僕のヒーローアカデミア with EX-AID 作:ムジョー555
無個性の少年、緑谷出久は憧れのヒーロー『オールマイト』に出会う。
無個性でもヒーローになれるかと訊ねるも、その答えは現実的なものだった。
帰路につく出久は再びヘドロヴィランと遭遇。
爆豪の身体を支配するヘドロヴィランに立ち向かうも返り討ちにあう出久を救ったのは、他ならぬオールマイトであった。
考えるよりも先に爆豪救出へ身体が動いた出久の姿にヒーローの素質を見出したオールマイトは一転、出久を自らの後継者に指名したのだった。
雄英高校ヒーロー科……そこはプロに必須の資格取得を目的とする養成校
全国同科中、最も人気で最も難しくその倍率は例年300を超える。
言わずと知れたNo.1ヒーロー「オールマイト」
事件解決数史上最多、燃焼系ヒーロー「エンデヴァー」
ベストジーニスト8年連続受賞「ベストジーニスト」
栄光あるトップヒーローには雄英卒業が絶対条件とも言われている。
〜2月26日〜
オールマイトとの訓練を終え、大急ぎで帰ってシャワーを浴びて、荷物をまとめて地下鉄乗り継ぎ40分。
出久は雄英の一般入試実技試験に挑む。
校門前に立ち、出久は試験への決意を固める。
「どけ、デク」
そんな出久の後ろから声をかけてくる爆豪。
「俺の前に立つな、殺すぞ」
「お早う、かっちゃん。お互いがんば……」
と、出久は声をかけるが爆豪は無視して会場へと入っていく。
「かっちゃんは相変わらずだなぁ……」
ヘドロヴィランの一件以来、出久は爆豪と口をきいていない。
彼にも思うところがあるのだろう。
「まぁ、仕方ないか。気を取り直して……踏み出せ、ヒーローへの第一歩を!」
一歩踏み出そうとする出久だったが、気負っていたのか盛大につまずく。
しかし、出久は転ぶことなく、何故か宙に浮いている。
「……へ?」
「大丈夫?」
驚く出久に少女が声をかけてくる。
「私の個性、ごめんね勝手に。でも、転んじゃったら縁起悪いもんね」
そう少女が言うと、体制を整えた出久の浮遊は解け、地面に着地する。
「ありがとう。重力操作系の個性?凄いね、助かったよ!」
「うん、転びそうだったからフワァ!っとね。試験って緊張するよねえ。お互い頑張ろう!」
そう言うと少女も会場へと去っていった。
「……僕も行くか!」
出久は改めて会場へと一歩踏み出した。
〜試験会場〜
「今日は俺のライヴにようこそー!エヴィバデセイヘイ!!」
唐突な試験官の挨拶に、会場に座する受験生たちは困惑し、返答もできず静まりかえる。
「こいつあシヴィー!受験生のリスナー。実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ、アーユーレディ!?」
試験官『プレゼント・マイク』はそんな静けさを気にもせず、話を始めていく。
「入試要項通り、リスナーにはこの後10分間の模擬市街地演習を行ってもらうぜ。持ち込みは自由、プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな」
「同校同士で協力させねえってことか……てめぇを潰せねえじゃねえか」
爆豪は説明を聞き、出久に露骨な舌打ちをしていく。
一方の出久は『持ち込み自由』の案内から、思いを馳せていた。
〜10ヶ月前……緑谷家 出久の部屋〜
「本当に僕がゲーマドライバーを持っていていいんですか?」
話があると自宅に突然ワープしてきたポッピー。
母親の目を逃れ、自室に籠もった出久は、ポッピーからの申し出に対して問いかける。
「うん、もちろん!……というか、ゲーマドライバーの適合者ってなかなか見つからなくってね。実質、今は出久しか使えないの!」
なかなかの重要事項をさらっと言うポッピーに、出久は戸惑いつつも問いかけを続ける。
「でも……こういうアイテムって、通常はヒーローの資格をもってないと使用できないんじゃ……」
「そうなんだけど、何事にも例外ってものがあるの。たとえば第4世代以降、個性特異点の兆候が見えてからは特に『個性』と『身体』が合ってない人ってのが出てきてね。そういう『個性』が日常生活に支障をきたすような人は、国の審査を受ければヒーローじゃなくてもアイテム着用が認められるんだよ。まぁそのへんは衛生省がいろいろと処理するから問題なし!!」
「国家権力!?」
ポッピーの口から矢継ぎ早にさらっと飛び出す内容に驚きっぱなしの出久。
