僕のヒーローアカデミア with EX-AID   作:ムジョー555

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【前回のあらすじ】

生徒たちによる実戦訓練が始まった。

緑谷・麗日ペア vs 爆豪・飯田ペア

いきなり奇襲を仕掛けてきた爆豪だったが、出久はそれを予測し、対処。
今、幼なじみたちによる宿命の闘いが始まろうとしていた。


第6話 猛れ!クソNerd!!

『家が近所だったってことで、僕とかっちゃんは幼馴染だ。何でも「やれば出来てしまう」タイプでガキ大将の乱暴者』

 

『善し悪しはともかく自信に満ちたかっちゃんの背中は僕にとってかっこいいものだった』

 

『けれど、個性が発現してからはそれらが悪い方向へ加速した。人は生まれながらにして平等じゃない。これは齢4歳にして皆が知る社会の現実』

 

 

「ムッカツクなああ!!!」

 

投げ飛ばされた爆豪は腹の底から不快感を露わに叫ぶ。

 

『オイ爆豪くん、状況を教えたまえ、どうなってる!?』

 

「黙って守備してろ。ムカついてんだよ、俺ぁ今ぁ!」

 

飯田にそう伝え、通信を切る爆豪。

 

「アイツ何話してんだ?定点カメラで音声ないとわかんねえな」

 

観戦している生徒のひとりがそう呟く。

 

「小型無線でコンビと話してるのさ。持ち物は、無線機と建物の見取り図。そして、この確保テープ。コレを相手に巻き付けた時点で捕えた証明となる」

 

オールマイトは周りの生徒たちへ説明していく。

 

一方、戦闘中の出久たち。

再び爆豪が爆破の威力で加速しながら突っ込んでくる。

 

「麗日さん行って!」

 

出久が叫び、お茶子は戦線を離脱する。

 

「ノートNo.1018P、生で見れてよかった……」

 

出久の白衣から白く長い布が伸び、突進する爆豪の脚に絡みつく。

 

「くっそがぁ!またこれか!!」

 

出久の装備のひとつ『捕縛包帯』

イレイザーヘッドの捕縛布を参考に、緊急時は通常の包帯としても使用できる強化包帯。

ヒーローとして闘える医師を目指す出久の考えたアイテムだ。

 

纏わりつく包帯を爆破で強引に払い、突撃する爆豪。

 

「焦ってまた右の大振りだよ、かっちゃん!!」

 

その爆豪の動きを予測していた出久は難なく回避する。

 

「すげえなあいつ。個性も使わず、変身もせず、渡り合ってるぞ、入試一位と」

 

観戦する生徒からも出久へ賞賛の声が上がる。

 

オールマイトも出久の動きに素直に関心していた。

たしかにヘドロの一件からしても、元々とっさの判断には優れていた。

さらに、サインをしたノート。

何年にも渡って書き溜め、頭に染み込ませたであろうヒーロー知識。

それが今、報われているのだろう。

 

爆豪の体制が崩れたのを確認すると、出久は一旦その場を離れようと逃走する。

 

「おい、待てコラ、デク!」

 

そんな出久に爆豪が叫ぶ。

 

「なァオイ、俺を騙してたんだろォ!?楽しかったか?あ!?ずいぶんと派手な個性じゃねぇか!?使ってこいや!変身もしてみろや!俺の方が上だからよぉ!!」

 

そうブチギレながら追いかける。

 

一方、出久は走りながらブツブツと呟き、考える。

 

「麗日さんはガン無視で僕を狙い撃ち。やっぱりだ。尖兵出すなら機動力の高い飯田くんの方が良いし、飯田くんならそれはわかっているハズ。だから、これはかっちゃんの暴走で二人は連携がとれてないってことだ」

 

出久は事前に考えていた策と、現状を照らし合わせる。

 

「うん、これでいい。後は麗日さんが核と飯田くんを捕捉次第、僕もそっちに向かって2対1。これがベストな勝ち筋」

 

その頃、爆豪はブチギレながら昔のことを思い出していた。

 

 

『周りの連中を見ていると思う。何で知らねーの?何で出来ねーの?』

 

『あ、そっか、俺がすげーんだ。皆、俺よりすごくない。それだけだ』

 

『そして、無個性のデクがいっちゃんすごくない』

 

そんなとき、爆豪は橋の上で足を滑らせ、川へと落ちてしまう。

幸いにも川は浅く、なんともなく立ち上がる。

 

そこに『あいつ』が手を差し伸べてきた。

 

