僕のヒーローアカデミア with EX-AID 作:ムジョー555
雄英高校一般入試実技試験に挑んだ緑谷出久。
他の受験生に巻き込まれてガシャットを紛失し、出遅れたところに現れた巨大ロボット。
足を挫いた少女を巨大ロボットから救うために個性全開で敵を粉砕した出久は、見事合格を掴み取ったのだった。
〜雄英高校実技試験 審査室〜
「実技総合成績出ました」
「レスキューポイント0で1位とはなあ」
モニターに映し出される試験結果に、雄英教師陣たちは感想を口々にする。
まず、関心が集まったのは1位となった爆豪についてだった。
「1Pや2Pは標的を捕捉し近寄ってくる。後半他が鈍っていく中、派手な個性で避けつけ迎撃し続けた、タフネスの賜物だ」
「対照的にヴィランポイント0で7位」
次に注目を集めたのは出久。
「アレに立ち向かったのは過去にもいたけど、ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」
「思わずYEAHって言っちゃったからなー」
「しかし、自身の衝撃でサポートアイテムが停止し、一時的行動不能。相当な負荷だな」
「細けえことはいんだよ、俺はあいつ気に入ったよ」
「YEAHって言っちゃったしなー」
他の教師陣がわいわいと盛り上がる中、ひとり冷静に画面を見つめる者がいた。
〜合格通知開封翌日 夜8:00〜
オールマイトの連絡を受けた出久は、トレーニング場所として使っていた海浜公園を訪れていた。
「合格おめでとう」
痩せ細った姿―トゥルーフォーム―のオールマイトが、出久へ語りかける。
「一応言っとくが、学校側に君との接点は話してなかったぞ。君そういうのズルだとかで気にするタイプだろ」
「お気遣いありがとうございます」
出久は一礼すると、話を続ける。
「オールマイトが雄英の先生だなんて驚いちゃいました。だから、こっちに来てたんですね。だって、オールマイトの事務所は東京都港区六本木6-12……」
「やめなさい」
出久がベラベラと話していくのをオールマイトは静止する。
「学校側から発表されるまで他言は出来なかったからね。後継を探していた折に雄英側からたまたまご依頼があったのさ」
『後継を探していた』
その発言に、出久は察する。
本当は自身の後継者を、雄英高校の生徒の中から選ぶ予定だったのだと。
「ワン・フォー・オール……必殺技の一振りで変身が解除されました……僕にはてんで扱えない」
「それは仕方ない。突如尻尾の生えた人間に『芸を見せて』と言っても操ることすらままならんって話だよ」
「って、ああなることわかってたんですか!!?」
オールマイトの言葉を聞き、思わずツッコむ出久。
「いや、本当はもっと酷い状況も想像してたよ。手足砕けるくらいの反動とか……まァ、時間なかったし。でも、あのサポートアイテムはやはり素晴らしい性能だね。肉体損傷を完璧に抑え込めている。結果オーライ、結果オールマイトさ!」
「えぇ……」
オールマイトの口からさらっと飛び出す想定に出久は若干引く。
「まぁ、今はまだ100か0。だが、調整が出来るようになれば身体に見合った出力で扱えるようになるよ。器を鍛えれば鍛える程、力は自在に動かせる」
そう言うと、オールマイトは全力で海岸を走り出す。
「ちょっと、オールマイト!なんか都合悪いからって逃げてません!?」
HAHAHAと笑いながら疾走するオールマイト。
聖火の如く、譲渡した火はまだ火種。
これから多くの雨風に晒され大きくなっていく。
そして、老兵はゆっくりと衰え、火も消え入り、役目を終える。
オールマイトはやがて訪れるであろう世代交代を静かに感じていた。
〜そして春〜
緑谷出久の高校生活が始まる。
「扉、デカ……ダンジョンかな?」
1-Aの教室の前。
出久はその扉を開ける。
「机に足を掛けるな!雄英の先輩方や机の製作者に申し訳ないと思わないのか!!」
「思うわけねぇだろうが!てめぇどこ中だ、この端役が!!」
いきなり飛び込んできた光景に出久は言葉を失う。
入試会場で質問していた眼鏡くんと爆豪が激しく言い争っていた。
「ボ、俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」
「聡明〜!?くそエリートじゃねえか、ブッ殺し甲斐がありそだな」
「な!?口が悪いな、君本当にヒーロー志望か?」
そんなやりとりを呆然と見ていた出久。
飯田は扉のそばに立ち尽くす出久に気がつくと、そちらへと向かう。
「これは、進行の邪魔をしてすまない。俺は……」
「聞いてたよ!僕は緑谷出久。よろしくね、飯田くん!」
謝りながら挨拶をしようとする飯田にかぶせるように、出久も自己紹介をしていく。
「あぁ、よろしく。実は入試でも同会場だったから、君には一目置いているんだ。他の受験生の救助へ向かう判断力、敵を粉砕する戦闘力……どちらも素晴らしかった!」
「そんな、あれで僕も結構ギリギリで……」
「あっ、そのモサモサ頭は!地味だけど変身したら派手な人!!」
出久と飯田がそんなやりとりをしていると、新たに教室へと入って来た一人の少女が声を上げた。
入試の際に出久が救けた少女『麗日お茶子』が、にこやかな表情で駆け寄って来た。
「プレゼント・マイクの言ってた通り受かったんだね。そりゃそうだ、あのハンマー凄かったもん。0Pヴィランをバチコーン!だもんね!!」
そんな出久と他生徒のやりとりを見ながら、爆豪は入学前のことを思い出していた。
〜中学校 校舎裏〜
「なんで無個性のてめぇが受かるんだ、あ!?あの妙なアイテムで強くなったつもりか、ふざけんな!!史上初、唯一の雄英進学者、俺の将来設計が早速ズタボロだよ。他に行けっつったろーが!!」
ブチギレながら出久に掴みかかる爆豪。
出久はそれをなんとか捌き、爆豪から距離をとって話す。
