわ」

 

 即座にそう言えるだけのことを言えるのが、こいつらの美徳だよな。

 

 ちょっと考えなしに見える時もあるが、今のリアスはそういうわけでもない。

 

 こいつだってきちんと成長している。だから考えたうえではっきりと言ったはずだ。

 

「……それに、話を聞く限りこちらが襲撃を仕掛けられるだけの大義名分は既にあるもの。あとはカーミラ側が横やりを入れてくる可能性だけれど、そちらについては策もあるのでしょう?」

 

「もちろんです姫様。カーミラ相手の切り札なら、既にこちらで準備しています」

 

 そう言って宮白が出したのは、結構な量の紙の束と、そのデータを入れてあるっぽいタブレット。

 

 見てみると、人名と写真が写っている。男の方が比率が高いが男女共いる。外観や名前の雰囲気から言って、たぶん吸血鬼の連中だな。

 

「コイツは?」

 

「俺達側では聖杯による強化に目がくらんだ吸血鬼がリゼヴィムに煽られた結果、ツェペシュではクーデターが発生します。……同時に、女性を徹底的に優遇するカーミラの政策に不満を持っていた男性の吸血鬼や、精神的に追い詰められて男性に支配されることを望んだ女吸血鬼の勧誘もリゼヴィムはしてました」

 

 おいおい、リゼヴィムの奴は本気で動くと洒落にならねえな。

 

 あいつは今までやる気がない悪魔の典型だったが、それでも能力がありすぎて警戒対象だった。しかもやる気になったらこんな意外な才能まで発揮するのかよ。

 

「クリフォトの活動は基本的に、扇動の鬼才たるリゼヴィムの煽りスキルを活かしたアジテーションによるものです。しかも吸血鬼達は邪竜生産の実験体になっており、任意の仕込みでそれが発動するようにされてました。……そこをつかれたカーミラも精神的な変化を受け入れざるを得なくなりましたが、まあそこは後でいいでしょう」

 

 そういうと、宮白はにやりと笑う。

 

「幸いカーミラの内通者には、エルメンヒルデの私的な友人や親族もいるんです。ある程度引っ張ってからこの「横流し情報」を叩き付ければ、カーミラもこっちがツェペシュを襲撃している間はごたごたで動けないでしょうよ。少なくとも、カーミラ領における不穏分子なのは事実ですからねぇ」

 

 うっへぇ。悪い顔してるなオイ。

 

 だがまあ、いい作戦だな。

 

 俺は確認の為にサーゼクスに視線を送ると、サーゼクスもそれに頷いた。

 

「分かっている。何とか余裕を絞り出し、同時にミカエル達にも協力を要請して侵攻作戦を考慮しよう。和平を結んだ他の勢力にも、これだけの規模で事態を引き起こされている以上了承は得られるだろう。……が」

 

 そこでサーゼクスは一旦切った。

 

 ちらりと桂の奴を見る当たり、ある意味こっからが本題だ。

 

「……同時に敵もさるものだ。蓮蓬(彼ら)の提供してくれた情報から推測して、リゼヴィムは強大な力を獲得している可能性が高い」

 

「……その件なのだが、私からも懸念事項がある」

 

 そこに二世も乗っかった。

 

 なんだなんだ?

 

「……我々カルデアが解決した、人理焼却事件。もしかするとだが、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーはその残滓を会得しているのかもしれない」

 

 ……そいつはまずいな。

 

 だがあの短い接触で、そこまで言えるだけのものがあるってのかよ。

 

 俺達が緊張感を覚えていると、桂の奴も頷いた。

 

「そうだな。そして我々からも話をするべきだろう」

 

 桂はそう言って頷くと、俺達を見渡した。

 

「……どうやら俺達は、文字通りこれまでにない規模の闘いをすることになるのだろうから、な」

 

 ―それはまず間違いないことなんだろう。

 

 この戦い、少なくともこの世界(俺達)が経験したどの騒ぎよりもでかい騒ぎになるのは、確定だろうしな。

 




 次、かなりシリアスに考えるべき事態だけど、ギャグだらけです。
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