『本当に大丈夫だったんだ。何ともなかったんだ』

 

『頭打ってたら大変だよ』

 

それでも『あいつ』は手を差し伸べる。

 

『やめろ……俺をそんな顔で見てんじゃねえ!!』

 

 

「……俺の方が上だ」

 

爆豪はそう呟き、出久を追う。

 

その頃、お茶子は核を守る飯田を発見する。

飯田に気づかれないよう、静かに観察するお茶子。

 

すると、飯田は何かを語り始めた。

 

「爆豪くんはナチュラルに悪いが今回の訓練に関しては的を射ているわけだ。ふむ、ならば僕もヴィランに徹すべきなのだ、そうだ。これも飯田家の名に恥じぬ立派な人間となる為の試験、なりきれ……ヒーローになる為、悪に染まれ……」

 

そう言うと、飯田は姿勢を敢えて崩し、声色も変え、懇親の台詞を絞り出す。

 

「俺はぁ、至極悪いぞぉお!!」

 

「真面目や」ブッ

 

それを見たお茶子は思わず吹き出してしまう。

 

そのせいでお茶子を発見した飯田。

 

「来たか、麗日くん。君が一人で来ることは爆豪くんが飛びだした時点で判っていた」

 

飯田はそう言うと、両手を広げ、高らかに叫ぶ。

 

「触れた対象を浮かしてしまう個性。厄介だ。だから先程、君対策でこのフロアの物は全て片付けておいたぞ!これで君は小細工出来ない。ぬかったなヒーロー、フハハハハハ!!」

 

一方、その頃。

出久と爆豪の戦闘が再開していた。

 

出久に右の大振りを2度も回避された爆豪は、出久の動きを警戒し、蹴り主体の戦闘に切り替えていた。

見慣れぬスタイルに、出久は辛うじて対応し、ギリギリで回避していく。

 

『デクくん!飯田くんに見つかっちゃった、ごめん!!』

 

そこにお茶子から通信が入り、出久は思考を切り替える。

 

「場所は!?」

 

『5階の真ん中フロア』

 

「……ほぼ真上か」

 

「余所見とは余裕だなぁ、デク!!」

 

一瞬、視線を上にズラした隙をつき、爆豪が突っ込んでいく。

 

「しまった、避けられない……反撃っ、タイミング、ここ!」

 

爆豪のパンチにタイミングを合わせ、カウンターを叩き込もうとする出久。

それを見た爆豪は爆破を利用し、空中機動で出久の背後に回り込む。

 

「目眩しを兼ねた爆破で軌道変更。そして、即座にもう一回……考えるタイプには見えねえが意外と繊細だな」

 

観戦していた生徒のひとりがそう呟く。

 

「慣性を殺しつつ有効打を加えるには左右の爆発力を微調整しなきゃなりませんしね」

 

女子生徒がそれに続き、爆豪の動きを説明する。

 

「ホラ行くぞ、てめェの大好きな右の大振り!!」

 

爆豪は回り込んだ背後から出久を思い切り殴りつける。

 

「くっ……」

 

モロに一撃を浴びた出久。

倒れ込みそうになりながら、なんとか着地し、体制整える。

 

「麗日さん、個性使えそう?」

 

『いや、デクくんの言ってた通り。キレイに片付けられてる!』

 

「よし、じゃあプランBだ。任せたよ!」

 

「……無視かよ。何で個性使わねぇんだ、俺を舐めてんのか!?。ガキの頃からずっと、そうやって……俺を舐めてたんか、てめェはぁ!!」

 

ブチギレる爆豪に、出久は答える。

 

「君が凄い人だから、勝ちたいんじゃないか……勝って超えたいんじゃないか、バカヤロー!!」

 

「そのツラやめろや、クソナード!!」

 

叫ぶ出久。ブチギレる爆豪。

 

「てめぇもご存知。俺の爆破は掌の汗腺からニトロみてぇなもん出して爆発させてる……」

 

爆豪はそう言うと、出久に手を向ける。

 

「要望通りの設計なら、この『籠手』はそいつを内部に溜めて……」

 

「マジか、かっちゃん!?」

 

説明の途中だが、状況を理解した出久は身構える。

 

『爆豪少年ストップだ。殺す気か!』

 

オールマイトも思わず止める。

 

「当たんなきゃ死なねぇよ」

 

爆豪はそう言うと、溜め込んだもの全てを一気に放出し、爆発を引き起こす。

 

