混界魔龍大戦駒王町―銀の風が呼ぶ運命   作:グレン×グレン

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 と、ちょっと定期的に上げた方がいいかとも思ったので、一話上げます。








 あとふと思い至った疑念を活動報告に挙げたので、もしよければ見ていただけると嬉しいです。


校内放送はカタストロフィ
第一話 努力は用法容量そして成果をきちんと精査してから継続しよう


 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数日、俺達はいつも通りとまでは言わないけど、あまり変な生活は欠片も送ってなかった。

 

 クリフォトもすぐに圧殺するつもりはないのか、こっちを積極的に攻撃しているわけじゃないことも大きい。

 

 だからことが終わってからヤバいことにならないように毎日勉強して、少しでも強くなる為に毎日特訓を模している。

 

 あと異世界からの人達だけど、俺達が接触した人達はうちで面倒見ることになった。

 

 先生曰く「色々と文化が違うから、そういうに慣れてるお前達がいる方がいいだろ」ってことらしい。

 

 地下に四階が増設され、魔術師(メイガス)の人達が魔術工房ってのを作ってたりするけど、まあそこはいいか

 

 でもまあ、ただ住んでるってのも退屈だろうから俺達もちょっと話し合ったりしてるんだけど……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グレモリー眷属って凄いよね。このトレーニング量を毎日やってるんだ」

 

 と、基礎トレに付き合ってくれたスバルさんが感心してた。

 

 でもまあ、スバルさんも普通にしてる印象があるんだけどなぁ。

 

「スバルさん達だってまだまだ余裕ですよね? 時空管理局もハードなトレーニングしてるんですね」

 

「いやぁ、私はなのはさんと同じ部隊で教導してたこともあるし。……管理局の一般武装局員のトレーニングだと、なのはさん達とみっちりトレーニングしてたらバテてるかなぁ」

 

 へぇ。なのはさんのトレーニングってそんなに厳しいのか。

 

「グレモリー眷属は上級悪魔とその眷属の中で踏まえれば、最上位のそのまた上位で自己研鑽を欠かさないメンバーだからな。いい意味で比較対象にしない方がいいと思うぞ?」

 

 と、そこで宮白がスポーツドリンクを持って来ながら参加してきた。

 

「あ、兵夜くんだっけ? そうなの?」

 

「それはもう。基礎体力に限定すれば、プロの上級悪魔でもここまでの連中は少ないだろう。というより、実力も既に上位側だしな、ほんと」

 

 スポーツドリンクを渡しながら、スバルさんに宮白がそう告げた。

 

 いやまあ、そこまで褒められるとちょっと嬉しいというかなんというか。

 

 俺がちょっと照れてると、宮白が俺をちらりと見てため息をついた。

 

「……既に眷属全員上級悪魔クラスの、プロデビュー前の眷属悪魔集団とか異常だしな。筆頭のイッセーは既に最上級悪魔の上位級に届いているはずだ」

 

「其れでなんでため息!?」

 

 どう考えてもべた褒めで言ってるよな。どう考えても悪い言い方とかにはならないよな。

 

 ため息をつくところは全然ないよな普通。

 

 だから抗議するけど、宮白は肩をすくめやがった。

 

「だって中級試験でやりすぎだし。お前ちょっと冷静になってお前が渡り合った奴らを考えろ。中級悪魔クラスの領域だと思ってるなら流石に全方位で罵倒だぞ」

 

「そこまで言うか!? そこまで言うか!?」

 

「油断して敗けるのは大恥だが、冷静に対応してれば派手に暴れることは無かったろうに。……冷静に考えると死んでない時点で耐久力は一級品だし、今からでも合格を考慮するべきと意見具申するべきか?」

 

 す、凄いレベルで俺の評価が高いのか馬鹿にされてるのか分からない。

 

 っていうか俺、そこまでのレベルが共通認識なのか?

