弓有香織は勇者をやめた   作:GGO好きの幸村

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4ヶ月‼️お待たせして‼️申し訳ありません‼️今、投稿しに来ました‼️(キュロス風)

今回、初の8000字越えです
ご了承くださいm(_ _)m



罪と贖罪

 Side香織

 

『勇者システム』それはこの絶望的な現状を打破できるモノであり、同時にそれを唯一開発、運用できるという理由で大社がバーテックスに対しての全権を有しているという、権力のパワーゲームの上でも切り札となる存在である。

 

 その勇者システムの中でも特に開発が簡単だと大社が考えているのが私のものだ。主な理由として、「私の〈鎧〉が自己完結している事」が挙げられる。他の神器は刀や小手など、武器だけの所から身体能力を向上させる『勇者服』を作り、そこから更に持ち運びがしやすいように改良する─1時期はベルト型(仮面○イダー式)を皮切りに腕輪型にスティック型(ウ○トラマン式)銃や剣などの武器型(スー○ー戦隊式)なんてものまで考案されたらしいが、様々な理由からボツにされた。そもそも何故武器から力を引き出すアイテムを武器型にしようなんて考えたのだろうか─という面倒な事をする必要があるが、私の場合〈鎧〉は私と融合してる上に、鎧故に勇者服の必要面積は他より少なくて済む。なので、単純な火力をあげるようにするだけで完成というお手軽仕様なのだ。一先ず先に半ば完成しているモノ(私の勇者システム)を完成させてから他のモノに取り掛かろうということらしい。…なんなら私の勇者システムは開発しなくても大丈夫なんじゃないかなんて意見もあったらしいが、戦力不足の憂慮と1部政治家からの圧もあって開発される事になったそうだ。

 

 今日はそれの開発が一段落着いたとの事で新しく建てられた大社本部に来ているのだが…

 

「…え~と美佳ちゃん?なにか用?」

 

「…いえ、用事は特にはありません。ただ…あなたと郡さまの関係を知って、勝手に期待してた分、勝手に落胆しただけです」

 

 …今、彼女はなんて言った?

 私と郡さんの関係を知った?それは私と彼女が同じ村に住んでいたという事だけか?しかし、それだけなら彼女が私が圧を感じる程の気迫を向けてくる理由が分からない。つまり…彼女は知ったのか?私が4年前に犯してしまった罪の事を?

 

 その事に気がついた時、頭の中が真っ白になって…美佳ちゃんに掴みかかっていた。

 

 SideOut

 

 

 

 

 

 Side美佳

 

 …私は郡さまの事が好き、と言うよりも愛してると言った方が適切だろうか。別に私はレズビアンと言う訳では無い。ただ、郡さまだから好き(・・・・・・・・)というだけだ。初めて、というか1度しかお会いした事はないが、あの時の衝撃を超える出会いはこの先何十年生きても無いと断言できる。

 

 大社に入ってしばらくして。私は実家の神社の伝手を使って郡さまが勇者になる前の事を調べてもらった…上里さんは乃木様と幼なじみらしいし、安芸先輩は土居様、伊予島様と共に避難所に逃げてきた人々を守りきり、今でも弓有香織─本来なら彼女の事も様付けで呼ぶべきだが、あんな事(・・・・)をした彼女を敬う気持ちは欠けらも無い。あの(クズ)呼びしない分マシだ─を通してやり取りしているし、唯一成人を越えている巫女である烏丸先生は高嶋様の護衛するバスを運転し、長い期間共に行動した。他の巫女達は自分が見出した勇者様方の事を少なからず知っている。であるならば、巫女は少なくとも自分に関する勇者様の事を知るべきであり、これは断じてストーキングに連なるものでは無いと言っておく。

 

 ともあれ、郡さまが暮らしていた村での出来事を知り…私は唖然とした。

 

 家庭を顧みない自己中心的な父親、徐々に荒んで行く家庭環境、そしてそれに耐え切れなくなった母親の…不倫。それが発覚した時、彼女を取り囲む人間関係は一変した。彼女にはなんの非もないのに、虐められ、体にも心にも癒えない傷を付けられた。物が勝手に無くなってたり壊されているのは当たり前。時には服を剥ぎ取られて焼却炉に投げ捨てられ、時には階段から突き落とされる。更には『女の命』とまで称されたあの美しい黒髪を無理矢理切り落とし、さらにそのままハサミは彼女の耳まで切り裂いた。

 それを行った子供達はケラケラ笑い、咎めるべき大人達は黙認するどころか加担する。そんな狂気という言葉すら霞む異様な空間。それが彼女の過ごしてきたセカイだった。

 

 私はそれに絶句した後、手を強く握り締めていた。何故彼女がこんな目に合わなければならない?何故誰も彼女を救おうとしない?何故…何故誰も、それが『当たり前』だと受け入れる!?