「それにほら、前も言ったけどゲーマドライバーって元々対ヴィラン戦闘用アイテムじゃなくて『医療機器』だしね。この前のヘドロの一件みたいに出久が緊急時に街中で使ったとしても、民間人がAEDを使って心肺蘇生するのと同じ理屈で通せるのよ」
「……なんか、もうどこからツッコんでいいのかもわかりません……」
「とにかく!出久はもっと自信をもって!!」
ポッピーは戸惑う出久の肩をポンと叩く。
「入試近いんでしょ?雄英高校に入学して、最高のヒーローになってね。仮面ライダーエグゼイド!!」
〜再び現在……試験会場〜
ポッピーの話はともかく、持ち込み自由の試験であるならば、尚更ゲーマドライバーの使用は問題ない。
出久は少し安心して、プレゼント・マイクの話の続きに耳を傾けた。
「演習場には仮想ヴィランを三種・多数配置してあり、それぞれの『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある。各々なりの個性で仮想ヴィランを行動不能にし、ポイントを稼ぐのが君達の目的だ。もちろん、他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?」
プレゼント・マイクがそこまで説明すると、一人の受験生が手を挙げる。
「質問よろしいでしょうか!?」
眼鏡をかけた、如何にも優等生的風貌の少年が声を上げる。
「プリントには四種のヴィランが記載されております。誤載であれば、日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態。我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです」
「オーケーオーケー、受験番号7111くん、ナイスなお便りサンキューな」
そう言うと、プレゼント・マイクは受験生からの質問に答える。
「四種目のヴィランは0P、そいつは言わばお邪魔虫。マイティアクションやったことあるか?あれのお邪魔キャラみたいなもんさ。各会場に一体、所狭しと大暴れしている、要は『ギミック』よ」
会場のどこからか、まるでゲームみたいだとの声が漏れる。
出久もそれに同感した。そしてこうも思った。
『ゲーム』なら自分は負けない……と。
「俺からは以上だ。最後にリスナーへ我が校校訓をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った。
『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』……と。
プルスウルトラ、それでは皆良い受難を!!」
プレゼント・マイクはそう告げて、解説を終わりにした。
〜実技試験会場 模擬市街地演習場〜
出久たち受験生は試験会場に移動した。
出久が辺りを見渡すと、先ほど助けてくれた女の子や質問していた眼鏡くんも同じ会場のようだった。
『ハイ、スタートー』
そんな放送が突如として聞こえてくる。
「……え?」
出久含め、戸惑う受験生たち。
『どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ、走れ走れぇ。賽は投げられてんぞ!?』
「設定はゲームっぽいのに、変なとこだけリアル思考!?」
慌ててゲーマドライバーとガシャットを取り出す出久。
他の受験生たちも一斉に走り出す。
ドン!
押し寄せる人波に突き飛ばされ、出久はガシャットを落としてしまう。
「……嘘だろ」
人波に巻き込まれたガシャットを、出久は完全に見失ってしまった。
「大丈夫、これぐらいの遅れはまだ挽回できる……慌てるな……」
数々の大会で好成績を出してきた『天才ゲーマー』としての判断力が、出久に冷静さを与えてくれる。
受験生たちの動きを思い出し、ガシャットが飛ばされたであろう方角を予想し、そちらへと走っていく。
数分後。読みが的中し、出久は落ちていたガシャットを拾いあげる。
『標的補足!!』
そこにやってきた1Pヴィラン。
出久へと鉄の拳を振り上げる。
「ここからようやくゲームスタートだ!」
出久は手にしたガシャットのスイッチを押す。
『マイティアクションX!』
「変身!」
『ガッシャット!』
『レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!』
『アイム ア カメンライダー!』
―仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル1―
変身を終えた出久は1Pヴィランへ飛びかかる。
「据え膳」
しかし、出久の攻撃が届く前にどこからか放たれたレーザーがヴィランを撃ち抜いた。
出久がレーザーの発射方向を見ると、腰に巻いたベルトから発射痕らしき煙を上げる少年の姿が目に映った。
「君も素敵なベルトをしてるね!縁があったらまた会おう!!」
そう告げると、少年は足早にその場を去っていく。
『あと6分2秒〜』
鳴り響くアナウンスに出久は若干の焦りを覚える。
気がつけば周りの他の受験生たちはすでに多くのポイントを獲得している。
「思ったより……敵がどんどん減ってる。マズイな……」
別室でモニター越しに試験の様子を見ている雄英高校教師たちは口々にコメントを発していく。
「この入試はヴィランの総数も配置も伝えていない。限られた時間と広大な敷地、そこからあぶり出されるのさ」
「状況をいち早く把握する為の情報力、遅れて登場じゃ話にならない機動力、どんな状況でも冷静でいられる判断力、そして純然たる戦闘力。市井の平和を守る為の基礎能力がP数という形でね」
「今年はなかなか豊作じゃない?」
「いやー、まだわからんよ。真価が問われるのはこれからさ」
「圧倒的脅威、それを目の前にした人間の行動は正直さ……」
ビル群の隙間から顔を出したのは30m級の大型ロボット ―0P仮想ヴィラン―
一歩歩くごとに瓦礫を生み、辺りに被害を撒き散らすその巨体を見た受験生たちは一目散に逃走していた。
「嘘だろ。シャレにならん……逃げつつPを稼がないと……」
出久も急いでその場を離れようとしたとき、視線に飛び込んできたのは足をくじいて動けなくなった女の子の姿。
それは校門で自分を救けてくれた少女だった。
気がつけば、出久は0Pヴィランへ向かって走っていた。
理想的なプレイングを求めるゲーマーとしても、合格を狙う受験生としても、おおよそ無意味な行動。
それでも尚、出久は立ち向かっていた。
「大変身!!」
出久は走りながら、ゲーマドライバーの正面にあるレバーを開放する。
『ガッチャーン!レベルアーップ!』
0Pヴィランの頭上目掛けて、出久が高く跳び上がると、それに合わせて音声が続く。
『マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX!!』
―仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル2―
変身を終えた出久はハンマー状の武器『ガシャコンブレイカー』を取り出す。
そして、ゲーマドライバーからガシャットを抜き、ガシャコンブレイカーへと挿し直す。
『キメワザ!』
鳴り響く音声とともに、出久の握るハンマーにエネルギーが満ちていく。
『マイティクリティカル……』
ヴィランに立ち向かいながら、出久はオールマイトの言葉を思い出していた。
『細かな説明をする時間はないからこれだけ。ワン・フォー・オールを使う時は、ケツの穴グッと引き締めて心の中でこう叫べ!』
ハンマーを握る右手にも稲妻が走り、並々ならぬ力が満ちる。
「スマッシュ!!」
0Pヴィランの脳天に必殺の一撃が叩き込まれる。
『PERFECT』
強い衝撃が走り、巨大ヴィランが粉砕され、頭から崩れ落ちていく。
ドクン!
それと同時に、出久の全身に激痛が走る。
胸に表示されたHPゲージが一気に減り、変身が解除される。
「……な!?」
全身を襲う鈍い疲労感とズキズキとした頭の痛みに耐えながら、出久はオールマイトの言葉を思い出す。
『器は成したが、それはあくまで急造品の器。肉体への反動は覚悟しておけよ』
「……そうか、バカか、僕は。オールマイトの力だぞ!?たった10ヶ月、ギリギリ扱えるレベルになっただけなんだ……」
頭を押さえながら、落下していく地面を見つめる。
「借り物の個性が、僕の身体に辛うじて収まっただけ……僕はまだ、ゲームの電源ボタンを押す権利を与えられただけだ!」
迫りくる地面との激突まで、あと僅か。
出久は考える。
「どうする?再変身してる余裕はない。生身でスマッシュを地面に向かって撃つ……?タイミングが早すぎても遅すぎても死ぬ。成功してもまだ0P……一発で変身解除するような衝撃。もし、僕の身体が耐えられなかったら……合格は絶望的!」
