なんか赤毛の女っぽい方の男がぶっ放したロケット弾は、四発ぐらい発射されたけど全部あのメリュジーヌとか言われた女から少し離れたところに向かって飛んで行った。
メリュジーヌってのもそれが分かってるのか、回避しようという動きを見せない。それどころか、なんか明らかに魔力が溜まってる。
これ速攻で反撃を叩き込むタイプのあれだけど―
「……かかったな」
―男がにやりと笑うと、ロケット弾が一斉に爆発した。
そしたらなんか、球状の障壁みたいなものが出てきて、メリュジーヌの動きが明らかに封じられる。
『対竜種用の結界!? まさか、貴方が彼の言っていた
「その二つ名を知ってるってことは、やっぱりフィフスが一枚嚙んでるな……とりあえず全員、こっちに走れ逃げるぞ!!」
そいつが俺達を呼んで、手振りで逃げる方向まで指示してくれる。
よく分からないけど、とりあえずメリュジーヌの敵ってことでいいんだろう。
なら、此処は敵の敵は味方ってことで!
「皆走れ! あとそっちの人達も早く!」
俺が癖っ毛とおっさんを促すと、おっさんの方がすぐに動いた。
「分かっとるわ小僧! というより、サーヴァントの相手など私達で出来るわけないからな!」
「おわっ!? 馬鹿、離せよおっさん!?」
「今は訂正する時間も欲しいわぁ! ええい、遭難経験で培った足腰を舐めるなぁ!!!」
手早く癖っ毛を担いで走る……意外と早いな!?
「他の人達も早く! あいつは間違いなくまずい!」
「まずいどころの話ではないわい! とにかく私達だけではまず勝てないから走れ!」
「言っとくがあれは時間制限付きの足止めだ! 十分も持たないから急げ!!」
俺とおっさんと女っぽいのが一斉にそう言ったから、他の子達も一斉に走り出す。
そして先導している神喰いの神魔って呼ばれた少年が、俺達の方を確認しながら声を張り上げた。
「急げ! あと諸葛亮孔明の疑似サーヴァントに心当たりある奴いるか!?」
「諸葛亮孔明!? 疑似ということは二世のことだな! 会ったのかね!?」
おっさんがそう言うと、そいつは少しだけにやりと笑った。
「そういえばゴルドルフって言ってたな。ああ、前もって足を確保して貰っている。もうすぐ合流するからもうちょっとで―」
「……来たか! こっちだ!」
と、そしたらバンと、そこに乗り込んでいた眉間にしわが寄っている男性がいた。
あれが諸葛亮孔明で二世とかいう人だっけ?
……ちょっと気になることがあると思ったその時、赤毛がこっちに視線を向けてきた。
「一応言うが英雄派とは関係ないから安心しろ! 後時間がないから急ぐぞ!」
あ、関係ないんだ。
っていうかちょっと待って!? その孔明二世とかいう人、降りてないか!?
「なんで降りてるんですか孔明二世さん! すぐ出ないとまずいんじゃなかったっけ!?」
「混ぜるな! 孔明と二世は別の呼び方だ! どっちでもいいが混ぜるのはやめろ!」
「ややこしいんですけど!? 後なんで降りるんですか!?」
ああもう! 混乱してきたっていうかなんて言うか!
俺が一番聞きたいところを本気で聞き直そうとかと思った時、ゴルドルフのおっさんがバンの扉を開けると、助手席に癖っ毛の人を放り込んで運転席に座った。
「運転は私がやるからだ! というより、二世に運転を任せると戦力が下がる!」
「そういうことだ。安心しろ、彼のドライビングテクニックは私より上だ!」
「わ、分かりました! お任せします!」
なんか分からないけど一斉に慌てて皆乗り込んだ。
「よし! 全員シートベルトをきちんとつけたまえよ! あとどこに向かえばいいのかね!?」
「カーナビに入力済みだ! 急ぎ給え、追撃が来たぞ!」
おっさんがそう言うと二世さんが何故か盤の上に乗っかりながら声を飛ばしてきた。
後ろを振り返ると、なんかさっきの骸骨覆面がバイクに乗ってこっちに向かってきてる。
あ、これ俺が足止めした方がいいんじゃないか?
そう思った瞬間、盤の上から何十発の弾丸が発射されてそいつらの撃ち落した!?
「急げゴルドルフ・ムジーク! たぶんだが、あまり時間をかけてるとメリュジーヌとかいうのがまた来るぞ!」
神喰いの声がするけど、あいつがやってるのか!?
