スーパーロボット大戦VB   作:元ゴリラ

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サブシナリオ03「激突! マスターガンダム対オウカオー!」

—???—

 

 みなさん、この男のことを覚えているでしょうか。東方不敗マスター・アジア。そう、あのドモン・カッシュの師匠にして最大のライバルだった男です。彼はドモンとの決戦……あの第13回ガンダムファイト決勝戦の後にバイストン・ウェルと呼ばれる魂の故郷たる世界で、その魂を清めていました。

 

 今回、彼が戦うのはホウジョウ国の国王であり、聖戦士のシンジロウ・サコミズ。そして愛機オウカオー!サコミズ王は、地上に残した未練を遂げるべく軍を率い、地上侵攻を目論んでいます。果たして東方不敗は、彼の野心を正すことができるのでしょうか!

 

 それでは!

 スーパーロボット大戦!

 レディ・ゴー!!

 

 

…………

激突!

マスターガンダム対オウカオー!

…………

 

 

—バイストン・ウェル/ホウジョウ国—

 

 

 ホウジョウの国。争いの絶えぬヘリコンの地を平定した聖戦士・サコミズ王が打ち立てたその国は今尚、オーラマシンの建造を押し進め、それにより臣民への重税を課している。かつてサコミズ王と共に戦った荒武者アマルガン・ルドルはそれ故に反乱軍を組織し、サコミズ王と敵対する道を選んだ。

 エイサップ鈴木がバイストン・ウェルを離れた後も、ホウジョウ軍と反乱軍の戦いは続いている。戦力で劣る反乱軍を支えるのは、この男だった。

 

東方不敗

「温い、手温い、生温い! その程度でこの東方不敗に勝てると思うてかぁっ!?」

 

 東方不敗マスターアジア。彼の乗機マスターガンダムは今日も、バイストン・ウェルの激闘を制している。地の利、時の利。あらゆるものを生かす万能の兵法家たる東方不敗だがしかし、反乱軍の戦力低下には思うところがないでもない。いや、

 

ロウリ

「クソッ! 覚えてやがれ東方不敗!」

 

 ホウジョウ軍の戦力が日増しに強くなっていることこそが、最大の問題だった。以前は赤子の手を捻るよりも容易くあしらうことのできたロウリと金本の地上人2人。彼らは実戦の中でオーラ力を高め、今となってはあれとまともにやりあえるのは自分とアマルガンしかいない。さらに、サコミズ王の腹心を務める地上人……ショット・ウェポンの入れ知恵かホウジョウ国は新型オーラマシンを次々と投入してくるのだ。それらは西の大陸でショットが開発したマシンを再開発したものらしいが、ショウキやライデンとはやはり武装の質が違う。このままではいずれ、反乱軍の敗北は必至。それがわからぬ東方不敗ではなかった。

 

東方不敗

(ドモン……。あの馬鹿弟子は果たして、地上で己が役目を果たしているかのう)

 

 上空に広がる海を見わたしながら、東方不敗は思案する。もし、この局面に大きな変化を齎せるものがあるとすれば、伝説の聖戦士に他ならない。リーンの翼を顕現させる聖戦士として恐れられるサコミズ王の武勇。それを諌めることができるものがあるとすれば……。

 

東方不敗

(王の心残り。そして……)

 

 東方不敗には、サコミズ王の心が痛いほどにわかる。しかし、彼が戻ったところでもうサコミズ王の知る日本は存在しない。自然豊かな関東平野。人々の心の拠り所となる東京駅。そんなものはとっくの昔に、変わってしまったのだから。

 

東方不敗

(西田よ……お前もそれを嘆いておったのう)

 

 地上に遺した旧友に、思いを馳せる。志を同じくし、心豊かな国を取り戻すべく戦い続けている奴は今、何を思うのか。西田啓。彼は東方不敗が「デビルガンダムによる人類抹殺」という使命を手に入れた時、唯一包み隠さずに本心を話したほどの盟友だった。その西田はよく、東方不敗と酒を飲み交わしながら言っていた。

 

西田

『国とは、国境の定めた土地のことを指します。しかし、それは本質ではありません。旧世紀より何度となく、国と国は侵略戦争を繰り返していきました。この日本も、アメリカの領土となった。ですが、国民の心は常に日本と共にありました……」

