ダメ提督と艦娘達   作:冷やし冷麺

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なんとか書き終わりました……(前回から1ヶ月過ぎていることに目を背けつつ)
てか相も変わらず萩風がでない。うちのパソコンには実装されてないんでしょうか。


第6話 加賀と買い物

「……」

 

「おはよう提督。何してんの?」

 

 朝、眠気が少し残るなか加賀の部屋の前に突っ立っていると、俺とは対照的に至って元気なジャージにマフラーという謎の格好の川内に話しかけられる。

 

 てかその服にマフラーはどうなんだ……かくいう俺もグレーのパーカーに黒のスウェットパンツと全くファッションセンスの欠片もないのだが。というかこいつの秋服のセンスの良さはどこにほっぽりやがった……

 

「おはよう川内。昨日加賀と本を買いに行くって言ったろ?そんで加賀を呼びに来たんだが、少し待ってほしいらしくてな」

 

「そうだったんだ。虚無を見つめてたから、てっきり電池でも切れたのかなって思ったよ」

 

「俺は電動だった……?」

 

「提督がそんなハイテクな訳ないか!」

 

「は?」

 

 よく分からない煽りに目付きがひでえことになる。電動がハイテクっていつの時代の人間……っても生まれはかなり前ならしゃあ……なくねえ。こいつの時代には普通に電気普及してたわシンプルな煽りだわこれ。

 

「……生意気なやつにはまた加賀に耳を引っ張ってもらおうか?」

 

「……それは勘弁かな。あれ痛すぎるせいで1、2ヶ月は禁断症状が起きないように自制出来るようになっちゃうから」

 

「それはせい、じゃなくておかげの間違いじゃねえか……?」

 

 真剣な顔をして呟く川内に呆れが例に来てしまう。

 

 ……というか加賀のやつが準備出来てないなんてな。いつもは俺が待たせる側なんだが……まあ時々あることだし気にせずいくか。

 


 

「この服で大丈夫かしら?五航戦のものまね一発屋(ツインテの方)」

 

「くどいし前よりグレードダウンしてません!?」

 

「気のせいよ」

 

 内心にある不安を出来るだけ隠しつつ質問すると、ずいかくは意図しない答えを返してくるのでそれを流しながら鏡に写る自分の姿を見つめる。

 

 私が今着ているのは新しく買った白のカーディガンに青のワンピースであり、この新しくが私を不安に駆らせているのだ。もしも提督に似合わないなんて言われれば私は間違いなく3日は寝込むだろう。……新しい服を買う度にこうなるのは我ながら情けないが。

 

「ていうかその質問もう10回は聞いてますよ!?絶対大丈夫ですから!ねえ?しょーかく姉?!」

 

 ……てっきり3度くらいだと思っていました。こういうの何度もやるのを天丼ネタ?というのでしょうか。……別にボケてるわけではないので違いますか。

 

「そうね……今の加賀先輩ならいつも誉めてくれるていとくはさらにほめちゃうと思いますよ」

 

「そうだよね!それにてーとくさんって元からよっぽどじゃない限り相手の服にとやかく言うタイプじゃないし」

 

「……分かったわ。ありがとうしょうかく、ずい……ものまねツインテ」

 

「なんで言い換えたんですか!?」

 

 あまりの必死さに少し微笑ましく思うと同時にいつまでも後輩……しかも妖精に励ましてもらうのも不甲斐なさを感じたのでいい加減腹をくくることにし、ついでにずいかくをいじる。……いつもは1人で悩んでもっと時間を取ってしまいますが、やはり誰かに相談する方が色々と良さそうですね。

 

「あら、もうこんな時間。そろそろ失礼するわ」

 

「腕を見てもそこに時計はありませんからね……!!」

 

 わざとらしく腕に視線を落とし部屋を出ると、川内とやいやいと会話している提督がいた。

 

「いや本当にめちゃくちゃ痛いんだよ!もうあの加賀は鬼そのものだよ!」

 

「誰が鬼なのかしら?」

 

 コメンテーターのように身ぶり手振りを使って伝えている川内に自分でも驚くほど冷たい声で話しかける。

 

「ゲッ!?加賀!?これはーそのー……」

 

 川内はビクッと肩を震わせたと思えば面白いほど目を泳がせ始めた。

 

「……あ!見てよ提督。加賀の新しい私服だよ!感想言っとかないと!」

 

