ダメ提督と艦娘達   作:冷やし冷麺

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最近艦これとエペしかしてない作者です
最近親潮を改二に出来てテンションマックスですね。ちなみに萩風については半ば諦めてます。
霞の進水日に偶々出来上がるという。誕生日関連の話ではないのが悔やまれる


第7話 霞と職務怠慢

「1、2、3、4、5……」

 

「……何してんのよ」

 

 太陽が真上よりかはおやつがおいしい時間に傾いた頃、腕立てに勤しんでいる俺に右上の方向から霞の釘のように尖った声が突き刺さった。

 

「?見たら分かるだろ。筋トレだ」

 

「……そうね、聞き方が悪かったわ。何故、今、ここでやってるのか聞いてるの」

 

 話をするためにあぐらをかき、肝心の霞の方を向くと椅子に座りながら目をつむり青筋が浮きそうな顔をしていた。

 

「何故って筋力の維持は大事だろ?今なのは暇だし、ここでやる理由は俺がここにいるからだ」

 

「はぁ……」

 

 今日も良い天気だな、とか思って窓を見ていると、俺の言葉を聞いた霞は大きく溜め息をつき、椅子から立ち上がりこちらに近づいてくる。

 

 そして、すぅとさっきとは逆に大きく息を吸う……嫌な予感が……

 

「今は執務中でここは執務室ってこと理解しなさいな!!!」

 

 霞は窓の外の木が揺れるんじゃないかってほど声を荒げて俺に口撃してきやがった。

 

 ……正直川内とかに比べれば大したことないが、普段声でかくねえやつが叫ぶと本来より大きく聞こえるもんで、予想外にダメージがある。

 

「叫ぶなよ……鼓膜が逝っちまう」

 

「誰のせいだと思ってるのよ!」

 

 耳を覆う動作をしながら呟くと、仲の悪い姉が弟を叱るような声が最初のより尖って飛んできた。

 

「それに今暇って言ったわよね?この書類が目に入らないのかしら?」

 

「目に入れても痛そうだし遠慮する」 

 

「あんたねぇ……」

 

 左腕を後ろの方にだるげに重心を置き見上げると冷え切った瞳で見下ろされた。

 

 ……最初の頃に比べたら心理的ダメージは減ったんもんだな。まあ最初はノータイム罵倒だったというのもあるが、今となっちゃ仲がいい……のかは俺の一方的な見解だが、そういうところのおかげだろう。

 

 ……てか喧嘩の原因の9割9分俺なのだから、俺がしっかりすればいいのだが……そう簡単には直せない。これが大人のプライドってやつか。

 

「別にいいだろ。俺は追い込まれないと本気出せねえんだよ。定期テストとか前日にギアが最高になるタイプなんだよ。それに今日の仕事いつもより量少ねえし」

 

「確かに毎回仕事は終わらせてるし、量もそれほどよ。けどね、私が言いたいのはそんなギリギリしゃなくて、もっと余裕を持った人生にしなさいって」

 

「分かった分かった。やるよやるよ。……気分乗ったら」

 

「……ったく。次の秘書艦のとき覚えてなさいよ」

 

 気を取り直して持論をぶつけると正論で返されて完全敗北をかましたので、目をそらし適当に言葉を溢す。

 そんな俺に呆れ返ったのか、霞はそれ以上は何も追及せず、最後に一言不穏なことを残し椅子に戻っていった。

 

「……ちょっとさ。言いたいことが1つあんだよ」

 

「そりゃあ素晴らしい話ね。はい、仕事しなさい」

 

「まだ何も言ってないんだが」

 

 俺も机に向かい足を伸ばして座りながら一拍置いて話を始めると、光もびっくりの速さで話を中断させられた。

 

「お前が給料を管理してる現状について物申してえんだよ」

 

 そんなことにもめげずに教師に質問するように手を上げて聞くと仕事をやめ霞はふぅ、息をつく。

 

「……もしもここに1万円あるとするわ」

 

「いきなりなんだよ」

 

 霞のやつはまあ聞きなさい、と話を継続させる。

 

「1ヶ月後に欲しいゲームがあって、それが1万だとするわ。あんたならどうする?」

 

「待つのだりいし全財産使って他のもん買う」

 

「そういうところよ」

 

「……?」

 

 ……どういうことだ?という感じで目を見開いて疑問の顔で霞を見つめる。

 

「こんな風にあんたが限られた金をバカみたいにどかどか使い込むから管理してんのよ!」

 

「なんだよ俺がわりいのかよ……経費に手え出してねえんだから多目に見ろよ」

 

「なに当たり前のことを高らかに話してんのよ!」

 

 霞の言葉に気圧され、少し顔をしかめながらもめくるめくような言い合いの中で反論を咄嗟に頭の中で整理していく。

 

「……この前この話を同期のやつにしたらまじそれ?って引いてたぞ?」

 

「それはあんたに引いてんのよこのクズ!」

 

「いーや、絶対にお前の行動のクレイジーさに引いてたに決まってるな」

 

 そうだ、あの同期……関西弁はいつも俺の味方だっ―――

 

『あ!これお前のプリンやったん?めんご☆』

 

『うーい!俺よりスマ○ラ歴長いのに復帰ミスっとるやんけ!!あはは!』

 

 ……思ったより敵だな、うん。

 

「……もっと金がありゃあ今の金額使ってもなんにも言われねえだろうに」

 

