TS転生転生したから貴族を辞めて冒険者になる事にしたけど、何故か前世の親友が付いてきた。 作:ポテふ
「…ふぁ」
朝日と共に目が覚める。
衝動的にあくびが出たのであくびをひとつ。
「いってて…」
夜中に家を出たせいで泊まる場所がなかった俺は、屋敷から程よく離れた森の入口の、樹の側で野宿をすることになった。
案の定、変な体制で寝てしまったせいで節々が痛いし、若干首が寝違えてしまった。
ぐぅーーと腕を上げ背筋を伸ばす。
「…いや、いった!!やっぱ寝違えてやがるっ」
気を取り直して、毛布をアイテムボックスにしまい、換わりにレイピアを取り出した。
本当はこんな携帯するやつじゃなくて、亜空間みたいな携帯する必要のないスキルが欲しかったのだが残念ながらそんなものはこの世界には無かったので、こうして携帯用のアイテムボックスで我慢している。
いつか、そんなスキルが使えるようになればいいなぁとなんとなしに考えながら、俺はギルドへと向かった。
「おはようございます、何か御用でしょうか?」
「あの、冒険者登録をお願いします」
早朝、人がまばらにちらほらと見受けられる頃に俺はギルドへと到着した。思いの他時間がかかってしまったが、予想に反してギルドは混んでいなかった。
「かしこまりました、手続き致しますのでまずはこちらの認証をお願いします、この水晶に手を触れていただけますか?」
「はい」
受付嬢の言う通りに、そっと差し出された水晶球に触れる。するとパァと光が出たかと思えばすぐに光は納まった。
「…犯罪歴なし、と、はい大丈夫みたいですね、ではお次にこちらの紙にお名前と年齢、役職をお書きください」
「はい、分かりました」
俺は紙を受け取るとサッと目を通し、ベラミン、16歳、魔法戦士と記入し、受付嬢へと渡した。
「…はい、問題なくかけていますので、こちらの情報でカードを発行いたします、少々お待ちください」
そう言うと受付嬢は奥の方へ行き、なにやら作業し始めたが数分後に受付嬢は戻ってきた。俺は新規で発行された冒険者カードを受け取ると、ついでにギルドの説明をしてもらった。
「またのお越しをお待ちしております」
丁寧なお辞儀で見送られながら、俺はギルドを出て今度は宿屋探しへと向かった。
約30分くらいだろうか、街を歩き回って見つけたのは『コロニーの宿』という古めかしくも綺麗な宿屋だった。
「…こんにちは~」
玄関の戸を開け、軽く声をかけながら入る。しかし、カウンターらしき場所には誰もいなかった。はて?店主はいづこへ。
もしかしたら店主は寝ているのかもしれない。だとするとちょっと早く来すぎたかもなぁ…仕方ない、出直すか。
そう思って入口へと向かった時だった。
「…うきゃあぁぁ!!!」
「…!!」
ドンガラガッシャーンと慌ただしい音が後ろで鳴り響いたと思えば、それと共に桶やら盥やらがゴロゴロと転がってくる。
なんだなんだ!?と慌てて振り返れば、地面に倒れ伏すケモ耳少女。
「…」
沈黙。
プチトリップから覚めた俺は急いで倒れ伏す少女に手を伸ばした。
「あの、大丈夫ですか?」
「…はぇ?あ、は、はい」
うつ伏せのまま動かない少女の肩をぽんぽんと軽く叩きながら声をかけると返事があったので、腕を掴んで起こしてあげる。
「…あ、ど、どうもありがとうございます…!」
俯きながらピコピコとケモ耳を動かしお礼を行ってくる少女。あの、その耳触らせてもらっていいいっすか?いや先っぽだけでいいんで、そんでちょっと匂いなんか嗅がせていただければ最高かなぁなんて!
そんな邪念たっぷりの俺と反して、目の前のケモ耳少女は真面目な子であった。
「あの、すみませんお騒がせして、お客様ですよね?何泊お泊まりになりますか?」
「え、はぇ、えっとぉ、取り敢えず4日でお願いします」
「4日ですね、お食事やお風呂は如何なさいますか?」
「そうですね…食事は2食で、お風呂もお願いします」
「かしこまりました、ではお食事の場合は1階の酒場に行ってください、お風呂についてですが、行水用の盥を夜にお持ち致します、最後にこちらの紙にお名前を、さし支えなければ冒険者カードや住民カードの提示をお願いします」
さっきまでのドジっぷりが嘘のように少女きびきびと接客をしてきた。
俺は渡された紙に名前を書き、先程発行したばかりの出来たてホヤホヤな冒険者カードを提示した。
「ありがとうございます、それでは会計が1500Gになります」
1500、1500か、以外と高いな…。
そう思いながらも仕方ないので1500Gを支払う。
「こちらがルームキーになります、無くしてしまうと面倒なことになるので、出来れば安全に保管していただけるとこちらとしても助かります」
「…はい、大事に持ってますね」
「よろしくお願い致します、それではごゆっくりどうぞ」
まるで転んだのが嘘のように完璧に接客された俺は、笑顔を張りつけたままのケモ耳少女をチラチラと見ながらも、特に言及する気もなかったので大人しく部屋へと向かった。
凄く、後ろからの視線が痛かったような気がする。