弓有香織は勇者をやめた   作:GGO好きの幸村

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どうも、復活のコアメダルやアニレコで精神崩壊してしばらく執筆してなかったGGO好きの幸村です。

いや~あれは凄かった!とまぁそんな具合でそこそこ時間はかかりましたがなんとか書けた本編、楽しんでくれると幸いです!



なんであなたが

 Side香織

 

 美佳ちゃんの歓迎会の翌日、私は勇者の本拠地であり、現在大社が所有する最も豪華な建造物、丸亀城で談笑していた。

 

「…って感じで、中々楽しかったよ」

 

「む~そんな面白そうな事があったなんて…やっぱり香織とひなただけ真鈴達のところに行けるなんてズルいぞ!」

 

 タマ達も連れてけ~!

 

 とイスに座りながら四肢をジタバタと動かすのは勇者の1人である「土居(どい)球子(たまこ)」。

 

「タマっち。香織さんもひなたさんもいじわるしてる訳じゃないし、言っても仕方ないよ」

 

 と、球子をなだめるのは「伊予島(いよじま)(あんず)」。

 

 この2人に私と若葉を加えた4人が、現在バーテックスに対抗できる勇者だ。

 

「それにしてもその美佳さんが見つけた勇者ってどんな人なんでしょう?」

 

「あ~それがね…」

 

 そう、昨日私も気になって美佳ちゃんに聞いてみたのだ。そしたら

 

『あの人についてですか!?そうですね、やはり彼女はその儚げな雰囲気が印象に残り、その美貌たるや…

 

『ち、ちょっと美佳ちゃん?一旦落ち着いて!』

 

 地球上に存在する生物はおろか塵芥さえも振り向く程であり、神器である鎌を持たれた御姿はどんな絵画よりも美しく…

 

『は、花本ちゃん深呼吸、深呼吸して!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …と、長々と語ってくれた。ひなたに若葉の事を聞いた時とは別ベクトルでイキイキと。おそらく私と真鈴ちゃんが止めなければ酸欠するまで話し続けただろう。その内容を要約すると…

 

「…黒髪の長髪で、私たちより年上。武器は鎌みたいだね」

 

「年上か~真鈴みたいなヤツか?」

 

「うーん…巫女さんの話どうりならもうちょいこうクール系ぽいね」

 

 と、話しているとガラガラと音を立てて後ろ側の扉が開いた。

 

「む…私たちが最後か」

 

「そうみたいですね。おはようございます香織ちゃん、球子さん、杏さん」

 

「おはよう若葉。ひなた。」

 

 登校してきた2人に挨拶し終えると、すかさずタマちゃんがひなたにも尋ねる。

 

「ひなた!ひなたは新しい勇者の話、なにか知らないか?」

 

「えぇ、知ってますよ。と言っても、香織ちゃんが知っている事に毛が生えた程度ですが」

 

「それでもいいからさ、早く教えてくれタマえ!」

 

「わ、私も気になります」

 

「私は仮にもリーダーだからな。新しい勇者が来るならその人柄などを知っておく必要がある」

 

「うん、私も聞きたいな。ぶっちゃけ美佳ちゃんの話は分かりやすいとは言いづらかったし」

 

 タマちゃんは目を輝かせながら、アンちゃんはおずおずと、若葉は少し険しい表情を浮かべながら、そして私は昨日の美佳ちゃん(暴走列車)を思い出して苦笑いしながら続きを促す。

 

「ふふっ、わかりました。お名前はコオリチカゲ(・・・・・・)さん。

 

 

 

 

 その名前を聞いた途端、頭に鈍い痛みが走る。脳裏に過ぎるのは彼女(・・)が私を受け入れてくれた時の事、そして…私のエゴで彼女の日常を無茶苦茶にしてしまった瞬間の事…だが、同姓同名の人物なんていくらでもいるし、読みが同じだけで漢字は違うかもしれない、そうだ、そうで無ければ

 

 

 

 

 出身は高知県で香織ちゃんと同じみたいですね。…香織ちゃん?」

 

 

 

 出身地が同じだからと言ってそれが彼女(・・)だと断定された訳じゃない、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫だ大丈夫だ、大丈夫、大丈夫だ大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ大丈夫だ、大丈夫大丈夫大丈夫だ大丈夫大丈夫だ、大丈夫大丈夫大丈夫だ大丈夫だ、大丈夫大丈夫、大丈夫大丈夫だ大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫大丈夫大丈夫、大丈夫大丈夫だ大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫だ大丈夫、大丈夫大丈夫大丈夫、大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫だ大丈夫、大丈夫大丈夫大丈夫、大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫だ大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫だいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょう

 

 

