僕のヒーローアカデミア with EX-AID 作:ムジョー555
無個性の少年、緑谷出久は雄英高校ヒーロー科に入学した。
入学初日に突如として行われた『個性把握テスト』
トータル最下位は除籍処分の難題。
まだ個性を制御できない出久は仮面ライダーの力で挑むも、担任の相澤に『個性を使えない者はヒーローになれない』と指摘される。
その言葉に一念発起した出久は、不器用ながらも個性を発動させた。
「心配になっちゃって来たけど、なんだよ少年」
グラウンドの片隅。
オールマイトは物陰から静かに様子を窺っていた。
「ゲームが得意とは聞いていたが、想像以上だ。体力の消耗自体を防ぐことはまだ出来ない。行動不能になるわけにもいかない。ならば、体力を『個性』発動の必要経費と割り切り、消費した分だけワン・フォーオールを出力させた。さながら、MPを支払って魔法を使うRPGのキャラクターのように……なんだよ少年、かっこいいじゃないか」
「何だあれ……」
出久の投球を見た爆豪は驚愕する。
これまでのようなサポートアイテム頼りの力ではない。
明らかにそれに上乗せされた『個性』の力。
しかし、個性の発現はもれなく4歳までのはず。
「ありえねぇ……どーいうことだ、こら。ワケを言え、デク!てめぇ!!」
怒り心頭、爆発乱発で出久に向かっていく爆豪。
しかし、その突進は布のようなものが身体に巻き付き、止められる。
「んだ。この布、固っ……」
「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ捕縛武器だ。……ったく、何度も個性使わすなよ。俺はドライアイなんだ」
そう言うと相澤は自らの個性と捕縛布で爆豪を止める。
相澤消太 個性『抹消』
視た者の個性を消す。瞬きすると解ける。
「さて、時間がもったいない。再開するぞ」
文字通り身を削りながらも個性を使えるようになった出久。
その後も危なげなく、好成績を維持したまま全種目を終えた。
そして、最終成績が表示される。
出久はトータルで1位を記録した。
「ちなみに除籍はウソな」
「はあああぁぁ!?」
相澤がさらっと告げると、再びクラスが湧く。
「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」
相澤はこともなげにそう言い放つ。
「今日はこれにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから目ぇ通しとけ」
そう言うと、相澤はグラウンドから去っていった。
「相澤くんのウソつき!」
一部始終を見ていたオールマイトが、相澤に話しかける。
「オールマイトさん、見てたんですね。暇なんですか?」
「合理的虚偽って、エイプリルフールは一週間前に終わってるぜ。君は去年の一年生、一クラス全員除籍処分にしている。見込みゼロと判断すれば迷わず切り捨てる。そんな男が前言撤回っ。それってさ、君も可能性を感じたからだろう!?」
「君も?ずいぶんと肩入れしてるんですね?先生としてどうなんですか、それは」
相澤の指摘に思わずたじろぐオールマイト。
「ゼロではなかった。それだけです。見込みがない者はいつでも切り捨てます。半端に夢を追わせることほど残酷なものはない」
「君なりの優しさってわけかい、相澤くん」
オールマイトはそう呟いた。
こうして出久たちの高校生活初日が終了。
下校時間を迎えた。
「……疲れたぁ〜」
個性使用の反動で疲労困憊の出久はトボトボと校門を歩く。
「大丈夫かい?」
「あ、飯田くん。すごく疲れたけど、ケガとかはないからね。大丈夫だよ」
「そうか、ならよかった。しかし、相澤先生にはやられたよ。俺は『これが最高峰』とか思ってしまった。教師がウソで鼓舞するとは!」
「あながち全部ウソってわけでもなかった気はするけどね。僕なんか、あのまま個性使わなかったらどうなってたか……」
「お〜い!お二人さ〜ん!!」
そこに駆け寄るのはお茶子。
「君は∞女子」
「麗日お茶子です!えっと、飯田天哉くんに緑谷……デクくんだよね?」
「デク!?」
「え?だって、テストの時爆豪って人が「デクてめェー」って……」
「あぁ……あの、本名は出久で、デクはかっちゃんがバカにして……」
「蔑称か!」
