…はい、「投稿スピード上げる」と言っといてこの遅れです、すいません。
つ、次こそ早く投稿出来るよう頑張ります!
と、言うわけで大変長らくお待たせしました本編、どうぞ!
Side香織
私達が四国に着いてから…正確に言えば神サマのサポートを受けてあの化け物、仮称《バーテックス》─近頃正式名称として採用されるらしい─と戦う組織『大社』に所属する『勇者』と『巫女』になってから数ヶ月が経った。
ひなたが広島で言っていたように、バーテックス達は四国に着いてから襲って来ていない。最も、ヤツらが現れてすぐの時は愛媛などはかなりの被害を被ったらしいので、土地自体に特殊なパワーがあるのでは無く、『神樹サマ』の力の及ぶ範囲内だからと思われる。
神樹サマとは土地神の集合体で、四国に結界─広島で黄碗さんが張っていたものとは違い、侵入を防ぐ事も出来る─を展開して人類をバーテックスから守っている存在だ。
…と、大社の神官さん達から聞いている。
私は『神託』と言われる神樹サマのイメージもバーテックス襲来の時の中途半端なものしか受け取ってない上に、戦う力も《鎧》によるものなので、イマイチよく分からないのだ。
その事を1度聞いてみると、おそらくだが私には元々『巫女』としての素質があったのだろうとの事だ。
しかしそれが《鎧》と一体化した事により、一般人より微かに感じ取れるように…言わば「上の下」から「中の下」あるいは「下の上」くらいにまで低下した…らしい。
《鎧》はほぼ人の力によって作られたものだが、1番最初に作られた際に『天の神』から与えられた鉄が混ざっている為、『地の神』の集合体である神樹サマの声が聞こえにくくなったと考えられるそうだ。
最も、これを伝えてくれた神官さんも…というか大社全体でもよく分からない為、憶測も多分に含まれるらしいが。
《鎧》も意思はあるものの、神樹サマとは違い私としか交信出来ない上に微弱なので、半ばブラックボックスと化しているのも「らしい」がたくさん付いている理由の1つだ。
なんならこの「勇者」という称号も本来なら「地の神の力を宿した武器で外敵を打ち倒す少女」に付けられるものであり、私には当てはまらないが、例外的な措置としてつけられている。
また、「いつ『巫女』としての力が戻っても良いように」と他の三人とは異なり自由にひなた以外の巫女と会うことが出来る。
まぁぶっちゃけその力が戻る前兆も見れないし、その権限は2人の勇者とその巫女である「
「…って事があって結局タマちゃんはひなたとアンちゃんに説教されてた」
「あはは!相変わらずだね~そっちは」
「そっちは…って事は
「うん、近いうちに新しい巫女が来る…って神官の人達が」
「新入りかぁ~こっちももう少し人手が欲しいから羨ましいよ…流石に四人で四国全土の防衛と本州の奪還は無茶振りがすぎるよ~」
どうにかしてバーテックスにも効く銃…いや、いっその事ダイナマイトとか作れないのかなんてボヤくと彼女はニヤリと笑い、
「その後輩ちゃんなんだけど…新しい勇者を見出した子らしいんだよね」
と告げた。
「えっ…本当!?こっちでは聞いた事無かったけど…」
「こっちの方が単純に人の出入りが多いからね~その分情報も集まりやすいのよ。『世界の秘密を全て知っている謎の美少女JS現る!?』って記事が書かれても良いくらいにはね」
わっはっはーと笑いながら教えてくれた。
確かに、勇者の拠点…というか学びや?には人の出入りはそんなにない。一方、巫女である真鈴ちゃんのいるのはまさに大社の本拠地と言える場所であり、人の出入りの多さは比べるまでも無い。
その上『人の口に戸は立てられない』とも言うし、物理的に離れている
それに麻雀荘の娘と言うだけあって真鈴ちゃんは意外と─こう言うと失礼だが─地頭は良いのだ、単純に興味無い事が全く頭に入らないだけで。