「ええいシートベルトを着けさせるぐらい待たなきゃいかんだろう! とはいえこれ以上は待てないから、真っ直ぐ走っているうちにつけなさいよぉ!」
そして一気にバンが急発進!
うぉおおおお! これはバンの速さじゃないぞぉおおおお!?
ちょっと覗いてみたら時速120kmぐらい出てる。うわぁ、完全に道交法違反だよコレ。
後でアザゼル先生や部長に頼んで、その辺のフォローを頼んでおこう。
俺がそう思っていると、ふと気づいた。
「って次の角九十度右なんだけど!? 絶対事故るってこれ!? スピード落として!」
「ダメだ! 今スピードを落とすと追いつかれる!」
上から二世さんが駄目だしするけど、でもこのスピードでバンだと曲がり切れないんじゃ―
「大丈夫だ、ドリフト防止システムは破壊してある!」
「ならばやってやる、やってやるぞ! ぬぉおおおおおおお! 十二輪車でドリフトしたこの不死鳥のムジークをなめるなぁああああ!」
二世の声になんか絶叫しながらゴルドルフのおっさんがほんとにドリフトした!
「おいいい加減にしろよ!? どうなってるんだよこの状況は!?」
「そこは間桐の言う通りね。聖杯戦争はお昼に戦わないのがルールのはずよ? しかもあんな訳の分からないものまで使うって、どういうことなの?」
と、癖っ毛と白髪の少女がそう文句を言っているけど、そもそも何がどうなってるんだ?
「あの、それよりこれはどういうことなんですか? この世界、魔導技術は存在してないはずですけど……」
と、隣の金髪の女の子も訳の分からない事を言ってくる。
すると、バンの上の方からため息が聞こえてきた。
「色々ややこしいことになっているが、とりあえず最低限言うべきことだけを言っておこう」
あ、これ神喰いの方だ。
「まず単純に言えば、この世界において魔導に類する技術は秘匿することが基本だ。あと十年ちょっと前の
そう言ってから、今度は二世の方がため息をついてきた。
「あと間桐とアインツベルンは覚えて起きたまえ。……ルールとは守るべきものであって破れないものではない。だからルールがあるからと安心しきるのは、こと命がけの殺し合いにおいては悪手だよ」
上で追いかけてくる連中の迎撃をやりながら、なんか冷静なことを言ってるな、この人達。
と、そこで赤毛の少年が上の方を無意識に見ながらなんかむっとした表情を浮かべてきた。
「待ってくれよ! なんで慎二やこの女の子が殺し合いになんて関わるんだよ! そもそも聖杯戦争って何なんだよ!?」
……状況が分からないけど、聖杯戦争ってなんだ?
「あの、俺ちょっとなり立てだからさっぱり分からないんだけど、聖杯戦争ってどこの組織の儀式? 日本ってことは五大宗家とか日本神話とか?」
よく分からない時は聞いた方がいいと思ったんで、そう聞いてみる。
……なんか視線が集まったんだけど。それも「何言ってるんだこいつ?」的な。
「……いや、話は非常にややこしくなっているんだ。たぶん俺が一番状況を把握してるが、想定外の事態がつるべ打ちになっているから、ちょっと全員話し合いはストップで頼む」
俺がちょっと戸惑っていると、上から神喰いがそう言ってきた。
えっと、どういうことなんだろう?
「とりあえず一つだけ。……
「おい、ちょっと待―」
なんか二世が止めようとしてたけど、神喰いは止まらず―
「―ここは君達がいた世界じゃない。全く異なる神秘法則が支配する、並行世界と異世界を足して二で割らないような世界だと知ってくれ」
―なんか凄いこと言ってきたんだけど。
「……やっぱりサーヴァントユニバースとかに近い案件か! というより、なんで私達が藤丸のレムレム睡眠に近いトラブルに巻き込まれているのかね!? 藤丸は何処なのかね!?」
そしてゴルドルフのおっさんは、そんなことを叫びながらもハンドル捌きをトチったりしてなかった。
「ファック! 運転中のゴルドルフ殿が運転をミスしたらどうするんだ! 貴様は遠坂の縁者か何かか!?」
「……なんで分かった!?」
「ファァアアアアック!!」
上が騒がしいけどちょっと待って。
異世界だって? 異世界ってことは―
「神喰いだっけ!? あんたまさか、乳神様の使いか!?」
「ゴメン違う!」
あ、違うんだ!
と、今度は何処からか呼び出し音が聞こえてきた。
え、どこから?
「あ、私です。ママからです!」
「携帯電話は持ってないんじゃなかったっけ!?」
なんで金髪の子からなのさ!?
