あと一個だけ小ネタは投下予定なりぃ…………。
最近モンハン4gが面白すぎて困ります。けど友達に誘われたのでネタを求めにドラクエ9を購入予定。
東方陰陽鉄にもはまっていますね。ブロントさんかっこいいタル〜
リュカはポカポカと暖かい陽だまりの中で日向ぼっこをしていた。
ほんわかと身体を暖めてくれる陽射しはリュカを優しく包み込み、ついついリュカも微睡んでしまいそうだった。
「いやー、いい天気だ。こんな時は日向ぼっこもいいけど、何処か出掛けるのも悪くないな…………」
リュカは基本的にはやりたいと思った事をすぐさまやってしまいたいタイプだ。故に寝転がっていた状態から飛び起きてついでとばかりに袋を漁る。
「確かここら辺に…………あったあった、“天空のベル”」
“天空のベル”とはマスタードラゴンより賜った掌サイズの小さなベルだ。これを鳴らせばマスタードラゴンがやって来てリュカ達を乗せて空を悠々自適に飛んでくれる。
リュカは単純な好奇心でこの箱庭でベルを鳴らせばどうなるかを試してみたかったのだ。
「そうと決まれば早速…………」
リュカはベルを手に持ちチリンチリンと鳴らした。それから一分程した後に大気を震わせるかのような咆哮と羽ばたきの音が聞こえる。
段々と近づいてきたそれは龍であった。それも以前リュカが白夜叉と戦った時に変身した龍そのものの姿であった。
その龍はリュカの目の前に降り立ち鎌首を擡げる。
「…………やはり、この箱庭に来ていたか」
「知ってたんだ?」
「私が管理する世界からお前の存在だけ急にいなくなったからな。何処か別の世界に、それの有力候補として箱庭に行ったのであろうというのが私の見解だ。…………本来ならお前の死後、この箱庭に招いて私のコミュニティに入らないかどうかを聞こうと思っていたんだがな」
「ハハハ、今では“ノーネーム”の一員だからね。まあ、こっちの問題が粗方片がついたら考えてもいいかな?」
「是非ともそうしてくれ。…………しかし、この箱庭においては“天空のベル”の使用は極力控えてくれ」
「ああ…………そうか。コミュニティって言っていたし、コミュニティのリーダーだからそんなホイホイ出て行かれるとマズイのか。うん、極力使わないようにするよ。今回使ったのも好奇心故だし」
「うむ、わかってくれてありがたい。こうして呼び出された事だ。お前を我がコミュニティ“天空城”まで連れて行こうではないか」
「“天空城”ってあの“天空城”?」
「ああ、それで合っている。一応は三桁の外門に位置するコミュニティとはなっているが、本拠は空高く浮いているからな。外門の位置などあまり意味がないものだ」
「いや、三桁って…………。大分凄い規模、或いは勢力のコミュニティなんだね。こっちはしょうがないとはいえ、土地はともかくとして人材とか全然足りてないからなぁ…………」
「まあ、積もる話は我が本拠に来てからでも遅くはあるまい。さあ、私の背に乗れ。これより飛翔するぞ」
「うん、それじゃあよろしく頼むよ」
リュカはマスタードラゴンの尾から乗り込みしっかりと背中に跨った。それを確認したマスタードラゴンは翼を二度三度はためかせ、空高く飛翔した。
「あわわわわわわ、やっぱりリュカさんはマスタードラゴン様と知己であらせられたのですか。黒ウサギは知らないとはいえ何て事を…………!」
そこに一人、自身が仕出かした事の重大さに気付き、しなくてもいい心配をしている黒ウサギがいるとも知らずに。
ここは雲の遥か上。そこに浮かぶは絢爛さこそ見受けられないが、しっかりとした造りをしている城だった。そこの入り口に降り立ち、リュカは改めてその城を見る。
「うん、やっぱり天空城だね」
その城はかつてリュカが浮遊させる事に協力した城だ。