「言ってもらったんだ。『ヒーロー』になれる!って。僕にもできることがあるって……だから……」
出久はまっすぐと爆豪を見つめる。
「僕は雄英に行くよ、かっちゃん!!」
〜再び現在〜
「今日って式とかガイダンスだけかな?先生ってどんな人だろうね、緊張するよね」
お茶子はニコニコと出久に語りかける。
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここは、ヒーロー科だぞ」
そんな楽しげな雰囲気に水を差すように、怪しい男が声をかけてくる。
その異様な光景に教室が静まりかえる。
「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね」
そう言うと、怪しげな男は教壇に立つ。
「担任の相澤消太だ、よろしくね」
「担任!?」
「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」
〜雄英高校グラウンド〜
「個性把握テストォ!?」
グラウンドに出た生徒たちが素っ頓狂な声を上げる。
「入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ。雄英は自由な校風が売り文句。そして、それは先生側もまた然り」
相澤はボール状の機械を準備しながら、話を続ける。
「ソフトボール投げ、立ち幅とび、50m走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈、中学の頃からやってるだろ?個性禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けてる。合理的じゃない。まぁ、文部科学省の怠慢だよ」
そう言うと、相澤は爆豪へボールを投げ渡す。
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」
「67m」
「じゃあ、個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい、早よ。思いっ切りな」
「んじゃまあ、球威に爆風をのせる……」
爆豪は大きく振りかぶると、掌に個性を滾らせる。
「死ねぇ!!!」
宣言通り、爆破の個性を使って思い切りボールを投げる爆豪。
「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地をつくる合理的手段」
相澤のもつ記録計に「705.2m」という値が表示された。
「なんだこれ、すげー面白そう!!」
「705mってマジかよ!」
「個性思いっきり使えるんだ。流石ヒーロー科!!」
騒ぐ生徒たち。
「面白そうか……ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」
「はあああぁぁ!?」
「生徒の如何は先生の自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」
驚く生徒たちに相澤はそう言い放った。
「最下位除籍って……入学式初日ですよ!?いや、初日じゃなくても理不尽すぎる」
お茶子は相澤の宣言を聞き、慌てふためく。
「自然災害、大事故、身勝手なヴィランたち。いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれてる。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。プルスウルトラさ、全力で乗り越えて来い」
相澤はそう告げた。
「さて、デモンストレーションは終わり。こっからが本番だ」
〜第1種目 50m走〜
飯田天哉 個性「エンジン」
見たまんま脚からエンジン。脚が速い。
50m走を3秒04で走り切る。
飯田と一緒に走った『蛙吹梅雨』は5秒58を記録する。
麗日お茶子 個性「ゼログラビティ」
触れたモノにかかっている引力を無効化する。
ただし、キャパオーバーすると激しく酔う。
お茶子は、靴や服を軽くするように個性を使い7秒15の記録を出す。
青山優雅 個性「ネビルレーザー」
へそからレーザーが出る。持続時間がネック。
「一秒以上射出するとお腹壊しちゃうんだよね」
そう言いながらも、レーザーの反動を利用し、5秒51の記録を出す。
出席番号17、18
爆豪勝己と緑谷出久がスタート位置につく。
出久は考える。
きっと皆、個性を活かして普通じゃない記録を出してくる。
対して自分は一度使えば身体が壊れてしまい、変身すら一発で解除される力。
ならば、自分はなるべく個性は使わず、仮面ライダーの力で負担なくクリアする。
そう考え、出久はゲーマドライバーをセットする。
『マイティアクションX!』
「大変身!!」
『ガッチャーン!レベルアーップ!』
『マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX!!』
―仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル2―
「なんだあれ!?」
「変身する個性か!?」
出久の変身にざわめく生徒たち。
並び立つ爆豪は露骨に嫌な顔をする。
スタートの合図とともに走り出す2人。
変身した出久は、その身体能力をいかんなく発揮し、一気に走り抜ける。
緑谷出久 1秒60
「デクに……負けただと……!?」
爆豪は爆破の個性を使い、4秒13の好記録を出すも、出久に及ばぬ事実に苛立ちを隠せない。
〜第2種目 握力測定〜
レベル2は敏捷性に優れるものの、単純なパワーはレベル1が勝る。
出久は敢えてレベルを下げて、握力計を握る。
バキッ!!
