ガンダムビルドダイバーズ ーBeast of vocationー 君が呼んでくれたから 作:鮭児
初めてのGBN、初めてのミッション、そしてバトル。華々しいというよりは慌ただしいデビューとはなったわけだがーー、
「ヒカリちゃん楽しかった?」
「災難だったけど、とっても楽しかったです!」
すぐ隣でコンビニの肉まんに齧り付き、ハムスターのように頬をパンパンにしたヒカリちゃんが楽しかったと言うのならそれで良しとしよう。ああ言う輩には遅かれ早かれいつかは出会う、その時が早かっただけ、そう言う事にしよう。
「それ美味しい?」
「はい!流石新発売、初めての味です!1口食べます?」
「え、あぁじゃあ1口」
差し出された肉まんの味は少し上品なタイプの味。昔修学旅行で食べた中華街の肉まんに少し似ている。
一通り噛んで飲み込んでから気付く。
ーーこれ、関節キスじゃね?
刹那、全身から吹き出す嫌な汗、脳裏にぐるぐると回るパトライトとサイレンの音が反響する。俺何かやっちゃいました?じゃなく完全にやっちゃってるんだよ馬鹿野郎。
不意に隣を振り向けば、当の本人も、ハッと我に返ったのか赤い顔で気まずそうにしている。一時のノリに任せるものでは無いな、うん。
「あの……」
少しでもこの気まずい空気を何とかしようと頭を巡らせていると、不意にヒカリちゃんが口を開く。
「さっきGBNは初心者だって言ってたけど、あの動き……」
「あぁ、昔ちょっとね。結局色々あって辞めちゃったんだけどね」
ーーいい歳したおっさんが年下相手にイキってんじゃねえぞ!
さっき戦った連中の言葉が過ぎる。正直久しぶりの戦いに高揚していたのは事実、実際調子に乗っていたのも否定できない。それがヒカリちゃんにはどう映ったのか、ふと気になった。
「ヒカリちゃん、その、やっぱりいい歳した大人があんな風にやるのって……ーー、」
「かっこよかったです!」
「え?」
「私、昔からお父さんがヒーローが好きで一緒に見てたんです。でもガンダムは難しいから大きくなってからって見せて貰えなくて……でも見たいってこっそりお父さんが見てるとこ覗いたらフリーダムが初めて登場した回で!」
「あぁ、あの回か……」
俺も度肝を抜かれた記憶がある。まあ、1番好きだったデュエルが一方的にやられて複雑だったけど……
「凄くかっこよかった。ストーリーも後から詳しく知って好きになったけど、やっぱりあの時の出会いがあったから私があるんだって、そう思うんです。ケンゴさんの戦いは、あの時と同じくらいかっこよかったです!」
「少し買い被り過ぎな気もするけど……ありがとう」
なんか、素直に嬉しい。
「あの……私、もっと強くなりたいんです。あの子がもっと自由になれるように」
あの子、とはヒカリちゃんのガンプラのことだろう。
「だから、私をもっと鍛えて下さい!あの子に相応しいダイバーになれるように!」
真っ直ぐな瞳に思わず吸い込まれそうになる。冷やかしでも冗談でもなく、その気合いの程が一目見てとれる。ただーー、
「俺には役不足だと思うよ?」
俺より強い奴なんて星の数ほどいる。俺は誰かに教えられる程の技量はない。
「いえ、これも何かの縁です!私が今決めました!ケンゴさんじゃなきゃダメです!じゃないと勝手に私のポーチの中見たことバラします!」
「ちょ!?それは反則じゃ……」
「だったらーー」
サッと手を差し伸べられる。
「私と組んでください。まずはコンビ、ゆくゆくは大所帯のチームに、そして目指すはGBNNO.1!」
真っ直ぐだった瞳は、いつの間にか野心の炎で燃えたぎっている。漠然とした夢想家、いや、こどもっぽいと言うべきか。初めて見た時のお淑やかはどこへやら、蓋を開ければとんだじゃじゃ馬娘じゃないか。
「ハイハイ、善処しますよ」
差し伸べられた手をとる。これから気苦労させられる事が目に見えている。なのに何故か俺の胸の内は、期待にも似た高揚を感じていた。
「あ、じゃあスマホ貸して?」
「え?」
状況を理解するよりも前にスマホを取り上げられ、直ぐに手渡される。そこには知らない番号とSNSのアカウント。
「私の連絡先です!また一緒にやりましょう!とりあえず今度の週末に!」
なんというか、嵐のような娘だったな……
怒涛の連続投稿(๑•̀д•́๑)キリッ