僕のヒーローアカデミア with EX-AID   作:ムジョー555

8 / 13
【前回のあらすじ】

幻夢コーポレーションCEOである檀黎斗が雄英高校にやって来た。
出久の戦闘データを解析した黎斗は、個性反動を緩和するためのレベルアップガシャット『ゲキトツロボッツ』を製作し、出久へと渡した。

一方、時を同じくして、校内セキュリティが破られる騒動が発生。
マスコミの暴走かと思われた一件だったが、その背後にはヴィランの気配が漂っていた。



第8話 UsoじゃないMajiでヴィラン

〜AM7:35 水曜日〜

 

「そこ退かねえと、この家族がどうなっても知らねえぞ!!」

 

「卑怯な!」

 

連続強盗殺人犯「僧帽ヘッドギア」が町中で暴れていた。

人質をとっており、集まったヒーローたちも思うように手が出せない。

 

そんなとき……

 

「もう大丈夫だ、ファミリー。何故なら私が通勤がてら来た!」

 

そう告げるはオールマイト。

 

「ミズーリースマッシュ!!」

 

颯爽と現れたや否や、チョップ一発でヴィランを瞬殺する。

 

「ありがたいけど……」

 

「我ら廃業してしまう」

 

そんな光景を見て、周囲のヒーローたちは静かに嘆いていた。

 

「遅刻するとやばいんでそれじゃ」

 

その場を去ろうとするオールマイトの耳にまた別の声が飛び込んでくる。

 

「轢き逃げー!」

 

「ん〜、遅刻するとやばいんだけどナー」

 

オールマイトは腰を深く沈め、その勢いで轢き逃げ犯の元に飛び出す。

 

……が、オールマイトは宙を舞う自身の動きに思いを馳せる。

 

……明らかに「速度が落ちた」と。

 

個性を渡した後、力は衰えつつある。

それに加え、ヘドロヴィランの一件の無理がたたり、活動可能時間も以前より短くなっていた。

 

オールマイトは出久との会話を思い出す。

 

 

「すみません、母にも言ってなかったのに何でか。かっちゃんには言わなきゃって……本当にすみません」

 

戦闘訓練後、出久は爆豪へ個性譲渡の話をしてしまったことを、オールマイトへ謝っていた。

 

「幸い爆豪少年も戯言と受け取ったようだし、今回は大目に見るが、次はナシで頼むぞ。この力を持つという責任をしっかり自覚してくれ。知れ渡れば力を奪わんとする輩が溢れかえる事は自明の理……この秘密は社会の混乱を防ぐ為でもあり、君の為でもあるんだ、いいね?」

 

オールマイトは出久にそう伝えた。

 

 

オールマイトは思う。

 

後継者として相応しかったと言っても、まだ15歳の少年。

もっと私がしっかりせねば……

 

そう考えながら、次の事件現場に向かっていた。

 

〜PM0:50 1-A教室〜

 

「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイト、そしてもう一人の3人体制で見ることになった」

 

相澤がそう告げる。

 

「なにするんですか!?」

 

「災害水難なんでもござれ、レスキュー訓練だ」

 

生徒の質問に答えた相澤は、さらに説明を続ける。

 

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始」

 

『救助訓練』

 

その言葉の意味を、重みを、出久は確かに感じていた。

ヒーローはヴィランと闘うだけの仕事ではない。

人の命を護り、救ける。

憧れのオールマイトや医者の方々のように……最高のヒーローに近付くため。

出久は意気込んで、自身のコスチュームである白衣に袖を通した。

 

〜移動中 バス車内〜

 

「私、思った事を何でも言っちゃうの。緑谷ちゃん」

 

蛙吹が出久にそう話しかける。

 

「なに、蛙吹さん?」

 

「梅雨ちゃんと呼んで」

 

そう言うと、蛙吹は出久をまじまじと見つめる。

 

「あなたの個性、オールマイトに似てる」

 

「そそそそ、そうかな!?いや、でも僕はその、え〜……」

 

唐突かつ鋭い指摘に明らかに動揺する出久。

 

