弓有香織は勇者をやめた   作:GGO好きの幸村

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お久しぶりです!GGO好きの幸村です!

大満開の章…まさかくめゆメンバーが出るとは!家族で見てて自分以外アニメしか見てないので温度差が凄かったですw

では、第2話どうぞ!



はじまりのおわり/終末のハジマリ

 2015年、広島県のとある寺─正確に言えばその裏に ある墓地だが─に、3人の男女がいた。

 

 内2人、左手の薬指にお揃いの指輪をつけた男性と女性は少し離れた所から残りの1人……墓石に手を合わせる少女を見守る。

 

 蘭色の鮮やかな髪を後ろで2つに束ねた、俗に言うツインテールの髪型の少女……香織は自分の生みの親が眠る墓に話しかける。

 

「パパ、ママ久しぶりだね……私は今も元気です。もう普通にマッチも使えるし、友だちとも仲良く……うん、なかよくやってます」

 

 

 

 少し後ろめたそうな顔もしたものの、天国にいる2人に対して「自分は大丈夫」と伝える為に、優しい声色で話しかける。

 

 実際、前まで火事のトラウマで画面越しに見る事すら出来なかった火も、今では普通に見ることが出来るようになった。

 今年の「お父さん」の誕生日ケーキのロウソクの火は香織がつけたし、「パパ」と「ママ」の仏壇のロウソクをつけたのも香織だ。

 

 

 

 だが、それは必ずしも香織が喜ぶべき事では無い。

 

 火事の記憶が消えかけているという事は、血の繋がった両親……「パパ」と「ママ」の記憶も消えつつあるという事と同意だ。

 

 思い出の一部や、2人の顔は思い出せなくなって久しい。

 

 ぽつ、ぽつ、ぽつ。

 そんな香織の複雑な心境を表すかのように雨が降り始める。

 

「行こっか」

 

 香織は「お父さん」と「お母さん」に振り向くと、その場所からゆっくりと立ち去って行く……

 

 その表情に2人は懐かしき友人の面影を見出しながら、「お前らの娘は立派になったぞ」と思いを馳せる。

 

 ……その直後、遠くで鳴り響く雷鳴に「ぴゃっ!」とかわいらしい悲鳴をあげる愛娘をみて、クスリと微笑んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side香織

 

「いや~すいません泊めてもらう事になってしまって」

 

「本当にありがとうございます。この雨だとホテルに帰るのも厳しかったので」

 

「いえいえお礼を言われる程ではございません。最近は泊まる人もいませんでしたが一応宿坊もやっておりますので」

 

 などと話す両親とお坊さんの話を聞きながら私は内心ため息をつく。

 

 いやたしかにこの雨の中ホテルに帰るのは大変だ、いや大変なのは分かる。

 

 だが考えても見て欲しい。

 せっかく高知から広島に来たのだ。広島の名物を食べたいと思うのは当然の心理だろう。

 

 牡蠣やらあなごめしやら尾道ラーメンやらを食べる気満々だったのだ。

 

 それが雨の所為で一瞬にして精進料理に変わったのである。

 文句の一つや二つ、いや十個くらい言ってもバチは当たらないだろう。

 

 などとなんにもならない事を考えていると今夜泊まる部屋に案内される。

 

 まぁ、精進料理を食べた事も無いので、あまり期待はしないで待つ事にしよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 精進料理……かなり美味しかった

 出されたのはたしかに肉などを使わない物だったが、豆腐で出来た俗に言うフェイクミートのハンバーグや山菜の天ぷらなどで、豪華絢爛と言っても申し分無いものばかりだった。

 見た目も綺麗だし、たまにはこういうのも悪くないだろう。

 

 などと想像以上に美味だった精進料理の味を思いだしながらトイレから部屋に戻っていると、この寺の住職さんがなにかやっている様子が目に入った。

 

 近くに寄って見てみると、何やら鎧らしきものをみがいているようだ。

 

 その鎧というのがなんとも不思議で、ゲームなどで戦国武将が身につけてる物かと思えば、最近学校で見た元寇の時の絵に描かれていた鎧にも似ているし、なんというかちぐはぐな印象を受けるのだ

 

 だが、精々「変な鎧」でしかない筈なのに、私はどうしても気になって仕方がない。

 

 そもそも私は別に歴史に興味は無いし、歴史館に行っても展示されてる鎧より土産で売られているお菓子の事を考えるタイプだ。

 

 だと言うのに私はさっきまで考えていた精進料理のことなんてすっかり忘れ、〈鎧〉のことだけ考えている。

 

 そんな〈鎧〉に引き寄せられるように距離が近づいていき、あと少し、もう少しと、手が届きそうなところで

 

「どうか、されましたかな?」

 

 気づいた住職さんに声をかけられ、まるでドラマで見た「げんこーはん」の犯人のようにピシャリと動きが止まった

 

 Side香織Out

 

 

 

「成程……この鎧ですか……」

 

 香織は鎧が気になっただけであり、危ないことをやろうとしたり物を盗もうとしたわけではないと弁明すると、ピカリと輝く頭に仙人のような真っ白な髭を貯えた住職はなにやら深刻そうな顏をして「うむむ」とうなる。

 

 何かいけないことをしたのではと焦る香織は話をごまかそうとして

 

「そ、そう言えばこの鎧ってどのくらい昔の物なんですか?」

 

 と、極度の緊張からか普段の彼女からは考えられない程の棒読みで尋ねる。

 

 すると住職は難しい顏をして

 

「わからないのですよ」

 

 と告げる。

 どういうことかと頭にハテナマークを浮かべる香織に住職はこの鎧の出自に関係があると言われている昔話を語る。

 

 

 

 

 Side香織

 