爆豪勝己 個性『爆破』

掌の汗腺からニトロのような汗を出し爆発させる。

溜まれば溜まる程その威力は増していく。

 

籠手いっぱいに溜め込まれた火力は凄まじく、出久を吹き飛ばさんと迫りくる。

 

『マイティアクションX!』

 

「大変身!!」

 

『ガッチャーン!レベルアーップ!』

 

『マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX!!』

 

―仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル2―

 

「……噴出する爆発。スゴイね、かっちゃん。それなら遠距離にも対応出来る」  

 

出久はゲーマドライバーからガシャットを抜き、ふっ!と息を吹きかけ、ベルトの左腰部分に装着されたホルダーへ挿し直す。

 

『キメワザ!』

 

鳴り響く音声とともに、出久の脚にエネルギーが満ちていく。

それはゲーマドライバー本来の効果のみならず……

 

『マイティクリティカル……「スマッシュ」!!』

 

個性『ワン・フォー・オール』も上乗せされた一撃。

迫りくる爆炎を、その廻し蹴り一発で完全に消し飛ばし、さらにその余波で爆豪をも吹き飛ばす。

 

「……なっ!?」

 

自慢の一撃を蹴り一発で対処されたことに驚く爆豪だったが、すぐに取り直し、出久へ語りかける。

 

「やっと変身しやがったか……その姿のてめぇをぶっ潰す!」

 

「望むところだ!……って言いたいところだけど、今回はいろいろとタイムアップみたい……」

 

出久の胸のHPゲージが一気に無くなり、変身も解けて倒れ込む。

 

『ヒーローチーム WIN!』

 

オールマイトがヒーローチームの勝利を告げたのは、出久が倒れたのとほぼ同時のことだった。

 

「な……!?」

 

状況を飲み込めない爆豪のもとに、飯田から通信が入る。

 

『すまない。完璧にしてやられた……』

 

「あぁ!?てめぇ、なにあの丸顔オンナひとりにやられてんだ、このクソが!!」

 

「本当にすまない。まさか、急に『障害物』が現れるとは……」

 

「あぁん?障害物……?」

 

「……マイティアクションX」

 

倒れ込む出久がか弱い声を発したのに気づき、爆豪はそちらを見る。

 

「ガシャットを起動すると、周囲にゲームエリアが展開される。今回は、麗日さんたちのいる上のフロアもゲームエリアにした……」

 

「そういう……ハナっからてめェ……」

 

状況を察した爆豪。

出久の狙いは始めから自分との戦闘ではなかった。

 

変身時に展開されるゲームエリア。

そこには無数のブロックがバラ撒かれる。

 

そう、飯田が片付け、キレイになったはずのフロアに、お茶子が有効活用できる障害物が発生するのだ。

それを利用し、お茶子単独で核を奪取する。

 

これが『プランB』、出久の奥の手だった。

 

「やっぱ舐めてんじゃねえか」

 

爆豪がそう呟く。

 

「個性は使わないつもりだったんだ。まだ使えないから、体が衝撃に耐えられないから。でも、これしか思いつかなかった」

 

出久は息も絶え絶えに答えた。

 

「負けた方がほぼ無傷で勝った方が倒れてら」

 

「勝負に負けて試合に勝ったというところか」

 

消耗し、倒れ込む出久の姿を見て、生徒たちはそう口にした。

 

「デクは全部読んでた。読んだ上で訓練に勝つ算段を……そりゃつまり、ガチでやり合っても、俺完全にデクに……」

 

「戻るぞ爆豪少年、講評の時間だ」

 

考え込む爆豪の肩を、オールマイトは優しく叩き、声をかける。

 

「勝ったにせよ負けたにせよ、振り返ってこそ経験ってのは活きるんだ」

 

オールマイトは爆豪にそう告げた。

 

〜モニタールーム〜

 

「さぁ、今戦のベストは誰かな?わかる人!?」

 

オールマイトがそう聞くと、推薦入学者の女子『八百万百』が手を挙げる。

 

「それは緑谷さんですね。一番、状況判断と予測が適切でしたから」

 

そうハッキリと告げる。

 

「次点で飯田さん。結果的には敗北したとはいえ、状況に対応していたという意味では緑谷さんに勝るとも劣らないものでした」

 

八百万の言葉はまだ止まらない。

 

「爆豪さんの行動は戦闘を見た限り私怨丸出しの独断。論外です。麗日さんは中盤の気の緩み。そして、最後の攻撃が乱暴すぎたこと。ハリボテを核として扱っていたらあんな危険な行為出来ませんわ。相手への対策をこなし且つ核の争奪をきちんと想定していたからこそ、飯田さんは最後対応に遅れた。ヒーローチームの勝ちは訓練だという甘えから生じた反則のようなものですわ」

