スーパーロボット大戦VB   作:元ゴリラ

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第3話「倒せデビルガンダム! スーパーロボット軍団ここに集結!」

—???—

 

 カプセルの中で、少女が眠っている。少女は、夢を見ていた。夢の中、少女は鬼になっている。呼吸が荒い。心の昂りを抑えながら、少女は夢の中で、少年と対峙していた。端正な顔立ちの少年だが、どこか意思の希薄な少年。その少年はしかし、煌々と輝く光の中にいた。

 ——怖い。

 最初に、少女が感じたのは恐怖。何がそこまで少女を怯えさせるのか、少女は自分でも理解できないでいる。

 

少女「——いで」

 

 声にならない声で、少女は叫ぶ。

 

少女「呼び戻さないで。恐怖を!」

 

 そう叫ぶと同時、少女の意識は再び微睡の中へ落ちていく。その様子を、薄暗い室内で男が監視していた。男の他には、数名の研究員。

 

メス「ミハル……!」

 

研究員「被験者のコントロール、復帰しました」

 

 淡々と告げる研究員の言葉に、施設の責任者である男・メスは胸を撫で下ろす。

 

メス「なんとか、意識体は守られたか……。よし、安定圏に達し次第実験を続行しろ」

 

 そう言って、メスはその施設を後にする。

 ミハルと名付けた少女をメスが保護したのは、8年前のことだった。メスの所属する組織が長年探していた反応が中国公安嶺山脈から検知され、現地に向かった調査員はカプセルの中に入れられて眠る、幼いミハルを発見した。

 その後、ミハルはメスの所属する組織……「シンボル」で「インヴィテーター」の実験被験体として活動している。

 そして今日、ミハルは実験中何かに反応し、今までにない兆候を見せていた。

 それが何を意味しているのか、解明しなければならない。また、ミハルにはやってもらわなければならない仕事が残っていた。

 メスは自分の個室に戻ると、PCのモニタを確認する。画面では、通信越しにふたりの男が待機していた。

 

マキャベル「首尾はどうだったのかね?」

 

 一人はエメリス・マキャベル。アメリカ軍が開発したの原子力空母・パブッシュの責任者でもある壮年の男が、メスを待っていた。

 

メス「はっ。実験そのものは失敗ですが、大きな成果がありました」

 

マキャベル「ふむ。それで、件の件だが……」

 

 もう一人の男が、マキャベルの問いに応える。

 

ファントム「ええ、我々『シンボル』はあなたを支持します。マキャベル司令」

 

 ファントム。メスにとって上司でもある『シンボル』の最高権力者。ファントムは画面に顔を出さず声のみで通話に参加している。

 しかし、この会談を企画したのもこのファントムだった。

 

メス「…………べギルスタン、ですか」

 

 べギルスタン。中東の小国に多国籍軍を派遣するという計画。情勢不安から近隣国との武力衝突に発展しているこの国へ、軍を派遣し平定するというこの計画は、明らかに怪しいものがあった。そもそも、べギルスタンの情勢不安を煽り、戦力の提供を引き受けているのもメス達『シンボル』である。それを平定するための、多国籍軍。それがべギルスタンの新兵器により壊滅するというのが、マキャベルの筋書きだった。

 メスは、マキャベルの考えをいまいち理解出来ない。しかし、マキャベルは2、30年を軍で過ごしながら、自らの思想を鍛え抜いた怪物である。通話越しに存在感を放つファントムと、マキャベル。二人の怪物にしか理解のできないシナリオがあるのだろう。そうメスは理解するしかない。

 だがメスが懸念しているのは、ミハルのことだった。この戦闘で、べギルスタンは未知の新兵器を使用していなければならない。その証拠としてミハルを派兵することは、既に決定事項なのだ。

 

マキャベル「では、そういうことでよろしく頼むよ」

 

 そう言って通話から退出する怪物。続けてファントムも、「それでは」と言って退席する。

 

メス「ふう……」

 

 インヴィテーター。『シンボル』が長年追い続けている謎の迫るための悲願である。しかし、自分達は果たして何をしているのか。そんな気持ちが湧かないかと言えば嘘になっていた。

