真伝・湊友希那は勇者である   作:悠@ゆー

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何者にも負けない友希那が羨ましかった。人々から讃えられている友希那が羨ましかった。
人々から受ける寵愛を、紗夜は渇望した。

だけど紗夜の周りには、いつも側にいて笑い、愛してくれる大切な人達がいた。

それだけで良かったのだーー




切望-せつぼう-

 

 

 

翌日、丸亀城の学校には、今日も友希那とリサしか来ていない。二人だけの教室でも、授業はいつもと変わらず進められていく。

 

昼休み、二人は食堂でご飯を食べながら話していた。

 

リサ「紗夜、まだ謹慎が解けないんだね…。」

 

友希那「せめて学校に来るだけでも、家にずっと篭ってるより気が晴れるのだけれど…。」

 

リサ「アタシは心配だよ。こんなーー」

 

リサの言葉を遮るように、スマホから警報が鳴り出した。友希那の回りの時間が全て停止する。

 

友希那「樹海化……!」

 

友希那は勇者へと変身し、食堂を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出ると、遠くからバーテックスの白い大群が見える。今や戦える勇者は友希那のみ。たった一人だけであの化け物に勝てるのだろうか。

 

友希那(だけど、負けは許されない……。)

 

友希那が敗北すれば、バーテックスに対抗出来る者はいないーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、友希那の隣に一人の少女が着地する。

 

紗夜「私もいます…。」

 

その少女は紗夜だった。紗夜は謹慎が解けたのだ。友希那一人だけでは戦闘の危険が大きい為、大社は急遽、紗夜を復帰させたのである。

 

紗夜「今まで迷惑をかけてしまいました…もう大丈夫です……。」

 

友希那「………良かったわ。」

 

友希那は安堵して微笑む。そして二人は、瀬戸内海から迫ってくるバーテックスの大群を見据えた。

 

一人で戦うのは困難かもしれないと、友希那は思っていた。だけど、仲間がいてくれるのなら話は別である。香澄が入院してから、ずっと友希那と紗夜が二人で四国を守ってきたのだから。

 

友希那「先に行くわよ!」

 

友希那が先に飛び出し、バーテックスを次々に斬り伏せていく。バーテックスの数はこれまでと比べて、決して多い訳では無いが、楽観視は出来ない。バーテックスは樹海を腐食させる力を持つ。そして樹海が腐食すれば、四国の人々に被害が出てしまう。必要なのは短期決戦。

 

友希那("切り札"を使うべき……?)

 

心の中で葛藤するが、今はまだ普段の力で対処が出来る。精霊の力の影響が肉体的なものだけでは無いと分かった以上、短期決戦が望ましくても、リスクが大きすぎる。

 

友希那がバーテックスを次々に倒していく一方、紗夜も大葉刈で敵を討ち取っていた。二人の勇者による猛攻で、バーテックスの数は凄まじい勢いで減っていく。

 

勝機は見えたーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友希那(このまま行けば………っ!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、友希那の視界の端に黒いものが映る。それが何であるかを確認するより先に、直感的に友希那は身を躱した。一瞬でも遅れていれば、致命傷を負っていただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜「流石ですね……完全に()ったと思ったんですけど……。」

 

その正体は、紗夜の大葉刈だった。

 

友希那「紗夜、どういうつもりかしら?」

 

紗夜「湊さん……不条理だとは思わないかしら……?あなたは、みんなから愛されて……私は疎まれ、嫌われ………。」

 

紗夜は独り言のように呟く。

 

友希那「紗夜……?どうしたの、しっかりして!」

 

友希那は襲いかかって来るバーテックスを斬り倒しながら、紗夜に呼びかける。

 

紗夜「どうして、こんな事になるんでしょう……?私は分かったんです………。それは、あなたがいるからです。」

 

淡々と紗夜は話し続けた。

 

紗夜「勇者が一人だけになれば……私しかいなくなれば…あなたがいなくなれば……人は私に、頼らざるを得なくなります………。私が、高嶋さんの傍にいられます……。今、あなたが受けている賞賛を…愛を……全部、私が受けるんです………。私が、今のあなたの立場に、立つんです………!」

 

紗夜の勇者装束が変化していく。そして次の瞬間、七人の紗夜が出現し、友希那を取り囲んだのだ。

 

友希那「"切り札"を使ったの!?」

 

七人の紗夜の一人が、友希那に斬りかかる。

 

友希那「っ!?」

 

一人目の攻撃を、友希那は生太刀で弾く。直後、今度は左右から二人の紗夜が同時に大葉刈を振るってきた。右からの攻撃を友希那は刀で受け止めて 、左からの攻撃は体を捻って避ける。

