ダンジョン50階層。
本来ならば安全地帯として機能するはずの場所。
そこで、休息中のGO・ロキ両ファミリアを襲ったのは未知のモンスターの群れ。
武器をも溶かす腐食の体液を吐き、その数は見る見る増えている。
しかしそこは冒険者、ただ座して敗北を待つ訳ではない。
ある方面では鎖によってモンスターの動きを締め上げるように封じて腐食液を出させず、またある方面では、腐食液ごとモンスターを真っ二つにするほどの奮戦を見せる。
しかしそれでも数の暴力は如何ともし難く戦況は一進一退。
キャンプを張っていた両ファミリアの面々は戦闘体制を整え迎撃に打って出るも、小一時間の競り合いにて、やがて消耗戦に突入しようとしていた。
「このままじゃあラチが開かねえ。恐らくだが、連中は大将を潰すか、増殖するより早くカタをつけるしかねぇだろうよ」
GOファミリア団長、アキヨシがそう進言する。
「しかし、現にこうして我々は決定的な攻勢に打って出ることが出来てない。ここは無理せず撤退の選択を取るのもアリではないかな?」
ロキ・ファミリア団長『
「アイツらはオレらが相手する。お前らは下がって防戦してろ」
両ファミリアの実力者達の集うテントでそう言うなり、返事も待たずにズンズンとモンスターの方に突き進んでいくアキヨシのその言葉に、フィンは
「いや、キミたちにだけ負担はかけられないさ」
と言うが
「…なら、ハッキリ言ってやろうか。オレ達のやり方に手ェ出すな。危ねぇからな」
アキヨシはそれだけ言うなり、最前線に駆けて打って出て、モンスターの群れを睨む。
周囲でモンスターを相手取っていたGOファミリアの団員達は彼が来たことにより、更に士気を堅固なものとする。
モンスターはといえば、それまで必死に抵抗していたものの、ついに現れた圧倒的強者の威圧にビクつくモンスターを前にして、アキヨシは軽く鼻を鳴らすと、パァン!!と左掌を右の拳で叩き、簡易詠唱を唱える。
『炎神ーーー』
ゆらり…と拳を後ろに持っていき、さながら矢をつがえた弓を引き絞るかのように勢いをつける。
ダンジョン内部の大気が揺れている。
数にして、ゆうに数百はいるだろうモンスターの群れも、どう言ったわけか身震いしたきり動かない。
そしてーーーー
『ーーーー全壊』
突き出した拳は陽炎と共に衝撃波を纏い、50階層を…いや、ダンジョンを揺らした。
◇
「うっひゃああ〜〜!!さっすがアキヨシさん、エゲツないねぇ〜〜!!」
しばしの揺れの後、そう言ってたまげているのはティオナ・ヒリュテ。レベル5の冒険者であり『
若干嬉しそうな声色が含まれているのは恐らく彼女が戦闘民族アマゾネスだからだろう。
「言ってる場合!?ティオナ!!」
ツッコミを入れるのは同じくレベル5冒険者でティオナの双子の姉『
「流石は神々より『武神』の二つ名を授かりし者じゃな」
「…『
『
「だが…」
もうもうと立ち込める土煙が徐々に少なくなり、ダンジョンの様子が見える。
「瓦礫で通り道まで塞ぐのはやり過ぎだろう…」
『武神』は…この上なく不器用であった。
久々の投稿でしたね。