 

 

…………

…………

…………

 

 

—輸送機—

 

 

槇菜「ゼノ・アストラを、引き渡すんですか?」

 

 グレートマジンガーと共闘したその翌日、横浜自衛隊駐屯地へ移動する輸送機の中で槇菜は、ハリソンから説明を受けていた。

 

ハリソン「ああ。横浜でパブッシュからの先発船とコンタクトが取れてね、マーガレット少尉とゼノ・アストラをそこで引き渡す手筈になっている」

 

槇菜「そうですか……」

 

 安堵の声を上げながらも、槇菜の表情はどこか暗い。

 

ハリソン「君に関してはまだしばらく岩国基地に身柄を預けてもらうことになると思うが……心配ない。私とマーガレット少尉で、どうにかする」 

 

槇菜「…………」

 

 確かに、戦うのは怖い。戦闘獣や鬼といった敵を前に、グレートマジンガーやゲッターロボがいるのなら自分が戦わなくてもいい。そんな気持ちもある。だが正直なところ、ゼノ・アストラに愛着も湧き始めている。

 それに、ゼノ・アストラとミケーネにどのような関係があるのかも気にはなっている。それらの結論が見えないまま、ここで終わりというのは少し、モヤモヤした気持ちになるものである。

 

甲児「よかったじゃねえか、槇菜」

 

さやか「そうね、戦わなくていいならそれに越したことはないわ」

 

 甲児とさやかも、そう続ける。それが純粋に槇菜を心配してのことだというのは理解している。しかし、

 

槇菜(もう、戻れるところなんかないのに……)

 

 岩国は鬼の襲撃でひどいダメージを受けた。学校も、もうない。そんな中で、甲児達と一緒にいることや、ゼノ・アストラの存在は無意識のうちに槇菜の心を落ち着ける存在になっていた。そのことを、今更ながらに痛感する。

 

甲児「それで、横浜でグレートマジンガーと落ち合うって話はどうなってます?」

 

 甲児としては、横浜の自衛隊駐屯地ではそちらも問題だった。あれだけすごいロボットを持っている科学要塞研究所という場所も気になるし、本当ならば一刻も早く合流したい。しかし、マジンガーの大ダメージと同様自分の身体も相当な疲労が蓄積していたし、ハリソンの判断は正しいと理解しているから、文句は言わなかった。

 

ハリソン「ああ、そちらに関しては問題ないと連絡があったよ。対ミケーネの会議が開かれることになっていてね。その準備も兼ねて合流したいとのことだ」

 

隼人「対ミケーネ会議……か。国のお偉いさんが雁首揃えて、かい?」

 

 それまで黙っていた隼人が口を挟む。

 

ハリソン「ああ。表向きは海軍で定期に開かれるお祭りで、民間にも駐屯地の敷地内を解放してのものだが……基地の中では対策会議を開くとのことだ。コロニーのカラト首相も来るらしい」

 

隼人「……つまり、知られちまえば格好の標的ってことか」

 

 隼人は、元いた世界ではテロリストのリーダーをやっていた。そんな彼の嗅覚が告げている。

 

ハリソン「……ミケーネのスパイが、紛れていると?」

 

隼人「さあな。だが、敵がミケーネだけとも限らねえ。もしかしたら、ミケーネの決起を好機と見て碌でもねえことをする奴が現れるとも限らねえってことだ」

 

 隼人の言うことにも、一理はある。ハリソンは首肯して、「だからこそ、俺たちが行くんだ」と言った。

 

弁慶「それで、祭りっていうからにはうまいもんの出店くらいあるんだろう?」

 

ハリソン「あ、ああ。毎年の祭りには色々な催しが開催される。私は出られんが、君達は楽しんでくれて構わんよ」

 

弁慶「おお! そいつは楽しみだなぁ!」

 

 能天気に笑う弁慶。そんな様子に隼人は一つため息をつく。

 

竜馬「隼人、お前の懸念は最もだが今俺たちにできることはねえ。ここは弁慶みたいに能天気にする方がいいんじゃねえか?」

 