「説明しよう。その子が持ってないのはこの世界の携帯電話だ! あと携帯電話というよりはレシーバーとかに近いアイテムは持っていたはずだから多分それ!」
上から神喰いが補足してきたけど、なんで知ってるんだよ!?
「えっとヴィヴィ……ヴィヴィオ! とりあえずすぐにでも連絡してくれ! 音声はオープンで頼む! 会話したい!!」
「あれ、私、名前言いましたっけ?」
「とってもややこしいから事態が落ち着くまで後回しでお願いします! プリーズハリーアップ!」
なんかちょっとごたついていたけど、今度はいきなり画面がどこからともなく現れた。
なんだこれ。魔方陣じゃない、なんかデジタルというかSF的な感じだけど―
『『『ヴィヴィオ!』』』
「うわ! ママにノーヴェにスバル! 無事だったんだ!」
『よかった無事だったんだね! スバルやノーヴェとは合流できたけど、強制転移の影響で中々通信が繋がらなくって!』
『ヴィヴィオはデバイス持ってないから心配したよぉ! ノーヴェなんか顔が真っ青になるぐらい慌ててて―』
『うっさい馬鹿姉貴! それより状況説明が先だろうが!』
なんか色々騒がしい事になってるんだけど、どういう状況!?
俺が困惑していると、神喰いが魔方陣で顔の映像を出してきた。
「時空管理局教導隊所属の高町なのは一等空尉に、ノーヴェ・ナカジマとスバル・ナカジマの姉妹とお見受けする! 今からちょっと位置情報送るから、出来れば早いうちにそのポイントに向かってほしい!」
『……誰かは知りませんが、ヴィヴィオを保護してくださったようでありがとうございます。あと近くを移動しているみたいなのですぐに合流できると思います』
「……今ちょっとカーチェイス中なんですけど、あなた方がいればだいぶ助かります。出来れば援護もしてくれるとありがたいですね」
『はい。ただ私達も他に何人か連れているので、出来れば彼らの保護もお願いしたのですが、いいでしょうか?』
「構いません。というか、たぶん関係者なので同時に巻き込んだ方が安全というほかないので、OKです!」
「勝手に決めないのでほしいのだがね!? 後合流って、車に乗っているのかね!?」
ゴルドルフのおっさんがツッコミを入れてくるけど、神喰いは無視して話を進める。
「その映像から見るに、次の交差点で合流できますね。ではそこから援護射撃をお願いします!」
『分かりました! 合流まで4…3…2…1…』
「『0!』」
その時、交差点を右に曲がるタイミングで左側から合流してきたメンバーがいるんだけど―
「銀ちゃん銀ちゃん! なんかこのバンの連中、私達よりたくさんのバイクに追われてるネ!?」
「なんだこの展開わぁあああああ! カーチェイスなんてお呼びじゃねえんだよぉおおお!」
「二人とも少し黙っといてください! 多分そこの人達、協力してくれる感じの人ですよ!?」
「ワン!」
……スクーターに乗ってる人達がなんか和服じみてるし、チャイナ服の女の子に至ってはライオン並みにでかい犬に乗ってるんだけど?
「……見てくれ翔太郎。ガトリングガンは反動から言って生身に人間が持てるわけでもないのに二挺持ちだ。やはりこれは、財団X辺りが手を出してそうな技術を持っていると見ていいだろう!」
「いや、俺はもう似たようなもばっかりで感覚がマヒしてるんだけどフィリップ」
なんかカッコいいバイクに2ケツで男が乗っているのはまあいいかな。
で、一番の問題は―
「大丈夫、ヴィヴィオ? すっごい追いかけられてるけど、怪我はない?」
―なんで飛んでるの、この女性。
あと―
「ローラースケートでなんで車と並んで並走できるの!? そういう
「え? いや確かにこの世界の技術力だとそういうのなさそうだけど、今なんて言った?」
「えっと! とりあえずヴィヴィオを保護してくれてありがとう! あとこれはちょっとした特別製だから……どう説明しよっか?」
「とりあえず後でまとめて説明というか情報交換したいから待ってくれ! っていうか後ろの連中増えたぞ!?」
なんか本当にややこしいことになってきたなぁ、おい!!
「っていうか神喰いだっけ!? ポイントに向かうって言ったけど、大丈夫なのか!? 味方と合流できるとか、そんな感じなのか!?」
「使い捨ての転移ゲートを用意した感じだ。あと二世と一緒に行動していた弓兵に警護役を頼んでおいたから、たぶん大丈夫だ」
神喰いがそう言うけど、弓兵ってこの時代に!?