「待てよ梅雨ちゃん。たしかに超パワーだけど、オールマイトはスマッシュ一発で倒れねえし、サポートアイテムで変身もしねえよ」

 

そう告げる少年『切島鋭児郎』

 

「しかし、増強型のシンプルな個性はいいな。派手で出来る事が多い。俺の硬化は対人じゃ強えけどいかんせん地味なんだよなー」

 

切島鋭児郎 個性『硬化』

身体を硬くすることができる。

 

「そんな、僕は十分プロでも通用する個性だと思うよ」

 

出久は素直にそう評していく。

 

「僕のネビルレーザーは派手さも強さもプロ並み」

 

「でも、お腹壊しちゃうのはヨクナイね」

 

隣の女子に即座にツッコまれる青山。

 

「派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪だな。氷と爆破だもんな!」

 

切島はそう語る。

 

爆豪と並び評されたのは、第2の推薦入学者『轟焦凍』

先日の戦闘訓練では、ビル一棟まるまる凍結させるという桁外れの所業をやってのけた。

 

「でも、爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」

 

「んだとコラ、出すわ」

 

蛙吹の指摘にさっそくキレる爆豪。

 

「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」

 

「なんだその語彙はァ!!」

 

さらなるイジりにますますキレる爆豪。

 

「低俗な会話ですこと」

 

「でも、こういうの好きだ、私」

 

呆れる八百万の言葉をよそに、笑っていくお茶子。

 

そんなこんなで出久たちは訓練場に到着した。

 

〜訓練場内〜

 

「すげぇ〜、USJみてぇ!」

 

数々の災害を想定して造り込まれた場内を見た生徒のひとりが、そんな言葉をもらす。

 

そんな生徒たちの前に宇宙服を着込んだ教師『スペースヒーロー13号』が現れ、話し始める。

 

「水難事故・土砂災害・火事・etc……あらゆる事故や災害を想定し、僕がつくった演習場です。その名もUso(ウソ)のSaigai(災害)やJiko(事故)ルーム、略して『USJ』」

 

「本当にUSJだった……」

 

生徒たちから驚きと呆れのツッコみが入る。

 

「13号、オールマイトは?ここで待ち合わせるはずだが」

 

「先輩、それが通勤時に制限ギリギリまで活動してしまったみたいで、仮眠室で休んでいます」

 

「おいおい、不合理極まりないな……」

 

13号の回答に呆れる相澤。

 

「まあ、念の為の警戒態勢。仕方ない始めるか」

 

相澤のその言葉を受け、13号が語り出す。

 

「えー、始める前にお小言を一つ二つ三つ四つ。皆さんご存知だとは思いますが、僕の個性はブラックホール、どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

 

「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね!」

 

出久はそう話しかける。

 

「ええ。しかし、簡単に人を殺せる力です」

 

13号のその言葉に、クラスの空気が変わる。

 

「皆の中にもそういう個性がいるでしょう。超人社会は個性の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せるいきすぎた個性を個々が持っていることを忘れないで下さい」

 

13号はなおも語り続ける。

 

「相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体感したかと思います。この授業では心機一転、人命の為に個性をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つける為にあるのではない。助ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。以上、ご静聴ありがとうございました」

 

13号が説明を終えると、その直後、USJ全体の照明が一瞬消える。

そして、広場の中央の噴水が歪み出す。

歪みの原因となった漆黒の闇から、ぞろぞろと蠢く大群が湧き出してくる。

 

「なんだあれ?また、入試みたいな本番は始まってるってやつか?」

 

押し寄せる軍勢を前に切島が素直にそう呟く。

 

一方、相澤は即座にゴーグルを装着。

 

「一かたまりになって動くな。13号、生徒を守れ」

 

素早く指示を出す相澤。

 

「皆動くな、あれはヴィランだ」

 

相澤の指示を受け、13号も動き出す。

 

「皆さん後ろから出ないように!これは演習などではありません。完璧な非常事態です!」

 

まだ何が起こっているか分からないという風な生徒たちはきょとんとしていた。

しかし、ただならぬ雰囲気を察し、すぐに13号の背後へ集まっていた。

 