 

 気が付いた時には、両手から血が流れていた。

 

 なんとしても…なにをしてでも、郡さまを助けたい。その一念で、私は行動を開始した。

 

 最初に私が頼ったのは大社の神官達だ。大社は勇者に対しての全権を握っている。彼らを説得出来れば、郡さまとあの村との繋がりも断ち切れるだろう。私は調査した際の資料を持っていき、郡さまと両親や村の住民との距離を離すよう提案してみたが…

 

「いくら郡様と共に居たいとしても流石にこれはやり過ぎでしょう。もしも本当にいじめの事実があったとしても、こんな常識外れな事はしないはずです。しかも、この資料を鵜呑みにするなら村中の大人も加担していたということになります。到底信じられるモノではありませんよ。こんな資料(モノ)つくる(捏造する)暇があるなら巫女としての務めを果たしなさい。貴方はこの前も相応しくない祈り方を…」

 

 と、取り付く島もなかった。そこからクドクドと説教を垂れ流されたが、私の頭の中は「次に誰になら郡さまの事を頼めるか」1色に染まっていた。

 

 安芸先輩は信じてくれると思うし、人が良いから手を貸してくれるとも思うが、立場は同じなので出来る事も私と同じか、下手をすれば私よりも出来る事は少ないだろう。

 上里さんは協力はしてくれるだろうが、彼女は何よりも自分が見出した勇者であり、同時に幼なじみでもある乃木様を優先する。もしも彼女に害が及ぶ事になったら、敵対する事も十二分にありえる。

 

 誰か郡さまの味方になってくれそうな人は居ないのか…様々な人物が浮かんでは消えて行く。そんな時、アイツ(・・・)の事を思い出した。

 

『ヨシカかな~っと思っただけで』『私は弓有香織、一応勇者』

 

 そうだ。あの人ならきっと信じてくれる、郡さまの味方になってくれる!

 私は愚かな事にそう確信した。だが、その期待は次の神官の言葉であっさりと裏切られた。

 

「そもそも、郡様がお住いの村は同時に弓有様がお住いの村でもあります。こんな事件(デタラメ)があれば、あの人がそれを止めない筈が無いでしょう。それをせずに放置する様な人ならば神樹様が勇者にお選びになる筈が無い!この事は私の胸の内に留めておくので、今日の所は自室に戻りなさい」

 

 その言葉を聞いた時、一瞬なにを言っているのか分からなかった…いや、理解しようとしなかった。

 だって2人が同じ村に住んでいたのなら、彼女は…弓有香織は、あの狂気の沙汰を黙認し、それを後悔すること無く郡さまと共に戦おうとしているのか?そんな人が…そんな奴が、本当に郡さまの味方になってくれるのか!?

 

 彼女に疑いを持った私は郡さまの事を調べる内に手に入った資料を探した。それは郡さまがどんな目にあったのか、そしてその実行犯は誰なのかを纏めたもの。その量とそこに書かれているあまりの所業に、私は無意識の内にそれを封印するかのように資料の山の1番下に置いていた。

 

 しかし、郡さまと弓有香織に関係があるのなら、あまり考えたくはないが…弓有香織についてもなにかしら情報があるのではないか。

 

 そう考えた私は、一晩中思わず吐き気を催す程の鬼畜の所業がビッシリと書かれている紙の束を隅から隅まで読み込んだ。

 

 

 

 

 そして彼女の名前を見つけた…最悪の形で。

 

 

 

 

 おかしいとは思っていたのだ。村の中で悪評が広まった親の間に生まれた子が虐められる…理不尽だとは思うし、なぜ郡さまがこんな目に遭わなければならないのかと怒りも覚えた。だが、

 理解自体は出来た(・・・・・・・・)

 

 ふざけた話ではあるが、理由は分かる。最も、全く持って納得はしてないが。

 

 問題はその内容だ。不倫が村中に広まってから先に述べた狂気の沙汰に包まれるまでの期間はたったの2ヶ月(・・・)。これはいくら何でも早すぎる。

 

 イジメには段階があるらしい。最初にイジメの対象を孤立させ、次に陰口が増えていき、そこから物が無くなるなどの被害になり、最終的に暴力的になっていく。

 郡さまの場合、この段階を飛ばして一気に最終段階に達した事になる。

 

