この遠い宇宙に願うなら   作:ヨッシー119

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第一章 落ちてきた少女

 少年は銃を手にとり的に向かって撃つ。すると一人の男が声をかけてくる。

 

 「圭、銃ってのはなただ撃てばいいってもんじゃねえ。自分が相手をどうしたいのか明確な理由をはっきりつけてその目標によって撃つ場所が変わる。それに常に弾数のこと、風向き、状況を把握するんだ」

 

 男は少年から銃を受け取ると頭に二発、胸に三発撃ち込んだ。

 

 「ま、お前にはまだ早いか、いずれできるようになるさ」

 

 男はそういうと少年・・・・自分の視界が暗転していく・・・・・・・・

 

 ◇

 

 「んあ!?」

 

 少年は間抜けな顔をしながら目覚めた。

 

 「夢?小さい頃の俺と親父?」

 

 夢を見ていたのだと安堵した少年は時計を見る。

 

 「いけね!遅刻だ!」

 

 少年はベットを飛び起きると急いで支度する。彼の名前は轟 圭(とどろき けい)。どこにでもいる普通の高校生だ。今日から夏休みである彼は先輩である五十嵐 剛(いがらし ごう)と約束をしていたのだった。

 大急ぎで服を着替え玄関へ向かう。いつもの日常でさらに夏休み、浮かれないはずがなかった。ふと玄関横にあるペンダントを取ろうとする。

 

 

 ポロッ

 

 

 「あっ・・・・」

 

 落としてしまった。

 

 「くそ、やはりまだ慣れないな」

 

 普通の手ではなく義手で取ろうとしたがうまくつかめなかった。圭がこの手になったのは5年前の忌々(いまいま)しい記憶。

 

 

 KAGO101型墜落事故

 

 

 死者460人余りをだし、世間的には有名な事件である。圭は墜落事故の唯一の生存者でありその代わりに左手が義手となり父まで失ってしまった。あの大惨劇の代償としては小さすぎるほど圭は幸運だった。

 嫌なことを思い出しつつもペンダントを取り首にぶら下げる。圭が使っているのは最新式の義手で通常の手と変わらないくらいの作業ができることで有名だが一部の富豪や圭のように父親が政府とつながっていることなどでしか手に入れることができないためまだテストの段階が少なく完璧に扱えるものはいないのだ。

 しかし日常生活を送る上ではなんの問題もない。スプーンだって握れるし銃だって持てる。なんの問題もないのだ。圭は玄関を出ると学校へ向かった。

 

 ◇

 

 学校の部室に着くと一人の男性がいた。

 

 「やあ圭君、おはよう」

 

 「おはようございます。剛先輩」

 

 そう圭の悪友であり一つ年上の先輩、五十嵐 剛(いがらし ごう)である。彼らは夏休みが始まる何日も前から部室に篭ってもの作りをする計画を立てていた。まあ実質開発を主にしているのは剛であって圭はあくまでサポート、それ以外は自分の趣味に費やしているのだが・・・・。

 

 「圭君、もう少しで完成しそうだ。我々が知恵を絞り出して作ったあれが!」

 

 「え!?もうその段階まで!?」

 

 「ああ、あとは燃料が必要だな。核燃料さえあれば完璧だがな、ハハハ」

 

 「核燃料って笑、そんなもの簡単に手に入るわけないじゃないですか!」

 

 二人が何を作っているかというと『瞬間転移装置』、通称ワープ装置と言われるものだ。なぜこれを作っているのか、それは・・・

 

 「長かったな、これで親父の作れなかったものがようやく」

 

 「長かったですね。自分は不可能だと思ってました」

 

 「君はよくやってくれたさ、ありがとう」

 

 「特に何もしてないですよ、素材集めたりしただけで」

 

 そう二人がこれを作っている理由は剛の父親五十嵐 大吾(いがらし だいご)の夢であった。

 大吾は生前ワープ装置を作ることを夢見ていた。それは幼い頃に見たSFもののアニメを見た時からだった。彼は設計図を途中まで書いていたが圭の父親と同じくKAGO101型墜落事故によって命を落としていたのだ。そこからは簡単である。息子である剛が父の話を昔から聞いていたため同じ夢を持ち父が亡くなったその日研究を引き継いだのだった。

 

 「うーむ、親父の設計図には動力源となる燃料の詳細が詳しく書いてないからなあ、プルトニウムさえあればなあ。あるいは火星で取れるMエナジーとかな」

 

 「それらは政府の人たちにしか使えないし無理ですよ」

 

 「だよなあ、完全に行き詰まりだ」

 

 二人はよく考えていたが結局いつも通りアイディアが浮かばず剛は他の研究に没頭し圭に関してはバイクいじりなどをするのだった。

 

 ◇

 

 「圭君、今日はもうお終いにしよう。根詰めても何も出ないし、何より腹が減っては戦はできんっていうからな、飯でも食いに行こう。奢るぞ」

 

 「え!?この間も奢ってくれたじゃないですか!大丈夫ですよ」

 