 

 だからこの島国は、日本という名前と文化を残すことができたのだと。あの時と同じように、日本が世界が少しでもこの世界の在り方を考えるようにならなければだめだと。

 西田は結局、東方不敗の理想に与することはなかった。しかし、その行いを黙認し受け入れた。それは、彼の中にある諦観がそうさせたのかもしれない。だが現実東方不敗はドモンに敗れ、人類抹殺による地球再生は塵芥と消えた。

 

東方不敗

(だがそれも…………。ム、)

 

 断崖の上に立ち、上空を見上げるマスターガンダム。海と大地の間の世界に、地平線はない。しかし不思議な天体の動きとともに日は落ちる。黄昏。地上ならばそう表現されるだろう景色とともに、それはやってきた。

 紫色のオーラバトラー。赤々とした羽根を羽ばたかせながら、2本の刀を抜いてこちらに迫るそれは。それこそは!

 

東方不敗

「オウカオー、サコミズかっ!」

サコミズ

「今日こそその命貰い受ける、流派東方不敗!」

 

 王の専用オーラバトラー・オウカオー! 日本刀を思わせる美しい刃を持つオーラソードの斬撃が、マスターガンダムへ襲い掛かるのです!

 

東方不敗

「舐めるなぁっ、はぁっ!」

 

 しかし相手は東方不敗マスターアジア! サコミズの太刀筋を見切った黒いガンダムは、ビームでできた帯を振り回しオウカオーの剣戟を捌き切るのです!

 

サコミズ

「一筋縄ではいかんなぁッ!」

東方不敗

「この東方不敗、貴様如きに遅れを取るまいがァッ!」

 

 東方不敗がしたのと同じように、今度はオウカオーがマスタークロスを捌き飛び回ります。マスターガンダムとオウカオー。モビルスーツとオーラバトラーの間にはひと回りほどの対格差が存在します。ですが、サコミズ王のオーラ力の前にはそんな差はないに等しい!

 

東方不敗

「フンッ! 他の雑魚と違い流石は聖戦士といったところか……。しかし!」

 

 マスターガンダムは飛び上がり、マントのように展開していたウイングを展開! そして鋭利な爪を伸ばし、オウカオーとぶつかり合うのです!

 

東方不敗

「炸裂、ニアクラッシャァァッ!」

サコミズ

「ヤァエェェェェェェッ!」

 

 オウカオーの剣捌きは、マスターガンダムのニアクラッシャーを次々と受け流します。サコミズ王のオーラ力がそうさせるのか。或いはサコミズ王の経験してきた戦いとは、あの東方不敗と互角に渡り合えるほどに過酷なものなのか。どちらにしても、拳を振り上げながら東方不敗は思いました。サコミズ王の剣には、邪なものが隠れていると。かつての自分の拳と同じように。

 

東方不敗

「コヤツ……まさかっ!?」

 

 オーラロードが、高まるオーラ力により開かれるというのならば。

 オーラ力が、生命力の発露だというのならば。

 オーラロードを開く方法は何もリーンの翼だけではない。そのことに気付き、マスターガンダムは機体を反転させます。そして、東方不敗が見たものは!

 

東方不敗

「こ、これは……!?」

 

 王の乗艦フガクから放たれる無数の火の弾。燃え広がるのは反乱軍の宿営地・アブタ・プラスがある方角。

 東方不敗は、まんまと乗せられたのだ。王の奸計に。

 

東方不敗

「サコミズ……貴様ぁッ!?」

サコミズ

「フッ……気づいたところでっ!」

 

 オウカオーの剣圧が、オーラ力を吸い上げより強力になっていることを東方不敗は感じました。そう、燃え上がる集落に住む人々の怨嗟、憎悪、慟哭。コモン人一人一人が持つオーラ力は小さなものなれど、それら負のオーラ力は聖戦士の翼にも匹敵する圧力を時に齎すのです!

 

サコミズ

「ショット・ウェポンは、いいことを教えてくれた!」

東方不敗

「かつての聖戦士が、悪鬼に堕したかァッ!」

 

 集落には女子供もいる。戦士だけが戦っているわけではない。戦士を支え、助け、日々の糧を共にし生活する者達……サコミズ王とホウジョウ軍は、その命を狙ったのです。許すまじ、ギリと東方不敗は歯噛みしました。目的のためならば人は……どこまで残酷になれるというのでしょうか!

