混界魔龍大戦駒王町―銀の風が呼ぶ運命   作:グレン×グレン

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 ちょっと十月中に出しておかなければならないところがあったので、溜めている話を放出することにしました。


第二話 大事なことは忘れないようにする努力を使用

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえずトレーニングを終了させて、俺はちょっとぶらぶらとしていた。

 

 兵藤邸宅で大体のメンバーの面倒を見る感じになったから、この家の男性比率はかなり上がってる。

 

「お、イッセーか。今日も元気だなぁ」

 

「……ああ、父さん。ま、俺も色々と頑張ってるからさ」

 

 ……絶乳魔法の影響が出てる父さん達は、俺達のメンタルを考えて、どこかに休ませる方向になってる。

 

 宮白曰く「イッセーの覚醒に絡んだことがあるから、念には念を入れた処置を入れている可能性がある」とか言ってたけど、異能とか異形に関りが無いから、自然と喰らった可能性もあるんだよなぁ。

 

 はぁ。あとちょっとで吸血鬼の連中と接触することになるってのに、かなり気が重いぜ。

 

 こういう時はあれだな。ちょっとエロゲーでもやってスッキリしたい。

 

 人数が増えて男性比率も高くなったから、男専用スペースも作られてはいるんだよなぁ。ちょっとそういうところでこっそりエロゲーを……。

 

「なにイヤらしい顔してるアルか。女の子が多い場所でそういう顔するなや変態」

 

 うぉおおおおおお!? 後ろから絶対零度の声がぁああああ!?

 

「って神楽ちゃんかい!? なんだよその、女の敵を見るような目と口調は!?」

 

「……うわこいつ自覚が足りないネ。お前は変態なんだから、もっと生きていることを恥じるアル」

 

「そこまで言うか!? エロいのそこまで悪いか! 男が女体を求めて何が悪いんだ!」

 

 俺は全力で食って掛かるけど、神楽ちゃんはめっちゃくちゃ寒い目を向けてきやがる。

 

「……これだから童貞は」

 

「お、おのれぇえ……っ! 童貞でいることの苦しみは女には分かるまい! っていうかちょっとは家主側に遠慮してくれない!?」

 

「……いえ、兵藤さんの場合は少々どころじゃなくいきすぎなところもあああありますので」

 

 と、今度は通りがかったスパロからキッツい一言が!?

 

「ででででも神楽さんもその辺でお願いします。給金はグレモリーから出ているとはいえ、払っているリアス様の恋人が彼なので」

 

「……チッ。契約主義社会の闇を見たアルね」

 

 うっせぇ。

 

 まあそんな感じだ。

 

 万事屋銀ちゃんのメンバーとかは、巻き込んでしまったお詫びもかねてリアスが雇うという形で住まわせてもらっている。

 

 ようはあれだ、私兵集団とかそんな感じ。

 

 うるさそうな大王派は今のところ大打撃を喰らってるけど、それでもうるさくなりそうな時もあるからという措置でもある。

 

 ……ちなみに万事屋の業種形態が不幸にも何でもありなので、リアスに結構振り回されてたりしている節もある。具体的には買い物の荷物持ちとか。

 

 人数が増えてるから荷物持ちがいるけど、人数が一気に増えたから運ぶ量も増えてるから仕方ないね。

 

 ……でも神楽ちゃんが特に食べてる組だから、これは仕方ないような………?

 

 まあそれはともかく。

 

「で、何してんの?」

 

「暇だから大食いチャレンジある店全部踏破してきたネ。賞金で酢昆布買ってきたアル」

 

 ……それ、普通一日で踏破できない。

 

「で、スパロは?」

 

「魔術師組の能力強化も兼ねて、色々と立ち回っています。……現状だとこちらの魔力供給にも不安がありますので、その辺りのバイパスも必要なななのです」

 

 そっか。サーヴァントってのも大変なんだなぁ。

 

「で、具体的にはどんなのを?」

 

「……ははははい。とりあえず私ができる範囲内で魔術回路の調整や最適化を行える仕様を作ってみました。……お勧めはできませんけど」

 

 そう言ってスパロが見せたのは、ケースに入った錠剤みたいなの。

 

 俺と神楽ちゃんはまじまじと見つめるけど、何だろコレ?