「えー、そうなんだ、ごめん」
憤る飯田に謝るお茶子。
「でも『デク』って『頑張れ』って感じで、なんか好きだ私。響きが」
「デクです」
「緑谷くん!?」
顔を真っ赤にしながら即答する出久。
思わずツッコむ飯田。
こうして、出久は帰路についたのだった。
〜出久 自宅〜
「わ〜た〜し〜がぁ〜きたー!!」
「だから、いきなり来るのやめてくださいよ!!」
部屋で休んでいた出久のもとに、突然ワープしてきたポッピー。
出久のツッコみも意に介さず、勝手に部屋でくつろぎ始める。
「まぁまぁ、それより出久。入学おめでとー!聞いたよ、初日から大活躍だったって。個性発現したばっかりなのにスゴイね!!」
ポッピーはお世辞ぬきに喜びながら話しかける。
「ありがとうございます。ゲーマドライバーがあったおかげですよ……」
ワン・フォー・オールのことはポッピーにも伝えていない。
この年齢での個性発現は極めて稀な事例だと驚きつつも受け入れてくれたポッピー。
オールマイトとの約束とはいえ、自分を支えてくれるポッピーへウソをついていることに出久は少し複雑な気持ちを抱えていた。
「あ、そうそう。今日はこれを持って来たんだ〜!」
そう言うと、ポッピーは大きな箱を取り出した。
「出久、雄英高校入学おめでとー!!」
「えぇ!?ありがとうございます!」
突然のプレゼントに驚く出久。
ポッピーに急かされ、箱を開ける。
「これは……!?」
その中身は、聴診器の形をしたアイテムだった。
〜翌日〜
午前は必修科目・英語等の普通の授業。
昼は大食堂で一流の料理を安価で食べられる。
初日に比べれば、比較的普通の学校生活。
そして、午後の授業「ヒーロー基礎学」の時間!
「わーたーしーがー普通にドアから来た」
オールマイトが教室に入ってくる。
「ヒーロー基礎学、ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う科目だ。早速だが今日はコレ、戦闘訓練!そして、そいつに伴ってこちら」
オールマイトは人数分の衣装ケースを示す。
「入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえたコスチューム。着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ。格好から入るのっても大切な事だぜ、少年少女!自覚するのだ、今日から自分はヒーローなんだと!」
被服控除……それは、入学前に「個性届」と「身体情報」を提出すると、学校専属のサポート会社がコスチュームを用意してくれる素敵なシステム。
「要望」を添付することで便利な最新鋭のコスチュームが手に入る。
「始めようか、有精卵共。戦闘訓練のお時間だ!!」
オールマイトがそう宣言すると、雄英生たちはみなコスチュームを身につけてやってきた。
「いいじゃないか、みんな。カッコイイぜ!!」
オールマイトの言葉に、皆どこか誇らしげになる。
「あ、デクくん。カッコイイね!お医者さんみたい!!」
お茶子の言う通り、出久は医者の白衣をベースにしたスタイリッシュな出で立ちをしている。
首には昨日ポッピーに貰ったばかりの聴診器型デバイスがぶら下がっている。
「ありがとう。麗日さ……うおお!!」
「要望、ちゃんと書けばよかったよ。パツパツスーツんなった。はずかしい……」
そう言って照れるお茶子を出久は直視できなかった。
「先生、ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
まるでロボットのようなメタルスーツを着込んだ飯田が質問する。
「いいや、もう二歩先に踏み込む」
オールマイトは力強く答える。
「屋内での対人戦闘訓練さ。ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内のほうが凶悪ヴィラン出現率は高いんだ。監禁・軟禁・裏商売、このヒーロー飽和社会、真に賢しいヴィランは屋内にひそむ……君らにはこれから『ヴィラン組』と『ヒーロー組』に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう」
オールマイトは、そう説明する。