 暴力は一種のラインだ。1度振るってしまえば、その暴力を振るった人物がいじめの対象になる、あるいは教師に告げ口されて親に伝わりキツく叱られるか…もしくは、外部からの強力な介入がない限り続くかの3択になる。

 

 それを短期間で、しかもほんの数ヶ月前まで仲の良かった相手に行う。これは明らかに変だ。

 

 だがこの資料を受け取った時はそこよりも郡さまの過去と彼女が受けた鬼畜な行いにばかり目がいって、そこに違和感を覚えなかった。

 先程の神官もこれが2、3年かけて深刻化していったイジメなら少しは本気で受け取っていただろう。しかしこの2ヶ月というあまりにも短すぎる期間がこの資料を戯言と判断させた。

 

 そしてこの資料において郡さまに最初に暴力を振るった人物、それが

 

「弓有香織」

 

 彼女が郡さまに初めて暴力…具体的には頭に石を投げた人物であり、これを皮切りに郡さまへのイジメは一気に加速した、火付け役だ。

 

「弓有香織…」

 

 この時私は怒りがふつふつと湧き上がるのを感じた。何故郡さまを裏切ったのか、何故人1人の取り巻く環境をあんな地獄に変えておきながらあんな風に笑えるのか…何故、今平気な顔して郡さまの隣に立っていられるのか!

 

「弓有…弓有香織ぃぃぃぃっ!!

 

「うわぁぁぁっ!?」

 

 …大声を出したら少し落ち着いた。

 あの女がやった事は許すべき事では無いが、許す、許さないを決めるのは被害者の郡さま自身だ。

 だからもしもまたあの女が来たらその時は隠したいであろう『秘密』を知っている事と、それに関しての皮肉でも言って一先ずは流してやろう。

 そう思い気分を切り替えて後ろを向くと

 

「…なにやってるんですか安芸先輩」

 

 同じ巫女の安芸真鈴─一応年上なので先輩呼びだ─が間抜けな表情で床に座っていた。

 …まぁ、この人の奇行はいつもの事だし気にしてもしょうがないか」

 

「…花本ちゃんは私をなんだと思ってるの…?」

 

 どうやら声に出していたようだ。

 

「そんな事より、安芸先輩はそこで何やってるんです?」

 

「そんな事よりって…ハァ、まぁいっか。香織ちゃんがこっちに来たから呼びに来たんだよ。何でも、例の勇者システムの試作品が出来上がったんだってさ。そしたらいきなり大声で香織ちゃんの名前を呼ぶからビックリしちゃって…なにかあったの?」

 

 どうやらさっきの大声を聞かれていたようだ。でも特段聞かれてはならないものでは無いし、書類が見られていなければ問題は無い。いや、そういえば今気になる事を…

 

「…弓有香織が今来ているんですか?」

 

「うん、そうだけど…ん?前はもうちょっとなんか親しげな感じだったと思うけどなにかあった?ケンカでもしてるの?」

 

 …態度に少し残った怒りなどの感情が乗っていたようだ。すこし深呼吸して心を整える。

 

「…いえ、そういう訳では無いんですが…少し思うところがあるだけです」

 

「そう?なら良いんだけど。なにか困った事があったらこの11歳!の私を頼ってくれても「そんなに年の差を意識してるの巫女達の中で安芸先輩だけだと思いますよ」うぐっ!」

 

 素なのかワザとなのか、少々オーバーリアクション気味の反応を見て、思わず少し笑ってしまう。

 

 と、そんなことがあって落ち着いた私は弓有香織に少し皮肉を言うべく彼女のもとへと向かった。

 

「やっほー香織!久しぶり!」

 

「あ、真鈴ちゃん!あ~たしか前来た時は滝行やった直後だったから会えなくて…2週間ぶりくらいかな?」

 

「そうそう!まったく上の人らもひどいよね~たまには休みがあっても良いと思うのにサボらずに祈りを捧げよ~って…少しくらい休んでも大丈夫だと思うんだけどな~」

 

「ま、まぁきっと何かしらの考えがあるんでしょ…多分」

 

 そんな会話をして笑う弓有香織を見て私は思わず歯を食いしばる。

 郡さまにあんな事をしておきながら何故そんなのうのうと今楽しそうにしているのか…収まっていたはずの怒りが込み上げてくる。さっき大声を出していなかったら恐らく彼女に殴り掛かって居ただろう。

 

 その激情をぐっと押し殺して弓有香織をじいっと見つめる。

 その視線に気がついたのか、弓有香織も不思議そうな顔をして

 

「…え~と美佳ちゃん?なにか用?」

 

