いや、書いてみてここまで速く書けるとはこのリハクの目をもってしても見抜けなんだ…………!
ついに明かされるリュカのギフトの内容!今後追加されるかも!(待て
“ノーネーム”本拠の敷地内、そこにある森でリュカは鍛錬に勤しんでいた。
先日、エイトにヤンガスから教えてもらった特技の復習と教えてもらったが覚え切れなかった特技を覚えようとしているのである。…………まあ、尤も覚えた特技も幾つかは教えてもらった特技の劣化版ではあるが。
「…………ふっ!」
リュカは目の前の木に向かって一呼吸で二回斬りつけた。木には十字の傷跡が残り、リュカはその成果に満足する。
「…………うん、隼斬りは完成したね。中々習得するのに時間が掛かったが、それでも覚えられた。これで戦闘を主軸に置いたゲームの際に切れる手札が増える」
ギフトゲームは様々なジャンルがある。運が絡んだものや単純にレースなど。今の所リュカは戦闘が絡むゲームしかした事がなかった。“ペルセウス”とのゲームは戦う必要はなかったのだが。
「マスター?此処にいるのー?」
一息ついていた所に日光を照り返して美しく輝く長い銀髪をたなびかせる女性がやって来た。
彼女の名前はアルゴール。かつて“ペルセウス”のリーダー、ルイオス・ペルセウスにより使役されていた存在。だが今はリュカのギフトのお陰で余計な束縛から解き放たれリュカの仲間となっていた。…………本人は自身を配下的立ち位置として考えているようだが。
「ああ、アルゴール。此処にいるよ」
「あら、鍛錬中だったのね。お邪魔だったかしら?」
「いや、丁度一息ついている最中だったから構わないよ。それで何の用だい?」
「もうそろそろ昼飯時だから呼びに来たのよ。時間も忘れるほど鍛錬してたのね」
そう言われてリュカの腹が急に音を鳴らす。どうやら体は自身の空腹を正直に訴えているらしい。
少し恥ずかしそうな顔をしながら頬をポリポリと掻き、アルゴールに身体ごと向き直る。
「ハハハ、どうやらそうみたいだね。ならすぐ行くよ」
「はーい、言質とったー。じゃ、行きましょっか。…………それにしてもここら辺の木大分ズタボロにしたわねえ。穿った跡とか斬った跡とか何だか痛々しいわねー」
「実際の感覚を身体に覚え込まさないといけないからね。まあ、実戦じゃあ相手は立ち止まってはくれないけど」
「そりゃ怪我するかもしれないから立ち止まるわけないじゃない。ま、そんな事より早く行きましょ。リリの料理すっごく美味しいからついつい食べてしまうわ」
リリとはこの“ノーネーム”の中でゲームに参加できない子供達の中でも取り分け年長の狐耳を生やした少女の事だ。何でも親を魔王に攫われたらしくその行方は未だ判っていないらしい。
今現在は“ノーネーム”の家事をこなしている。最早“ノーネーム”に欠かせない存在となっている。
「わかったわかった。それじゃあ早速食べに行こうか」
アルゴールに手を引かれながらリュカは予期せずして残してきてしまった家族について考える。考えてそういやルーラって人間界から魔界に行けたんだから異世界移動出来るんじゃね?という考えに至り優先順位を下げて昼飯を食べに向かうのだった。
昼飯を食べ終わったリュカは自室に戻り大魔導師ポッピンが著したとされる呪文書を読んでいた。まあ、どうせポッピンの方は偽名なのだろうがこの際気にしない。この本からピオリムやレムオルなどといった有益な呪文が幾つか覚えられたのだから。
しかしこの本は問題があった。
「最後の方の何ページか白紙なんだよなぁ…………」
そう、最後の方のページが印刷を最初からしなかったかのように白紙なのだ。尤もこの本は恐らく手書きだろうから印刷云々ではなく単純に書き忘れの可能性が否定できないのだが。
「うーん、眼を凝らせば文字が見えてくるとか?流石にそれはないか…………。まあ、物は試しだ。ふっ…………!」
リュカとしては冗談半分で眼を凝らしたのだが、そうしたら何と文字が浮かぶように急に現れたのだ。流石のリュカさんもこれには苦笑い。
「いや、まさかこんな単純な事で見えるようになるとは…………」
「マスター?って、あら座学中だったの…………ってその眼!」
「え?何?ああ、凝らしていたんだけど眼付き悪くなってたかな?」
「いや、違うわよマスター!その瞳…………!」
アルゴールが驚いたのはリュカの瞳が縦に細長くなっていたからだ。そう、まるで猫か蛇のようにだ。アルゴールはそれを伝えようと手鏡を持ってきてリュカの顔の前に差し出す。
リュカは鏡を覗き込んでようやく瞳の異常に気が付いた。
「おおっ。蛇蝙蝠みたいな眼になっているね。眼を凝らしたのが原因かな?まあお陰で本が読めるから別にいいんだけど」
「いや、別に良いって…………」
アルゴールが驚いたのは何もリュカの瞳孔が急に蛇のそれになったからではなくその瞳の本質に気付いたからだった。
(あの瞳…………どう考えても私のギフトと同じモノよね…………)
私のギフト、つまりはアルゴールのギフトという事になるのだがつまりは石化の魔眼。任意で発動でき任意で対象を選択できるため今の所危険度は無いがそもそもリュカがそれを持っているという事自体がおかしいのである。
(私のギフトが奪われた?…………いえ、どうやら違うみたいね。私もちゃんと発動できる。なら一体どうして…………?)