「基礎訓練もなしに?」
蛙吹が訊ねると、オールマイトはすかさず答える。
「その基礎を知る為の実践さ。ただし、今度はブッ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ」
そう言うと、オールマイトはモニターに映った図を示して説明する。
「いいかい!?状況設定は、ヴィランがアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか、核兵器を回収すること。ヴィランは制限時間まで核兵器を守るか、ヒーローを捕まえること。そして、コンビ及び対戦相手はくじ引きで決定だ」
「適当なのですか!?」
「プロは他事務所のヒーローと急遽チームアップする事が多いし、そういう事じゃないかな」
ツッコむ飯田に出久が補足する。
「そうか、先を見据えた計らい、失礼致しました」
出久の説明に納得する飯田。
そして、始まる1組目。
Aコンビ『緑谷・麗日』ペアがヒーロー役、Dコンビ『爆豪・飯田』ペアがヴィラン役となる。
「ヴィランチームは先に入ってセッティングを。5分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他の皆はモニターで観察するぞ」
オールマイトがそう告げていく。
「飯田少年、爆豪少年はヴィランの思考をよく学ぶように。これはほぼ実戦、ケガを恐れず思いっきりな。ただし、度が過ぎたら中断するけど」
オールマイトの言葉を受け、爆豪と飯田は屋内に向かう。
「訓練とはいえヴィランになるのは心苦しいな……これが核兵器。これを守ればいいのか」
ポジションに着いた飯田がつぶやく。
「おい、デクは個性があるんだな?」
飯田に問いかける爆豪。
「?……あの超パワーを見たろう?サポートアイテムだけでも大したもののようだが……しかし、君は緑谷くんにやけにつっかかるな」
「この俺をだましてたのか!?クソナードが」
飯田に返答せず、爆豪はひとりブチギレる。
「相澤先生と違って罰とかないみたいだし安心したよ」
そう語るお茶子だったが、出久の様子を見ると、
「……安心してないね」
思わず息が漏れる。
「いや、その、相手がかっちゃんだから、飯田くんもいるし。ちょっと身構えちゃって」
出久は視線を遠くに移す。
「凄いんだよ、嫌な奴だけど。目標も自信も体力も個性も僕なんかより何倍も凄いんだ……でも、だから今は負けたくないなって」
そう語ると、出久は拳を強く握った。
「麗日さん、僕に考えがある。聞いてくれる?」
一方、その頃。
同ビル地下モニタールームでオールマイトと生徒たちによる訓練観戦が始まっていた。
ガヤガヤと予想を立てる生徒たちの傍ら、オールマイトは静かに見守っていた。
出久とお茶子はビルに潜入。
屋内、狭い通路を警戒しながら慎重に進んでいく。
「死ねぇ!!」
ある曲がり角、死角からいきなり現れる爆豪。
溜めていたのであろう爆破の威力で一気に加速しながら奇襲を仕掛けてくる。
「敵襲!」
しかし、出久はまるでそれを予期していたかのごとく、冷静に回避。
お茶子に指示を出しながら、爆豪と距離を取る。
「デクこら、避けてんじゃねえよ!」
「やっぱりね。かっちゃんが敵ならまず僕を殴りに来ると思った」
「爆豪ズッケぇ。奇襲なんて男らしくねえ」
「奇襲も戦略。彼らは今実戦の最中なんだぜ」
感想をもらしながら観戦する生徒へ、オールマイトがそう告げる。
再び勢いよく殴りかかる爆豪。
しかし出久は、またもその動きを読み、殴りかかってきた爆豪の右腕を掴んで投げ飛ばす。
「スゴイ……達人みたい……」
出久の立ち回りに、素直に関心するお茶子。
「かっちゃんは大抵最初に右の大振りなんだ……どれだけ見てきたと思ってる。凄いと思ったヒーローの分析は全部ノートにまとめてるんだ、君が爆破して捨てたノートに!」
投げ飛ばされて倒れ込む爆豪に、出久は語りかける。
「いつまでも雑魚で出来損ないのデクじゃないぞ、かっちゃん。僕は……『頑張れ』って感じの『デク』で……」
拳を握り直した出久はファイティングポーズをとり、力強い視線を爆豪に向ける。
「……『仮面ライダーエグゼイド』だ!!」
そう高らかに言い放った。
【デクの現在所持ガシャット】
・マイティアクションX