 と尋ねてきたので、極力怒りを込めないようにしながら返事をする。

 

「…いえ、用事は特にはありません。ただ…あなたと郡さまの関係を知って、勝手に期待してた分、勝手に落胆しただけです」

 

 咄嗟に出た言葉だが、これが案外私の本心なのかもしれない。私の名前を当ててくれて、相談にも乗ってくれるような人が郡さまと共に戦ってくれる…そんな善人であるという身勝手な期待をして、それが泡沫のものだと知って勝手に落胆しただけ…なんとも笑える話だ。

 確かに郡さまに石を投げた事実は変わらないが、それ以降彼女は郡さまに対して暴力を振るうどころか陰口1つ叩いていない。

 

 だというのに今の私は郡さまに消えない傷を与えた者やこんな理不尽な目に会うきっかけとなった郡さまの両親よりも弓有香織に対して最も強く怒りを抱いている。もちろん、郡さまの周りの境遇を見て見ぬふりをした罪もあるが、やはりその怒りの多くを占めているのが「期待に対する失望」なのだろう。

 

 そんな事を考えていると「ガシッ」と擬音が着くほどの力で胸ぐらを掴んできた。

 だが、思っていたよりも私の頭は冷静だった。「ここで私の口を無理やりにでも塞ぐつもりだろうか」「実は調べきれてないだけで初めの投石以降も郡さまを傷つけていたのではないか」様々な考えが頭に浮かぶが、それでも私の胸中の割合の多くを占めるのは失望だった。

 

 

 

「美佳ちゃん…ちょっと、場所を変えてもいい?」

 

 

 

 

 

 

 

 そうして移動したのは大社の仮本部の屋上。ここは特になんの設備も無く、人が来る事も稀だ。そのため人に聞かれたくない話をするのには最適な場所と言える。

 

「美佳ちゃんは、私と…郡さんの関係についてどのくらい知ってるの?」

 

「…全てです。貴方が彼女にした仕打ちも含めて、全て」

 

「…そのことを他の人は?」

 

「私以外誰も知りませんよ。神官に資料を纏めて提出したら捏造呼ばわりされましたよ」

 

「そっか…まぁあちらさんからしたら勇者の過去の不祥事なんて認める訳にはいかないしね…」

 

 彼女はまるで他人事のような口ぶりでそう話す。

 一体彼女は私をここに連れてきてなにがしたいのだろう。彼女からは秘密にするように頼む態度も、力ずくで無理矢理秘密を守ろうとする様子も感じ取れない。

 

 そんな風に思っていると、

 

「ねぇ、私はどうやったら償えると思う?」

 

 と、まるでくだらない与太話をするかのように聞いてきた。

 

 

 

 償いとは、自分の犯した罪や過失を自らの行いによって埋め合わせることだそうだ。

 

 その理屈に当てはめれば、彼女は自分の行いを罪だと認め、それを反省しているということになる。

 それ自体は問題は無い。むしろ、過去の行動を過ちだと認めていることに、変な話だが、安心感を覚えていた。

 

 だが、それならば彼女は1つ、絶対にやらねばならないことがあるはずだ。

 私は意を決して彼女に問う。

 

「貴方は…郡さまに、既に謝罪をしたのですか?」

 

 そう。償いと言うからには、もう被害者である郡さまに謝罪をしていることが絶対条件であるはずだ。

 そうでなければ、先に償いの行動だけして、「私は既に罪を行動で償った。だから貴方がなんと言おうと私の罪はもう許されてるはずだ」なんて屁理屈を通す事になる。

 そんなものは、償いどころか反省にもならない。

 

 だからこそ私は最後にもう一度だけ彼女を信じようと…いや、信じたいと思い先の問いをした。

 

「…いや、謝罪はまだしてないよ」

 

 ギリッ

 

「…貴方は、本当に郡さまに対して罪の意識はあるんですか?」

 

「うん、多分あるよ」

 

「…っ!…なら、なら何故謝罪をしないんですか!そんなにも今まで傷つけられてきた郡さまに頭を下げるのが屈辱的なんですか!それとも怖いんですか!?郡さまへの今までの行いに対しての罰が下るのが!」

 

「うん、怖いよ」

 

 彼女は私の怒りがこもった、私と彼女の関係を決定させる最後の問い(希望)に対して最悪の答えで返した。

 

「それでひとりぼっちになるのは」

 

 まるで長い間清掃されていない街角に生まれたヘドロのように、どこまでも濁った瞳で。

 

 

 