 

「……ドーピングアルか? もうちょっと真っ当に頑張った方がいいヨ?」

 

 神楽ちゃんがそう言うと、スパロは苦笑した。

 

魔術師(メイガス)ではさほど珍しくありませんが、これは違います。……蟲の卵です」

 

 瞬間、五メートルぐらい後ろに下がった俺と神楽ちゃんは悪くないと思う。

 

「むむむむむ虫ぃ!? いや、ゴキブリとかじゃないなら大丈夫だけど、虫の卵なんて何に使うネ!?」

 

「経口摂取しやすいように固めました。なのでもちろんののの呑みます」

 

「「飲むの!?」」

 

 凄いこと言ったな、おい!?

 

「……イナゴの佃煮はかつて日本でも食べてましたし、剥いた甘エビも芋虫とさほど変わらない外見ですよ? それに昆虫食は世界的に見れば割とありますが……食事ではないです」

 

 と、というと?

 

 恐る恐る俺達が首を傾げると、スパロはちょっと胸を張っていた。

 

「吸収の魔術特性が込められた線虫の一種でして、大腸で孵って小腸が吸収しきれなかった栄養を糧に生存します。同時に宿主の魔力を少しずつ吸収してそれに同調することで、非常時の予備魔力源及び、魔術回路や刻印の安定化を図るのが元の蟲なのですが―」

 

「なんでそこで切るの!? 何があるの!?」

 

「ばか聞くなイッセー! きっとえげつない真相が隠れてるアル!?」

 

「いや此処まで聞いたら最後まで聞かないと逆に邪推するから!?」

 

 俺と神楽ちゃんが言い争うのをちょっと待ってから、スパロはまた胸を張った。

 

「これは二世が先代ロードの死の状況を参考にした特注品で、魔術発動時にバイパスとなる機能があります。これにより過剰な魔術行使による自滅や、魔術を経由して魔術回路や刻印を狙った攻撃を喰らった場合、ヒューズとなって被害を抑える効果が見込めるのです!」

 

 すっごい自慢げなんだけど、魔術師(メイガス)って本当に業が深いな、オイ。

 

 俺もちょっと引いてるけど、神楽ちゃんもちょっと引いてた。

 

「年頃の女の子がそんな研究してたらよくないアル。同じ蟲ならカブトムシを競わせるネ」

 

「いや神楽ちゃん。神楽ちゃんやスパロの年でそれもどうだよ」

 

「いえ。私これでも経産婦です」

 

 ………え?

 

「「えぇえええええええええっ!?」」

 

 今日一番驚いたんですけどぉ!?

 

「説明にありましたが、私も兵夜さんも転生者で出です。兵夜さんは十五の頃に死んだので合計でも三十代前半ですが、私は当時から見ても早逝しましたが、それでも後継はしっかり生みました。この線虫も魔術教会で特許を取っていまして、それなりに使用料を貰っているんででですよ?」

 

「……つまり、合法ロリババア!?」

 

「いや神楽ちゃん!? それはちょっと違うと思う。あと彼女も悪魔だから、百年ぐらい生きてても余裕で若手だし!?」

 

 ちょっとそれは失礼だよ!?