 「なに、可愛い後輩のためだ、こんなもん安い安い」

  

 「ありがとうございます」

 

 結局なんの進展もなく1日が終わってしまった。二人は帰りの支度をし部室を出る。

 

 「ラーメンでいいか?」

 

 「はい、大丈夫です」

 

 「じゃあいつもの店に行くか」

 

 道中、剛が質問をしてきた。

 

 「夢に出てくる女の子は思い出せたか?」

 

 「いえ全く。顔も名前も知らないし、まずなんで出てくるのかもわからないですよ」

 

 「そうかあ、君、兄妹はいたか?」

 

 「いえ、いないです」

 

 「そうか、まあ無理に思い出そうとしなくてもいいさ。いずれわかることもあるかもしれないしな。よし!ついたぞ!たらふく食え」

 

 ラーメン屋に着くと二人はいつもの醤油ラーメン、味噌ラーメンをそれぞれ注文し食べた。店から出た二人はいつも通り満足げな顔で出てくると・・・

 

 「ふー、やっぱうまいなここのラーメンは」

 

 「ええ、相変わらずうまいです」

 

 「さてと腹いっぱいになったことだし帰るとするか、明日は昼からでいいぞ」

 

 「わかりました。この夏の間に完成させましょう」

 

 ラーメン屋で別れた二人はそのままそれぞれの帰路につくのであった。

 

 ◇

 

 ーーーーーーーーー苦い、苦いーーーーーーーーー

 血の味がする腕が痛い、左手からどくどく血が出ている。

 自分のことはどうでもいい、早くあの子を・・・・・

 

 「どこだ・・・・・あ・・・・・り・・・・・・・返事を・・・・・・・どこ・・・・・・・」

 

 探しても探しても見つからない、いったいどこにいるのだろうか。ぐしゃぐしゃになった金属の下?それとも地面にたおれているのか、少年は探す。

 そのうち意識が朦朧としてきて・・・・

 

 「くそ!どこだ!絶対に生きてるだろ!なあ!○○○!」

 

 わずかな望みをかけて探す。

 しかしくれどもくれどもバラバラになった足や腕、臓器が飛び出しているのもいた。

 

 「どこ・・・・・・・・・・・だ・・・・・・・・」

 

 少年は意識を失ってしまった。

 

 ◇

 

 「ああああああああああああああああ!」

 

 突然ガバッと起きた圭はたくさんの汗をかいていた。

 

 「はぁはぁ・・・・・・」

 

 あれは自分が経験したことなのか、全くわからない。いやそんなはずはないあの事故が起きた時自分は墜落の瞬間に気絶したのだ。そうに決まってる。

 圭は自問自答をすると落ち着くために深呼吸をし考え込まないようにベッドから出た。

 

 ◇

 

 圭は朝食を済ますと支度をし商店街へ向かった。

 

 「一週間分の食料を買い込むわけだが何にしよう」

 

 午後から部活のため今のうちに買いだめをしようと思った圭は無難な買い物を済ませ帰路につく。そして学校へ向かう。

 

 学校へ着くと部室から大きな声が聞こえた。圭が部室に入ると。

 

 「くそ!ダメだ!これじゃあどうしてもエネルギーが足りない!」

 

 剛が暴れていた。机にはいくつかのサンプルがある。どれもうまくいかなかったのであろう。

 

 「先輩落ち着いてください。まだいっぱい休みはあるんですし大丈夫ですよ」

 「ああ、すまない。取り乱してしまった」

 

 二人は部屋を片付けると昨日と同じ作業を繰り返していた。

 

 「今日もダメか・・・・・」

 

 「うーん思ったよりきついですね」

 

 「明日は休みだ、一度頭をスッキリさせよう」

  

 「わかりました」

 

 昨日と同じように帰路に着くと圭はベッドに横になり眠ってしまった。

 

 ◇

 

 ふと目が覚めた。携帯を見て時間を確認する。時刻は12時を指していた。

 

 「帰ってそのまま寝ちまったのか?喉が渇いた」

 

 圭はベッドから起き上がると階段を降りて台所へ向かい、水を飲み一息つく。

 

 「今日は星がよく見えるな、もう少しよく眺めたい」

 

 ベランダへ行き一眼レフを構える。機械いじりが好きな圭だが、バイクで景色を撮りに行くのも彼の唯一の楽しみなのである。

 

 「お!?」

 

 ふいにキラッと空に光線が流れる。流れ星だ。

 

 「こんなに流れるのか願い事をしたいが早すぎて無理だな」

 

 そう言いつつも心の中で願い事を思う。すると一つ奇妙なものを見つけてしまった。

 

 「あの流れ星。やけに光り続けてないか?」

 

 そう、流れ星が光り続けてるのである。だいたい流れ星は数秒で消えてしまうはずだが、それはずっと光っている。一瞬自分の目がおかしくなったのかと思い何度も目を擦るがその光景は何度見ても同じだった。

 

 「なんだ・・・あれは?」

 

 その光はだんだん近くなってきており、それはまるで隕石のようで・・・・・

 

 

 ドカアアアアアアアアアアアアン!