「〈香織!しっかりしろ!〉」

 

 

 ッ!…どうやら、最悪の状況を想像してしまったからか、取り乱してしまったようだ。

 

「香織、大丈夫か!?」

 

「香織さん!」

 

「香織ちゃん!」

 

 みんなにも心配かけてしまったようだ。若葉が大声で声をかけてくれなかったらおそらく倒れてしまっただろう…少し貧血気味なのか頭が重い。

 

 

 …もしも、もしも本当に新しい勇者のコオリチカゲが私の知っている彼女(・・)なら…私は、どうすればいいんだろう。

 

 私は2つ並べた椅子で横になりながら、答えの出ない問題について考えるのだった。

 

 

 Side香織Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side杏

 

 私にとって香織さんは、数少ない勇者の仲間であり、その勇者の中で唯一共通の趣味…読書好きの同士だ。

 

 彼女自身は嗜み程度、と言っているものの、その冊数や種類はとても多く、有名な賞を取った作品やテレビなどで大々的に取り上げられた著者の作品は一通り網羅していて、特にライトノベルは私の何倍もの作品を読んでいて、お互いに作品をおすすめして、感想を交換したりもしている。

 

 それに真鈴さんとの交換日記を届けてくれたりと、丸亀城の中でタマっちに次いで─本人からは『タマっち《先輩》と呼びタマえ!』と言われるが、今のところ変えるつもりは無い─交流が多い人だ。最も、私の性格からして彼女から話しかけてくれなかったらこんな仲良くはなって無かっただろうけど。

 

 そんな香織さんの様子がおかしくなったのはひなたさんが新しい勇者…コオリチカゲさんの話をしてからだ。

 

 今は落ち着いているけれどさっきは虚空を見つめながらボソボソと「…うぶ、………だいじょ……」と呟いていた。

 

 正直…少し、いや大分怖かった。どこか遠くに行ってしまいそうで。

 

 私は香織さんの過去について何も知らない。だけど…私にも、何か出来る事はあると思う。友達として…『仲間』として。だから私たちは、香織さんが相談してくれるのを待つ。いつか、心の内を打ち明けてくれると信じて。

 

 Side 杏Out

 

 

 

 

 

 香織が横になってから凡そ20分後、教室の前の扉が音もなくスッと開く。

 

 神社のイベントなどでよく見る服、狩衣に身を包んだ男性が部屋に入って来る。丸亀城の勇者達に勉学を教える神官…まぁ簡単に言うと学校の先生のような人である。

 

 ここが普通の学校だったら「●●センセーおはよー」みたいなフランクな会話があるものだが、生憎とここは丸亀城。勇者達の訓練所兼学び舎だ。

 神官は能面のような顔でクラスを見つめ、勇者達も席に着いて背筋を伸ばす。

 

 ここには友情だの色恋沙汰などの空気は一切なく、ただ『教える側』と『教えられる側』の関係だけが存在する。

 

 前は、主に球子がコミュニケーションを取ろうとしていたものの、話しかけても流され、名目上は教師の机の上に袋うどんを置いても一瞬迷うような素振りを見せたもののスルーし、球子が「こうなったら最終手段だ!タマに任せタマえ!」と自信満々に行ったお色気作戦も見なかったことにされ─この時思わず笑ってしまった杏とひなたは昼休みにそのたわわな双丘を球子に「2人みたいに大きかったら成功していたんだ!タマにもすこし寄越しタマえ!」と八つ当たり気味に揉まれていた─とまぁことごとく失敗したためこういう冷えた関係になった訳だ。

 

 神官は教室が静まったのを確認し、口を開いた。

 

「本日より、新しい勇者がここにやって来ます。これからバーテックスに対して共に戦う仲間となるので、勇者システムの完成までに親睦を深めてください。」

 

 そう告げると、扉の外に居る新しい勇者に入るよう指示する。

 

 長い黒髪をたなびかせ、うつむきながら入ってきた少女は

 

「郡千景…よろしく」

 

 そう言いながら顔を上げ…香織を見ると驚いたような顔を一瞬見せたものの、その後は興味を無くしたかのように無表情に一瞥し、香織は恐れか後悔か、あるいはその両方か…顔を青ざめさせて目をそらした。

 

 

 Side千景

 

 …どうして彼女がココにいるのだろう。

 私は同郷の人物である弓有香織の事を見てそんな事を考えていた。

 

 

 

 7月30日、私が花本さんと出会った日であるのと同時に世界中が謎の白い怪物に襲われてから1ヶ月後ほどだろうか。学校から帰ってくると、普段は酒瓶だらけで機能している事を見たことない客間で見慣れないスーツの男が父親と何やら話していた。

 

