静寂と正義の狭間にて   作:あルプ

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短めで更新頻度高いのと長めで更新頻度ちょい遅なのはどちらがいいのかな?コメントで言ってくださると助かります
今回は試験的に早くなる場合の短さで書きました。


帰還

ミノタウロスが村を襲撃してからはや数ヶ月。ヘラがここを離れようとするたびにベルが手に負えないほど泣くのでヘラもここに留まり続けている。それに、ベルはよく風邪をひく。ヘラは今までは数日の滞在だったから気づかなかったらしい。その病弱さを見て、アルフィアやその妹の事を思い出していてもいられなくなったそうだ。

 

そんなある日にとある行商人が来た。やたらと身なりは綺麗で、聞けばオラリオとメレンを繋ぐ商人だと言う。今回は依頼されてやってきたという事で、その商人から手紙を受け取った。宛先は私。送り主は……

 

「アストレア様……?何故、こんな時に」

 

中にある手紙を傷つけないようにナイフで薄く切り、取り出す。手紙に書いてある言葉はたった一言だった。

 

 

 

 

 

今すぐ帰ってきて

 

 

 

 

 

 

余程のことが無い限り呼び出さない。つまり、余程のことが起きたということだ。

……だが、待て。ベルはどうする?1人なら全力で直ぐに帰った。しかし、今はベルが居る。あのトラウマの地に短期間で行かせるのも辛い。それに、オラリオ出禁のヘラもいる。

 

「……って、顔をしてるね」

「!!!」

「そんなに身構えないでくれよ。ヘルメスだよ、神ヘルメス。扮装してるだけ」

「何故そんなことをする?それに、その魔道具(マジックアイテム)はなんだ?」

 

私は神ヘルメスが外したイヤリングを指さす。

 

「アスフィが作ってくれたんだよ。これを身につけておけばヘラもオラリオに入れる」

「流石は万能者(ペルセウス)だな。で?貴様の目的はなんだ」

「借りを返しに来たんだよ。うちの大切なアスフィを救って貰ったお礼にね」

「確かにそれにはリオンが関わったが、私はかかわっていない」

「…………」

「どうした?呆けた顔をして」

「い、いやあ。ま、細かいことは気にしない。アストレアから頼まれたことなんだ。ファミリア単位のことって考えて納得しといてくれ」

 

その後、ヘルメスは乗ってきていた馬車に戻って行った。だが、私はヘラにどう伝えようものかという悩みの種がまた一つ増えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

「分かった。行こう」

「へっ?」

「なに素っ頓狂な声を出している。私が認識されなければ問題は無い」

 

それにロキとフレイヤが幅を利かせている状況を引っ掻き回してやるのも面白いからなと愉快そうにクスクスと笑うヘラ。忘れていたが、これはあらゆる神から恐れられる、ヘルメスですら怒られたいなどとのたまうことの無いサディスティック女神だということを再認識した。それの抑制となる孫のベル、恐るべし。

 

「ベル。お前はどうする」

「行きたくない……」

 

こちらは予想通りの反応。冒険者というものを嫌という程嫌う彼らしい答えだ。しかし、意外に頑固なベルには有効なキーワードがある事を最近知った。

 

「ねえ、おばあちゃん行っちゃうの?やだよ、ここにいようよ」

「駄目だ。ここにいるとなる場合、それはお前一人で生きることになる」

「ひとりはいや!」

「なら一緒に来るか?」

「うぅ……グスン。行くよぉ…」

 

即落ち二コマである。ベルは母親の死から、極端に1人を嫌うようになった。あの日、反省のため1人で寝ろと言われた時は結局ヘラのもとへ無意識に歩いていっていたらしい。朝起きて見に行くと一緒に寝ていたのだからまあそうなのだろう。

 

かくして、私達は急遽オラリオへ行くことになった。まだ齢2桁にも満たぬ呪われた血脈のベルと、オラリオにとっての劇薬、一触即発の核爆弾であるヘラを連れて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

道中は別段何も無かった。ヘラがヘルメスを谷底へ突き落としたり、モンスターの囮にしたり、ベルがそれを見て泣いてしまった時には地中に埋めていたりしたが、それ以外は特に何も………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

オラリオへ入るための関所。そこではガネーシャ・ファミリアによる検問が行われていた。追放処分になっているヘラはそれをかいくぐらなければならない。ベルにはまだ恩恵が無いから特に心配はないが。

 

「お、輝夜じゃん!美人と幼女連れてきて凱旋かな?」

「訳が分からんことを言うな。アストレア様から緊急要請が出て、帰ってこいと言われたから帰ってきたまでだ」

「ふーん、そっかあ。輝夜はいいとして、そこの女の子と美人さんは恩恵とかあるかをチェックさせて貰っていい?」

「構わない」

「おっけー!ささ、2人はこっちに来て下さいね〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「輝夜」

「なんだ?」

「この子、ヘラファミリアの恩恵刻んでるんだけど……」

「は?」

「だから、改宗(コンバージョン)しないと色々問題があるかもなんだよね……」

「…………」

 

はぁ!?いつの間にそんなことになってるんだぁ!!??

アーディを押しのけ、私は関所の検問所の中にいるヘラの元へ向かう。

 

「おい!」

「なんだ、そんな青筋立てて。ベルが怯えてるだろう」

「アーディから聞いたぞっ!ベルにいつの間に恩恵を……」

 

言ってから気づく。やばい、姿を変えていることがバレる。勝手に言って勝手に焦っていると、ヘラが笑顔で返してくる。

 

「ああ。ヘラとやらに恩恵を与えられたのは確か、生まれた時にはもうあったはずだ。この子には知らせてもいないし、特に何の変哲もないステータスだったから今まで何もしていなかったと伝え聞いている」

 

ヘラの機転に救われた。焦りのあまり我を忘れてしまったことを反省する。

 

「まあ、オラリオへ入るには特に問題も無かろう?」

「うん、入るぶんには特に問題無いです。でも、他言無用でお願いしますね。その……少し前に色々あったから。悪いことされたらいけないし」

「ありがとう。お前のような優しい娘に出会えて良かったよ」

「あはは、褒められちゃった。では、お気おつけてオラリオをお楽しみくださいね」

 

朗らかに笑うアーディは無類の可愛さを誇る。ほら、その証拠にベルの視線はアーディに釘付けだ。頬もほんのりと赤く染めている。

私はそんなベルを引きずってアストレアファミリアの本拠地、【星屑の庭】へ急ぐ。途中、アルフィアの亡くなった廃教会でヘラとベルは立ち止まり、別行動に移ることにした。ヘラもベルがいれば別段問題となる行動には出ないだろう。一応、私が戻るまでここから離れるなとは言っておいたから、万が一は無いと信じたい。

私は私で、ホームへ急ぐ。なんだかんだ大好きな家族と出会うために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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