「…そう言えば真鈴ちゃんがアンちゃんから借りてた本って読み終わった?今すぐとまでは言わないけど読み返したいからそろそろ返して欲しいってアンちゃんが言ってたけど…」
そう。今までは勇者達と巫女達は住んでいる場所が違う関係上、気軽に交流は出来なかった─ひなたも行き来しているが軽い検査しかしない私とは違い神事にかなりの時間をとられるので、泊まりでも無い限り仲介役は無理なのだ─が、私はどちらにも自由に行き来出来るので真鈴ちゃんとタマちゃん達が直接会えずとも物の貸し借りや交換日記なんかは出来るのだ。
「……も、もちろん読み終わったよ!」
…怪しい。数週間の付き合いとは言え、多少なりとも真鈴ちゃんの事は理解しているつもりだ…というか、そんなに目を逸らして冷や汗を垂らしていたら、初対面の人でも嘘をついているのに気付くだろう。
なんて考えながらジーッと見つめると
「…半分、くらい?」
まだ見つめ続ける。
「……10ページです」
もう嘘をついている気はしないので見つめるのをやめる。
「いや10ページって…あれ私が来て結構初めの頃に渡したと思うんだけど?」
「いや、読もう読もうとは思うんだけどさ~よくわかんない神様の勉強をした後に字がビッシリ詰まった本を読む気力は湧かん!」
いっそすがすがしい程の表情で開き直った。
「いや気持ちはわからんでもないけどさ…そろそろしっかりと読んだ方がいいんじゃない?」
「くっ、5年生の…5年生のこのアタシが小4の香織に言い負かされるとは…!」
「完全なる自業自得でしょ…アンちゃんにはまだしばらく返せないって言っておくから」
「ううっ面目ない…」
と、談笑しているとコンコン、とドアを叩く音が聞こえ、ひなたが部屋に入って来る。
「失礼します安芸さん、少し良いですか~って、香織ちゃんもここに居たんですね」
「お、ひなたちゃんじゃん!なに?ひなたちゃんもこの5!年!生!である私になにか相談でも「いえ、違います」…あ、そう…私の周りには私を年上として尊敬してくれる人は居ないの…?」
「あはは…で、実際はなんの用?」
「はい。安芸さんは新しい巫女の子が来ることはご存知ですよね?その子がこちらに到着したようなので顔合わせのために巫女達に声がけしているんです」
「お、ウワサをすればなんとやらだね。…うん、アタシは他の子達のところに行ってくるから香織は先に食堂に向かって~いつも通りならそこで紹介されるはずだから」
そう言うと真鈴ちゃんはドタバタと軽く音を立ててひなたを連れて他の部屋に行ってしまい、部屋には私だけが取り残された。
いや、話が急すぎるし、なんならこういう巫女の新人歓迎みたいなものに参加するのも初めてなのだが…
「…まぁいっか」
ひとまず私は真鈴ちゃんに言われたままに食堂に向かった。
Side香織Out
…この世界に攻め込み、多くの人々を殺した恐ろしき白い怪物。それに対抗するべく集められた怪物退治のプロフェッショナル達であり、古くから存在する秘密結社である
…と、言うのが世間で一般的に思われている大社だ。が、実際のところ大社という組織は別に怪物退治のプロでは無いし、別にフリーメイソンのように歴史ある秘密結社でも無い。
その実態は神の声を聞いた神官と巫女、神の力が宿った武器を扱える勇者が集められた、『組織』というよりも『集団』と言う方がしっくり来るものだ。
よって別に秘密基地やら専門知識なんてある筈も無く、政府もどちらかと言うと『大社』というよりも『神』に何とかしてもらうべく怪物…『バーテックス』に対する事を大社に一任している。
…最も、神樹付近の土地を買収したり、城を改装して与えるなど、中々に大胆な事もしているが。
そんな訳で、大社の仮の本拠は神樹の根元付近にある廃校を改築したものであり、食堂は体育館の半分を指す。
「え~と、確かこっちだったよね」
香織はちょくちょく
「あ~そこの飾りはこっちで…」
「こ、こうですか?」
「そうそう!そんな感じ」
「何やってんの?」