 

 俺は真剣に謝らせた方がいいかと思ったけど、スパロは特に怒ってなかった。

 

「ん~。一応三十代までは生きてますので、当時の次代を考えると、まあ早逝ではあああありますけど、その形容がぎりぎり通る気もしますね」

 

「マジか!? 今の怒らないんだ!?」

 

 これが経産婦の貫禄か、貫禄なのか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ちなみに、誰が飲んだアルか?」

 

「まだ誰にも試してませんが、衛宮さんと慎二さんにも少し躊躇されてしまいました。ゴルドルフさんは「………サバイバルを生き抜くには昆虫食も必要になるかもしれないし」と、こちらは比較的覚悟は決まりそうかと」

 

「意外な人がイケるんだ!?」

 

 いや、マジで意外な人が比較的OKだったよ。

 

 っていうかゴルドルフさん、サバイバル経験豊富なのか? また山籠もりとされた時の為に、ちょっと教えを受けておくべきかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこともあったけど、男性陣専用スペースまで漸く到達。

 

 そして入ったら、意外と先客が多かった。

 

「……なるほど。聖書の神が作り上げた神器(セイクリッド・ギア)の保有者の中には、歴史に名を残した人物も含まれているのか! そしてその多くは異形がスカウトするようなレベルでない下級の者が殆どで、君達が持っているのは上級なのか!」

 

「え、ええまあ」

 

「そうですね。匙君の神器は駒価値が兵士四駒分ですから、かなり高位の部類になるかと」

 

 なんかフィリップさんがすっごく食いついて、木場や匙に迫ってる。

 

「ひぃいいいいい。視線が、視線が怖いぃいいいいい」

 

「悪かったギャスパー。あいつはなんていうか知りたがりで好奇心旺盛でな。あれでもだいぶ丸くなってるんだ、勘弁してやってくれ」

 

 そして段ボールヴァンパイア再び。

 

 左さんがポンポンと宥めるように段ボールを優しく叩いてるけど、あれ意味あるんだろうか?

 

 あとこの空気だとエロゲーが出来そうにないな。

 

 折角買った特別仕様。積みゲーにするのももったいないからやっておきたいんだけどなぁ。この調子だと何時になったらやれるんだろうか。

 

「……あれ? 銀さん達は?」

 

「ああ、なんか宮白が「追加報酬に使えるものがある」とか言っててな、話を聞きに行ってるぞ」

 

 左さんが答えてくれるけど、追加報酬っていったい何なんだ?

 

 なんか妙な報酬になりそうだな。

 

 ま、隠す必要がないことまで隠し続ける奴じゃないし、それぐらいなら言ってくれるだろ宮白も。

 

 俺はそう思うと、宮白がこのブースに用意してくれたウォーターサーバーでお湯を入れて、適当に粉のココアを入れて飲み始める。

 

 「男には男の憩いの場がいる」ということで宮白が用意してくれたこのブース。ウォーターサーバーにコーヒーメーカー。適当に色々入ったお菓子に、更にアイス用の冷凍庫まで揃ってる。

 

 いやぁ、女の子に囲まれる生活ってのもいいもんだけど、たまには男同士で馬鹿やりたいからなぁ。こういうの良いなぁ。

 

 ……あれ? 俺ってめちゃくちゃ男から羨ましがられそうな生活してるのに、なんだか時々すっごく周りが羨ましく思えてくるぞ?

 

「隣の芝生が青く見えるって、本当なんだなぁ……」

 

「いきなりどうした?」

 

「イッセー先輩、どうかしたんですか?」

 

 う~ん。左さんなんて言うか恋愛と縁遠そうだし、こういった悩みを言ったら失礼かもしれない。

 

 松田や元浜相手ならいくらでも自慢できるし相談して殴られての悪友付き合いできるけど、物事には節度があるし……そうだ。

 

「そういえば、トレーニング中に宮白やスバルさんとこんな話になったんだけど……」

 

 俺は宮白達との話にあったことを、左さんにも相談してみた。

 

 そんな話をしてると、左さんはふと帽子に手をやった。

 

「……なるほどな。ちょっと危ういと思ってたんだが、まずそうだな」

 

「ど、どんな感じなんですか?」

 

 ギャスパーが不安な表情を浮かべると、左さんは少し天井を見上げる。

 

「何かをしたいってのは立派だと思うし、その為に頑張るのは悪いことじゃねえ。だけどそれが行き過ぎると、逆に守りたいものや大切なものを失うかもしれないって話さ」

 

 なんか、含蓄あるなぁ。

 

「……例えば、さっきまでフィリップに木場達がお前の武勇伝とか話してたがな? グレモリーの姫さんを助ける為に、ライザー・フェニックスってのと一騎打ちしたって奴だ」

 

「え、それがどうかしたんですか!?」

 

 え、何か失敗したか?