「え?あぁ、似合ってんぞ……うん」

 

「……ありがとうございます」

 

 嬉しさから顔を少しそむけつつやりました、と心の中で付け加える。……思い立ったように言った川内の言葉のおかげなのが癪ですが。

 

「それで、どこの行くのかしら?川内」

 

「!あー……えっと……そのぉ…」

 

 抜き足差し足と静かに退散していた川内にまたも冷ややかな声をかける。

 

「ええい!秘技!提督プッシュ!!」

 

「っておい!」

 

「これにて退散!じゃーねー二人とも!」

 

 楽しそうに手を振って遠ざかっていく……別に今はそんなこと気にしていられない。

 

 川内が押したことで提督が私をいわゆる壁ドンという体制になってしまったのだ。そうだ……壁……え、え?顔……ちかい……

 

「あの夜戦バカ……俺を盾にしやがって。大丈夫か?加賀」

 

「~ーー……ッ」プシュー

 

「……まじか」 

 

 なんとも言えない表情をしている提督も全身から煙が出てるような今の私にはどこか他人事のように感じてしまうのだった。

 


 

「すまん、少し遅れた」

 

「構いませんよ。……買うのは漫画一冊と聞いていたのですが」

 

 なんやかんや……で済ませていいのか分からねえが、とにもかくにもクールダウンした加賀と共にショッピングモールに着いた俺たちはお互いに目当ての本を手分けして買い、店の前で合流したところだった。クールダウンさせてた影響でバスに乗り遅れたときは流石に焦った……そのバス逃すと次は一時間先だから洒落にならねえ。

 

 ……てか加賀がなんか呆れてんだが……別に俺おかしなことしてねえよな?1冊も10冊も同じようなもんだろ。

 

「?あぁ、なんか面白そうだからついな」

 

「……何で霞が貴方をお小遣い制にしたのかよく分かります」

 

「いやどこがだよ」

 

「数行前を読み返してください」

 

 加賀は先程の呆れがさらに深刻になったようで、さっそう哀れみすら感じる瞳で俺を見てきやがる。というか見た目中高生の霞に成人男性が金管理されてんだぞ……むしろ同情が欲しいくらいだ。

 

 というか鎮守府出たくらいから俺と加賀の頭の上とか肩で妖精がきゃっきゃっ遊んでるだが。しかも珍しく会話に入ってくるわけでもなくだ。何しに来たんだこいつら。

 

 ……考えても仕方ねえか。

 

「まあいいや……とりあえず時間も時間だし、飯食おう。どこがいい?」

 

「提督が行きたい所ならどこでもいいわ」

 

「そうか?なら……サイゼリ○とかどうだ?」

 

「いいですね。私もあそこは好きです」

 

「ならよかった……」

 

 ……こいつ基本提案したうまい飯屋はオッケー出すんだよな。まあうまいとこならなんでも良いという俺と同じような考えだろう。

 

 店の中に入り店員に人数を言い、暖房がよくきいてるしパーカー脱ぐか迷うな、なんてつまらないことを考えながらテーブル席の奥に座る。

 

「あのさ」

 

「なんですか?」

 

「何故隣なんだ?」

 

「……?」

 

「俺がおかしいみたいな雰囲気出すのやめてくれないか?」

 

 何故か加賀のやつはテーブル席であるにも関わらず隣に座ってきたので訝しげな目をすれば、きょとんとした顔が返ってきた。

 

 ……例の黒髪アホ毛の白露型を彷彿とさせたんだが。加賀ってあいつと同じ……ではねえよな考えすぎか?いやでもたまに写真を要求されるし……理由聞いたらはぐらかされたから結局よく分かってねえんだよな。

 

「……!あれを見てください」

 

 一人頭を抱えていたところ、加賀の言葉で現実に引き戻される。

 

「?ありゃ妖精か」

 

「あの子達がいるので対面に行けないんです」

 

 言われたとおり、そこには等間隔で席に鎮座している7人の妖精達だった。

 

 ……え?なにこの異様な光景怖……なんかの儀式と思われてもおかしくねえだろ、これ。……まあ回りには見えてねえだろうけど。

 

「お前ら、加賀が座れねえだろ。菓子今度買ってやるから、ちょっとどけ」

 

「「「「むり!!」」」」

 

「……あれはどかねえ感じだな」

 

「そうですか」

 