この天空城を浮かせる要であるゴールドオーブにシルバーオーブ。その内のゴールドオーブが魔物に襲撃された際に転げ落ち、幼少の身であったリュカ達の前に落ちてきたのだ。
子供の頃は単なる綺麗な玉だとしか思っていなかったが実は天空城を浮かせていた重要な代物と知り、妖精の女王と出会い、過去に戻り、すり替えておいたのさ!をしたわけだ。
兎に角、並々ならぬ苦労を以ってこの城を再び浮かび上がらせる事に成功したのだ。
「けど、なんで此処にあるのかな?僕がいた世界にもあるはずなんだけど」
「それと全く同じ物だ。正確には同じ素材、同じ設計図で作った物と言うべきか」
「ああ、つまり言ってしまえば天空城2って事か。確かにこっちの方が少しばかり新しく感じるね。あっちの天空城は水没してたからかもだけど」
「それで合っている。彼方の世界では希少な素材も此方では希少でない場合も少なくはないしな。新しく建造させてもらったよ」
「へぇ…………。じゃあ色々と話そうか。僕がこの世界に来てから何をしたかを」
そう言うとリュカはこの天空城においてマスタードラゴンが座すべき場所に向かい歩を進める。何も考えずに上に行けば着くのだが。
そしてリュカは話した。まだ短い滞在の中で自分がどんな行動をしたかを。マスタードラゴンはそれを柔和そうな微笑みをもって聞いていた。
「そうか、星霊・アルゴールを仲間としたか。魔王を仲間にするとはリュカも中々だな」
「自分のギフトを自覚すればまあ、仲間には出来たね。けど、まだ僕のギフトには能力があるような気がするんだけどね」
「ほう…………。それは頼もしいな。やはり私のコミュニティにお前は欲しい存在だよ」
「今は“ノーネーム”所属だからね。すぐにその要望には応えられないかな」
「…………時にリュカよ。お前は今のコミュニティの現状をしっかりと把握しているのか?“ノーネーム”とは何らかの理由によって、まあ大抵は魔王だがその名を、旗を奪われたコミュニティの総称だ。当然、色々な困難がお前を待ち受けているだろう。名が無いと言うのはまさしくネームバリューが無いということ。それは信用ができないということでもある。そんなとこには誰もゲームに招待してくれない。幸いにもお前達の“ノーネーム”は白夜叉とも懇意であるから仕事やゲームは何とかなっているがな」
「うん、だから話した通り僕らはコミュニティのリーダーであるジン君を担ぎ上げる事でネームバリューを得ようとしてるんだ。ジン・ラッセル率いる“ノーネーム”って感じでね」
「だがそれと同時に掲げた目標。大層大きく出たな。魔王討伐だなどと。これが意味する事は解っているのだろうな?」
「勿論、解っている。確実に目を付けられるだろうね。だがそれを全て打ち倒す事で僕達は確実に、着実に目標へと近付けるんだ。その為には立ち止まるわけにはいかない」
「…………うむ、お前の覚悟、しかと見受けた。さて、長話も済んだ事だ。城の中を見回ってみればどうだ?今は丁度客人が来ているぞ」
「客人?それってこのコミュニティと懇意にしているコミュニティからの客人って事?」
「ああ、そうだ。因みにだがそのコミュニティからの客人は私達と似通った世界から来ている。要は魔物や呪文とか言った具合の世界からな」
「おぉ〜…………」
リュカはその言葉にかなり反応を示す。自分と似通った世界からやって来た人物。それ自体にも興味があったし、何よりどんな魔物が生息しているのかとかを聞きたかった。寧ろそれだけでいいとすら思っていた。
それもこれも彼が伝説の魔物使いと呼ばれているからであろうか。本人はやんわりと否定はしているが。
「それじゃあその人に会ってくるよ。いったいどんな人物なんだろうなぁ」
とは言っているが頭の中では魔物八割人物二割程度の興味しかないのだが。
天空城にあるバルコニー。そこに件の客人がいた。それも二人。