 それは、かつて東方不敗マスターアジアその人自身が犯した過ち。業。新宿をデビルガンダムの支配下としたあの日を思い出さずにはいられないものでした。今彼の瞳に映るサコミズ王の姿は、あの日の東方不敗そのものだったのです。

 

東方不敗

「だからこそ、許すわけにはいかんのだァッ!」

 

 マスターガンダムの漆黒の機体が、金色に染まっていきます。流派・東方不敗。その奥義を以てここでサコミズ王を食い止めねばと。漢のその手が真っ赤に燃えるのです! そう、若き日の自分のように。そして今尚勝利を掴めと轟き叫ぶ、あの馬鹿弟子のように!

 

サコミズ王

「来るか、東方不敗ィッ!」

 

 オウカオーの翼も、負のオーラ力を浴びて大きくなっていきます! まるで血を吸ったように赤黒い翅が羽撃き、二刀流でマスターガンダムへと飛びかかるのです!

 

東方不敗

「流派、東方不敗が最終奥義……」

 

 しかし、マスターガンダムの両腕に込められた気はそれにも決して劣らぬ赤い光を輝かせていました。そう、その名も!

 

東方不敗

「石破! 天驚拳!!!!」

サコミズ

「ヤァエェェェェェェッ!!」

 

 マスターガンダムから放たれた渾身の気弾。石破天驚拳。周囲の岩を吹き飛ばし、巻き込みながらその力を、圧力をさらに高めていく東方不敗最終奥義が、サコミズ王を襲います! しかし、怯むことなく爆熱の渦の中をオーラ力で突き抜けていくオウカオー! そしてオウカオーの剣先が、マスターガンダムの拳に触れた瞬間それは起こりました!

 

 混沌とする怒りのオーラ、憎しみのオーラ、絶望のオーラ、慟哭のオーラ。それらを吸い上げ、オーラ力を増幅させるオーラマシン。そして相対するは正のオーラ力とも言える武闘家の魂を宿した拳。その全てが一つの場所で膨れ上がる。それは、穏やかなオーラが流れるバイストン・ウェルにおいては異常な事態であったと言わざるを得ません。そう、人の心を、魂を増幅させ薪とするオーラマシンがここにあり、そしてリーンの翼の聖戦士たるサコミズ王がそれに乗っていたことも一因と言えるでしょう。

 

 ともかく──その戦場全体を包み込むように、海と大地が揺れたのです。

 

東方不敗

「こ、これは……!?」

サコミズ

「ついに来たか。オーラロード!?」

 

 オーラロード。バイストン・ウェルと地上を繋ぐ路。その橋が今ここにかかった。それをサコミズ王は、自らの経験でわかりました。ですが、このオーラロードは今まで彼が渡ってきたそれとは違う。彼が今履いているサンダルが、それを告げています。

 

サコミズ

「!? まさか、これは……!」

 

 サコミズ王がオーラロードを開いた時、そこにはいつも命の散る瞬間がありました。それは、桜花と共に運命を共にするはずだった自身の命も例外ではありません。

 しかし、ここまでの慟哭と怨嗟を吸い上げて開いたオーラロードを……サコミズ王は知らなかったのです!

 

東方不敗

「サコミズ、貴様ァッ!」

サコミズ

「これは、これは違う……! これは、地上への道ではない!?」

 

 そして、激突する2機のマシンはその渦の中へと飲み込まれていきました。暗く、昏い、虚無へと続くオーラロードの中へと……。

 

 

 

…………

…………

…………

 

 みなさん、大変なことになってしまいました。サコミズ王と東方不敗。彼らは果たして、どこへと辿り着くのでしょう。そして彼等は知覚できませんでしたが、フガクのホウジョウ軍とアマルガンの反乱軍もこのオーラの渦に飲み込まれてしまったのです。

 さて、間話はここまでにしておきましょう。

 この物語はあくまでエイサップ鈴木の、櫻庭槇菜の、そして我らがドモン・カッシュの物語なのですから。

 

 それでは!

 次回もスーパーロボット大戦!

 レディ・ゴー!

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