「ねぇ、美佳ちゃんはこんな経験はある?自分にとって最も信頼できる人がみんな居なくなって、代わりに全く知らない人達に囲まれながらこんな事を言われるの。『なんで生きているんだ』だとか『アナタは生きてるだけで迷惑なのよ』とか、あと『ガキつくってオレらに迷惑かけるくらいならあの2人、もっと早く死んでくれればよかったのに』ってね」

 

 それは、幼い彼女が両親を失った直後に訪れた地獄。

 

 それは、彼女にとって忘れられない、消えてくれない記憶(トラウマ)

 

 そして…

 

「私は火事で家族や、友達を、全部を失って気付いたんだ、ひとりぼっちはこんなにも苦しいんだって。だから私はひとりぼっちにならない為に、なんでもする。学校で運動できる人がブームになったら必死に早く走る為のトレーニングをした。勉強が出来る人がモテ始めたら寝る間も惜しんで勉強した。人気なゲームとか、マンガやライトノベル、賞を取った小説が出たらみんなが引かない程度にやり込んだり読み込んだりした。」

 

「…だから周りのみんなが自分の友人を虐めるのがブームになったら自分もその友人を虐めると?」

 

「否定は、しないよ」

 

 どんな事をしてでもとにかく大勢の人に好かれる人物になること。それが、彼女の処世術。彼女が過去の経験(トラウマ)から学んだ、生き方。

 

 それは真の意味で孤独になったことが無い私が軽々しく批判していいものでは無いだろう。

 

「…貴方の生き方や、それに至った理由も少しは分かったつもりです…ですが!」

 

 あぁ、確かに分かったし、批判できるような立場でも無ければ経験もしていない。だけど、確実にこれだけは間違えていると言える事が一つだけある。

 

「ですが…貴方がその生き方をするに至った過去に似た体験を誰かにさせる事は、違うでしょう!償いたいなんて言葉が出ている時点で、もう気づいているんでしょう⁉️」

 

「分かってる…分かってるよ!そんな事!だけどもうどうしようもないのよ!もしも謝っても許してもらえなかったら、もしももしも謝っているところを誰かに見られたらどうしよう…もしも、もしも許されなくて、しかも誰かに聞かれてひとりぼっちになったらどうしよう。そんな事ばかりが頭をよぎって、でもなにもしないのも怖くて怖くてたまらない!だからといってなにもしないのも私が私を許せなくなる!私はどうすればいいのよ!」

 

 涙を流しながらの慟哭。

 きっとこれが彼女の本音なのだろう。自分の行いを罪だと自覚してて、謝りたくても拒絶されるのが怖くて、けれども何もしないのも良心の呵責に苛まれる…そんな雁字搦めな状態なのだ。

 少なくとも私がなにか軽々に口を挟めるものでは無いだろう。でも…それでも、私に言えることがあるとするならば

 

「なら…なら、戦ってください!もうこれ以上、郡さまが苦しむことが無くなるように!」

 

 …そう、私に言えることがあるとするならばこれだけだ。自分で郡さまを傷つけたと分かっているのなら、もうこれ以上傷つくことが無くなるように戦う。それが今私が思いつく、『償い』に連なるものだ。

 

戦う…そうか…それが今私に出来る…うん、ありがとう…ちょっと、頑張ってみるよ…」

 

 そう言うと彼女は、背を向けて下へと降りていった…これでよかったのだろうか?

 私にとってもっとも優先するべきものは郡さまだ。とはいえ、弓有香織に対しても全く情がない訳でもない。例えそれが郡さまに対する裏切りだとしても、どうしても憎みきれない。いかに怒りを抱いても、嫌いになりきれないのだ。

 

 だからせめて、この選択が2人にとって最良のものである事を、この歪な宗教(大社)の御神体である神樹様に祈ろう。

 

 SideOut

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 屋上から三階へと降りる階段、古ぼけた蛍光灯が点滅して少し不気味な雰囲気を覚えるその場所に1人の少女…弓有香織が歩いていた。

 

 彼女は「戦う…戦う…タタカウ…」そう呟きながら、ハイライトの消えた瞳で前を向く。

 

 この屋上での出来事が後にどのような影響を与えるのか…今はまだ、誰も知らない。

 

 




ゆゆゆいが終わるぅ~‼️と思ったら家庭用ゲーム機に移殖だぁぁぁぁ‼️しかもふゆゆの新プロジェクトもあるぅぅぅぅ‼️

はい、というわけでなんとかサ終前に投稿出来ました…いや、最近のゆゆゆ界隈激動過ぎませんか?
これはなんとか仕上げねばとなんとか書き上げました‼️

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