一人は黄色い旅装を身に纏い、赤いバンダナを頭に巻き付けた如何にも冒険者といった青年。もう一人は頭になんかよく分からない棘が生えた帽子…………兜?をかぶり、無精髭が生えており、恰幅のいい肉体をした中年。
「おっ、兄貴!彼奴がマスタードラゴンの野郎が気にかけてた男じゃないでがすか?」
「ああ、そうみたいだな。じゃあ仲良くなりに行こうか」
二人は互いに顔を見合わせて頷き合いリュカの方に近付いてくる。そして眼の前で立ち止まると握手を求めるように手を差し出した。
リュカはその手をガッチリと掴み、握手をする。とても力強い握手だった。
「よろしく、僕はエイト、エイト・トロデーンだ」
「僕はリュカ、リュカ・グランバニアです」
「あっしはヤンガスってんだ。これから頼むぜ、ご同輩!」
三人は固い握手を交わし、二人はリュカを、リュカは二人を見やる。
そして三人ともそれぞれが高い実力を兼ね備えている事を見破った。着ている物が如何に貧相な物でも、実力までを隠し切る事は出来ない。まさしくそんな具合だろう。
「今ここにはいないが僕には仲間が後二人いる。一人はゼシカといって、もう一人はククールという。ゼシカは腰に鞭を提げている女の子で、ククールは赤い修道服を身に纏った青年だ。見たら多分、わかると思うよ」
「そうですか、それは是非とも会いたいものです。僕にも仲間と呼べる者は沢山いますが、元の世界に置いてきてしまってね。まあ、好きで置いてきたわけではないけど」
「ああ、リュカはあっしらと違って直接召喚された口か。あっしらは元の世界じゃ死んでから呼ばれたからなぁ」
どうやら二人は初代ペルセウスと同じく死後、箱庭に招かれた形でやって来たらしい。招いたのがマスタードラゴンじゃないのだけは確かなのだが。
「それは大丈夫なのかい?残してきた者達の事なんかはどうしてるんだ?」
「僕の仲間にジェリーマンっていう魔物のジェリーがいて、その子はモシャスという対象に変化する呪文を得意としているんだ。その子を此方に呼び出してから手紙を持たせて僕に変化させてから向こうに送り返したから暫くは大丈夫だと思う」
「ああ、モシャスってあのリーザス村の女の子が使っていた…………。成る程、確かに問題はなさそうだ」
リュカ以外は老衰において死亡した後に箱庭に招かれた形で此処にいる。が、リュカはそうではなく黒ウサギが呼び寄せた形で此処にいる。文面においては全てを捨てて此処に来いみたいな内容だったが、十六夜みたくカバンに勝手に入ったわけではないし、飛鳥みたく密室状態にあった部屋にあったわけではなく、耀みたく猫が持ってきたわけでもない。厳正な検閲をクリアして近衛兵から渡されたのである。まさか異世界にバシルーラされるとは微塵も思ってなかったのである。
以上の事からリュカは望まずに妻子や国民達を捨ててこの箱庭に来た形となり、それの対処にリュカは追われたのだ。今はモシャスで化けたジェリーがどうにかこうにか頑張っているらしい。頑張れ、ジェリー。
「その背に背負っている剣…………数打ちですか?」
「よく気付いたね。これは兵士の剣と言って僕が住んでいる国の兵士に支給される剣なんだ」
「兄貴、住んでいるじゃなくて統治していたじゃないでがすか」
「えっ。て事は貴方はトロデーンという国の王だったのですか」
「いや、まあ、そうなんだけどね。実際入り婿だからね?僕が統治していたなんて事実これっぽっちも…………」
「姫さんと仲良く治めてたじゃないでがすか。兄貴の中にある王族の血が目覚めた瞬間とでも言うべきでがすかねえ。兵士王だなんて呼ばれてたし」
「そりゃ、そうでしょ。僕は元々近衛兵だったんだから。一応、愛称として兵士王だからまだ気が楽だけどね」
「貴方も王だったんですか。僕もグランバニアという国の王でしてね。いや、ホント呼び出された時政務とかどうしようかと悩んでました」