「あ……」
計測モニタには『測定不能』の文字が表示された。
「ゆるキャラみたいな見た目してえげつねぇー!!」
辺りからはそんな声が飛んだ。
〜第3種目 立ち幅跳び〜
再びレベル2へと姿を変えた出久。
「マイティジャンプ!!」
自慢の脚力で跳び上がる。
記録『43.1m』
〜第4種目 反復横跳び〜
レベル2の敏捷性で難なく回数を稼ぐ出久。
記録『114回』
〜第5種目 ボール投げ〜
「えいっ!」
お茶子の投げたボールは、フワっと浮かび、宙を漂う。
記録『∞(無限大)』
「無限キター!!」
衝撃の記録にざわめく一同。
そんな中、出久の番がやってきた。
ボール投げのような動作は、単純なパワーのみならず繊細な身体の動きが必要と判断した出久は、レベル2の状態で円の中に入る。
ここまで好記録を連発する出久へ、クラスの皆が視線を向ける。
「いっけぇぇぇ!!」
豪快なフォームから放たれた一投。
記録『378.2m』
思ったよりも伸びなかった記録に首を傾げる出久。
投球フォームが良くなかったのか、いっそエナジーアイテムやキメワザを使ってみるか……
そんなことを考え、出久が第2投の準備に入ったときだった。
「待て、緑谷」
出久が振り返ると、そこには凄まじい形相でこちらを見つめる相澤の姿があった。
「たしかに『個性』は消したんだが……つくづくあの入試は合理性に欠くよ。おまえのような奴も入学出来てしまう」
「……『個性』を消した?そうか、そのゴーグル!視ただけで人の個性を抹消する個性、抹消ヒーロー・イレイザーヘッド!?」
出久は相澤の正体に気づき、声を上げる。
「俺のことはどうでもいい。それよりも今はお前の『個性』の話だ……」
相澤は強い口調で言葉を続ける。
「緑谷、俺は『個性』把握テストだと言ったはずだ。サポートアイテムのお披露目会がしたいなら他所へ行け。入試を見る限りじゃお前、自分の個性を制御できないんだろ?自分の『個性』を満足に使えないような奴にヒーローは務まらん」
「それは……」
「ボール投げは2回だ。とっとと済ませな」
相澤はそう告げると、出久を強く見つめる。
玉砕覚悟の全力投球で変身解除か……
はたまた性懲りも無くサポートアイテム依存か……
どっちに転んでも見込みはない。
相澤はそう考えていた。
一方、出久はオールマイトの言葉を思い出していた。
〜三週間前 海浜公園〜
オールマイトが出久に語る。
「調整のコツ、それは感覚だ。君はもう既に100%を引き出した」
「一発で変身解けましたけど」
「そうなれば話は早い。感覚を覚えたハズだ、どうだった!?」
「バチっというかドカッというか、えっとーそうだ、RPGで呪いの装備を身に着けたせいでHP削られたような感覚です」
「ファンタジーでユニーク!」
オールマイトは血を吹き出しながら笑う。
「それが君のイメージなら『呪いを解く』、『対抗呪文を唱える』……何でも良いがHPが削られないイメージを反芻するんだ。入学まで三週間、ひたすらイメージを続けなさい。一朝一夕にはいかないかもしれんが、君なら出来る。必ずね」
〜再び現在〜
出久は考える。
呪いを克服するイメージ、個性を発動してもHPが削られないイメージ。
それが、まだはっきりと湧かない。
RPGにおいて、そういうものは地道にレベルアップしてこそ叶うもの。
それを、この一投で「出来る可能性」に懸けるのか?
オールマイトも言っていた。「一朝一夕にはいかない」と。
……それならただ全力で!
出久は勢いよく振りかぶる。
「見込みゼロ」
それを見た相澤はそうつぶやく。
出久は思う。
自分は、まだゲームを始めたばかり。
人より何倍も頑張らないといけない。
だから「最大限で最小限に」
だから「全力で今出来ることを」
ワン・フォー・オールが発動し、ボールを握る腕に力が漲る。
消耗上等……HPを『発動コスト』に!
「攻撃魔法……スマッシュ!!」
空を裂き、ボールはまっすぐと飛んでいく。
出久の胸のHPゲージが僅かに欠ける。
頭に軽く痛みが走るも、入試のときほどではない。
「相澤先生……僕はまだやれます!」
変身を維持したまま、出久はそう言い放つ。
「体力消費は避けられないものの、この土壇場で個性出力を調整してきたか」
相澤はそう呟くと感心し、『1308.7m』という記録に驚いていた。
〜個性把握テスト 残り3種目〜
【デクの現在所持ガシャット】
・マイティアクションX