そして投稿ペースがまた落ちてしまい申し訳ない……おそらくこれからも1、2週間程度の感覚になりますがよろしくお願いします。
ある日の夜。寝ようと床についたはいいが、どうにも目が冴えてしまった俺は気分転換に海を横目に砂浜を歩いていた。
少し寒いなとフリースのポケットに手をつっこむ……もう11月の中頃だし当たり前か。
そんなことを思い浮かべていると岩場見つけ、ぼーっとしながら一休みするには丁度いいと考えそこに腰を下ろした。
あまりよく見えない星空を眺めながら、もうなんか仕事するのだるいしヒモにでもなろうかな、などというくだらない思考に時間を費やす。
俺はこういう一人でバカなことを考える時間が好きなのだ。
「あれ?珍しいね。提督がこの時間に外にいるなんて」
「……あぁ川内か。少し眠れなくてな」
よく考えるとヒモにしてくれるようなやつがいねえという結論にたどり着いていると、横から頭夜戦女子に話しかけられる。
ここ失礼するね、と川内は自然に隣に座る。
「提督もそんなことがあるんだね」
「……俺のことなんだと思ってんだ?……にしても懐かしいな」
「懐かしい?これは提督の過去が聞けちゃう感じかな?」
「楽しそうだなお前……単に軍学校時代からそういうときは、よくこんな風に外に出たってだけの話だ。もちろん消灯後だから上官に隠れてな。同じ部屋の友人もチクるようなやつじゃなくて助かったもんだ」
「え……」
「?どうした」
キラキラしていた川内の目が何故か驚きの色に変化する。
なんかおかしなこと言ったか俺……あれか?上官に隠れてってのがなんかまずかったか?でも今更そんな話でこんな驚くか……?
「提督って友達いたの……!?」
「人の心建造ドックに置いてきたのか?」
こいつ俺のことホントどう思ってんだ……?
俺が訝しげにいると、とうの元凶は冗談だよ、と笑っている。
「実際初耳ではあるけどね」
「そりゃ言ったことねえからな。まあ今でも普通に連絡は取り合う仲だ」
「へー……」
川内は本当に意外そうに相づちをうつ。
……その友人、もとい関西弁なのであだ名が関西弁のやつとはそれなりに仲がいい……と俺は思っている。
確かそいつは予備の提督になってたはずだが……そのあとのことはよく知らない。お互いに仕事の話はしない主義なのだ。……最近霞の前の鎮守府の提督の話はしたが。
まあそれ以外にもうちの艦娘の話とかはすんだがな。
「お前はどうしたんだ?」
話を切り替え、今度はこちらから質問する。まあ答えは大方の予想がついてるが。
「私はいつも通り夜を堪能するための散歩、ってとこかな」
「……ほんと夜が好きなんだな」
「そりゃあね。毎夜のルーティンだよ」
夜は最高だからね、といつも言ってることを付け加え、楽しそうに微笑む。
……というか答えがまじで予想通りだ。なんだかクイズが当たったような感じがして嬉しいな。
「この前はごめんね、夜に騒いじゃって」
余韻を噛みしめていると、今度は川内から話を切り替えてくる。
「ん?あぁ禁断症状のことか。別に怒ってないから安心しろ」
「そーなの?よか――」
「ほんと何で俺がこんな目にって、軽く絶望したけど怒ってないから安心してくれ」
「めっちゃ怒ってるじゃん!?しかも嫌な方向で引きずってるし!」
「冗談だ……ちょっとした仕返しだから気にすんな」
さっきの冗談のな、とつけ足しニッと笑うと、慌てふためいていた川内から最低だー!と不満の声をぶつけられる。
「まあ週に1度の夜戦演習が2回も護衛任務で飛んだのも原因だしな……」
「いや、ほんとそれには絶望したよ……しかも夜の哨戒のときは全然敵とあたんないし……」
一通り笑うと気を取り直し、話を再開させる。
……まじで護衛任務のタイミングがある意味で神がかってたからな。
「夜戦演習が増やせればいいんだが……分かるだろ?スケジュールとか、あと……」
「萩風だよね?」
「あぁ……むしろそっちが本命だな。……あいつは未だに夜が苦手だからな。最近はましだが、最初は夜の海に立つことすらままならなかったし……ほんと色々と大変……ってなにニヤニヤしてんだ」
昔を思い出しながらしみじみと語っていると、急に川内の表情がみるからに変わっていることに気づく。
「いやー提督の優しいエピソードを思い出してついね」
「今の話で何を思い出すんだよ……」
半ば呆れながら頭をかく。……どうせつまんねえこと――
「ん?萩風が眠れるまでずっと横にいたり、安心するからって頼まれて手を握ってたこととかかな?」
「……は?」
後頭部を金槌で強く殴られたような錯覚に陥る。……その話は俺がトップシークレットとして墓まで持っていくもののはずだ。何故こいつがそれを……
「誰だ……」
「え?」
「誰から聞きやがった……」
辛うじて出た声は絞り出したようなもんになっちまった。
「妖精からだよ」
「……」
「妖精がすっごく楽しそうにキャーキャー話してるから、なんの話って聞いたら教えてくれたよ」
「…………はぁ」
どこか得意気に話す川内を横に上を見上げながら妖精じゃなくてこれからメンタル殺しとでも呼ぶかな、なんてどこか達観したように冷静に考える。
「なあ」
「なに?」
「お前をアイドルにして儲けようって話でもするか」
「話題の変え方強引すぎるでしょ……」
それはないだろと言いたげな川内に煽るようにそんなことねえよ?、と言い放つ。
「そういうのは那珂の仕事だし」
「いや、お前でも良いとこいくと思うんだがな……」
こいつ顔はいいし、トークも俺と違って出来るし……歌もうめえし。
あ、まじでいけそうだな。なんか久々にうまくいきそうな話で顔がニヤケてきた。そんで俺がプロデューサーでさらに金を……
「プロデューサーになってがっぽりとか思ってるんだろうけどさ……正直人との関わりが大切な仕事で提督が稼ぐのは……ねえ?」
「そう……だな……」
こういうのを青天の霹靂というのだろうか。いやまあ、まじでやる気はなかったが……。
「これが人の夢と書いて儚いってやつか」
「そんな大層なものじゃないでしょ」
てかよく考えたら人と関わりが大切な仕事ってほとんどそうじゃね?……てことは俺に出来る仕事って……なんだ?