隼人「好きにしろ、俺は俺で好きにする……」

 

 異世界人である隼人にとって、この世界の情報収集は急務である。今はハリソンや甲児と共に行動しているが、果たしてそれが正しいのか。それもわからない。隼人からすれば、ゲッター線の謎に迫るという目的がある。そのためには、あの鬼哭石で見せたゲッター線の上昇反応。その調査に乗り出したいところではあった。

 

隼人(だがまあ……横浜に政府首脳陣が集まってるってのは、都合いい話でもあるか)

 

 隼人は、鮫のように笑っていた。

 

 

…………

…………

…………

 

—横浜/自衛隊駐屯地—

 

 槇菜達がやってきた時、既に自衛隊駐屯地は解放され、祭り特有の賑やかな活気で満ちいていた。岩国もそうだが、ここも潮の香りで満ちている。東京都心が前回のガンダムファイトで壊滅的な被害を受けた結果として、横浜は日本の第二の首都とも言うべきまでに発展していた。

 

槇菜「わぁ……!」

 

 どちらかといえば閑静で、静かさが魅力だった岩国とはその活気の点で違う。

 特に今日は年に一度の祭りなのも、大きな理由だった。

 

甲児「こいつはすげえな。それで、鉄也は……」

 

 甲児があたりを確認していると、基地のサーキットを物々しいバイクが走っているのが見える。そのバイクは、フロントにロケットパンチまで装備しているなんとも厳ついものだった。そして、そのバイクを操縦する男のヘルメットには見覚えがある。

 

甲児「鉄也!」

 

 甲児に呼び止められ、鉄也はバイクを停める。

 

鉄也「来てくれたか、甲児。歓迎するぜ」

 

甲児「鉄也、グレートマジンガーは?」

 

鉄也「既にいつでも出せるように準備してあるよ。でもたまには、息抜きも必要だろう?」

 

 違いないなと甲児が笑い、2人は肩を組んで歩き出す。そんな2人を、槇菜は見送っていた。

 

槇菜(甲児さんと鉄也さん、昨日初めて会ったばかりなのにもう兄弟みたい……)

 

 その後ろ姿を見ていると、自分と姉……桔梗もこんな感じだったのだろうかと思う。そのくらいには、息が合っているように槇菜には見えた。

 ゼノ・アストラの引き渡しは、午後を予定している。それまでは各自が自由行動になっていた。甲児と鉄也は、親睦を深めたいのか2人で話し込んでいる。さやかは逆に、科学要塞研究所に先行することに決まっていた。父である弓教授が来ているらしい。竜馬と隼人、弁慶も既に自由行動をはじめて槇菜の前から姿は消えており、ハリソンは基地内の人間と仕事の話をしている。

 そんな中でポツンと、甲児と鉄也の後ろ姿を見守る槇菜。仲のいい兄弟にしか見えない彼らの姿を見ていると、どうしても姉のことを思い出してしまう。

 

槇菜「お姉ちゃん……」

 

 姉のことを思い出すと、途端に寂しくなってしまうのが、今の槇菜だった。姉は任務に出て、それでも定期的に連絡は取り合っていた。しかしここ数日のゴタゴタで、すっかり連絡していなかった。しかし、こんなことになってしまって何をどう説明すればいいのだろう。

 そんな物思いに耽っていると、後ろから声をかけられる。

 

マーガレット「どうしたの、落ち込んでるみたいだけど」

 

槇菜「マーガレットさん……」

 

 マーガレットはまだ怪我が完治しているわけではないが、それでも松葉杖をつきながらこうして歩くくらいの事はできる。と言って、槇菜達についてきていた。

 

槇菜「私……これでゼノ・アストラで戦わなくてもいいはずなんですけど、でも……」

 

マーガレット「寂しいんだ?」

 

 少し悪戯っぽく、マーガレットは笑う。

 

槇菜「寂しい……そうなのかも……」

 

 槇菜にとって、ゼノ・アストラはもう愛機なのだ。そのことに、マーガレットの言葉で自覚する。寂しい。その言葉は槇菜にとって、新鮮な響きだった。

 

