僕のヒーローアカデミア with EX-AID   作:ムジョー555

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【前回のあらすじ】

突如USJを襲撃したヴィラン連合。
ワープ個性により、生徒たちは散り散りとなる。

水難エリアに飛ばされた出久たちの前に現れたのは謎の仮面ライダー、黒いエグゼイド。

黒いエグゼイドにその場を任せ、逃走する出久たち。

水難エリアのヴィランたちはレベルアップした黒いエグゼイドによって一掃された。

そして、広場に辿り着いた出久たちが目の当たりにしたのは、ヴィランに叩きのめされる相澤の姿だった。



第10話 激突の果てのlevel up!!

「梅雨ちゃん、峰田くん。相澤先生をお願い!」

 

出久はふたりに指示を出し、相澤の避難を頼む。

そして、目の前のヴィラン相手にファイティングポーズをとり、構える。

 

「あぁ〜、そうかそうか……お前が衛生省の『仮面ライダー』か。脳無を蹴り飛ばせるなんて、なかなかいい動きをするなあ」

 

白髪の男が出久に語りかける。

 

「でも、残念。無意味だよ」

 

そう言うと、何事もなかったかのように脳無が再び動き出し、白髪の男と出久の間に割って入る。

 

「そんな……さっきのキメワザが効いてないのか!?」

 

出久は目の前のヴィラン『脳無』のあまりのタフネスぶりに驚きつつも、ゲームスコープを取り出し、その個性を確認する。

 

脳無を対象にし、画面に表示されたのは『バリアを張る姿』と『栄養ドリンクを飲む姿』の『2つ』のアイコン。

 

「ウソだろ!?個性2つ持ち!?」

 

驚き叫ぶ出久。

 

「へぇ。便利な道具を持ってるな。そう、脳無はショック吸収と超再生。オールマイトの100%にも耐えられるよう改造された超高性能、サンドバッグ人間さ」

 

白髪の男はまるでお気に入りのおもちゃを自慢する子どもかのように、脳無について説明する。

 

「……改造?」

 

その説明を聞き、拳を握る出久。

 

「死柄木弔」

 

そこへやって来たのは、ワープ個性をもった黒いヴィラン。

白髪の男『死柄木弔』へ話しかける。

 

「黒霧、13号はやったのか」

 

死柄木は『黒霧』へそう返す。

 

「行動不能には出来たものの散らし損ねた生徒がおりまして、一名逃げられました」

 

黒霧がそう伝えると……

 

「は?……はー……はあー」

 

死柄木は露骨にため息を吐き、不快感を露わにする。

 

「黒霧……おまえ……おまえがワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ。さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ、あーあ。今回はゲームオーバーだ。帰ろっか」

 

そう諦めを呟く死柄木。

 

「……ふざけるな」

 

「あァ?」

 

「人を改造した?ゲームオーバー?……ふざけるな。何考えてるんだ、お前ら……」

 

出久の感情が声から漏れ伝わる。

それは明らかな怒り。

 

「人の命を何だと思ってるんだ!!!」

 

「熱いな、仮面ライダー。いいぜ……平和の象徴としての矜持を少しでもへし折るためだ」

 

死柄木がサッと手招きすると、脳無が出久へと襲いかかる。

 

「殺れ、脳無」

 

脳無が一度地面を蹴ると、周囲に風圧が巻き起こる。

その加速を勢いに、筋骨隆々とした肉体は剛腕の一撃を放つ。

 

「……そんなの予想済みだよ」

 

しかし、出久はその一撃を軽く跳躍して回避すると、お返しとばかりに蹴りを喰らわせる。

そして、その蹴りの反動で再び跳び上がり、落下に合わせてまた蹴り込み……

この繰り返しで、脳無の攻撃を避けながら、何度も何度も蹴り込んでいく。

 

「個性が防御特化ってことは、素の力がオールマイトと競えるレベルだってことは想定できる。わかってれば、そんなの素直に喰らうほど間抜けじゃ……ないっ!!」

 