「じゃあ話を戻すけど」
「戻したら一生夜戦はなしだ」
「えっ!?」
テンションの上がり下がりが山と谷のグラフみたいになってると、川内がまた話を再開させようとするので先手をうっておく。
「横暴!鬼!悪魔!人でなし!」
するといかにも不機嫌ですと言いたげな表情になり言葉を投げ掛けてくる。
「横暴でも鬼でも悪魔でもねえよ」
「あ、人でなしは認めるんだ……」
「……その何か言いたげな目をやめろ」
……ボケにまじの憐れみの視線を送ってくるなよ。……まあ自分ができた人間じゃねえのは認めるが。
「安心してよ提督!提督の良いとこなら私、時雨の次に言える自信あるからさ!」
「1位のやつは逆に信用ねえな……」
……だってあいつ最終的に某青狸のいたわりロボットみたいになりそうだし
「うーんでも霞には負けそう……それに加賀にも……」
妙なことで頭がいっぱいになっていると、隣にでは川内がよくわかんねえことに頭を悩ませていた。
……なんでその二人が夕立とかより先に出てくんだ?もしかしてボケか?まあさっきボケを潰されたからツッコミはいれてやらんが。
「ふあぁ……いい感じに眠くなってきたし、そろそろ寝るわ。明日も用事あるし」
「あれ?明日休日だよね。用事ってなんなのさ」
2回目のあくびをしていると川内が単純に気になっているのか、首をかしげながらそんなことを聞いてくる。
「加賀と出かけるだけだ」
「え……」
「まさかデート!?デートでしょ!?デートだよね!?」
宝くじでも当たったのかってレベルで輝き始める川内に少し顔をひきつらせる。
「勝手に決めつけんな……別にそんなんじゃねえよ。お互いに本を買いに街に出かけるだけだ」
「なーんだ。折角面白そうな話だと期待したのに」
川内はまあそれはそれでかまわないけど、と砂のように言葉を溢す。
「残念だったな……てか職場恋愛、……しかも上司と部下とか。ぜってえ避けてえな」
「……それ時雨が聞いたら避けられないスピードでまっすぐ突っ込んで来そうだね」
「ホラーなフワッティーだな」
「ホラーじゃないフワッティーってなに?」
「……確かに」
同意の言葉を返しつつ、俺は睡眠を得るために腰を上げる。
「まあおやすみ。夜戦バカ」
夜の挨拶を済ませ、俺は鎮守府の方へと歩きだす。
「おやすみー半泣き提督」
「は?」
少し歩くと俺の黒歴史がまたもや晒されたので、ドスのきいた声で振り返るが……既にあいつは小さくなっていた。
……逃げ足早すぎるだろ。
「はぁ……」
寝る前に無駄に疲れちまったと思いつつ、まあそれなりに楽しかったなんてらしくないことを考えながら歩みを進めるのだった。
軽いキャラ設定
提督・・・稼げそうな稼げない話ばっか考えている人間。
関西弁に霞の前の提督の話をしたのはシンプルにやべえだろと愚痴りたかったから。
ちなみに関西弁以外の同期との仲はよろしくない。
川内・・・夜戦ガチ勢。
提督からは学生時代(軍学校ではない)の頃の友人のような感覚で話されている。
いつか提督の優しいエピソード一覧を作って本人の前で音読していじりたいと思っている。
関西弁・・・提督から本名を数回しか呼ばれたことがない。だがこいつも提督の名前を言わないのでどっちもどっち。
いつか登場する……かも?
前書きであんなこと言っといてなんですが、そろそろ忙しくなるので次回の投稿は遅れるかもです