マーガレット「でも、あなたみたいな子が戦わなくていいならその方がいいわ」

 

 マーガレットの、亜麻色の髪が風に靡いた。

 

槇菜「それって……どういうことです?」

 

 槇菜が、戦うのに向いていない性格なのは自分でもわかっている。しかし、それでもゼノ・アストラを2度動かしてマジンガーZの危機を救ったという自負もあった。

 

マーガレット「あのね……」

 

 何かをマーガレットが言いかけた時、その声は突如として巻き起こった歓声に掻き消された。

 

通行人「お、おい! あれすげえぞ!?」

 

 声のした方を見ると、坊主頭の巨漢が特盛の炒飯を平らげている。その顔には、槇菜も見覚えがあった。

 

槇菜「弁慶さん……」

 

 武蔵坊弁慶。並行世界からやってきたゲーターチームのその一人。

 

弁慶「おお、こいつはいける。まだまだ食えるぞ!」

 

 その特盛炒飯は、尋常な量ではない。業務用の中華鍋ひとつ分はある炒飯を、旨そうに平らげる弁慶。どうやら、祭り屋台のようだった。

 炒飯を調理しているのは、小柄な少年だった。槇菜よりも歳下に見える色黒の少年。サングラスをしているが、人好きのする笑顔をしていた。

 看板には、「チン・チクリンの本格炒飯」と出ている。

 

弁慶「こいつは美味いぞ坊主!」

 

チン・チクリン「へへっ、兄ちゃんよく食うね。さあ、美味いよ美味いよ!」

 

 そう言って煽る少年の笑顔と、弁慶の威勢のいい食べっぷりに段々と屋台に人だかりができていく。

 

マーガレット「……なんだか、お腹空いてきちゃったわね」

 

槇菜「そうですね……」

 

 深刻な話をする気分ではなくなって、槇菜とマーガレットも、屋台の方へと向かっていった。

 

 

…………

…………

…………

 

 

—横浜/自衛隊駐屯地/グラウンド—

 

 

 複数の屋台が立ち並ぶグラウンドは今、チン・チクリンの作る炒飯を求める人を中心に賑わっている。そんな中で、食べたいものを探すのはそれなりにコツのいることだった。

 何より、マーガレットは日本の祭りのスタイルには馴染みがない。負傷していて満足な歩きができていないのもあって、軍隊で訓練を積んでいても歩き方がたどたどしくなってしまう。

 

槇菜「マーガレットさん、見て! パン屋さんが出店やってる!」

 

 たこ焼きや焼きそばのような独特のソースの匂いが強い屋台から少し離れた場所に、その出店はあった。

 出来立てのこんがりとしたフランスパンの匂いが、槇菜の鼻腔をくすぐる。

 

マーガレット「いってらっしゃい。私はここで待ってるから」

 

 小銭を渡して槇菜を送り出し、マーガレットは槇菜を見守ることにした。

 

槇菜「すいませーん……」

 

 パン屋の出店に槇菜が顔を出すと、右手に義手をつけた中年の男性が、人のいい笑顔で出迎えてくれる。

 

シーブック「いらっしゃい。何をお求めかな?」

 

 その笑顔からは、幸せな人生を生きている人間特有のものがあった。だが、その義手からは彼の波瀾万丈の人生を物語らせる。

 

槇菜「あ……。このフランスパン、二つお願いします」

 

シーブック「はいよ。焼き立てだからね。今が一番美味いよ?」

 

 焼き立て特有の香ばしい匂いもするので、それを疑う余地はない。しかし、焼き立てのパンを提供できる屋台とはどういうものなのだろうか。と槇菜は疑問に思い周囲をキョロキョロと見回す。

 当然、出店にパン窯などない。

 その様子を可笑しく思ったのか、店主のおじさんはカラカラと笑った。

 

シーブック「このパンはね、カミさんが焼いて持ってきてくれるんだ」

 

槇菜「奥さんが……」

 

 それを聞きながら、パンを受け取る槇菜。その温かさはもしかしたら、幸せの温かさなのかもしれない。そんなことを思った。

 

