弓有香織は勇者をやめた   作:GGO好きの幸村

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どうも、GGO好きの幸村です!
なんとか今月中に投稿出来ました!
この調子で今後も投稿出来たらいいなぁ…(遠い目)

まぁ、出来るだけ早めに投稿出来るよう頑張ります!
では本編、楽しんでくれると幸いです!


決断

 Side香織

 

 この避難所は怪物の接近を感知して私が倒す事ができたり、揉め事は黄碗さんや自衛隊の人達によって鎮められたりと一見なんの問題も無いように思える。

 

 しかしここには大きく2つの、根本的な問題がある。

 

 まず一つ目は、病床の不足だ。

 この避難所はあまり広くないため、怪物の襲撃にあって自衛隊の人達や彼らに食べ物などを配給してくれる人達が怪我をすると、治療用に設けてるスペースはパンパンになってしまう。

 

 また最近は、屋外での行動に恐怖を感じる人達も出て来て、人によっては気絶して治療スペースに運ばれ、動けなくなってしまう場合もある。

 

 さらに怪物はこちらの都合に関係無く攻めてくるため、治療が終わらず、病床をオーバーしてしまう事もたびたびある。

 

 その為、治療が終わってない人を無理矢理退院させたり、負傷した人に最低限の治療しかしない…こんなケースが頻発している。

 

 二つ目として、慢性的な資源不足だ。

 ただでさえ食料などの調達先はスーパーやデパートなどと限られている上、最近はやっとこ発見した物資が腐っていたり、例の外へのトラウマ─ここには精神的な問題に詳しい人が居ないので、そもそも外への恐怖なのかすら不明なのだが─を持つ人が増えて来ており、調達に向かう人手が不足気味なのだ。

 

 

 

 以上の事から、安全かつ自給もできて、なおかつ広い場所への移動を行う必要性がある。

 

 しかし、そんな都合のいい場所は無いだろうし、探す余裕もない。

 

 

 

 そんな厳しい現状が、若葉ちゃん達の登場で一変するかもしれない。

 

 

 どうやって若葉ちゃんが戦う力を手に入れる事が出来たのか。

 それがわかれば負傷する人が減り、行動に余裕がでるだろう。

 

 

 なんで彼女たちは県境を越えて移動してきたのか。

 その理由を聞いたらもしかしたらさっき言った都合いい場所が見つかるかもしれない。

 

 だからこそ、ありったけの気合いを込めて問いかける。

 

 若葉ちゃんとひなたちゃんは少し顔を見合って頷くと、これまでの事、移動する場所とその理由を語ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 修学旅行で島根に来たが、地震のせいで避難場所である神社から移動出来なかった事。

 

 外に出た時、ひなたちゃんが『なにか怖いことが起きる』と感じた次の瞬間化け物達が神社と中にいた人々を襲った事。

 

 ひなたちゃんが『若葉ちゃんにしか使えない力』があるように感じ、若葉ちゃんが手を伸ばすと錆び付いた刀があった事。

 

 それを手に取ると、みるみるうちに錆がとれ、化け物を…友達の仇を一刀両断できる刀…〖生大刀(いくたち)〗になった事。

 

 その後、ひなたちゃんが『なんとなく』安全だと思った方へ移動しており、今は大橋から四国に入るのが、『なんとなく』一番大丈夫らしい。

 

 ここに辿り着いたのは、この周辺に死体があまりにも少ないため、生存者がいるかもしれないと考えたから…との事だった。

 

 

 

「…以上が、私達がここまで来た経緯です。」

 

 そう締めくくった若葉ちゃん達の話に、私はなるほどと納得すると同時に、少し頭を抱える。

 

 彼女たちのいきさつも分かったし、友達を亡くした話は話させて悪いとも思った。

 

 死体の件についても、見つけたら出来るだけお墓を掘って弔ったので、納得がいく。

 

 だが1つ、よく分からない事がある。

 

 などと考えていると黄碗さんが手を挙げる。

 

「少し質問なのですが…その『なんとなく』とはどんな感じなのでしょうか?」

 

 するとひなたちゃんは少し困ったような顔をすると、

 

「なんというか…抽象的なイメージが頭の中に湧いてきて、それを解釈している…みたいな感じですかね」

 

 その言葉に会議室はザワつく。

 

 それをひなたちゃんの言葉を疑問視していると感じたのか若葉ちゃんが、

 

「いえ、確かにひなたの言っている事を信用するのは難しいかも知れません。しかし、私達は実際にその『なんとなく』に何度も命を救われています!」

 