 最初はまた私の親権に関しての法律関係者かと思い、私が顔を出した所でどうせまた面倒な事になるだけだと思って晩御飯の支度─まぁ湯せんで出来るレトルトを買いに行くだけだが─をしようと思ったら、父親がなにやらいい事でもあったのか、珍しく満面の笑みを浮かべて部屋に入って来るよう言ってきた。

 

 なにがあったのかと思い部屋に入るとスーツの男は私にいくつか質問してきた。「7月30日に神社や社の近くにいなかったか」「そこでなにか武器のようなものを見つけなかったか」などよく分からないものが多かったが全て正直に答えた─あの鎌は父親に見せてなかったから持ってきた時は笑顔から一変して渋い表情を浮かべた─所、スーツの男は姿勢を正して

 

「どうか世界の為に力をお貸しください!勇者様!」

 

 と、それはそれは綺麗な土下座をしてきた。

 

 話を聞くと、『神樹を信仰する大社が世界を解放する勇者として私を丸亀に招く』なんて言うカルト教団みたいな事を言ってきた。

 

 当然、私はそれに懐疑心を覚えたが、父はそうは思わなかったようで、私に行くのを進めた…半ば強制だったが。後から知った話だが、大社に勇者を強制的に集めるだけの権力は無く、「世界の為に親から子を預からせてもらう」というスタンスの為、私が丸亀に行くだけで毎月中々の額が一応親権がある父に入ってくるようで、『収入は変わらないが子供に家事を丸投げ出来る環境』と『子供を引き渡すだけで毎月かなりの収入が見込め、しかも増額の可能性がある環境』を天秤にかけて後者が勝った、という事のようだ。

 

 正直別に世界がどうだとか知ったことではないが、その大社には「私が求められている」し、それに「私が行かなかったから人が死んだ」なんて思われたら厄介だし単純に夢見が悪い。

 

 だから私は丸亀に行くことにした。

 

 が、行って少しして後悔する羽目になった。

 勇者は他にも何人かいる事を知ったのだ。

 

 私はあの時(・・・)から人間不信…とまでは言わないが、大人数の中に入るのは苦手だ。

 

 何年も友達だった人物も噂1つで石を投げてくる、世界とはそんなものなのだ。

 だから他の勇者達とはいつも通りあまり関わらないようにしよう。

 

 攻撃は相手が痛がるのを見て初めて成功なのだ。

 

 それにいつも(村の中)ならともかく、初対面の人に対してなら精々上履きとかノートや消しゴムが消える程度だろう。気にする程でも無い。

 

 …そう考えていた。その勇者の中に村にいた弓有香織が居ると知るまでは。

 

 私は特に彼女を恨んだりはしていない。

 

 ただ、「友達」と言う言葉は思っていたよりも脆いと言うことを教えてくれただけなのだから。

 

 Side千景Out

 

 

 

 

 それから数ヶ月。香織と千景との間で喧嘩のような騒動は一切なかった。…いや、一切の交流が無かったと言うべきか。

 

 朝や休み時間は香織は本を読んだり他の勇者と話しているのに対し、千景は基本的に携帯ゲームをプレイしていて、球子や若葉が話しかけても無視か最低限の返ししかしない。

 

 放課後に球子が2人を遊びに誘おうとしても、千景は基本的にスルーし、稀に了承されたとしても勘のいい香織は球子が誘う前に巫女達の所に行っているので、球子達が2人と同時に遊べる日はついぞ来なかった。

 

 このまま2人の関係が変化しないと、本人たちも含めて全員がそう思っていた。

 

 

「おっはようございま~す!」

 

 

 新しく、

 

 

「奈良県からやって来ました高嶋(たかしま)友奈(ゆうな)10歳!」

 

 

 

 誰よりも『勇者』の名が似合う

 

 

 

 

「よろしく勇者で~す!」

 

 

 

 この少女が現れるまでは。

 




はい、という訳で今回は香織と千景が互いにどう思ってるかや過去の出来事について軽く触れてみました。

ここで軽くネタバレですが、香織は千景に対して罪悪感はあるし、反省もしていますが、同時に「仕方ない事」と割り切ろうともしていますし、千景が千景が自分のやってしまった事を他の勇者に話して自分が孤立する事をなによりも恐れていると言う、複雑とも面倒とも取れる考えをしています。第三者視点からすると「最低」ではないが「低」ではある、というイメージです。

この考え方で香織が原作メンバーとどう関わっていくのか、また次回から本格的に登場する高嶋ちゃんとの絡みなど、楽しみにしながら待ってくれるとありがたいです。

あ、今度コナンの映画観に行くので多分また更新遅れます。ユルシテ…ユルシテ…

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