そんなことを考えながら落下していく出久の頬を、ロボットの残骸に掴まりながら宙に浮かんできた少女が張り手する。
「さっきの女の子!?そうか、重力制御!!」
状況を理解した出久。
彼女の個性で浮遊することができたため、個性解除に合わせて穏やかに着地する。
出久は、自分を救けてくれた少女の様子を確認する。
少女は個性使用の反動か苦しそうに倒れ込む。
「大丈夫!?……とりあえずケガはないか。そんで、ありがとう」
感謝の言葉を伝えた出久は周囲に目を配る。
「あとは、せめて1Pでも……」
『終了〜』
そのとき、試験終了を告げるアナウンスが鳴り響いた。
「あいつ、何だったんだ?」
「いきなりギミックに飛び出したりして」
「変身する個性だろうけど規格外だ」
「とりあえずすげえ奴だってのは間違いねえよ」
周りの受験生たちは巨大ヴィランを粉砕してみせた出久について噂する。
「はい、お疲れ様〜」
そこにひとりの老婆が現れた。
「はい、ハリボー」
老婆は受験生たちにグミを配って回る。
その老婆が出久のとこにやって来ると……
「リ……リカバリーガール!!」
出久はハイテンションで大声を上げる。
「おや、あんた。若いのにわたしのこと知ってるのかい?」
「はい!妙齢ヒロイン『リカバリーガール』!!個性は『治癒力の超活性化』で、口吻した相手の自然治癒力を高め、怪我を癒やす力。あの、僕、ヒーロー免許だけじゃなくて、医師免許も取得して、人の命を救えるヒーローになりたくて……それで……」
興奮して話す出久の口に、リカバリーガールはハリボーを投げ込む。
「それだけ元気なら大丈夫だね。怪我もなさそうだし、気をつけて帰りな」
そう言うと、リカバリーガールはまた他の受験生たちへと回っていった。
〜数日後〜
出久は改めて入試の出来を振り返っていた。
筆記の方は問題なし。自己採点ではほぼ満点。
けれど、実技はそれを帳消しにする圧倒的0P……
そして、入試以降オールマイトと連絡がつかなくなった。
「出久、来たよ!?」
母親が雄英からの通知がきたことを告げる。
出久は自分の部屋へ戻ると、母から受け取った通知書を開く。
「私が投影された!!」
「ええ!?雄英からだよな!?」
封を開けた途端に投影されたオールマイトの姿に驚く出久。
「諸々手続きに時間かかって連絡取れなくてね、いやすまない。私がこの街に来たのは他でもない。雄英に勤めることになったからなんだ」
映し出されたオールマイトが語りかけてくる。
「ええ、何だい!?巻きで!?彼には話さなきゃいけない事が……後がつかえてる!?あーあー、わかったOK」
軽く咳払いしたオールマイトは、いよいよ本題に入る。
「筆記は見事、満点だ!凄いな、少年!!しかし、実技は0P、当然不合格だ……」
オールマイトはそう告げていく。
「シンプルにそう来るか……想定はしてたけど悔しいっ……」
出久がそう感じていると……
「それだけならね」
オールマイトは言葉を続ける。
「私もまたエンターテイナー、こちらのVTRをどうぞ」
オールマイトがそう告げると、映像が一転。
試験中に出久が救けた女の子の姿が映される。
「彼女、試験後すぐ直談判しに来たんだってさ。何をって!?続きをどうぞ」
『あのぉ、頭もっさもさの人。そばカスのあった。わかりますか?っと〜地味めで〜でも派手な姿に変身できる〜、その人に私のP分けるって出来ませんか!?』
少女は懸命に語り続ける。
『あの人「せめて1P」って言ってて。私聞いてて、だからまだ0Pだったんじゃって思って……せめて私のせいでロスした分。あの人、救けてくれたんです!』
「……個性を得て尚、君の行動は人を動かした。先の入試、見ていたのはヴィランPのみにあらず!人救けした人間を排斥しちまうヒーロー科などあってたまるかって話だよ。きれい事!?上等さ……命を賭してきれい事実践するお仕事だ」
オールマイトは言葉強く、出久へ発する。
「レスキューP、しかも審査制。我々雄英が見ていたもう一つの基礎能力、緑谷出久60P、ついでに麗日お茶子45P……合格だってさ。来いよ、緑谷少年」
画面の中のオールマイトが勢いよく指差す。
「ここが君のヒーローアカデミアだ!」
「……オールマイト」
出久はその言葉を聞き、心の底から震え、静かに涙を流した。
『多くの救けを受けて僕の人生は変わっていく……そして、夢の高校生活が始まる』
【デクの現在所持ガシャット】
・マイティアクションX