 ああ、それについては誰も疑って無いだろう。問題は…

 

 周りの視線が私に集中する。

 

 そう、問題は私とほとんど同じ状況だったのに、(・・・・・・・・・・・・・・・)私が安全な場所や四国の事を感じなかった事(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 だ。

 

『化け物の襲来を察知し、それに対抗出来る物を直感的に手に取る』…ここまでは私とひなたちゃん達で共通している。

 しかしその後の、『安全なルートを感じ、そこを通って最も安全に感じる土地に向かう』という、私との明らかに違う点だ。

 

 私が〈鎧〉を手に入れた後、〈鎧〉の能力や戦い方は『なんとなく』─もちろん、自分でも色々試したりしたが─分かったが、化け物の感知は黄碗さんが結界を造るまで視認だったし、この避難所も『ある程度は大人数を匿え、四方を確認しやすい』という理由でここに決まったため、そこに私の『なんとなく』は一切反応していない。

 

 そしてそれはこの場に居る若葉ちゃんとひなたちゃんを除く全員が知っているため、困惑しているのだ。

 

『彼女のなんとなくは私と同じなんとなくなのか』と。

 

 

 

 ざわめきが収まった頃、黄碗さんがおもむろに口を開き、「彼女の言葉を信じて四国に向かう事に賛成か否か」と他の人達に問いかけた。

 

 会議は…勿論と言うべきか、荒れに荒れた。

 

「ただでさえ怪我人や精神状態が悪い者が多いのに移動なんて不可能だ!」「だが食糧事情は常にカツカツなんだ、新天地に行かないと全員飢え死にするだけだ!」

 

 …皆、この避難所で暮らす人達の事を考えていて、相手の言い分も分かる。

 だからこそ、話し合いは苛烈になり、お互いに譲れない。

 

 そんな状況が10分程続いた後、この避難所の防衛戦略の要である自衛隊の隊長さんが私と若葉ちゃんの2人の方を見て、問いかけた。

 

「…正直に、聞きます。ここ(避難所)に居る全ての人々と、島根から来た人々を護衛しながら四国に向かう事は可能ですか?」

 

 その一言に会議室は再びザワついた。

 

「隊長さん!あんたこの人数をたった2人に守らせるなんて正気か!?」

「今までは結界で場所が分かっていて、あまり数も多く無いから何とか女神様1人で防衛出来てたんだ!疑っている訳じゃないが、そこのお嬢ちゃん(ひなた)の『なんとなく』が外れたら、全滅は決まったも同然なんだぞ!」

「それに貴方も分かっていると思いますが、不足している資源には治療の為の包帯や薬もあります!御2人が大きな怪我でもしたら、最悪手の施しようがなくなるんですよ!」

「未だに怪我人も多い、怪物によってどれほど地図が変わっているのかも分からない、動く、のは、危険だ。」

 

 

そんな事は分かっている!だが…だが、人を助ける、たとえその手段が自分に無くても方法を考えるのが自衛隊の…俺の役目だ。このままではいずれ奴らに喰われるか資源不足で内部から崩壊するかの2択だ。四国へ向かう以外に皆を生かす方法が無い今、彼女たちに護衛されながら四国へ向かうのが一番の最善策だ。…それに、いざと言う時は肉壁にでもなって時間を稼ぐさ」

 

 そう隊長さんは苦虫を噛み潰したよう─どころか、カメムシをセンブリ茶で飲み込んだような表情で断言した。

 

 私はスッと目を閉じて、

 

「…分かりました。正直«厳しい»、ですが…」

 

 ここまで言ってから、隊長さんと目を合わせて、

 

「«厳しい»だけです!決して«無理»じゃありません。…なら、やってみせます!」

 

 そして隊長さんをビシッと指さして、

 

「さっき隊長さんが言った『全ての人々』には隊長さん自身も入るんです!…絶対、死なせませんからね」

 

 隊長さんは私の事を心配してくれて、〈鎧〉が『敵を倒す戦い方』を教えたのに対し、隊長さんは『死なない戦い方』を私に教えてくれた『恩人』だ。

 

 私が『ひとりぼっち』にならないために、私が『後悔しない』ために、必要な人だ。

 

 だから…死なせる訳にはいかない。

 勿論、隊長さんだけに限らず、黄碗さんを筆頭とした皆を助けるために一生懸命頑張っている人達、ここ(避難所)にバリケードなどを作ってくれた男の人達、この状況で貴重品となったお菓子をよくくれたおばあちゃん、特別な立場になった私とも気にせず遊んでくれたここ(避難所)での友達。