考えても考えても答には至らず只々堂々巡りとなるだけだった。
リュカはリュカでフィンガー・フレア・ボムズだとかメドローアだとかボゾボソ言っているのだが。
(考えてもわからないなら兎に角行動するしかないわね)
「マスター。それどういった呪文が書いてあるの?」
考えてもわからないのなら行動に移せばいい。そう考えたアルゴールは手始めにリュカに読んでいる本の内容を訊いてみた。リュカは本から眼を離さずに、
「新しく読んでいる内容だと中々狂った呪文しか載ってないね。特にメドローアなんて強力ではあるがその分習得も難しそうだ。フィンガー・フレア・ボムズに至っては寿命を削るかもしれないとか書いてあるし…………少なくともリスク無しで放てる呪文ではないようだ」
「ふーん。私の記憶…………と言ってもメドゥーサの記憶だけどそれには呪文とかの記憶はなかったからねー。まあ、メドゥーサをメドゥーサたらしめたのは呪いみたいなモノだしある意味呪文と呼べるのかしらね?」
「そう言えばアルゴールの記憶はメドゥーサの記憶だと前に言っていたね。他にはどんな記憶があるんだい?」
リュカがそこで話に食いつく。しめた!と思ったアルゴールはメドゥーサの記憶を語っていく。
「そうね…………。メドゥーサを退治したペルセウスの実力は認めていても納得ができない、みたいな感情があるわね」
「それはどうして?」
「いや、だってペルセウスに神がこぞって自分の神器貸し与えたんだしねー。空を翔ける靴とか姿が見えなくなる兜とかピッカピカに磨かれた青銅の盾とか星霊殺しの鎌とかねー。ぶっちゃけ、課金によって最高級のレア装備を身に付けて挑んできたようなもんよ。技量があるのは認めるけどさあ」
「課金とかよく分からない言葉があるけど…………何となく言葉のニュアンスは伝わったよ。確かにそれは納得できない部分があっても仕方がないね」
リュカは自分の経験に置き換えて考えてみた。要はゲマ(1回目)をドラゴンの杖、太陽の冠、王者のマント、光の盾を装備しつつ倒しに行くかのようなものだ。その装備が全て揃っていたらゲマなど恐るるに足りない。
「でしょー?まあ化物の姿に成り果てたのは割と自業自得な部分があるけどさあ…………。どっちの理由にしてもアレなのよねえ…………。神をキレさせたのが原因だものねえ…………」
「神を怒らせたのかメドゥーサは…………。中々命知らずのようだね。殺されなかっただけマシと言えるのだろうか」
「代わりに盾にされたけどね!今もアテナが持ってるんじゃない?アイギスの盾。あ、そうだ。それよりマスター。最近身体の調子とかどう?」
少し、いやかなり無理矢理臭いが話題を転換させてリュカから話を引き摺り出そうと画策する。恐らくリュカも把握していないだろうから感覚的なモノでいいから情報が手に入ればいいと考えた結果だ。
「身体の調子?そうだね…………この箱庭に来てから頗る調子が良いね。何だか身体が軽くなったと言うか、それでいて一撃に重みが増したと言うか…………。あ、そうそう。アルゴールが仲間になってから更に強くなったような気がするよ。まあ、魔王と呼ばれていたアルゴールを仲間にした心強さからそう感じているだけなのかもしれないけどね」
「そ、そう。そうなのねー…………」
アルゴールを仲間にした途端より強くなったと感じた。これは明らかに原因の一端だろう。ならばどうやって強くなっているのか?