 

しかし、背後からのもう一人の攻撃を避けきれず、友希那は背中に斬撃を受けてしまった。

 

友希那「ぐぅっ………!」

 

苦痛に顔を歪める友希那。その様子を見て、紗夜は暗い喜びを感じていた。故郷の村で暴走した時と同じように、心が憎悪に染め尽くされて、グズグズに崩れていくのを感じる。

 

紗夜?『湊友希那を消せば、あなたが愛され賞賛される勇者になれるんですよ。』

 

頭の中でもう一人の自分がそう言っている。"切り札"による影響は、紗夜の心を一層蝕んでいった。

 

紗夜「大葉刈………この大鎌に宿る霊力は、今の私に相応しい………!」

 

 

 

土地神が友人の喪屋を斬り倒すのに用いた忌まわしき刃、"大葉刈"。

 

故に、仲間を害するのな相応しい武器。

 

 

 

 

七人の紗夜は、大葉刈を振るって友希那を攻撃し続ける。

 

友希那「くっ!」

 

友希那は跳躍し、紗夜達に囲まれた状況から抜け出そうとする。しかし、紗夜達は友希那に追い縋った。逃げている途中でも、バーテックスが友希那に攻撃を仕掛けてくる。バーテックスに対処しているうちに、友希那は紗夜達に追いつかれ、再び囲まれてしまう。

 

紗夜「私が………あなたの立場に、成り代わるんです……!」

 

大鎌が容赦無く振われる。友希那がいかに武術に優れていようと、七人からの同時攻撃を完璧に避けることは出来ない。必死に攻撃を受け流すが、友希那の体には傷が増えていく。

 

紗夜「あなたが……あなたさえいなければ………!!私が愛されていたんです…!!」

 

悲痛な叫びが響く。大葉刈の一撃一撃を受ける度に、紗夜の苦しみと悲しみが伝わってくるように友希那は感じた。

 

友希那(私は………どうすれば良かったの……?)

 

 

脳裏にこれまで紗夜と過ごしてきた記憶が頭に過ぎる。

 

紗夜との間には、最初は確執があったかもしれない。しかし最近では、打ち解けて、仲間として心を通わせていた筈だった。

 

それなのに、今紗夜にとって友希那は憎悪と殺意の対象でしかない。

 

友希那(どうして……こんな事に………!?)

 

 

 

紗夜と仲良くしていく方法が、何かあったんじゃないかーー

 

 

ずっと友達として過ごしていけなかったのかーー

 

 

何処で間違えてしまったのだろうかーー

 

 

 

 

それとも、最初から不幸な未来が運命付けられていたのだろうかーー

 

 

 

 

友希那(どうして………。)

 

紗夜の攻撃を受けながら、友希那は考える。だけど、答えは出ない。出るはずもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜「「「殺った!!」」」

 

友希那「っ!?」

 

心の迷いで動きが鈍る友希那の隙を突き、三人の紗夜が一斉に大鎌を振るう。回避不可能なタイミングと角度で、致命的な斬撃が友希那に迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜「え…………!?」

 

しかし次の瞬間に起こった事は、友希那の死では無く、紗夜を愕然とさせる異常だった。

 

 

紗夜は目を疑った。友希那に大鎌を振るった三人の紗夜が、いや、七人の紗夜のうち、六人が突如として消滅したのだ。さながら花びらが一瞬で散ってしまうように。

 

紗夜(私の………精霊が……!?)

 

何が起こったのか、紗夜には分からなかった。友希那にもこの状況が理解出来ていなかった。

 

紗夜(……関係ありません!精霊の力が無くても………!)

 

紗夜は憎悪のままに大葉刈を振るう。しかしその瞬間、今度は勇者装束が消え、紗夜は制服姿で樹海の中に立っていた。

 

紗夜「こ、これは…!?」

 

自らに起こっている事に戸惑う紗夜。武器の大葉刈は、今までのように軽々と振るうことが出来ない。鉄の塊の重みを感じ、持っていることが出来ずに落としてしまった。

 

紗夜(勇者の力が……消えた…!?)