 気だるげに頭をかき呟くように伝えると、加賀はいつも通りすました顔で簡単に話を終わらせた。

 

「妖精さん達……ナイスです」ボソッ

 

「何がナイスなんだ?」

 

「……っ聞こえたんですか」

 

「そりゃ隣だしな……」

 

 泡を食ったような加賀にそれに俺は無駄に耳がいいからな、と付け加える。……まあ聞こえたわ良いがどういう意図なのか分かんねえがな。

 

「ナイスとは言ってません。アイスと言ったんです。最近暑くなってきたので食べたいな、と」

 

「今11月なんだが」

 

 腹も減ってきたこともありまあいいか、と話を切り上げメニューを確認する。

 

 俺はカルボナーラとドリア、加賀はデミグラスのハンバーグのライス大盛りにマルゲリータを注文した。

 

 ……ほんとよく食うなこいつ。別に悪いことではねえが。表情はあんま変わってねえがうまいと思いながら食べてるのが分かりやすいので見ていて気持ちはいいしな。

 

「そういやあ、今度感……じゃねえ。なんとなく、そう。なんとなくお前らに飯を奢りたいんだが……」

 

「そう。それはありがたいわね」

 

 感謝、と言うことに少々の恥ずかしさを感じ横目で加賀を見ながら言い方を変える。……なに微笑ましい雰囲気で返事してんだ……

 

「そんでさ、そのときに俺っていらねえよな?」

 

「は?」

 

 こちらを見つめ、威圧とも取れる返しに急激に温度が下がったような感覚に陥る。

 

「?だから。上司がいても盛り上がりにくいかなってさ。時雨はそんなことねえって言うが……やっぱ愚痴とか本人の前だときついだろ?てなわけ――」

 

「来てください」

 

「え?」

 

「来てください」

 

「いやでも」

 

「来て」

 

「……了解」

 

 先程のパーカーを脱ぐかどうかなんて話が吹き飛ぶほどに体が冷えたのである意味ラッキーだな、なんて現実逃避をする。

 

 ……まじで圧がすごかった。なぜここまで頑なに俺を行かせたがるんだ……?なんだか違和感を覚えちまう。

 

 ……ココアでも飲んで気持ちを落ち着かせるか。

 

「……飲み物、取ってきますね。提督はココアでいいですよね?」

 

「あ、ああ……って待て俺の分まで行かなくていいんだぞ?」

 

「提督は奥の席なので取りにくいでしょう?」

 

「まあそうだが……わりいな」

 

「……いえ、大丈夫ですよ」

 

 この気遣いでさっきまでの違和感吹き飛んでしまう俺はちょろいのだろうか……そんなことはないはずだ、うん。

 

「相も変わらず目付きが若干悪いですねー」

 

「あ"?」

 

 てかよくココア飲みてえって分かったなと思っていると、肩から癇に障ることを言う声がした。

 

「……なんだあかしか。何か用でもあっか?」

 

 ……どこから出てきたのか知らんが、大方フードの中にでも隠れてたのだろう。

 

 こいつはあかし……うちの工廠で装備の開発や点検、まあうちの主な装備はドラム缶くらいだからあまりそっちは出番ないな。点検も各自でやってるし。どちらかといえば自分の思いついたものを好き勝手に開発とかしてる妖精だ。ちなみに装備の改修ってのは出来ないらしい。あかしはあくまでも工作艦『明石』の艦娘ではなく、妖精なのだから違いがあるのは当たり前だが。

 

 こいつとはなんだかんだ長い付き合いで、俺が提督適正が開花した……確か中学生の頃からだ。……当時は回りから見えないナニカと喋ってると気味悪がられたもんだな、あはは。

 

 なんでだ?目から生理食塩水が……

 

「用がなくちゃ喋りかけちゃ駄目ですか?」

 

「なに2頭身の分際で乙女チックなことほざいてんだ」

 

 バカなんじゃねえのという顔でテーブルに降りてきたあかしを見下ろすと、また2頭身でいじってきたー!とやかましく捲し立ててくる。

 

「てか最近見なかったが、また工廠にでも籠ってんのか?」

 

「その通り!いっぱい提督が興味ありそうなものだったり、困……いや違う。喜んでくれそうなものを作ったり考えたりしてたんですよ」

 

「誤魔化せてねえからな?」

 

 あかしは自分も似たようなことしたくせに……、と理解できねえことを愚痴っている。

 