 

 そして、変わらず接してくれるお父さんとお母さんに住職さん。

 

 全員、絶対に死なせない。

 

 

 私は若葉ちゃん達の方を向くと、頭を下げた。

 

「…ごめんね、いきなり2人にも負担をかけるような事になっちゃって。」

 

 すると若葉ちゃんは何ともないような表情で

 

「なに、弓有さんにはさっき助けられたからな。『行いには必ず報いを』。乃木家の家訓でな、人々を喰らったヤツら(化け物)には斬り捨てる事で報いを与えるが、命を救われた弓有さん達には力を貸す事で報いるさ。それに…」

 

 と言うと若葉ちゃんは顔を赤らめさせて、

 

「そ、それに弓有さんの事はゆ、友人だと思って居るし、当然の事だ。」

 

 と可愛らしく言うものだから、私も思わず笑みを浮かべて、

 

「それなら香織って呼び捨てにして欲しいな~」

 

 と言ってみると、

 

「いや、それは気恥しいというか、まだ早いというか、なんと言うか…」

 

 とゴニョニョと呟いて居て、さっき外でひなたちゃんにイケメンムーブをやっていた人と同一人物とは思えないというか、意外な一面を見たなと思っていると、

 

「キリッと若葉ちゃんに、恥ずかし若葉ちゃんが見れて、それに…香織ちゃんにも会えた今日はラッキーデーですね。」

 

 とひなたちゃんが微笑むと、そこから私よりも大きな胸を張り、

 

「道案内は任せてください。いつもより張り切ってやっちゃいますよ!」

 

 と宣言した。

 

 私はそれを受けてより一層笑みを深めて、

 

「2人とも、よろしく!」

 

「ああ!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして私達(避難所の人々)は避難所を放棄し、島根から来た人達と共に四国を目指して移動を始めた。

 ある時はひなたちゃんが言ったルートに少数の化け物が現れて戦ったり、またある時は空に怯える人達が発狂したのを落ち着かせたりと、様々なトラブルに見舞われ、それでも来る日も来る日も歩き続け、遂に…

 

「おい…あれ、大橋じゃないか!?」

 

「ホントか!?」

 

「やっと、着いたの…?」

 

 最初はそんな小さな声がチラホラと聞こえる程度だった。

 

 だが、しばらくすると

 

「大橋だ!」

 

「俺たち、生きれるのか!?」

 

 と言った大きな声が出てきた。

 そこで私は隣の若葉(・・)の肩をトントン、と叩く。

 すると彼女は少し戸惑ったような顔をするも、すぐにキリッとした表情になり、

 

「皆さん!私達は来る日も来る日も歩き続けました…そして、遂に、我々は大橋に辿り着きました!我々は、怪物から逃げ延び、全員死なずに生き残ったのです!

 

 シーンと、沈黙の時が訪れる。だが、それも少し経つと…

 

ォォォオオオオオオオオ!!

 

 生きる事が出来る喜びを噛み締める叫びに変わった。

 

 若葉もこっちに戻ってきて、

 

「まったく、いきなり何か喋れというのは無茶振りが過ぎるぞ香織(・・)

 

「いやぁー私より若葉が言う方が皆安心するでしょ。」

 

「む、そうか…?いや、サラッと話を逸らそうとしてないか!?」

 

「いやいや、そんな事しないって」

 

 と、ここまで言ったところで2人で笑う。

 

「何はともあれ、誰も死なずに着いたな。残るは…」

 

ヤツら(化け物)から世界を取り戻す、でしょ?」

 

「ああ、そうだ…まだ、付き合ってくれるか?」

 

「当然!」

 

 

 こうして私達は四国に辿り着き、化け物を対処する組織である『大社』にてひなたは『巫女』として神託を受け─『なんとなく』の正体が神様だったと伝えられた時は三人とも大層驚いた─私と若葉は『勇者』として化け物達と戦う事になったのだった。

 

 SideOut




はい、や~っと四国に着きました!
なので次からは他の勇者達とも絡められると思います!

…ただ1つ不安なのが、私が勇者史外伝未読なので、何かとんでもない矛盾点が無いかですね~

勿論、単行本は上下巻買って読むつもりなので、前書きで投稿頻度を上げたいと言っといて言うのもなんですが、次の投稿は少し遅くなると思います。

最後に、感想、評価などして頂けると嬉しいです!
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