 

「そうなんだ。あ、でも体格も体幹も動きもしっかりしてるから……やっぱり強いの?」

 

「そもそも成長率と爆発力がジャンプ漫画の域なのがグレモリー眷属ですからね。あとイッセーの奴、実戦経験も訓練も、まだ一年足らずしかやってないんで。信じられます?」

 

 宮白の言葉にスバルさんがこっちを見るけど、俺は素直に頷いた。

 

 いやほんと、今年の俺って本当に大変だよなぁ。

 

 なんかちょっと背中がすすけそうだけど、スバルさんは目を丸くしながらもなんか納得してる感じだった。

 

「……あ~、そういうのって意外と多いのかな?」

 

「そうなんですか? 時空管理局にも?」

 

「うん。なのはさんも9歳ぐらいにロストロギアが関わった事件を解決してるんだ。地球で起きたから、たぶん記録とか残ってるんじゃない?」

 

 へ~。

 

 ってことは、元の世界で会ってる宮白は知ってるよな。

 

 俺とスバルさんが視線を向けると、宮白は少し肩をすくめた。

 

「まあ確かにな。……最も、時空管理局と異形(こちら)側が隠匿している上に双方が双方に気づいてないから、異形側はあわや開戦の危機だったらしいが」

 

「ご、ごめんなさい」

 

 ちょっとスバルさんが言い淀んでいるけど、宮白は静かに首を振ったし、俺も責める気なんてない。

 

「そういう秘匿が必要なことはありますし、時空管理局の方針は別に悪逆ではないですから。それを言ったらイッセーとか……なぁ?」

 

「まあなぁ。どこも色々とあるからなぁ」

 

 俺なんて一度殺されたし。

 

 俺達が渇いた笑いを浮かべてると、ちょっと離れたところでまた凄い音が聞こえてきた。

 

 あっちは模擬戦組だったっけ。確か真っ向勝負になっていたはずだけど―

 

「どうした、作り出した剣の強度と構成が甘いぞ! そのような本領を発揮できてない作り手が、安易に別の武器に頼ろうという発想がまず甘い!」

 

「く……っ! ここまで練り上げられた鍛錬による剣技、いや、それ以上に攻めきれない!」

 

 すげえ。高速で移動してかく乱して切りかかる木場の聖魔剣を、二刀流で全部いなしてるよ。

 

 なんだろう。間違いなく木場より強いんだけど、木場やゼノヴィアとはなんか動きが違うっていうか……俺が自分の動きを映像で確認してる時のような印象がある。

 

 いや、とにかく強い。本当に強い。

 

「……凄いねあの人。知ってる人の中でも、真っ向勝負で接近戦できるのってそんなにいないかも」

 

 時空管理局なら真っ向勝負できる人も少しはいるんだ。

 

 流石十や二十じゃ効かない数の世界の連合だなぁ。人の数も多いから、腕利きの数も多いんだろう。

 

 そんな素直に感心してるスバルさんの隣で、宮白はちょっと目元を引くつかせていた。

 

「……一応遠距離主体の弓兵(アーチャー)で呼ばれてるはずなんだが、あの人」

 

「そうなんだ。サーヴァントって本当に凄いんだなぁ。それに……」

 

 俺は宮白にそう言いながら、また別の場所の模擬戦を見る。

 

「二対一の利点が生かせてないよ! もっとお互いと相手の位置を把握して!」

 

「くっ! 位置取りが巧みで、二対一なのに押し切れない……っ。逆にこちらが互いに気を使わないといけないなんて……っ」

 

「というより抜き打ちで防御をぶち抜かないでください!? 通常攻撃でヘラクレスの禁手より強力なんですけど!?」

 

 と、なのはさんと模擬戦で押されている朱乃さんとロスヴァイセさんの二人の姿。

 

 空中で砲撃戦になってるんだけど、なのはさんの動き方が特に上手い。

 

 朱乃さんもロスヴァイセさんも典型的なウィザードタイプで、撃ち合いとかだと本当は強いんだ。

 