やっぱりどこかの神話体系の人だよな? それも、もしかすると神器持ちとかそんな感じか!?
もう状況が完璧に分からないけど、とりあえず後ろの連中が滅茶苦茶増えてるんだけど!?
「っていうかなんだよあの骸骨覆面! 倒したら消えたけど
もう百台ぐらい追いかけてきてるんだけど、どうなんだよ、おい。
と、そしたらバイクの2ケツで乗ってる人が、後ろを振り返ると何かに気づいた感じになってる。
「話から踏まえると異能力と思われるけど、似て異なる物と考えればいいよ。あれはマスカレイド・ドーパントというものだけど、どうやら変身しているのは人間じゃなくて何かしらの道具のようだ」
あ、やっぱり。
俺がそれに納得しながらちょっと様子を見て……。
「あぁああああ! なんかメリュジーヌとかいうのがこっち来てる!?」
もう突破してきたのかよ!?
「いかんぞ! 妖精騎士メリュジーヌの飛行速度と運動性能は最新型のジェット戦闘機の比ではない! どんな魔術的拘束をかけたか知らないが、間違いなく追いつかれるぞ!」
なんか凄いことを言っているんだけど!?
「妖精騎士メリュジーヌ……。妖精だけならメリュジーヌというのは存在するが、人間と妖精のハーフであり、土曜になると半身が蛇や竜になる呪いをかけられた、ハッピーエンドとバッドエンドの二種類が伝わっている存在だね。でもあれはそんなものではないようだけど―」
「あやかっているだけだ! 奴は竜は竜でも最高位の存在の片腕が変じた存在、その戦闘能力は比喩抜きで小国を墜とせるぞ!」
ゴルドルフのおっさんがそう言ってくるけど、マジか!
くそ! 俺が本調子ならまだ戦いようはあったってのに!
「……おい、何を動きを止めている?」
「……いや、なんかあの敵視の理由が分かった気がする」
なんで上に乗っている側は止まっているんですかねぇ!?
あと飛んでる人がなんか魔力砲撃で薙ぎ払ったり、小さな魔力の球体を操ってメリュジーヌを迎撃してるけど、真っ向からいなしてるよあいつ!
「なのはさんの本気の攻撃をあんなアッサリ!? 街中だから慎重に撃ってるからって、あの子凄くない!?」
「どう考えてもちょっとしたロストロギアクラスだぞあれ!? どうする、一回止まって本気で迎撃した方が―」
ローラースケートの子達も振り返ろうとしてるけど、それならまず俺が―
「いや、こうなったらイチかバチかアスカロンで―」
「戯けが。そのまま止まらず進め。この程度のことで自己犠牲など千年早い」
その瞬間、なんか大量の剣がメリュジーヌ達に襲い掛かった。
っていうか軽く寒気がするんだけど!? あれなんだよ一体!
「エ……アーチャーの援護射撃だ! アクセルを踏み込め!」
「ああもう! まさかと思ったらそこの若造はそういうことか! 飛ばすぞ捕まれ!」
二世とおっさんが何かに気づいた感じだけど、見れば確かに一人いる。
浅黒い肌と白髪の、赤い外套をきた男が、大量に背後から剣を発射してこっちを援護している。
「「「行けぇええええええ!!!」」」
運転している人達が気合を入れてアクセルを踏み込んだその瞬間。
「――あ!」
なんか神喰いが慌てて―
アザゼルSide
俺、アザゼルは緊急連絡を受けて、イッセーの家に辿り着いていた。
あのリンディとかいう人達は後詰できた奴らやグレイフィア達に任せた。俺は一応組織の運営からは手を引いているからな。あとは任せた方がいいだろう。
で、ちょっとまじでヤバい状況に歯噛みしながらイッセーの家に付くと、そのまま地下に向かう。
地上六階地下三階の、グレモリー家によって大豪邸となったイッセーの家の地下三階の、特殊設計の地下フロアに到着する。
そして俺は呆気に取られた。
「あだだだだだだだだだ!? 喰われる、食われる!?」
「いいからさっさと食われるネ! 定春、よく噛んで食べるんだヨ」
「よく噛まねえと腹壊すぞぉ定春。なんたってこんなところに全速力の車を突っ込ませる馬鹿だからなぁ?」
なんか血まみれの白髪の天パとチャイナ服の女が、明らかにでかすぎる狗に誰かを食わせようとしている。
誰かはガチで抵抗しているが、犬もなんかすごい奴なのか中々離れない。
そしてその近くでは、炎上するスクーターやらかろうじてバンパーが凹んでエアバックが作動済みのバン。あとその近くで失神しているおっさんと高校生に、慌てて介抱している連中が数名。