「……それたまに言ってるけどね、その浪費癖がある限りどうせ使う額が増えるだけよ」

 

 明らかに敗けだったさっきまでの水掛け論から話の論点を少しずらす。

 

「そもそもこの鎮守府じゃあ戦果は上がらないから出世がない。つまりあんたの給料もほとんど上がんないんわよ」

 

「出世……起きたら元帥にでもなってねえかなあ」

 

「あんたが元帥とか軍どころか日本の終わりね」

 

 確かになと嫌な納得しながら、悲しさからの逃避のために机に突っ伏す。

 

「あーあ。あのとき教官と方向性の違いで揉めなきゃなー……ここに来る以外の未来もあったかもしんねえのに」

 

「バンドの解散原因みたいな理由で軍でいざこざ起こさないでよ」

 

 ……まあ元から出世に興味はなかったが。霞のどうしようもないなこいつみたいな視線を浴びながら本音を心に漏らす。

 

「一応言っておくが、俺が稼ぎてえのは何もさっき言ったことだけが理由じゃねえんだ」

 

「……何か訳があると」

 

 力を抜いて椅子にもたれて、手遊びがてらなまじうまいペン回しながら話を進める。

 

「あぁ……実は俺の実家の家計は火の車――」

 

「……そのために」

 

「て訳でもなく普通の家庭なんだけどな。金が欲しいのはシンプルに働きたくねえってだけ」

 

 わざとらしくははは、と笑っていると霞の方から返答がないと不思議に思い、座り直してそちらに目をやる。

 

「……んだよその目は」

 

「別に?喋るナメクジがいるわねって思っただけよ」

 

「無脊椎まで堕とすのやめてくれねえか?」

 

 霞は本格的に失望まじりの顔でひでえことを言ってきやがる……いや別にナメクジ嫌いじゃねえけどさ……これは流石に、なあ。

 

「そうね、侮辱になってしまうわね。謝っておくわ」

 

「えらく素直じゃねえか」

 

「ナメクジに」

 

「……俺の名前はナメクジじゃねえぞ」

 

 霞は俺の精一杯の抵抗をスルーし、おもむろに立ち上がる。

 

「それじゃ、私そろそろ行くから」

 

「行くってどこに……ああ、任務か」

 

「あんた……流石に仕事把握してないことはないわよね?」

 

「……大丈夫だ。輸送船の護衛だろ?」

 

 そう答えるとまあ流石にね、と安堵の表情を見せる。……なんで立ち上がったのか一瞬分からなかったがな。ま、これくらいはしゃーねえだろ。

 

「あーそういやあ」

 

「どうしたの?もう時間押してきてるから行きたいんだけど」

 

 まあ待て、と手を前に出しちゃんと必要な話なので引き止める。

 

「今回の輸送船のルートなんだが……前日に恐らく、はぐれである深海棲艦が数体確認されたみたいでな。そいつらは既に倒してもう安全らしいが……もしもってこともあるだろう。気をつけておいてくれ」 

 

「了解……でもそんな重要な話、もっと早くに言いなさいよ」

 

「てへぺろだな」

 

「は?」

 

 般若も驚きの怖さを見せてくる霞に、まあ直前の方が忘れないだろ?と俺の薄っぺらい考えを述べる。

 

 ……この輸送作戦。俺としては敵が確認された翌日である今日は中止、もしくはルートの変更を望んだのだが、上としては完璧な日程である今日、最短であるこの海域がいいと押し通されてしまったのだ。……まあこの程度のことで不安になってるようじゃ提督失格なんだろうな。

 

「……そうだ。私からも1つ言っておくけど。晩御飯、冷蔵庫に入ってるからちゃんと食べておくようにね」

 

「……わざわざ作らなくて良かったんだぞ」

 

 切り替えたのか、さっきまでの雰囲気とはうってかわった霞に対してコンビニとかで買ってくんのに、と申し訳なさからそんなことを言ってしまう。

 

「それをして食べてた試しがないでしょ。前だって買いに行くのだるいとか言ってなんも食べてなかったじゃない」

 

「……」

 

 論破され行く宛のない目線を適当に左にそらす。

 

「あと、今晩は冷えるらしいから寝るときしっかりと着込むか、毛布増やすかしなさいよ」

 

「りーりー」

 

「省略したのに2回言ってどうするのよ……」

 

 了解2回言うより少ないから効率としてはいいだろ……えっと了解の文字数は……だりいしもういいか。

 

「それじゃ、今度こそ行ってくるわね」

 

 ぽけーとつまらないことを思考していると、扉前にある靴箱から室内靴を取り出して履き、一言置いて部屋から出ていく霞に行ってらー、と手を振る。

 

 ……あいつ時間押してきてるとか言いながらそれなりの長さの話をしっかり全部しやがった。2つ目に関しては今じゃなくていいし。

 

「……そろぼち執務でもやるか」

 

 何故かきゃーきゃーという声が混じった妖精の笑い声が聞こえてくる。

 

 ……俺とあいつとのやり取りか、それとも今からしゃあなしに仕事をする俺か、それともまた別の何かか。何で笑っているのか俺には到底分からなかった。




軽いキャラ設定
提督・・・大人のプライド(笑)を持っている。
何故霞とそれなりにうまくいってるのかよく分からないとのこと。
昨日の夜に電話にて進言する際、緊張で噛みかけた。

霞・・・提督とそれなりにうまくいっているのは元が劣悪な環境だったのを考慮してもよく分からないとのこと。
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