エグゼイド特有の軽やかな身のこなしに、ブロックを足場とする変則的なジャンプを使いこなし、出久は一方的にヒットアンドアウェイな立ち回りを継続する。

 

「でも……本当に全然効いてないな……」

 

それでも驚くべきは脳無の耐久力。

出久の連続攻撃を浴び続けているというのに、殆どダメージを受けている様子が見えない。

 

「オールマイトの攻撃にも耐えるショック吸収だって言ったろ?脳無にダメージを与えたいなら、ゆぅっくりと肉をえぐり取るとかが効果的だね。それをさせてくれるかは別として」

 

そう呟く死柄木。

彼の表情にはどこか余裕が見える。

 

「それに、いつまでもチョロチョロできると思うなよ」

 

跳び回る出久の背後に黒い靄が立ち込める。

 

「ワープ個性、しまっ……!?」

 

ワープゲートに阻まれ、動きが止まる出久。

そこに脳無が迫ってくる。

 

出久は必死に対処法を考えるも思い浮かばない。

そうこうしている間にも、脳無の拳が迫る。

 

 

「どっけ、邪魔だ!」

 

そのとき、響く爆音とともに、黒霧を殴りつける拳があった。

 

「てめェらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた」

 

そして、地面を走る氷が脳無にも亘り、その肉体を凍らせる。

 

「緑谷、大丈夫か!?」

 

ワープゲートが解除され、落下する出久を肉体を硬化させた切島が受け止める。

 

「切島くん、かっちゃん、轟くん!」

 

戦場へ駆けつけた3名の名を叫ぶ出久。

 

「出入口を押さえられた。こりゃあピンチだなあ」

 

そう呟く死柄木。

 

「このウッカリヤローめ、やっぱ思った通りだ。モヤ状のワープゲートになれる箇所は限られてる。そのモヤゲートで実体部分を覆ってたんだろ!?そうだろ!?全身モヤの物理無効人生なら『危ない』っつー発想は出ねぇもんなあ」

 

そう言いながら、爆豪は黒霧を押さえつける。

 

「っと、動くな!『怪しい動きをした』と俺が判断したらすぐ爆破する」

 

動きを押さえ、黒霧を脅す爆豪。

 

「攻略された上に全員ほぼ無傷。すごいなぁ、最近の子供は。恥ずかしくなってくるぜ、ヴィラン連合」

 

死柄木は頭をポリポリと掻きながら呟く。

 

「脳無、爆発小僧をやっつけろ。出入口の奪還だ」

 

死柄木がそう命令すると、脳無は凍りついた体を崩しながら、無理やり動き出す。

崩れた傷口からはみるみるうちに新たな肉が湧き出し、身体を再構成していく。

 

「なんだあいつ!?」

 

信じられない光景に驚く切島。

 

「超再生……あのレベルで回復するなんて、いくら蹴ってもビクともしないはずだ……」

 

冷静に脳無の能力を見定める出久。

 

「轟くん、もう一度さっきの凍結できる?」

 

「できるが……どうするつもりだ、緑谷?」

 

「動きが止まったところに、これでいく」

 

出久は赤く輝くガシャットを取り出す。

 

「策があるってわけか。分かった」

 

動き出した脳無に、轟は再び氷を走らせる。

 

出久はそれに合わせ、ガシャットのボタンを押す。

 

『ゲキトツロボッツ!』

 

「大・大・大変身!」

 

出久は新しいガシャットを空きスロットに装填し、レバーを操作する。

 

『ガッチャーン!レベルアーップ!』

 

『マイティジャンプ マイティキック マイティマイティアクショーンX!』

 

『アガッチャ ぶっ飛ばせ! 突撃! ゲキトツパンチ! ゲ・キ・ト・ツロボッツ!!』

 

―仮面ライダーエグゼイド ロボットアクションゲーマーレベル3―

 

頭部はロボットのような形状に変わり、左腕にも大きな強化アームが装着されて剛腕となった、エグゼイドのレベルアップした新たな姿。

 

「すげぇ……」

 

感嘆のあまり、切島の口から思わずそんな声が漏れる。

 

出久は脳無の顔めがけて左腕を振るう。

 