キーワードは仲間にしてから。ここから連想させて…………と考えたアルゴールに一つ最悪の考えが思い浮かんだ。まさか、いやそんなバカな事が。だがこれだと辻褄は確かに合う。だけどそれだとしたらーーーー?
「…………あー、ゴメンマスター。ちょっと所用を思い出したから出掛けてくるわね」
「うん?ああ、いいよ。と言うか一々僕の許可を取らずとも行っていいのに」
「何となくそうしたかったのよ。そう、何となく、ね…………」
アルゴールは顔に僅かな憂いを帯びて部屋から出て行った。
ここは“サウザンドアイズ”の支店。その入口前にアルゴールは来ていた。入口前を何時もの愛想がない店員が箒で掃いている。
「白夜叉様にお取り次ぎ願いたいのだけど、よろしいかしら?」
「何処の何様か言ってくださいませんとお取り次ぎできかねますが」
元とは言え魔王相手によくもまあこういった物言いができるものである。きっと鋼のメンタルをしているに違いない。
「あら、それは失礼したわね。ジン・ラッセル率いる“ノーネーム”のアルゴールと伝えてちょうだいな。まさか、“ペルセウス”をくだした“ジン・ラッセル率いるノーネーム”を知らないとは言わせないわよ?」
「…………少々お待ちください」
店員は諦めたのか、それともアルゴールの迫力に気圧されたのか店に入る。それから暫くして店員が出てくる。
「今は丁度時間が空いているとの事ですのでどうぞお入りください」
「じゃあ失礼するわね」
アルゴールは店の中に入り店員に案内されるまま白夜叉がいる和室に向かう。その部屋の目の前につくと店員は、
「白夜叉様。お客様を連れてきました」
と言い、そそくさとその場を退散した。面倒事に関わりたくないからか、それとも茶を淹れにいったのかは判断しかねる。
「よう来たのアルゴール。して、何用だ?頼み事であるならばそのたわわに実ったπをタッチさせてくれるだけで叶えてやるぞ!」
相変わらず変態だった。見た目幼女になってもこの変態性は変わらずか!思わず眉を顰める。
「いえ、今回はそういった事じゃないわ。ーーーー私のマスターのギフトについてよ」
「ーーーーほう?今回はという事は次回以降する可能性があると言うわけだ。ま、おふざけはこの程度にしておこうかの。して、リュカのギフトと言うと“魔を統べる王”だったか?普通ならギフトカードに載ったら何となくは解るのだがリュカのは何処か要領を得なかったからの」
「そう。なら結論から言わせてもらえばハッキリ言って最悪よこのギフト。今はまだマスターがそんな意思を持ってないからいいとして下手すれば白夜叉、いえ、白夜王でさえ敵わないかもしれない」
それを聞いた白夜叉の眼が見開かれる。白夜叉は白夜王と呼ばれる星霊が仏門に帰依して神霊を得る事で寧ろ弱体化してなった姿だ。だがそれならば兎も角白夜王ですら敵わないギフトとは一体ーーーー?