「あー…………政務ってキツイよね意外と。それはそうと丁寧に話さなくてもいいよ。歳は近いだろうし」
「ん。ならそうさせてもらうよ」
三人はそれからも歓談しあった。其方にはどのような呪文があるのか、魔物としてどんなのがいるのかなどなど。
「やっぱお前にはわかるか!ゼシカの奴はあっしの語るも涙聞くも涙の話を聞いても何ら感動してなかったからなあ」
「そりゃあね。最初の君達の関係は魔物同然の姿にされて王と馬にされた姫を引き連れ歩く兵士とその一行に襲い掛かる山賊だった。まあ、山賊がどれほど過激かは知らないけど最低でも身包みは剥ぐだろうね。そんな事をしようとする輩の命も救うだなんて中々出来る事ではないよ」
「いや、身体が勝手に動いただけなんだけどね…………」
「それでも、だよ。勝手に動いたって事は頭で考えるより身体が人助けにはしる。それほどまでに根っからの善人という証拠だしね。しかし、其方の世界には僕が聞いた事のない魔物が沢山いるなぁ」
「こっちも驚いたよ。同じような世界だから魔物も似たようなモノだろうと思ってたのにいざ蓋を開けてみれば全くと言っていいほど別物だったなんてね」
「しかし意外な共通点でがすな。リュカも兄貴も魔物を従えさせられるなんてよぉ」
「いや、リュカの方が僕より何倍も凄いよ。僕の場合は一時的な協力を何度もお願いする形だけど、リュカは何時でも何処でも魔物達が付いてきてくれる。そこまで魔物に慕われる人間なんて僕達の世界だと七賢者の一人であるクーパスくらいじゃないかな」
「是非ともその人に会ってみたいところではあるが…………この箱庭に招かれているかなぁ?」
「それは何とも言えないな。僕自身、未だ嘗てこの箱庭で彼らを見た事がない。まあそもそも七賢者の一人のクーパスは存在を知っているだけで姿すら見た事ないんだけどね」
「そうか、非常に残念だ。まあ、魔物とか文化とか色々と驚いたけどそれよりも特技という存在に驚いたね。僕の世界じゃそんなのは使用していなかったよ。唯一、僕が特技と呼べるモノもこの箱庭に来て開発したモノだしね」
「それがあっしは理解できねえんだよなあ。特技あった方が何かと魔物も倒しやすいってのによぉ。あっしだと鈍器…………まあ、棍棒とかハンマーとかだな。それを用いて発動する相手の動きを止める事があるマインドブレイクとか悪魔系や物質系の魔物に特攻ダメージ与えられるデビルクラッシュとかさあ。後は斧使ってやる相手の守備力を下げれる兜割りとか麻痺らせる事がある蒼天魔斬とかな」
「随分と多彩なんだね。それに話を聞いていると武器ごとに違う特技を備えているみたいだ。エイトも特技を持っているんだろう?」
「僕の場合は剣だとドラゴン系に特攻ダメージのドラゴン斬り、メタルスライムとかそういうのに確実にダメージを与えられるメタル斬り、相手に二回斬撃を与える隼斬り、斬ったら体力を回復するミラクルソードとかかな。あとは槍、ブーメランかな。武器を用いた特技があるのは」
「メタル斬りが普通に便利だね。隼斬りは隼の剣と同じ効果を特技で再現したのか?ミラクルソードは奇跡の剣、或いは王家の剣といったとこか。うん、やはり特技は必要かもしれないね。僕のはまだ未完成だし」
「気になってたがいってえどんな特技だ?」
「一応、剣を使った特技になるのかな?その気になれば杖でも槍でも出来そうなんだけどね。バギクロスを足から収束させて展開、その勢いを利用して相手に突貫するって特技だけど」
「うわ、何それエゲツない。未完成って言ってたけどどういう風に未完成なんだ?」
「全身の筋肉をいい感じに痛めつけてね。まあ、それだけ無茶な運動をしているのだから当然ではあるけども暫くしたら本当立てないほど筋肉痛に苛まれるよ」
