見てくれると嬉しいです。
「お願いです!ボクを弟子にして下さい!!」
そう言ってGOファミリアのホーム前で頭を地べたに擦り付け、カツラギさんに懇願するのはこないだ見かけた白髪の少年。
「まずは事情を話してくれよ」
カツラギさんが指揮の手を止めそう言うと、周りは「またか」と言った反応を示す。
と言うのも、カツラギさんはオラリオきっての実力者であり、そうであると同時に面倒見が良いことで有名で、弟子志願者が後を断たない。
だから、この少年が弟子入りを志願すること自体は別に珍しくも無い。
実際、弟子になった冒険者達の殆どはメキメキと力をつけているし、その中に名の知れた冒険者だって少なくない人数いる。
とは言え、だ。
「オイオイ、オレらはこれからダンジョンに遠征に行こうってんだゼ?ボクちゃん」
クボさんは茶化すように言うが、その眼は真剣そのものだ。
まして、カツラギさんは副団長。今やっている準備も含め全体の指示を任される立場だ。聞くにしても時と場所くらいは弁えて欲しいよなぁ。
そして、他の幹部陣も言いたいことはだいたい同じようだった。
一方でヒラノさんは興味深そうに少年を見ていたが。
探索ギルドにとって、ダンジョン遠征とは一大行事であり、文字通り新たに道を切り開かんとする偉業にだってなり得る。
まぁ、今のオレには無縁だけども。
それに茶々を入れられて、愉快だと思う冒険者はさぞや奇特だろう。
「すっ、すみません。アイズさんが教わるなら師匠…カツラギさんの方が良いと仰っていたので…つい…」
そう言うとカツラギさんは興味深そうに目を細める。
「ほう。お前さんアイズの知己か」
そう言うと、カツラギさんはオレの方を見る。
同郷と思われたのだろうか。オレは首を横に振って、言う。
「いや、オレらと同郷では無いですね。でもアイズがカツラギさんを紹介したってことはそれだけ見込みがあると踏んでいいかなって思いますけど」
オレがそう言うと、カツラギさんは一瞬思案顔になり聞く。
「ボウズ、得物は?」
「あっ、はい。コレなんですけど…」
そう言って差し出されたのは何の変哲も無いナイフだ。
一見して普通のナイフに見えたそれを、カツラギさんは興味深そうに角度を変えたり、色々と握って見たりして確かめている。
「いいモンだな。神があつらえたようだ」
そう言ってナイフを返すと、少年は嬉しそうな顔になり
「はい!神様がボクのために用意してくれたものですから!!」
と言う。
ヒュー、愛されてるねぇ。
「まぁ、取り敢えず今日は帰んな。アポは取っといてやるから」
そう言ったカツラギさんは、快活にそう言った。
ほぼほぼ弟子入りは確定したようなもんかね。
カツラギさん。世話好きだしなぁ。
鍛錬はオニのように厳しいことで有名だけど。
まぁ、本番で死なないようにするには死ぬ気で鍛錬するっきゃ無いってのは同意だが。
良く使う武器は刀だが、刃物なら大抵扱えるんだからスゴイよなぁ。
「はいっ!ありがとうございます!」
そう言って少年はタタターっと走って帰って行った。
「あっ」
カツラギさんがそう言うと、皆が不思議そうにそっちを見る。
「どうしたんすか?」
オレがそう聞くと
「名前聞くの忘れた…」
と言ってめっちゃ落ち込んでた。
って言うかよくよく考えれば、オレもアイツの名前聞いてねぇな。
「まっまあ、オレが後でアイズ経由で聞いときますよ」
「スマン…」
さて、迷惑覚悟でアイズに聞きに行くとするか。
って言うか話を聞く限りアイズの紹介で来たんだよな?
アイツ、紹介状書いてなかったんか。
…まあ、過ぎたことをどうこう考えてもしゃーないか。
多分いつもの所で修行してるだろ。
どうせ今回は留守番だし。ミウラさんの邪魔もしたく無いし。
……別にオレだけ遠征の準備サボろうってんじゃねぇよ?
忘れられてないよね?(白目)