 聞いた話はこうだ。

 

 

 むかしむかし、神々がおわす頃のこと、この地域にある男がいた。

 

 男は当時日の本一の腕前を持つと言われた鍛冶職人の一番弟子だった。

 

 ある時男の師は天の神に命じられて神の力が宿った鉄で鎧を作ることになった。

 

 男は師と協力して見事に鎧を完成させた。

 

 天の神はその出来栄えを見て大層喜び、溢れんばかりの財宝を師に授けた。

 

 それから数年後、神の力が宿った鉄が余っていることに気が付いた男は、魔がさしてその鉄と他の鉄を混ぜて鎧を作った。

 

 そして時は流れ仲哀天皇が死亡した頃の事。

 

 三韓征伐に参加することになったある権力者がこの鎧を見たところ、「この鎧を身につければ絶対に勝てる」と言って鎧を改修させた。

 

 するとどこの戦場に行っても大活躍した。

 

 最終的にその男は戦いの中で戦死するが、それにあやかってこの鎧は時代に合わせて改修が行われ、ついには島原の乱の時まで使われたそうだ。

 

 

 

 と、ここまで聞いたがなるほど確かにどのくらい昔の物かと聞かれると答えずらいが、住職がなぜあそこまで深刻そうな顏をしたのか分からない、と考えていると住職さんは眉間に皺を寄せて

 

「問題はここからなのですよ」

 

 と呟く。

 はて問題とはと考えているのにおかまいなしに続けるので慌てて話に集中する。

 

 

 その話はオカルトに近いものだった。

 この鎧にははるか昔からある噂があり、

 

 曰く、鎧には神の魂の一部が残っており、この鎧を使うのに相応しい人物を選定している。

 

 曰く、この鎧に認められた者は戦いの中で大きな戦果を挙げる。

 

 曰く、この鎧を身につけた者は必ず戦いの中で命を落とす。

 

 それを聞いた将軍、徳川家光が鎧をこの寺に封印するよう命じた…

 

 などと、不吉極まりないものだった。

 

「まあ、あくまで噂程度の話ですし、戦いなんて物騒な事はそうそう起こって欲しくないものですが鎧が気になったうえに、私が声をかけないと気付かなかったものですから少々不安に思ってしまいましてな」

 

 ホッホッホッと好々爺に笑いながら住職さんは言うが、この話を聞いた私は正直とてつもない不安感があふれていた。

 と、いうのも話を聞いているときに〈鎧〉が語りかけてきた気がしたのだ。「お前は戦うべき人間だ」と。

 そしてこうも言うのだ。「戦いの時は、〈我々〉を使え」、と。

 

 そう鎧の事を考えていると、怪談話に怯えたとでも判断したのか住職が部屋で寝ることを進めてきた。

 時計を見ると、短針は7と8のちょうど半分くらいを指していて、寝るには少し早い気もするけど早すぎる事も無いし、そうするかと思った。

 

 

 

 

 

 

その時、背中に悪寒が走った。

 

 

 

 何かが来る、何かとても嫌な物が来る!

 そんな第六感に近くて遠い何か、「みんな」が「ちーちゃん」を痛めつける時に感じる嫌な予感を何十倍、何百倍も濃くしたそれに急かされて、私は部屋へと走る。

 

 豹変した私の様子に部屋にいた両親は面食らった様だが、今はそれを気にする余裕も無い。

 

 非力な我が身を恨みながら、障子と窓を開け、縁側に出て、目に入ったものを見て思考が止まる。

 

 私を追いかけて来た両親と住職さんも、外の様子を見て絶句する。

 

 

 

 それは、空からやって来た

 

 それは、真っ白だった

 

 それは、大きな口が付いていた

 

 それは、全ての人類に本能的な恐怖を与えた。

 

 

 

 ほんの数時間前は住宅地を一望出来た景色は今や血と人々の叫びしか存在しない。

 

 そんな一瞬にして変わった世界に固まっていると、怪物が私の目の前までやって来て「香織っ!」

 

 

 ガブリ

 

 

 

 おとうさんのてがかじられた。

 わたしをかばって

 おとうさんがくるしそうなかおをする

 おかあさんがひざをつく

 じゅうしょくさんがわたしをしょって、おかあさんのてをひっぱる

 おとうさんもひっしにはしる

 だめ、おいつかれる

 しんじゃう…?

 いやだ、しにたくない

 

「ならば、〈我々〉を使え!」

 

 混乱する頭でここまで考えたところで脳内に〖声〗が聞こえた。

 

 そうだ、わたしはしにたくない。

 

 そしてあの鎧の〖声〗は私に戦えと言った。

 

 戦うという事は対抗できるという事。

 

 対抗できるという事はころされない

 

 ころされないという事はしなないという事……

 

 なら、私のやる事は1つだけだ。

 

 Side香織Out

 

 

 

 

 

 

 香織は住職の背中から飛び降りるとあの〈鎧〉のもとまで走った。

 

『しにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくない』

 

 香織は死への強い恐怖を抱いたまま、一縷の望みをかけて〈鎧〉に触れる。

 

 すると〈鎧〉は光の粒となって香織を中心に回転する。

 

 その眩しさに香織が思わず目をつぶった

 

 そして目を開けると

 

 そこには所々変わった部分はあるが、〈鎧〉を纏い、怪物の攻撃から身を守る力を持った少女がそこにはいた。

 

「う…うおおおおぉ!

 

 〈鎧〉を纏った蘭色の髪をなびかせる少女…香織は雄叫びをあげ、襲って来る脅威を排除すべく怪物のもとへ向かった

 




次回、香織の戦闘と、あと千景以外の原作メンバーも登場…できるように頑張ります

評価、感想などいただけると幸いです
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