 

めちゃめちゃ詳細に解説され、たじろぐオールマイト。

 

「ま、まあ、正解だよ、くう」

 

「常に下学上達。一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんので」

 

八百万はそう言い放った。

 

〜授業終了後 保健室〜

 

「入学間もないってのに。何で止めてやらなかった、オールマイト。大きなケガはないとはいえ、疲労だって溜まったらバカにならないんだよ。全く、力を渡した愛弟子だからって甘やかすんじゃないよ!」

 

「……返す言葉もありません」

 

リカバリーガールの言葉に頭を下げるしかないオールマイト。

 

「彼の気持ちを汲んでやりたいと躊躇しました。して、その、あまり大きな声でワン・フォ・オールのことを話すのはどうか……この姿と怪我の件は雄英の教師側には周知の事実ですが、個性の件はあなたと校長、そして親しき友人、あとはこの緑谷少年のみの秘密なのです」

 

「トップであぐらかいていたいってわけじゃないだろうがさ……そんなに大事かね、ナチュラルボーンヒーロー、平和の象徴」

 

「いなくなれば超人社会は悪に勾引かされます。これは力を持った者の責任なのです」

 

「……それなら尚更、導く立場ってのをちゃんと学びんさい」

 

リカバリーガールはそうささやいた。

 

〜放課後〜

 

目覚めた出久が教室に入ると、心配する者、賞賛する者、激励する者……訓練の興奮冷めやらぬクラスメイトたちに厚く出迎えられる。

 

「……かっちゃんは?」

 

「あぁ、止めたんだけど、先に帰っちまった」

 

出久はそれを聞くと、爆豪の元に急いだ。

 

「かっちゃん!!」

 

校門前、爆豪を呼び止める出久。

 

「なんだよ、デク。勝者が自慢でもしにきたか?」

 

「……これだけは君には言わなきゃいけないと思って」

 

出久は爆豪に視線を向ける。

 

「僕の個性は……人から授かった個性なんだ。誰からかは絶対言えない。でも、ゲームみたいな話だけど本当で。おまけにまだろくに扱えもしなくて全然モノに出来てない状態の借り物で……」

 

出久の言葉に何と返答してよいかわからない爆豪。

出久は言葉を続ける。

 

「だから、使わず君に勝とうとした。けど、結局勝てなくてソレに頼った。僕はまだまだで、だから……いつかちゃんと自分のモノにして僕の力で君を超えるよ!」

 

出久はそう宣言する。

 

「何だそりゃ?借りモノ?わけわかんねえ事言って、これ以上コケにしてどうするつもりだ、なあ!?だからなんだ!?今日、俺はてめェに負けた。そんだけだろが、そんだけ」

 

爆豪は授業を振り返り、声を絞り出す。

 

 

「他の奴の個性見てっ、敵わねえんじゃって思っちまった。クソ、ポニーテールの奴の言うことに納得しちまった。クソが、クッソ!なあ、てめェもだ、デク。こっからだ俺は、こっから、いいか!?俺はここで、一番になってやる。俺に勝つなんて二度とねえからな、クソが!!」

 

爆豪はそう言い放ち、その場をあとにした。

 

そこに颯爽とオールマイトが現れ、爆豪の手をとる。

 

「少年。言っとくけど自尊心ってのは大事なもんだ。君は間違いなくプロになれる能力を持っている。君はまだまだこれから……」

 

そう励まそうとするオールマイト。

 

「放してくれよオールマイト、歩けねえ。言われなくても俺はあんたをも超えるヒーローになる」

 

「あれ!?立ち直ってた。教師って難しい……」

 

オールマイトはただ去りゆく爆豪の背を見ていた。

 

『かっちゃんの導火線に火がついた。やる事は変わらない。僕は背中を追うだけ』

 

ガシャットを見つめ、出久もまた歩き出した。

 

『そしてこの数日後、僕らは知ることになる……オールマイトの言っていた真に賢しいヴィランの恐怖を』

 

〜とある酒場〜

 

「見ろよ。オールマイトが先生だってさ」

 

怪しげな風貌の者たちが、オールマイトの記事が載った新聞を眺めていた。

 

「なァ、どうなると思う?平和の象徴が……敵に殺されたら」




【デクの現在所持ガシャット】
 ・マイティアクションX
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