今回は前編後編に分けてます。理由としては話が少し長引いたこと、これ以上投稿を遅らせるのもな、と感じたことです。
あと、あとがきで修正点を2つ上げているので見ていただけると幸いです。
11月10日
本日の天気 晴れ
とりあえず今日も言えることは遠征の日に晴れててよかったということだな。
雨が降ってたらあらゆるやる気が失われるからな。
今日の秘書艦は夕立だ。あいつは何故か最近あまり甘えてこなくなった。褒められてるときは嬉しそうだから余計に分からん。
よく分からんことと言えばあいつらが遠征で行くか資源の溜まり場もそうだ。大体一週間おきに回復する資源とか恐怖しかねえ。まあ周辺にある4つのそれのおかげで今の自分が成り立っているのだが。
世界には不思議なことばかりだ。
……そういう名前の本書いたら売れ――
「何してるっぽい?」
「……そりゃあ執務に決まってるだろ?なあ妖精」
「はい!」モグモグ
馬鹿みてえなことを日記に書いてると、本日の秘書艦夕立がそんなことを尋ねてきた。
「……妖精さん。それは本当?」
「はい!仕事してました!」
妖精に聞いたところで無駄だ。こいつらは既に俺の高尚なる交渉により仲間に
「ホントのこと言ってくれたらケーキをプレゼントするわ」
「仕事せず日記書いてました!!」
「おいお前」
主人を売る速度やばすぎるだろ。さっきまでニヤついてたのに速攻で仏頂面になったわ。
「折角あらかじめ金平糖三個で買収しておいたのに……」
「買収への投資がケチすぎるっぽい」
「さいっあくだ……」
「仕事してない方が悪いっぽい」
ド正論を言われてさらに追い討ちをかけられる。……おのれ妖精と睨もうとしたがもう逃走済みのようだ。
「この提督適正値がめちゃくちゃたけえ俺に文句があるというのか?」
「急に横暴になるっぽい……」
俺の苦し紛れな言葉に夕立はため息をつきたそうに言葉を返される。
「ところでその提督適正って妖精さんの作った機械で計るあれよね?艦娘の力をどれだけ引き出せるか的な」
次は金平糖5個にするかな、とか計画を練っていると、夕立が純粋に疑問に思ったのであろう質問を飛ばしてきた。
「ああ、0から100までのやつで、80越えてれば妖精が見えるだけじゃなく喋れるということも分かるやつだ。まあ軍的には40くらいありゃいいらしいが……」
自分の軽い知識で返しながら、80以上なんてほとんどいねえしな、と付け加える。
「実際問題、提督さんはどれくらいすごいの?」
「フッ……聞いて驚け。なんと俺は98という圧倒的高さ……しかも大抵は生まれたときから持ってるもんだが、俺は珍しく後天的に表れたんだ。まさか俺も人生で二回目の検査を受けるとは思わなかったよ」
検査自体はいつでも受けられるからなと天井を見上げ言葉をこぼし、少し検査について振り返りながら思いを馳せる。
……国の制度で生まれたときに絶対に計らなくちゃいけねえせいで、もし適正があったら親は軍に関わらせず育てるかどうか決めなくちゃならねえ。正直荷が重いだろうな。
まあほんと、その子がどうなるかは親によるだろうな。俺の親なら……どうするかね
「結論を言えば俺は才能の二乗ってわけさ」
「そんなにすごいんだ……あれ?なら提督さんがこんな辺境の鎮守府を運営しているのは……」
「お前のような勘の良いぽいぽいは嫌いだよ」
「ぽいッ!?」
声色を冷たくしてそう言い放つと、夕立はこの世の終わりかのような声を上げる。
「まあ嫌いな冗談として、主な理由はお察しの通り俺本人が指揮とかその辺りが無能だったってことだ。他には上との不仲だったりと色々とあるが……」
自分でも予備の提督になるのかねえと思っていたが……提督適正値の高さが遠征にどのような影響が出るのかって考えてくれた人には感謝だな。
「……」
「夕立?」
「提督さん……夕立のこと嫌いっぽい……?」
「いつまで引きずってんだお前は。そういうネタだから安心しろっての」
妙なところでダメージを受けるんだよなこいつ……人の心の内は分からねえから仕方ねえが、どういう原理か知りたいもんだ。
……そしたら読心術的な本で一儲け出来そうだな
「かったるい話はこれで仕舞いだ。そろそろ執務でもやるか」
「さっきまでサボってた人とは思えない発言っぽい……」
ありえねえ妄想に浸るのは面白くねえと考え直し、多少回復したのであろう夕立の呆れとさっきまでの不安が少し残った視線をかわしながら仕事を開始するのだった。
「一段落っぽい?」
「ああ……」
「なら休憩時間にするっぽい。提督さん飲み物何がいいかしら?」
「あーなら、ココアで頼む。今なんかすげえ飲みてえ気分だ」
あの心地よい甘さは唐突に欲しくなるものがあるのだ。……まあ持論だがな。
「お任せっぽい!とびきり美味しいのを作るわ!」
「……頼んだぞ」
インスタントに美味しく作るもくそもないだろと思うが、水を差すのも悪いので特に口を挟まないことにした。
「ココア切らしてたみたい……」
「あー……まじか」
「ごめんなさい……とりあえずお茶っぽい……」
「いや謝ることでもねえよ」
夕立の回りだけ明度があからさまに下がりだす。……非がないのだからこんな風にならなくていいのになと、お茶を飲みながら考える。
「……あ!そうだ!」
「ん?」
もう少しフォローしようかと考えていると、突然夕立は頭に電球が見えそうな勢いの声をあげる。
「そろそろ遠征だから準備してくるっぽい!」
執務は帰ってから終わる量だから大丈夫と付けたし、夕立は嵐のように執務室を後にした。
「はぁ……」
ふと時計を見ると遠征までそれなりの余裕があるようだ。……いくら用意周到なあいつだからといって早すぎねえか?