 しかも朱乃さんは堕天使副総督のバラキエルさんの血を継いでるし、ロスヴァイセさんだってオーディンの爺さんのお付きに選ばれてる。どっちも普通に上級悪魔の上クラスはあるはずだし、普通なら圧殺だってできるはずだ。

 

 だけどなのはさんは二人が攻撃する時に、どうしてもお互いのことを気にしないといけないような位置で上手く戦闘してる。

 

 魔力の球体をまるでサーゼクス様みたいに操って、二人がそこから強引に突破できないようにしつつ、そっちに気を取られた瞬間に砲撃を放っている。それも、二人が防御面の補強の為に習得した防御魔法をぶち抜くこともなんどもあった。

 

 一言で言って、めっちゃ強い。

 

 なんだろう。単純に強いだけじゃなくて、戦い方が上手いってのもある。

 

 ……パワータイプの出力と、テクニックタイプの技量が上手く噛み合ってる。総合力がとにかく高いんだ。

 

「……あの人、めっちゃ強いよなぁ」

 

「それはもう。なのはさんはエースオブエースって呼ばれてる実力者だし、管理局でも上から数えたら結構早く数えられるぐらいに強いよ」

 

「マジですか」

 

 スバルさんと話してると、時空管理局はでかいだけあるなぁと思う。

 

 多分魔王様とやり合っても結構良い線行くレベルだよな。それが神器とか聖剣とかも無しにこれなんだから、ちょっとびっくり。

 

 しかも上から数えた方が早いってことは、更に上だっているんだろ? 曹操と真っ向勝負できそうなのが他にも何人もいるとか、すっごい組織だよなぁ。

 

 で、ちょっと視線を逸らすと合同訓練的な基礎トレーニングが進んでる。

 

「……これは……結構……きついな……っ」

 

「大丈夫ですか? まだ十五分ほど続きますよ?」

 

「ああ……これぐらいなら……まだなんとか……っ」

 

 と、ギャスパーと一緒に基礎体力を鍛える為にランニングをしている衛宮の姿が。

 

「では少しペースを変えますわ、五分間減速した後五分間は今の五割増しのペースで! そのあと五分でゆっくりとスピードを落とします!」

 

 と、レイヴェルが後ろから追いかけながら、衛宮達に指導をしている。

 

 ……本当なら、衛宮は実戦経験も訓練も受けてないから後方で待機って流れになる予定だった。

 

 ただ衛宮が「女の子達にばかり任せたくない」とごねてきて、まあ俺も気持ちは分かるけど、衛宮の戦闘能力だとやっぱり不安だから止めるつもりで……となった結果、宮白が条件を出したわけだ。

 

―じゃあグレモリー眷属の基礎トレに付き合えるようになって、かつ下手な神器に匹敵する戦闘技術を獲得しろ。それが出来たら俺がそれなりに手を回してやる。できなけりゃ誰が何と言おうと止めるがな―

 

 で、グレモリー眷属の基礎トレに参加しているけど、これが意外と粘る粘る。

 

 というより、明らかに限界っぽいのに続けようとしてるから、見かねたなのはさんやアザゼル先生がストップをかけることも多い。

 

 ハードトレーニングは体壊して逆効果になるんだけどなぁ。

 

 それでもこっそり無理して自主トレしようとしてるところもある。

 

「……ハードトレーニングって体壊すから大変なんだけどなぁ。……しなくていいって、幸運なんだけどなぁ……」

 

 あ、冥界での酷いトレーニングを思い出して涙が出てきた。

 

「あの、イッセー君ってそんな酷いトレーニングを受けてたの?」

 

「目をつけられている宿敵がほぼ完全上位互換だったから、最低限神器の到達領域だけでも並ばないと確実に死ぬ状況だったからな。まあアザゼル(コーチ役)も途中で逃げ出すことを前提にしてたんだが、あいつのサバイバリティが誰もの予想をぶっちぎり抜いた結果……見事凌ぎきってしまったわけだ」