 

 

 それは落ちた。考える間もなくそのまま落ちてしまった。

 

 「なんだあれ!?」

 

 圭はその物体が落ちたところへ駆け出していたそれは思い出したくもないあの場所へと・・・・

 

 「はぁはぁ・・・」

 

 着いた。あのおぞましい場所。今すぐにでも戻りたい、この公園には来たくない。しかしあの落下物が気になってここに来たのだ。ここでやめるわけにはいかない。圭は入り口に差し掛かろうとした時、案内板付近に見知った顔がいるのに気づいた。

 

 「先輩?」

 

 「おお!圭君、君がここにいるということはあれを君も見たのか?」

 

 そう、やはり圭の先輩でもある剛も来ていた。

 

 「はい、先輩も見たんですね。あれがここに落ちていくのが見えて。それで」

 

「そうか、俺もあれを見てすぐさまここに駆けつけたんだ。君が来てくれたら心強い。では行こう」

 

 剛と一緒に落下現場へ進もうと圭は一歩を踏み出す。

 

 「うっ・・・・」

 

 「どうした圭君?そうかここは君が苦手な場所だったな。どうする、俺が調べてこようか?」

 

 突然額から汗がぶわっと出て来たかと思ったら足がすごい勢いでガクガクと震えていた。

 

 「い、いえ。自分も行きます」

 

 「そうか、しかし無理はするんじゃないぞ」

 

 足の震えをなんとか抑え、額の汗を拭う。圭は一呼吸置き歩を進める。段々あの場所に近づいていると考えると今にもUターンをし戻りたいと思うし吐き気を抑えるので精一杯だ。しかし落下物への好奇心が圭の歩みを止めることができなかった。

 

 「ようやくついたな、圭君大丈夫か?」

 

 「ええ、なんとか・・・」

 

 「あれが落ちてきたものか、ふむ」

 

 剛はそういうと落下物の周りを確認し始めた。どこから出したのかいつの間にか耐熱グローブを手に付け落下物を叩いたり破片を確かめている。

 

 「材質は宇宙船とかに使われるアルミニウム合金だな、外装の損傷度から見るにそんなに壊れていないからやはりこれは宇宙船だろう。しかし誰が乗っているかだ、どこかに開閉スイッチみたいなものがあるのか?」

 

 「どうでしょうね・・・あっ・・これじゃないですか?」

 

 タッチパネルの開閉スイッチらしいものを見つけ開閉させようとする。

 

 「いいですか?開けますよ?」

 

 「うむ、やってくれ」

 

 意を決して開閉スイッチを押す・・・プシュウウウウウとともに天井の扉らしきものが開いた。中を覗くために宇宙船によじ登る。恐る恐る中を覗くと・・・

 

 「お、女の子?」

 

 中には茶髪がよく似合う端正な顔立ちの女の子が倒れていた。

 

 ◇

 

 「さてどうしたもんか・・・」

 

 圭は困っていた。それもそのはず父親が亡くなってからはこの家に人が入ることは一度もなかったし、ましてや女の子が自分と同じ屋根の下にいるのだ。今まで彼女の一人も出来たことのない圭にとっては初めての経験である。

 

 「お、落ち着け、うん。お茶でも飲んで落ち着こう」

 

 そう言うと圭は台所へ向かう。なぜこの状況になったのか、先程の公園のことが頭に浮かんだ。

 

  ・数時間前

 

 「ふむ、女の子が入っていたのか、しかし何故なのだろうか?」

 

 「わかりませんよ、しかも空からなんて・・・」

 

 二人は様々な考察を立てていた。別の惑星から来た宇宙人なのか。あれよこれよと考察が二人の中で飛び交った。

 

 「ふう、ここで考えていてもキリがない。そろそろ移動せねば政府の連中が来そうな気がするぞ」

 

 「確かに目立ちますもんね。中にいる女の子はどうします?」

 

 「俺が連れ帰って行ったら妹たちに通報されそうだ。圭君、お願いできないか?」

 

 「ええええ!?無理ですよ!」

 

 「頼む、君しかいないんだ!」

 

 現在

 

 とこういう流れで半ば強引に押し付けられてしまったわけだがまあ仕方ない、今後のことはこの少女が目を覚ました時に決めれば良いことなのだ。とりあえず今日はもう遅いし床について頭を整理する時間が必要だ。

 冷水をコップに入れゴクゴクと一気に喉に流し込む。

 

 「今日は色々あって疲れた・・・・」

 

 圭が寝ようとベットまで行こうとすると・・・・

 

 「ケ・・・・・イ・・・・・」

 

 !!!??

 

 少女が眠そうな目を擦りながら自分の名前を呼んだ。圭は聞かずにはいられなかった・・・。

 

 「君は−––?」

 

 少女ははっきりとこちらを見て。

 

 「アカリ・・・」

 

 少女は嬉しそうに、そして少し残念そうに答えた・・・・。




なかなか暇が取れず、ネタも思いつかずでかなりの月日が経ってしまいました。これから完成まで頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
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