巫女達が何やらやっている為、反射的に声をかける。
「あ、香織ちゃん!こっち来てたんだ!」
「せ、先輩!勇者様に少し砕けすぎじゃないですか!?」
「ああ、気にしないでいいよ全然。私はこういう感じの方が好みだし。むしろ…ええっと千葉ちゃんも香西ちゃんみたいにもっとグイグイ来てくれた方が嬉しいかな」
「ほら~全然怒ってないでしょ?」
「そ、そうですね…というか弓有様は「香織でいいよ」…香織様はいつの間に私の名前を?」
「ああ、前にここから戻る時になんか見た事ない巫女の子が居るな~って思って、後でひなたに聞いたら新しく千葉って言う子が来たって教えてくれたからね」
「えっ…もしかして香織様はここにいる巫女全員の顔と名前を覚えていらっしゃるんですか!?」
「うん、昔から私の傍に居てくれそうな人の名前と顔を覚えるのは得意だからね」
そう香織は、自嘲しているような顔で答えた。
…最も、そんな顔をしている事は本人も含めて誰も気づかなかったが。
「んで、結局2人は何してたの?」
「ああ、今日新しい巫女の子が来るんだけど、その歓迎の用意だよ。まぁ
そう言って香西と呼ばれた巫女は花飾りが付いたホワイトボードをパン、と叩く。
そこには『ようこそ!花本美佳さん!』とマジックで書かれていた。
「これが新しい巫女の名前?」
「そ、
「ち、ちょっと先輩!」
その時、香織の後ろから話の中心人物である新しい巫女の少女が入って来た…どこか諦念した表情を浮かべながら。
Side美佳
…ああ、ここでもか─それが、彼女たちの会話を聞いた時に最初に思った事だ。
私は正しく名前を呼ばれる事が少ない。それは今までもそうだったし、間違われやすい名前なのは自覚しているので諦めている。
それでも心のどこかで期待していたのだ。《あの神様のような人》と同じように他の巫女や勇者も最初から私の名前を間違えずに呼んでくれる、と。
そんなわけないのに。『巫女』や『勇者』なんて大層な呼び名でも、私の周りに居た同年代の人達と何ら変わりはしないのだ。
でも、今はそれでいいのだ。《彼女》は私の名前を間違えずに呼んでくれた。それは生涯通しても得がたい宝なのだ。だから私は
「ヨシカ」
…え?
カオリと呼ばれていた少女が、そう言った。
「ん?ヨシカってなに?」
「ああ、
「…げ、もしかして私名前読み間違えちゃった?」
「いや、そうとは限らないよ?ただ直感的にヨシカさんかなーって思っただけでミカさんの可能性も全然ある「ヨシカで合ってます」し…え?」
「私の名前は
私の名前を当てた少女は一瞬呆けた顔をした後、
「私は弓有香織。一応勇者。たまにこっちに来るから、その時はよろしく!」
と、人を安心させるような表情で言った。
そこには《彼女》に感じた神聖さや神々しさは全く感じなかった。
だけど、きっと《彼女》を隣りで支えられるのはこんな人なんだろうというオーラのような物も感じ、安堵すると共に、私の中で目の前の少女よりも《彼女》の力になってみせると言うライバル心のようなものが芽生えた。
少なくとも、悪い印象は持たなかった
…目の前の彼女こそが、私が信奉する《彼女》が
と知るまでは。
Side美佳Out
はい、これは初期プロットでは全く考えて無かった話です。
勇者史外典を読んだ後、予定と変わったところの先を考えながらの執筆のため予想以上に時間が経ってました。
補足として、真鈴との会話にある本の貸し借りですが、例の『外国の小説』ではありません。『外国の小説』はアンちゃん(まだ本編で本名を明かしてないのでこの呼び方です)が真鈴にプレゼントした物で、それとは別に香織を通してオススメの本の貸し借りをしている、という設定です。
後、廃校うんぬんの話は完全に捏造です。あのパニック状態で初っ端からいい建物は無いだろう、と言う妄想ですね。
ここまで読んでくださりありがとうございます!気に入ってくれたら、感想やお気に入り登録をしてくれると嬉しいです!