「うっわ、想像してみたが酷えなそりゃ。だが確かに強力ではあるわな…………。そうだ、兄貴!リュカに特技を教えるってのはどうでがすか?」
「えっ?僕としては構わないけど一体どういった風の吹き回し?」
「ま、何となくでがすよ。あっしらだって特技に何度といわず救われてんだ。ならご同輩に教える事になんらおかしな事はないでがしょ?」
「ふ…………む、それもそうだね。けど聞いた話だとリュカは剣と杖だからなあ使っているの。僕から剣の特技は教えられるだろうけど杖はなぁ」
「おい、リュカ」
「ん?何だいヤンガス」
「お前杖を補助具として使っているわけじゃないだろ?あくまで武器として使ってんだよな?」
「それはもう。突くもよし、叩いてよしといい武器だからね。愛用させてもらってるよ」
「なら兄貴の槍の特技と俺の打撃の特技も教えられるな。兄貴、それで構わないでがしょ?」
「ああ、うん。そっか、ゼシカとククールは補助として使ってたなそういや。よし、時は金なり。早速始めようか」
エイトはそういうと剣を抜き放ちリュカによく見えるように構える。リュカはその一挙手一投足を見逃さぬよう注視した。
他にも槍や打撃の特技を見せてもらい、リュカはその全てとまではいわないが特技を覚えた。実に数時間に及ぶ訓練だった。
リュカはドラゴン斬り、火炎斬り、メタル斬り、疾風突き、一閃突き、薙ぎ払い、ハートブレイク、ドラムクラッシュを覚えた!
「流石に隼斬りとか五月雨突きは無理か。まあ、でも凄い成長スピードだ。けどミラクルソードはよかったのか?覚えられそうだったのに」
「魔力を消費しないミラクルソードみたいなのを持っているから無意味っていうか…………。隼斬りに五月雨突きは要修練だね。あともう少し時間を掛ければコツを掴めそうだ」
「いやけどたった数時間で覚えられるたあなー。あっしらの教え方が余程良かったかそれともリュカがそういった類のギフトでも持ってんのか…………。ま、どっちでもいいか。おい、リュカ。最後に一つだけ教える事があるから出来るだけギフトを多く身に付けて俺の前に立て」
「? 意図はよく分からないけどやれと言うのなら」
リュカはヤンガスに言われた通りにドラゴンの杖、太陽の冠、王者のマント、光の盾を装備する。その装備を見たエイトにヤンガスは感嘆の息を漏らす。
「これは…………凄い装備だね。僕の竜神装備と互角なんじゃないかな?」
「それにあの杖…………マスタードラゴンの力をヒシヒシ感じやがる。彼奴の力が込められてんな?成る程、だから杖を使うって言ってたわけだ。こんな杖がありゃそこらの剣や斧なんて鈍当然だ」
エイトにヤンガスは持ち前の知識と装備から感じる力から少なくとも店で買えるような物より数段強いと判断した。いや、下手すればそれより更に上の可能性もある。
ドラゴンの杖ばかりでなく、太陽の冠や王者のマント、光の盾にも同様に凄味を感じていた。
「よし、リュカ。盾で防御しとけよ。今から特技を喰らわせるからな」
「えっ」
「えーっと、あったあったこいつだ」
ヤンガスが袋を漁くって中から巨大な薙刀を取り出した。斬る物全てを粉砕しそうなその薙刀を粉砕の大鉈といった。ヤンガスが装備できる鎌系統の武器では最高の攻撃力を誇る武器だ。実際はそれどころでなく彼らがスライム系しか出ない山で手に入れた斧よりその斧を素材として用いて錬金して作った槌よりもより強力な物である。ヤンガスは少し複雑な気分だ。
「よーし、行くぞー。大泥棒の鎌!」
節子、それ鎌とちゃう、巨大な鉈よくて薙刀や!と突っ込む暇もなくただ盾を構えるリュカ。刹那の後甲高い金属音が鳴り響く。光の盾に粉砕の大鉈がヒットした音だ。リュカはあまりの衝撃に思わず後ずさる。
(お、重い…………!盾で防いだにも関わらずこの衝撃…………!生身で受けていたら大怪我どころじゃ済まないかもしれない…………!)