「転移現象! それも聞けばここは関東地方だっていうじゃないか! さっきいた場所が九州だというし、これだけの長距離転移はゾーンメモリであっても不可能だ。これだけの不可思議な力が異世界にはあるというのはぞくぞくするねぇ。他にはどんなものがあるんだい!?」
「落ち着けフィリップ。たぶんだが、そいつも状況が飲み込めてないみたいだぞ?」
「あ、すいません。えっと……俺が出来る事で不可思議って奴だと、ちょっとこんなところだと出来ないっていうか……」
イッセーはなんかテンションを上げてるやつに詰め寄られてるし、あいつまさか
普通にロスヴァイセとかに魔法を使って見せてもらえばいいだろうによぉ。パニくってんな。
「……とりあえず、私とイッセーの家にようこそ。イッセーが助けてイッセーを助けてくれたというのなら、私達があなた達を歓迎しない理由はないわ。……勝手に私達の家に転移ゲートを繋げた彼には、後でしっかり事情を説明してもらうけどね」
「あ、あの! あの人もそのイッセーって方を私達も含めて助けてくれた人なんです。だからその、事情を聞くだけ聞いてほしいんですけど」
リアスは額に青筋まで浮かべて、小さい子がフォローを入れているし。
「あらあら。とりあえずお茶を入れてきましたわ。のどが渇いているでしょうから、これでも飲んで落ち着いてくださいな」
「あ、ありがとうございます! でもここ地下室なのに広いですね」
「というより、もしかして本来はトレーニング用か? それにしても個人の家にあるような規模じゃないけど……」
朱乃は姉妹っぽい少女達にお茶を渡しているけど、まあ初見でここが個人の家だと思う奴はいないだろうな。
そして……だ。
「さて、そっちのサイドテールの姉ちゃんが、高町なのは一等空尉だな。リンディ・ハラオウンから聞いてるぜ?」
「リンディさんからですか? あの、地球で何かしらの組織から接触の要望があったと聞きましたけど、貴方でしょうか?」
高町からそう返されるが、残念ながらそうじゃない。
「いや、俺も呼ばれた側さ。最もそこに来たのはその相方で―」
俺はそこで区切ってから、とりあえず犬に食われかけてる奴を引っ張り出す。
「何するよそこのマダオ臭! 源外爺さんみたいな雰囲気もするけど、マダオ臭の方がキッツいね!」
「なんだマダオって。この最高級のバスルームで磨かれたナイスミドルに加齢臭なんてあるわけねえだろ」
チャイナになんか言われたが、とりあえず適当に返してスルーしてと。
「……俺もこいつに接触を受けた口だよ。つまり、こいつが一番今回の事態にこの場で一番詳しい奴ってことだ。……冗談抜きでこいつには知ってることを全部しゃべってもらうまでは死なれちゃ困る」
ああ、まだリアス達は家にいたから気づいていないだろうが、事態はマジでヤバい。
「この地球全土を包み込んだ大規模精神干渉と、冥界や神話の領域ごと包み込む形で起きた、大規模次元断層ってのも込みで、色々と話してもらわないと困るんだよ」
その言葉に、リアス達や高町達が顔色を変えた。
他の連中も事情が分からないなりに、やばいことが起きたことだけは理解しているようだ。
そして―
「……まあ、事態はこっちの想像の斜め上を言っているから全て分かってる訳じゃないんだがな」
―そいつは、自分の足で立つと俺達を見渡した。
どこか懐かしいものを見るような雰囲気も込みで、そいつは積み重なった笑みを浮かべ、そして告げる。
「俺は宮白兵夜。この世界と極めて近く、しかし一年少し先行した並行世界から来た、ヴァン・ヘルシングの疑似サーヴァント」
そんな情報量の多い事を抜かし、同時に表情を真剣なものに切り替える。
「こちらも確認したいことは多い。なにせことと次第によっては、十数の異世界で構成される地球侵略部隊が、
冗談抜きで地球どころかいくつもの世界の命運をかける事になる、冗談のような戦い。
乳乳帝兵藤一誠と絶乳帝フィフス・エリクシルによる、世界の命運とおっぱいをかけた戦い。
そんなちょっと頭どうかしてるんじゃないかというトンでもない戦いの幕開けに繋がる話がここで始まるんだから、始末に負えない。
この作品は可能な限りグダグダにしつつ燃える展開をぶっこんでいく作品にする予定です。ご了承ください。
とりあえず次回からは兵夜を議事進行役とする形での事態の説明話となります。