 

 後ろでスバルさんと宮白がそんなことを話してた。

 

 後ろでスバルさんが同情してくれてるのが分かる。

 

 うん、あれは本当に酷かった。

 

 今なら普通に乗り越えられる難易度だと思う。でもそれは今だからで、禁手にも至ってないあの時の俺には地獄の特訓だったよ。場所も文字通り冥界(地獄)だったし。

 

「まあ禁手(バランス・ブレイカー)ってあの時点では到達に「世界の均衡を崩す意思」が必須って言われてたから、禁手に至っても体を壊さない体力とかをつけるに留まったわけですが。あの時期の禁手到達は、いわゆる覚醒的なあれだったから」

 

「……えっと、それが、その……おっぱいで?」

 

 遠い目をしながらの宮白の説明に、スバルさんまで遠い目になってきやがった。

 

 酷い、マジで酷い。

 

 あれは俺にとって本当に宇宙の始まりだったのに!

 

「でもまあ、ハードトレーニングはなのはさんが認めないと思うよ? ……なのはさんもそれでちょっとリハビリとかで苦労してたそうだから」

 

 え、そうなんだ。

 

「そうなんですか? あの人しっかりしてそうだけど……」

 

 ちょっと意外。特訓とかも体調が悪化したりしない辺りを見極めている印象だったし。

 

 スバルさんもちょっと苦笑してるけど、これ本当っぽいな。

 

「なのはさん、才能が本当にすさまじかったから周りもちょっと気付かなかったみたいでさぁ。……さすがに9歳であのレベルのロストロギア案件をどうにかしちゃうって、時空管理局でも異例だから」

 

「ああ確かに。闇の書案件とか冥界政府でも、眷属引き連れた最上級悪魔を複数人用意する……いや、むしろ魔王様が眷属引き連れるレベルのヤバい事件だったからなぁ。あの人九歳の頃から下手な上級悪魔を一人で戦闘不能にできる……いや眷属込みでも最上級悪魔が出張りかねない手合いだったみたいだからな」

 

 そ、そんなレベルで強かったのか……。

 

 っていうか九歳でそのレベルって、いくら何でも異常だろ。

 

 そんな人が成長しても、上から数えればすぐぐらいでとどまってるって、時空管理局やばいな。

 

 俺が管理局の凄さにちょっと引いていると、スバルさんは苦笑した。

 

「だからやりすぎとか無茶とかには厳しいんだよね、なのはさん達。……うん、あの時はティアに無理させて反省してます」

 

 ちょっとすすけてない? 何やらかしたの?

 

 俺がちょっと気になってると、宮白はちょっと警戒の目で、衛宮を見る。

 

「……まあいい。それはそれとして衛宮の件だが、そっちもちょっと様子見しといてくれないか?」

 

 ん?

 

 俺とスバルさんにそう言った宮白は、ちらりと衛宮の方を見る。

 

「……二世やアーチャーも気にかけているようだが、どうも衛宮の奴は危ういところがある」

 

 ああ、それなんとなく俺も思ってた。

 

「正義の味方になるって言ってたよな。それは別に悪くないと思うし、諦めずに頑張るのも間違っちゃいないと思うけど……な」

 

「まあな。ただ正義の味方なんてのは、現実を見続けていればあの年でマジでいう奴は普通はいない。……生き方の指針とか方向性とか、そういう方向性で止まるのが現代社会だ」

 

 宮白は俺にそう返すと、軽くため息をつく。

 

「正義の敵はまた別の正義とかよく言うし、正義とされている価値観が別の価値観では悪として扱われるとかもよくある話だし、正義は行き過ぎたり妄信になると悪逆と変わりないしな。……そういう意味では、お前が完全にヒーローやれてるのは敵が軒並みあれな悪党だからってのもあるか」

 

「あ~……確かに、コカビエルとかシャルバとか、マジであれだったしなぁ」

 

 曹操も理念とかあるけど、やってることがえげつなさすぎるしなぁ。

 