そう考えた後に冷や汗がブワッと出る。よくよく考えれば危ない事この上ない。
「おっし、防いだな?で、リュカ。何かなくなっている物ないか?」
「なくなった物?そんな物あるわけが…………」
そう言いつつリュカは確認する。冠はかぶっている。マントも羽織っている杖と盾はしっかりと握っている。袋もちゃんと腰に提げてある。なくなった物などどこにもーーーー、
「あ、炎のリングが…………ない?」
大商人ルドマンの娘の一人フローラとの結婚する為の条件として提示された二つのリング。火山の中に眠ると言われた炎のリングと水に囲まれた洞窟にあると言う水のリング。それを済し崩しに手に入れる事になってしまったリュカ。人集りがあるので何だろうと思って近寄った結果フローラと結婚する気概のある男になってました。なんで?
まあそのお陰で幼馴染で現在は妻のビアンカと再会し、ビアンカと結婚まであり付けたのだ。それまでにかなり色々あったけどね!
そんな想い出の品とでも言うべき炎のリングがなくなっていたのである。落とすなどまずあり得ない。キチンと指に嵌めていたのだから。
「それは俺の手の中にあるぜ」
ヤンガスがそう言いながら手を開くとそこには小さな赤い宝石が組み込まれたリングがあった。紛れもなく炎のリングだった。
「一体どうやって…………?」
「俺の特技の一つ、大泥棒の鎌。こいつぁ、二回に一回の確率で相手から物を盗む特技…………だったはずなんだが、この箱庭に来たらどうもギフトを盗む特技になったみたいだ。つっても、ゲームが終わったら自動で相手に返却されるし、こういったリングみたいな身に付けるタイプのギフトは奪ったところで奪い返される心配もあるがな。ま、何が言いてーかってっと」
そこでリングをリュカに投げ返しながら言葉を一旦区切る。そして次の言葉に繋げる。
「俺達みてーな世界出身の奴の特技や呪文は一部変質している場合がある。まあ、大抵良い方向に変質してるんだけどな。今回あっしが使った大泥棒の鎌はわかりやすく伝える為のいい例だったんでな。聞いた話じゃインパスっつう呪文は相手のギフトを解析できるようにもなっているみたいだぞ。凶悪だな。ま、頭の片隅にでも入れておけ。何時か役に立つ時が来るかもしんねえからな」
「…………わかった。この事はしっかりと覚えておくことにするよ。今回はとてもためになったよ。良ければ再び相見えたいものだね」
「それなら僕達は“集いし英雄”ってコミュニティのメンバーだから何時か会う時が来るかもしれないね」
「“集いし英雄”か。英雄は英雄で偶像崇拝される対象だけど勇者よりかはマシだろうね」
「それじゃあ僕達はこれで。いやはや、中々楽しい一時だったよ」
「それじゃあな、リュカ。次会う時はゲームの相手としてだといいな」
エイトは懐から小さな光り輝く珠のような物を取り出し、それが一層強い光を放つと彼らは光輝く鳥となって天空城から飛び立っていった。
それを見送ってから一言、
「ルーラ覚えているだろうにアレ使う意味あるのかなぁ…………?」
今回も今回で地の文は少なめ。
本編じゃないから致し方ないこともあり。
次回の小ネタで最後ですがその時にリュカのギフトの全容が判明予定。まあ、もしかしたら追加されるかもしれないんですけどね、効果が。
なんや、十六夜よりもカオスになってるなーリュカさん