 

「左腕一つで部長を救えるっていうんですよ? 大事な主様を助ける為の手段があるんだからそりゃしますよ。それでも次が来るっていうなら、今度は右腕でも左足でもくれてやるつもりですし―」

 

「それだよ、それ」

 

 左さんは俺の目を真っ直ぐ見て言った。

 

「そりゃ誰だって大事なものは守りたいし、それが奪われたら死ぬほどつらい。だからいざという時自分の身を投げ出してもって気持ちは分かるけどよ。……それを当たり前にしたらいけねえだろ?」

 

 そ、そういうもんか?

 

「今の言い分だって、言い換えれば「自分が右腕や左腕を失ったのは、リアス・グレモリーを助けたせい」っていう風にも取れる。お前からすりゃ大したことないかもしれねえが、お前を大事に思ってる奴からすればお前が取り返しのつかない代償を払うってのはあれだろ?」

 

「………う゛」

 

 そこをつかれるとちょっとあれだな。

 

「で、でもリアス部長をレーティングゲームで勝たせる為なら、いざという時誰もが自分を犠牲にする覚悟もありますし、部長だって持ってます! アザゼル先生もそこは必要だって―」

 

「別に試合でまでするなとは言わねえよ。だがそういうのは、取り返しがつく事態においての話だって言ってんだ」

 

 そう返すと、左さんは目元を帽子で隠した。

 

「俺も経験があるから分かるが、やりたいことやしたいことがあるからって、それで自分の大事なものを失っていいわけでもねえし、傷つけたいわけでもないだろ? いざという時はあるだろうが、そいつは本当にいざという時だ。そこを忘れたらいけねえよ。……ホント、あれはきついからな」

 

 ………。

 

 もしかして、左さんはそうだったんだろうか。

 

 う~ん。でも自分の友達や愛する女達がピンチだってのに、自分のことばっかり気にしてるわけにもいかないしなぁ。

 

 あ、でも俺が死んだと思われてる時、リアス達がショックで酷いことになってたらしい。グレートレッドの影響か、なんかすっごく落ち込んでるところも見たから……。

 

 うん、気を付けよう!

 

「よっし! 頑張ってそんなことしなくてもいいように鍛えます! そうすれば問題ないですしね!」

 

「……だな。結構大変だけど、それが一番か」

 

 俺の返事に左さんは苦笑すると、何時の間にか段ボール箱から頭を出していたギャスパーをちょっと乱暴に撫でた。

 

「ふえぇ!? 左さん?」

 

「……ヴァレリーってのはお前にとって大事な恩人なんだろ? だったらしっかり助けたうえで、お前の立派で無事な姿を見せてやらねえとな?」

 

 あ、この人本当にいい人だ。

 

 ハードボイルドって感じは全然しないけど、でもこういうのが左さんの味って奴なんだろうなぁ。

 

 うん、俺も頑張らないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実に興味深い! つまり匙君は本来危険性の高い神器の多重移植の成功体で、木場君は禁手であることを踏まえてもイレギュラー極まりない稀少ケースということだろう!? 神器(セイクリッド・ギア)だけでも興味深いのに、特殊ケースがこうもいるだなんてゾクゾクするねぇ……っ」

 

「「え、えっと……っ」」

 

「……すまねえ、そろそろフィリップを止めたいから、とりあえず手伝ってくれ」

 

「「あ、はい」」

 

 うん、ちょっと締まらない展開なのが、いわゆるハーフボイルドって奴なのかな!?

 

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