んなことを考えていても仕方ないと、別のことを思考するようにする。
……そういやあいつらには今更ながら世話になりっぱだよな。家事の類いはほとんど任せちまってるし……俺も努力はしてるんだけどな……今度飯でも奢るか。
つっても上司がいても居心地が悪いよな……俺抜きの6人で行ってもらうのがいいのだろうか
「僕としては提督がいないと寂しいかな」
「えらく嬉しいことを言ってくれ……」
いつの間にか隣にいた時雨の声で言葉がつまる。てかナチュラルに思考を読むなよ……
「待てお前今どこから出てきた?」
「もちろんクローゼットの中さ」
「なんてとこからスポーンしてんだお前は」
そんな所から出てきた時雨と違和感なく会話しかけた己にむしろ恐怖を感じる。というかこいつはいつからそこにいたんだ……
「提督ー」
「なんだ?」
時雨は俺の疑念など知らないように、若干間の抜けた声で呼びかけてくる。
「ゲームしないかい?」
「なんの?」
「王様ゲームなんてどうだい?」
「二人でやるゲームじゃないんだわそれ。なんかの罰ゲームか?」
なんで50パーセントの確率に賭けることをしなくちゃならねえんだ。盛り上がりもなにもねえだろそれ。
「てか俺はそろそろ執務やるんだよ」
「え……」
また夕立に怒られるのはごめんだしな、と先程までのお茶休憩を切り上げ資料に向かおうとすると、時雨はありえないという顔をして話を切り出した。
「提督がサボらずに仕事をするなんて……そんなの提督の解釈違いだよ!」
「俺が俺の解釈違い起こすってなに?」
頭をかきながら返事をする俺の脳内は?でいっぱいだ。
「そういえば提督」
「まだ続くのか……」
「僕はそろそろ遠征に行かなければならないんだ」
「……おう」
本当に俺から話の主導権握るのうまいなこいつ……握られたら俺からしたらほぼ詰みだし。
文句を言っても強制キャンセルされるだけのような気がするので、とりあえず話を促す。
「足が痺れてうまく歩けないんだよ」
「そりゃあ大変だな」
「これを治すには提督のキスが必須なのはもちろん分かるよね?」
「治すのは足じゃなくて頭じゃないか?」
てか普通に立ってんだろと言いたいところだが、こいつに言っても聞かないんだろうなと思い直す。
「するわけねえだろ……お前も夕立を見習って準備でもしてこい」
「そこは大丈夫さ。準備を終えてるからこそ、ここにいるんだからね」
「まじか……はぁ……とにかくなしだ。おとなしく遠征に行ってこい」
そう言うと時雨はむすっとして、あーだこーだと反論を始めた。
どうやらいつも通りの口戦の開始のようで、仕方ねえ……と軽くため息をつく。
……これまたいつも通り時雨のとんでも理論に応戦するしか道はありそうにないな
いつもの設定などは次回に
前書きで言った修正点を2つ上げます
1つめは前回監査は半年に一回と書きましたが、一年に一回です。すみません(投稿直後に修正済み)
2つ目は2話の夕立の設定文を少し変更しました
理由としては今後の話的に説明足りてないと感じたからです。正直ほとんど変わっていませんが……
後編もあと少しで仕上がるので少しのお待ちを……