「そういう意味だと、管理世界だと管理局の職員とかに収まるのかな? この国だと警察官や自衛隊……だっけ?」

 

「あ、確かに。普通はそういう方向に収まりますね」

 

 スバルさんの言ってることがぴったりな気もする。

 

 まあ、普通なら高校生になる頃には、正義の味方になりたいならそういう職業を選びそうだよなぁ。

 

 俺もだからそう答えたし、宮白もそこは頷いた。

 

 で、宮白の視線は衛宮から離れない。

 

「……それか弁護士とか検事、裁判官ってのもあるだろうな。……それが純粋に正義の味方そのものってのもあれだし、何より……」

 

「「何より?」」

 

 俺とスバルさんがきくと、宮白はこっちに振り向いた。

 

「……まず補足すると、衛宮が教えられた魔術教育は完全に誤りだ。魔術回路ってのは一度構築すればそれで十分なのに、衛宮は一回使うごとに一から作ってる有様だ。教えた養父(ヤツ)が迂遠な殺人計画を立てていたと言われたら俺は信じるぞ」

 

 ば、バッサリ切ったな。

 

「そ、そんなにダメなの?」

 

 スバルさんがかなり盛大にドン引きしてるけど、宮白はあっさりうなづいた。

 

「本来魔術回路の構築っていうのは、先達がしっかりと監修したうえでやらないと命の危険だってある代物だ。……難易度をわかりやすく例えるなら、魔術を一回行使するごとにデバイスや人工神器を一から作るような真似でもある。アザゼルだって普通はしないし、管理局でそんなことする奴は普通いないだろ?」

 

「「あ、凄い納得」」

 

 そりゃあれだ。めちゃくちゃだ。

 

「……二世の推測曰く、「絶対に成長しない危険すぎる方法を自分の死後使っているなら何時か必ず諦めるし、それでもし続けるなら別の意味で本物だろうから、結果的には当人の成長に繋がるだろう」という何故やったか(ホワイダニット)らしい。なんでも「関係者に限りなく近い別人に聞き取り調査*1」とか言ったが、なんでだろうな?」

 

 び、微妙に分からない説明だけど、でもちょっと考えてみるか。

 

 ……はっ!

 

「つまりおっぱいを心から思って拝む行為ではおっぱいは手に入らないけど、それがいわゆるマインドリセットとかいう奴になったら、人生のトラブルや緊急事態でもすぐ冷静になれるから得って感じか!」

 

「いや、確かにあってそうだけど……」

 

「諦めろスバル。こいつはこういう奴だから」

 

 なんで二人とも俺を残念な奴を見るような目つきで見るんだよ!? スバルさんに至っては頬をが少し引きつってるし!

 

 俺は抗議をしたかったけど、宮白はため息一つで切り上げて話を進めようとする。

 

「……まあそれはともかく。普通は命がけの苦労をしても成果が実感できないことを、何年も続けたりしないんだよ。目的に絶対必須なことではなく、別の手段が取れるなら尚更だ。実態はともかく実感としてそれに繋がってると思える別の方法があるなら、二人もそういうことをするだろ?」

 

 宮白がそう言うけど、確かにそれはそうかも。

 

「あ、確かに。私もシューティングアーツや魔法の練習を真剣にし始めたの、なのはさんみたいになりたいと思ってからだったなぁ」

 

「確かに、俺も喧嘩とか格闘技とかには興味なかったけど、リアスの最強の兵士(ポーン)になると決めてから頑張ってきたしなぁ」

 

「まあそういうことだ。少なくとも、具体的な目標に近づけてないと思ってるのなら、普通は命がけなんてしたがらないものさ」

 

 俺達にそう頷くと、宮白は少し目を伏せる。

 

「だけど衛宮はそれをしている。あそこまではっきり言っているなら、正義の味方という目標があるにも関わらず、魔術を使うという手段の獲得に拘っている節がある」

 