 

友希那「紗夜!?どうしたの!?」

 

友希那が問いかけるが、紗夜自身何が起こっているか分からないため答えられない。スマホを取り出し、変身アプリを起動させるが変身出来ない。

 

紗夜「どうして……?変身が出来ない……勇者に…なれない………!!」

 

原因は不明だが、紗夜は勇者としての力を完全に失ってしまっていた。

 

狼狽える紗夜目掛けバーテックスが群がってくる。無防備な一人の少女と化した紗夜は、格好の餌食となってしまう。

 

だが、紗夜に群がろうとするバーテックスを友希那が刀を振るって全て斬り伏せる。

 

友希那「紗夜、私の傍から離れないで!」

 

紗夜「え……?」

 

呆然としている紗夜を他所に、友希那は彼女を守って戦い続けた。紗夜の傍から一瞬も離れずに、襲いかかってくる無数のバーテックスを全て打ち倒していく。

 

だが、全く移動せずに戦うことは、移動しながら戦うよりもずっと難しい。機動力は勇者がバーテックスに優っている強力な武器なのである。それを使わず、前後左右あらゆる方向から集中攻撃を受けるのだ。

 

勇者としての紗夜は、機動力を殆ど失った。友希那が動き回れば、ついてこられない。だから友希那は紗夜の傍を動かずに戦い続けるしかないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜「どうして……?どうして私なんかを守るんですか……?」

 

友希那「どうしてですって?決まってるでしょ、仲間だからよ!」

 

紗夜「え……?」

 

友希那「仲間だからよ!!あなたが何をしようと、あなたは私の大切な仲間なの!だから守る!何があっても!!」

 

紗夜「湊…さん………。」

 

友希那はバーテックスの熾烈な攻撃に耐えるため、"切り札"を発動させる。しかしそれでも、戦況は圧倒的に不利だった。一部のバーテックスは"進化型"へと融合し、無数の矢を飛ばして友希那を遠距離から攻撃する。矢を刀で弾いていくが、弾くだけでは本体を攻撃出来ない。

 

友希那「はああああああっ!!」

 

友希那は放たれた矢の一つを、素手で掴み取った。掴んだ衝撃で手の皮膚が裂け、出血する。それでも構わず、友希那はその矢を投げ返す。その投げられた矢は、"進化型"の体を貫いた。

 

友希那「はぁ…はぁ………。」

 

友希那の息があがる。"切り札"は体力の消耗が激しい上に、集中攻撃を受けているため、一瞬も休めない。疲労は凄まじい速さで蓄積されていく。

 

それでも友希那は、紗夜を守り続ける。紗夜には、友希那の姿はまさしく英雄そのものに見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦い続ける友希那の姿を見ながら、紗夜は思う。

 

紗夜(私は……どうしてこんな風に、出来なかったんでしょう………。)

 

精霊の力の影響で、精神が不安定になったから?

 

違う。友希那も紗夜と同じくらい、精霊の力を使ってきた。

 

 

 

育ってきた環境が不幸だったから?

 

違う。バーテックス襲来の日を生きた今の人々は、誰だって不幸な境遇を背負っている。それは友希那も同じだ。

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

紗夜「やはりあなたは分かっていません!一番の問題は………あなたの戦う理由です……!」

 

友希那「戦う……理由…?」

 

紗夜「そうです!あなたはいつも、バーテックスへの復讐のためだけに戦っている……!だから、怒りで我を忘れてしまうんです…!自分が周りの人間を危険に晒しても、気付きさえしない!!」

 

 

ーー

ーーー

 

 

紗夜(最初はただ自分自身の復讐の為に戦っているだけだと思っていました……。)

 

 

ーーー

ーー

 

 

紗夜「もし、交代を渋るようでしたら……叩いてでも下がらせるところでした。」

 

友希那「ゲームで協力プレーをした時に学ばせてもらったわ。出る時は出る。下がる時には下がる……でしょ?後は頼んだわ、紗夜。」

 

紗夜「ゆっくり休んでてください。」

 

 

ーー

ーーー

 

 

紗夜(ですが他の人と関わっていく中で、あなたは少しづつ変わっていった……。私があなたみたいに出来なかったのは…結局、私が弱かっただけ………。)

 

 

 

 

それは、紗夜の心の問題でしかない。

 

 

 

 

紗夜(湊さんの強さは戦う強さだけじゃなく…心の強さも……。でも…叶うのなら……私も…。)

 

 

 

 

 

心の問題でしかないのならーー

 

 

 

 

紗夜(私も……湊さんみたいに強く---)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

疲弊した友希那の集中力が途切れ、一瞬の隙が出来る。

 

 

バーテックスの一体が、友希那に食らいつこうと迫るーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜「湊さん!!」

 

紗夜は友希那を押し除け、敵の攻撃から彼女を救い出した。

 

しかし、その代償は大きかったーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友希那の代わりに紗夜の身体が、バーテックスの餌食となった。

 

紗夜「あああああああぁぁぁあああっ!!」

 

バーテックスに喰らいつかれ、気の遠くなるような激痛に紗夜は絶叫する。

 

友希那「紗夜!!!」

 