「恐らく、いいえ確実に彼のギフトの能力は『人類という種に害を及ぼす存在を管理する能力』よ。この場合の“魔”とは人類に危害を与える存在の事。マスターはある意味人類の傲慢の象徴。個人的には人類の為の人身御供の方が良いんだけどね。まあ皮肉にも人類ですら人類に害を与えるから効果の範疇に半分は入ってるみたいだけど」
「『人類という種に害を及ぼす存在を管理する能力』だと?それは何か。人類に危害を加えると判断された場合はリュカの管理下に置かれるということか」
「それで間違いないわ。例を挙げるなら妖精。ピクシーだとかは本人は悪戯のつもりでしょうけどそれでもその無邪気さで人を殺す事がある。これでもうアウト。妖精という種はマスターの管理下に置く事ができる条件が整ったわ」
「何と…………!そのようなギフトであったか!」
アルゴールが白夜王でさえ敵わないと言っていた理由がわかった。それは白夜王が星霊だから。少なくとも魔王と呼ばれた存在であった星霊だから条件が整う。
「いや、だが何か制約があるのではないか?私は一度この姿でリュカとゲームをして負けた。だが私は管理下に置かれてないぞ」
「それはマスターが言っていたけど本気で戦っていなかったから。この本気はマスターではなく相手側がという事になるわ。つまりその時点でマスターは白夜王を管理下に置くだけの実力が備わっていなかった。故にゲームで勝っても管理下に置かれるなんて事はなかったのよ」
「ふむ、成る程な。まあ統べるとなっている以上自分より力が上の者を従えさせるなど到底不可能であるからな」
「…………それだけならまだマシなのよ。管理下に置くだけだったら」
「何だと?まさか、他にもあると言うのか?」
「そのまさか、よ。第二の能力とでも言いましょうかね。管理下に置いた存在。『その存在のステータスをそのまま自分に上乗せする』。それが二つ目の能力」
「なん…………だと…………?それは、真か?」
「ええ。今日来たのはそれが発端だからよ。マスターの瞳が私のそれになっていた。つまりは“石化の魔眼”。今はまだ眼がそれになっている程度の感覚なんでしょうけど、いずれ気付くわよ」
大体がおかしかったのだ。
彼女がリュカから聞いた話だと白夜叉に対しては持っている中でも最高の装備で挑んでいた。それでいてダメージが軽微だったのはわかる。が、彼女に対しては拘束されていた時も解放された時も武器はともかくとして防具はマトモな物を身に付けていなかったのだ。ともすればボロ布にしか見えない服と頭に巻いた布のみ。そんな貧相な装備なのに星霊である自分の攻撃が肋骨が折れた程度?あり得るわけがない。
だが、素のステータスが高ければどうだ?例えば逆廻十六夜。今の状態ならともかく拘束されていた時ならばダメージを与える事は難しかっただろう。着ているものはただの服なれど、肉体があまりにも頑強すぎてだ。それと同じ事がリュカに起こっているのではないか?
「むむむ、そうなのか…………。“龍神の加護”の力もそこそこあるのだろうが、それでも確かに危険である事に変わりはないな…………。あやつはどうしてそう厄ネタを抱えたがるのだ!エスタークの曾孫にこのギフトとか洒落になっとらんぞ!」
「え、エスタークの曾孫なんて初耳なんだけど」
「そりゃそうだろう。本人さえ知らぬ事実だからな。しかし、となるとリュカが魔王になるとしたらどうなるのだろうな?」
「そうね…………多分、マスターあんな性格だから箱庭初の享楽だとかで行動しない魔王になるんじゃないかしら?きっと彼が魔王となるのなら、善意で動くわね」
二人の元魔王は雁首を揃えて悩み合った。結論として今はまだ静観する事に決まった。と言うかどうしようもないと言うのが正しいだろう。
新たに抱えた問題。果たしてリュカはそれに気付いた時にどう行動するのだろうかーーーー?
多分意味がわからなかった人がいると思う(偏見)から後書きでわかりやすく解説
①前提としてその種族のうちのどれでもいいから人類に危害を及ぼしている
②その種族のどれでもいいから対峙して相手が本気の状態で打ち勝つ
③自身に相応の実力(適正レベル)があれば仲間に(管理下に)できる(置ける)
④仲間となった際にそのステータスがギフトを含めてまるまる自分にも上乗せされる
大体こんな感じ。
因みに種族ごとに上乗せとかじゃなくて個体ごとに上乗せであるからしてつまりリュカは本気でチートオブチート。
これからも順調に仲間を増やしていけば誰もリュカには敵わなくなります。
質問があったんですが特技を数時間という短い時間でいやに早く覚えてましたよね?あれもこのギフトが原因です。
要は害を与える存在をより手っ取り早く管理下に置くために成長率が異常になってるんです。ゲーム的にいうと常に貰える経験値が2〜3倍とかそんな感じ。故に特技習得も早く覚えてしまいます。
二巻が始まる前にこれとかリュカくん一体どこにいくんでしょうね?小ネタはこれで終了ですので次からは本編に入ります。
待て、次回!