「どんな姿になろうと、脳無に効くわけが……」

 

呆れながら呟く死柄木。

その目の前で、出久が放った一撃は脳無の顔面を潰すように炸裂し、凍りついた手脚を打ち砕きながら宙へと浮かばせた。

 

「なっ!?」

 

特別な動作などない、ただのパンチ一発。

これまでなら脳無はビクともしなかったはず。

意外な光景に、死柄木の口からは思わず間抜けな声が出てしまう。

 

一方、出久もたしかな手応えを感じていた。

キメワザでもない、ワン・フォー・オールでもない。

通常のパンチで、この威力。

これならいける。

 

出久は左腕にワン・フォー・オールの力を纏わせると、宙を舞う脳無へ跳びかかる。

 

「攻撃魔法、スマッシュ!」

 

そして、緑のスパークが走る剛腕でそのまま殴り付け、脳無を地面へと叩きつける。

レベル2なら反動ダメージを受けていたほどの高出力。

しかし、レベル3なら耐えられる。

 

脳無はそのまま体勢を立て直す暇も与えられずに、何度も、何度も、出久の左腕で大地へと叩きつけられていく。

 

「肉体を改造された貴方も、ある意味では被害者だ。この一撃で終わりにしましょう……」

 

そう呟き、出久はガシャットをスロットに刺し直す。

 

『キメワザ』

 

「その個性、無効じゃなくて吸収ならば限度があるはず」

 

出久の左腕にガシャットとワン・フォー・オールのエネルギーが集中する。

 

「オールマイト対策……100%に耐えるなら、さらにその上からねじふせる!」

 

『ゲキトツクリティカル「スマッシュ」!!』

 

閃光走る剛腕が脳無の肉体に突き刺さる。

その衝撃はUSJ全体にも駆け抜け、大気を震わせる。

 

そして、まるで爆心地のごとく陥没した地面にめり込むように突き刺さった脳無。

吸収も回復もしきれなかったダメージにより、その活動を完全に停止していた。

 

「……よし」

 

それを見届け、安心したのか。

出久の胸のHPゲージが一気に無くなり、変身も解けて倒れ込む。

 

「ウソだろ……あの脳無が……」

 

信じられないといった様子で、地面に倒れ込む脳無を見つめる死柄木。

 

「緑谷、大丈夫か!?」

 

倒れ込む出久の下に駆け寄る切島と轟。

 

「大丈夫、ちょっとまた個性出しすぎて、頭と身体の節々が痛いくらいかな……」

 

そう言いながら頭を押さえる出久を切島が抱き起こす。

 

「何が策があるだ。ただのゴリ押しじゃねぇか。無茶しやがって」

 

そう呟く轟に、出久は軽く頭を下げて謝罪の念を示した。

 

「素晴らしいな、緑谷出久」

 

そこに響き渡る曇った声。

気づけば、いつの間にか出久たちのそばに近寄っていたのは、黒いエグゼイド。

 

「貴方はさっきの……ありがとうございます。おかげで間に合いました」

 

出久がそう答えると、黒いエグゼイドはガシャットを取り出す。

 

「礼は要らない。まだ実験は終わっていないからな」

 

『シャカリキスポーツ!』

 

黒いエグゼイドは、そのガシャットを起動すると、おもむろに放り投げる。

 

そのガシャットが向かう先は、依然として倒れ込む脳無。

 

「なっ……!?」

 

驚く出久の目の前で、ガシャットが脳無の頭部、剥き出しの脳に突き刺さる。

 

「グレード3……起動」

 

黒いエグゼイドがそう呟くと、脳無が立ち上がる。

そして、その屈強な手脚がまるで自転車の車輪のような形状に変化していく。

 

「緑谷出久、ゲームはまだ終わっていない。これが、このステージのボス『シャカリキ脳無』だ。楽しんでくれたまえ」

 

「SYAKAAaaaa!!」

 

USJに響き渡る咆哮が、さらなる闘いの幕開けを告げた。

 

 

 




【デクの現在所持ガシャット】
 ・マイティアクションX
 ・ゲキトツロボッツ

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