すぐに友希那はそのバーテックスを斬り倒すが、紗夜の肩から脇腹にかけて、噛みつかれた部位がぐちゃぐちゃになっていた。肉が抉れ、骨が折れて露出している。内臓も無事ではないだろう。

 

紗夜(あぁ………まずい…ですね……こんな傷、なのに……痛みを感じなく…なって………。)

 

紗夜の意識が遠ざかっていく。

 

咆哮のような叫びを上げながら戦う友希那の姿が、ぼやけていく視界の中に映った。友希那は相変わらず、紗夜を守ってその場から動かず戦い続けていた。

 

紗夜(……もう、良いんです……私は…助からない………だから、もう守らなくても………ごめんなさい……湊…さん……今まで…ずっと……ごめんなさい………。)

 

そこで紗夜の意識が途切れた。

 

 

 

 

 

再び意識を取り戻した時、周囲から樹海は消え、紗夜は丸亀城本丸に倒れていた。既に日が落ち始め、辺りは夕暮れに染まっている。バーテックスは一匹もいない。そして紗夜の目の前には、傷だらけになって立つ友希那の姿があった。

 

紗夜(凄い……ですね………本当に…。)

 

友希那はバーテックスを全て殲滅したのだ。紗夜を守りながら、その場から一歩も動かずに。

 

友希那「紗夜…すぐ……病院に……!」

 

友希那は両手で紗夜を抱きかかえる。しかし紗夜には、友希那の手の感触すら分からなかった。既に全身の感覚が麻痺しているのだ。

 

友希那の手の温もりを感じられないのは、少しだけ寂しかった。

 

紗夜「……無駄、です………今、生きているのだって、奇跡みたいな……もの……です…。」

 

友希那「そんな事言わないで!!」

 

友希那は叫ぶが、紗夜の傷が治療してなんとかなる程度のものでは無いことは誰が見ても明らかだった。

 

抱きかかえられた紗夜の視界に、丸亀城から見下ろす夕暮れの街並みと海が映る。友希那がここから、毎日のように瀬戸内海を眺めている事を、紗夜は知っていた。

 

紗夜「……もう少し…このままで、休ませてください……。運ばれるのは……辛い…から……。」

 

友希那「なら、こっちから医療班を呼ぶわ!!」

 

友希那は悲しみに体を震わせながら、スマホを取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

紗夜(私が死んでも……悲しんでくれる人なんていないと……思っていたんですが…。)

 

紗夜は人から愛されたかった。勇者として活躍すれば、自分の価値を認められ、他人から愛されると思った。

 

だから戦って、戦って。"完成型"が出てきた時、勇者の力を失った時、人々から愛されることがなくなって、全てを失ったように思っていた。

 

たけど本当は失っていなかった。

 

丸亀城で過ごした日々ーー

 

 

 

一緒にご飯を食べた事。

 

共にバーテックスと戦った事。

 

温泉宿に泊まった事。

 

みんなでゲームをやって遊んだ事。

 

 

何気ない時間の積み重ねーー

 

 

 

仲間達は勇者の力もバーテックスとの戦いも関係無く、紗夜を友達として愛してくれていた。

 

紗夜(……馬鹿ですね……….私は…。)

 

その事に気付いていれば、きっと紗夜は充分だった筈だ。

 

友達が愛してくれているというだけで、充分だった筈である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜「………高嶋さんに…伝えて……ください……。今までずっと、ありがとうございます…………って。」

 

本当はもう一度会いたかった。だけど、もう会いにいく時間も資格も無いだろう。そう紗夜は思った。

 

友希那「紗夜………!」

 

友希那の目から涙が溢れ、スマホを取り落とした。

 

そして紗夜は、残った力を振り絞って、告げた。友希那に伝えなければならない言葉を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜「………湊さん……私は…あなたの事が嫌いです……。」

 

友希那「ええ…知ってるわ…。」

 

紗夜は友希那が嫌いだった。

 

彼女はいつも正しくて、強くて、自分に自信があって、みんなの中心にいる。

 

彼女の正しさが、強さが、人気が、自信が、紗夜には妬ましかった。

 

だが、結局紗夜は友希那に憧れていたのだ。紗夜がなりたかった自分を、そのまま体現した存在が、湊友希那だったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜「ですが……嫌いなのと同じくらい……あなたに、憧れて………。」

 

友希那「…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜「あなたのことが…好きでした………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友希那は何も言わず、ただ紗夜の体を強く抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜(最期に……あなたと同じ場所で…同じ風景を見ることが出来て………良かった……。)

 

 

 

 

 

 

 

その言葉は声にならなかったけれど、紗夜は微笑んで、眠るように目を閉じた。

 

 

 

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