「本当になりたいものは他にあるってこと? それに自分でも気づいてないとか」

 

 スバルさんはそう考えるけど、宮白はもっと何かを気にしている感じだった。

 

「……これはあくまで俺の推測だ。ただ、もう一つ懸念するべき事象がある」

 

 なんだろう、めちゃくちゃ真剣な表情で、しかも言い難そうなんだけど。

 

 俺もスバルさんも軽く息を呑んでると、宮白は一呼吸入れてから意を決した。

 

「常人にとって狂人とは、精神を理解するのではなく生態を把握するべきものだ。これはそういう問題かもしれない」

 

 な、なんつー怖いことを言ってくるんだよこいつは。

 

 しかもこの流れで言うって、衛宮のことを狂人扱いしてないか?

 

「……常人なら抵抗があることでも、常人とは全く異なる感性や理屈で動く奴なら平気なケースはままあることだ。まして狂うってのは生まれついての物だけでなく、後天的な影響でタガが外れるケースも数多いしな」

 

 そう言ってから、宮白はかなり真剣な表情でちらりと衛宮を見る。

 

「俺もそっち側の類だから、何となくあいつがそうじゃないかと思うんだよ。タガが外れるだけの経験をしたり、人生における強すぎる衝動をそういう時や小さい時に味わうと、どうしても普通からズレる時がある」

 

 うんうんと言いながら含蓄のある言葉を言ってくれるのはいいんだけど、俺をちらちら見ながら言うのやめてくれない?

 

 それはあれか。俺もあれだっていうことか。確かにおっぱい大好きすぎていろんなことしてるけど、そこまで言うことか。

 

 いやまあ、あのおっぱい紙芝居がなければここまで突っ込んだ覚醒したかっていうとちょっと疑問だけど。俺にとってあれは天啓とかそんな感じだから、悪く言うような言い方は嫌だ。

 

 いや、そういうことじゃなくて―

 

「……えっと、それってつまり……災害とかでたくさんの人が死ぬ光景を見た人が、自分が生きていることそのものが悪いって思ったりするアレ?」

 

「それもあるんだろうなぁ。いわゆるサバイバーズギルトっていうけど、そういうトラウマは本当に人生歪めるから」

 

 スバルさんに宮白がうんうん頷くけど、それは俺も分かる。

 

 朱乃さんは堕天使を恨む連中にお母さんを殺されたことで、長い間父親のバラキエルさんを含めた堕天使を嫌ってた。

 

 木場はエクスカリバー使いを人工的に作り出す実験で同胞を殺されて自分も一度は死んだことで、エクスカリバーそのものを恨んでいた。

 

 俺だってレイナーレにこっぴどい目に遭わされて殺されたりした所為で、恋愛に憶病になっていたところがあるからな。

 

 それと似たような物って言われたら、ちょっと分かる気がする。

 

「……まぁ、そういうわけだから、それとなく気にかけておいた方がいいと思う。俺も一応、他にも話しておいて問題ない人には話しておくから」

 

 ああ、それは確かに。

 

 俺はちらりと、衛宮の方を見る。

 

 話してる間に既にランニングも終わりかけてる。衛宮もペースを少しずつ落としているけど、実感を感じてるからかもっと特訓したがってる雰囲気もある。

 

 確かに、一気に急成長したり強くなると暴走するってよくある話だ。禁手の到達法を英雄派がばら蒔いてから、そういうケースは俺達も何度も見てきたし。

 

 ちょっと気を付けないと、衛宮が暴走しそうで怖いよなぁ。

 

*1
疑似サーヴァントとか某アサシンなどからのプロファイリング




 日常回というか努力回。ハイスクールD×Dはこういうのを定期的に入れるべき作品ですしね。

 そして諦めることを全然してくれない節がある衛宮の異常性を指摘する回でもあります。

 衛宮士郎をわざわざ入れた以上、何かしらの形で原作とは異なる方向性での「正義の味方」に対する回答を士郎には出させたいところです。
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