状況を察した出久はポッピーから貰った聴診器型デバイス『ゲームスコープ』を、黒い渦から湧き立つ軍勢へとかざす。

 

―ゲームスコープ―

 

体内のバグスターウイルスを検知することが出来る聴診器型デバイス。

本来はバグスターウイルスの活性状態を診断するためのアイテムだが、ウイルス種を表示するアイコンによって個性の種類や強度を把握することも可能。

また、以前に借りていた腕時計型デバイスに代わる衛生省(ポッピー)との通信手段でもある。

 

出久はゲームスコープのモニターを眺める。

遠巻きにざっと診るだけでは詳細はわからないが、おおよその傾向は掴める。

 

「相澤先生、ざっと診たところ射撃系の個性や異形型なんかが多いです。主犯格らしき奴らの個性はこの距離だと詳細不明ですが、反応は異常に強い強度を示してます!」

 

「合理的な報告ご苦労、緑谷。前情報でそれだけ分かれば充分だ」

 

そう言うと、相澤はいつでも取り掛かれるよう戦闘態勢に入る。

 

「13号にイレイザーヘッドですか。先日頂いた教師側のカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですが」

 

黒い煙のようなヴィランがそう語る。

 

「やはり先日のはクソ共の仕業だったか」

 

相澤は呟く。

 

「どこだよ。せっかくこんなに大衆引きつれてきたのにさ……オールマイト、平和の象徴いないなんて。子どもを殺せば来るのかな?」

 

ヴィランの中でも特に異彩を放つ、全身に手をつけた白髪の男はそう言い放った。

 

「先生、侵入者用センサーは?」

 

八百万が13号に問いかける。

 

「もちろんありますが……」

 

「現れたのはここだけか?学校全体か?何にせよセンサーが反応しねぇなら、向こうにそういうこと出来る個性がいるってことだな。校舎と離れた隔離空間。そこにクラスが入る時間割。バカだがアホじゃねぇこれは。何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

轟は冷静に状況を分析していく。

 

「13号避難開始、学校に連絡試せ。センサーの対策も頭にあるヴィランだ。電波系の個性が妨害している可能性もある。上鳴、緑谷、おまえらも連絡試せ」

 

相澤が次々と指示をしていく。

 

「先生は!?一人で戦うんですか!?」

 

出久は臨戦態勢に入った相澤に声をかける。

 

「あの数じゃいくら個性を消すっていっても……イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛。正面戦闘は……」

 

「いいか、緑谷。覚えとけ。一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号、あとは任せたぞ」

 

そう言うと、相澤はヴィランの大群に単身突っ込んでいく。

 

「射撃隊!行くぞ!」

 

「情報じゃ13号とオールマイトだけじゃなかったのか!?ありゃ誰だ!」

 

「知らねぇ!が、一人で正面から突っ込んで来るとは……大間抜け!!」

 

そう言うと、ヴィランたちは射撃しようとするが、個性が発動せずに困惑。

その隙に相澤はヴィランたちを捕縛布で捕まえ、分銅のように振り回す。

 

「馬鹿野郎!あいつは見ただけで個性を消すっつぅイレイザーヘッドだ!」

 

「消すぅ~~?へっへっへ、俺らみてぇな異形型も消してくれるのか?」

 

そう言うと、四本腕のヴィランが相澤へ殴りかかる。

しかし、そのヴィランの拳が届くよりも前に相澤のパンチが敵に入った。

 

「それは無理だ。発動系や変化形に限る。が、お前らみたいなやつらのうまみは統計的に近接格闘で発揮されることが多い」

 

殴り飛ばした敵の脚に捕縛布を巻きつけ、後ろから来る別の敵にぶつけた。

 

「だから、当然その辺の対策はしている」

 

相澤はそう言いながら、ヴィランたちを近接戦闘で圧倒していく。

 

「肉弾戦も強く、その上ゴーグルで目線を隠されていては誰の個性を消しているのかわからない。集団戦においてはそのせいで連携が遅れを取るな……なる程。嫌だな、プロヒーロー。有象無象じゃ歯が立たない」

 

リーダー格と思しき白髪のヴィランがそうつぶやいていた。

 