 ……なんのことだか分からねえな

 

「気を取り直しまして!今考えてる面白いものはー……やっぱり外見カップ麺で触れると軽い電流が流れる装置ですね……あ、これは提督の部屋に置いときますね」

 

「とりあえずそれ作ったらお前と一緒に叩き潰す」

 

「!?」

 

 天井がなん10回もひっくり返ったような顔をするあかしに思わず口角がある。

 

「ちぇー……まあいいですよ。まだすんごい隠し玉がありますし」

 

「……なんなんだ?それ」

 

「内緒です!でもそれを作るのにまず燃料などの4種類の資材がそれぞれ20万必要な――」

 

「はい却下」

 

「ですよねー……」

 

 トンデモ妖精は分かってましたよ、とえへへと笑っている。……ブラック企業も驚きのあまり倒産しそうな無理難題を押し付けてくんなよ……しかも企画隠されてるし。

 

「はぁ……一応確認のために言うが、うちの資材はほとんど上に渡してんの。そんで残った少ない資材でやりくりしてんだ。ある程度はお前に流してやるが、流石にその量は不可能。いいスポンサーでも見つけろ」

 

「そんなの無茶ぶりですよ!妖精の声が聞こえる人なんてただでさえいないのに!」

 

「なら今は諦めるんだな」

 

 ぐぬぬ、と悔しさを絵に描いたような顔になるあかしと、仕事を話をしたせいで渋い顔になる俺という最悪の落ちになってしまった。

 

「てかそんなもん考えてる暇があるならもっと金になるやつ作れよ。現金生産機とかさ」

 

「それシンプルに犯罪ですよ?」

 

 てかそんなもの造れませんよ、と夢も希望もないことを言ってきやがる。……出来てもこいつの言う通り犯罪なのだが。

 

「……またお金の話ですか」

 

「なんだよその顔……悪いか?」

 

 ドリンクバーから帰ってきた加賀は本日2度目の呆れを俺に向けてくる。

 

「そうですよいつもいつも。加賀さんとお金どっちが大事なんですか?」

 

「なんだその反応に困るボケは……」

 

 意味分からねえ、とばっさり切り捨てるとあかしは不満げな顔をしやがる。

 

 ……やめろ加賀、若干の気になるみたいな顔をするな。

 

「まあ私にデートを邪魔する趣味はないので、そろそろフードに戻りますかね」

 

「デー……っ!」

 

「デートじゃねえっての……」

 

 あかしはとんでもねえ置き土産をかまし、いつもの三倍は瞬きしている加賀となんか前もこのツッコミしたな、と検討違いなことを考える俺を残して宣言通りフードの中に戻っていく。

 

「ったく……川内もそうだが、困った連中だな……な?加賀」

 

「ええ……全くもってその通りよ。あんな言葉にいちいち動揺していたらキリがないわ」

 

 クールという言葉が似合う雰囲気と言葉で返しながら、加賀は手に持った飲み物を飲む。

 

「それ俺のココアだぞ」

 

「……ごめんなさい。私の飲み物と色が似ていたのでつい」

 

「お前のやつブドウジュースじゃん……」

 

 このあともピザを食べながら白米は美味しい、などと言うポンコツ具合が急激にアップした加賀に対応するのに苦労するのであった。




軽いキャラ設定
提督・・・霞に給料を握られている成人男性。
時雨のおかげ(?)で感覚が麻痺してる。
毎回店を選ぶのも悪いと思い加賀の好きな店で良いと言ったらあなたが選んで良いですと言われ、それをお互いにずっと繰り返し時間を浪費したので基本は自分で決めるようになった。

加賀・・・押しはそれなりに強いけど押しにはめちゃくちゃ弱い。
ちなみに買った本は上司と部下のラブコメもの。
隣に座ったのはほぼ無意識。やらかしたと思いつつ強硬突破しようとしたら負けかけた。妖精達(ずいかくたち含め)にはとても感謝している。

あかし妖精・・・天才発明家(自称)色々なものを創り出している。
提督が中学生からの付き合い。いつか『あかし』から『明石』になって2頭身と言わせないという野望を持っている

妖精達・・・提督と加賀がデートでもするのかと思ってついてきただけ。加賀のやらかしをカバーしたMVPでもある。

メインキャラの回が1週しましたね。次回以降どうなるかあまり決まっていませんが、一応次回は霞回です。
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