相澤が戦っている隙に13号が引率し、避難しようとする生徒たち。

 

「させませんよ」

 

しかし、出口に黒いモヤの敵が突如として立ちはだかる。

 

「初めまして、我々はヴィラン連合。僭越ながら、この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは平和の象徴オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして」

 

黒モヤのヴィランはそう語る。

 

「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズですが、何か変更があったのでしょうか?まぁ、それとは関係なく、私の役目はこれ……」

 

敵が何かを言おうとした途端、爆豪と切島が飛び出す。

 

「その前に俺たちにやられることは考えてなかったのか!?」

 

ふたりの攻撃を難なくかわすヴィラン。

 

「危ない危ない……そう……生徒と言えど優秀な金の卵」

 

「ダメだ。どきなさい、二人とも!」

 

13号が注意した途端、敵の黒いモヤが生徒たちを覆うように広がった。

 

「散らして、嬲り殺す」

 

そう告げると同時に、生徒たちの視界は闇に呑まれて歪んでいき……

 

 

「っ!?」

 

出久が次に目にしたのは水であった。

目の前を一面、水が張っている。

 

「ここは……水難エリアの上か!?」

 

事態を察した出久は空中で体制を立て直し、ゲーマドライバーとガシャットを取り出す。

 

『マイティアクションX!』

 

「変身!」

 

『ガッシャット!』

 

出久は迫りくる水面を目前に、マイティアクションXのガシャットをゲーマドライバーに差し込む。

 

『レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?』

 

『アイム ア カメンライダー!』

 

―仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル1― 

 

変身した出久はブロックに跳び移り、水には落ちることなく、近くの船の甲板に降り立った。

 

「ゲームスコープの反応が大きかったひとりの個性……ワープだったのか。それにしても、オールマイトを殺すだって……?」

 

変身を解除しながら出久がそう思っていると蛙吹が脇にブドウ頭の少年『峰田実』を張り付けて現れた。

 

「蛙吹さん!それに峰田くん!」

 

「カエルの割になかなかどうして……おっぱぐげ!?」

 

峰田がどさくさ紛れに蛙吹の胸の感触を味わっていたため、甲板に投げつけられる。

 

「蛙吹さんたち、無事だったんだね!」

 

「梅雨ちゃんと呼んで。それより大変なことになったわね」

 

蛙吹梅雨 個性『蛙』

蛙っぽいことはだいたい出来る。

 

「カリキュラムが割れてた。単純に考えれば先日のマスコミ乱入は情報を得る為に奴らが仕組んだってことだ」

 

出久は蛙吹と峰田に語りかける。

 

「轟くんが言ったように、虎視眈々と準備を進めてたんだ」

 

「でもよでもよ、オールマイトを殺すなんて出来っこねえさ。オールマイトが来たらあんな奴らケッチョンチョンだぜ!」

 

「……殺せる算段が整ってるから連中こんな無茶してるんじゃないの?そこまで出来る連中に私たち嬲り殺すって言われたのよ?オールマイトが来るまで持ちこたえられるのかしら?オールマイトが来たとして無事に済むのかしら」

 

蛙吹は冷静に、峰田へそう伝える。

 

そうこうしていると、船の周りにヴィランの群れが現れる。

出久はその様子を見て、口を開く。

 

「奴らにはオールマイトを倒す算段がある。多分その通りだ。それ以外考えられない。でも、何で殺したいんだ?……いや、今は理由なんていいか……」

 

出久の口調が段々と強まり、気配が変わりつつあることに蛙吹と峰田は気づいた。

 

「人の命を軽々しく奪おうなんて考える奴らを放って置くにはいかない……オールマイトを倒す術があるっていうなら、僕らが今すべきことはただひとつ……」

 

出久はゲーマドライバーとガシャットを取り出し、ヴィランたちを見つめる。

 

「戦って阻止する事!!」

 

そこにはふたりがこれまで見たこともない、決意に満ちた緑谷出久の姿があった。

 




【デクの現在所持ガシャット】
 ・マイティアクションX
 ・ゲキトツロボッツ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。