槇菜「ありがとうございます!」

 

 お金を払い、マーガレットのところに帰る帰路。槇菜はふと、マーガレットの言いたかったことが何なのか考えていた。そして、店主のおじさんの義手に想いを馳せる。

 

槇菜(戦うって、ああいうことなんだもんね……)

 

 戦わないで済むのなら、たしかにその方がいいのだろう。マーガレットは、そういうことを言いたかったのかもしれない。

 

槇菜(マーガレットさんも、軍人なんだもんね……)

 

 自衛隊員の、姉もたぶんマーガレットと同じことを言うだろう。槇菜は、これまでどれだけ多くの人に守られて生きていたのかを改めて実感した。もし、何か運命の歯車が違えばあの店主がつけていたような義手を、槇菜にとってのヒーロー……甲児がすることになった可能性もあるのだと理解する。

 

槇菜「お待たせしました」

 

 マーガレットのところにたどり着き、2人でベンチに座りフランスパンに齧り付いた。

 こんがりと焦げ目のついた外の衣はカリカリとした食感で噛みごたえがあり、口の中に入れるともちもち、ふっくらとしていて舌触りもいい。何より出来立てのパン特有の温かさが、その美味しさを際立たせていた。

 

マーガレット「おいしいわね」

 

 そう言って、笑みを溢すマーガレット。

 

槇菜「はい!」

 

 槇菜も釣られて、笑顔になっていた。

 

マーガレット「……ねえ、槇菜。あなたはゼノ・アストラに乗って、ミケーネと戦った。戦えない私の代わりに」

 

槇菜「…………」

 

 マーガレットの口調は、決してそれを非難するようなものではない。むしろ逆に、そのことについて労っているような色があった。

 

マーガレット「ありがとう、槇菜。あなたは私の恩人。忘れないわ」

 

 午後になればマーガレットも米軍に引き渡される手筈になっている。そのことをどうしても、槇菜は意識してしまう。

 

槇菜「マーガレットさん。私、あの子……ゼノ・アストラのこと、本当はもっと、ちゃんと知りたいんです」

 

 あの機体が、本当は何者なのか。なぜ自分を助けてくれたのか。闇の帝王と、ガサラキという存在とそのように関係しているのか。

 それに、それを扱える自分は何者なのか。

 

マーガレット「そうね。槇菜は本当はもう、無関係じゃない」

 

 マーガレットは頷く。しかし、ここで槇菜がゼノ・アストラから離されるのは大人の事情なのだ。子供の槇菜では関われない、大人の事情。

 

マーガレット「約束するわ。絶対、ゼノ・アストラの謎は解く。そして平和になったら……あなたに伝えにいく」

 

 それが、マーガレットができる最大限の譲歩だった。槇菜をこれ以上関わらせれば、米軍としても槇菜を返すわけにいかなくなる。そうなった時、自分やハリソンでは庇いきれなくなる。

 そうさせないためには、槇菜をここで「無関係の被災者」にするしかないのが現実だった。

 

槇菜「約束、ですよ?」

 

 槇菜はそう言って、小指をマーガレットに差し出す。マーガレットがそこに自分の小指をかけると、槇菜は指を揺らしながら、歌い出した。

 

槇菜「うそついたら針千本のーますっ」

 

マーガレット「何、それ? 日本ではそんな歌に乗せて指切りするの?」

 

 怖いわね。そう言ってマーガレットは笑った。約束を守らなければ、そう決意を新たにした時だった。

 

 激しい、渇いた音が祭りの場に炸裂する。軍人なら聞き慣れたその音に、咄嗟に槇菜庇うようにしてマーガレットは前に出た。

 ヒビの入った肋骨が、激しく痛んだ。

 

 

 

…………

…………

…………

 

—横浜/自衛隊駐屯地/MS格納庫—

 

 

 ハリソン・マディン大尉は輸送機に搬入されていく補給物資を、唖然とした目で見つめていたい。

 

ハリソン「おいおい……こんなものを今更使えっていうのが国連の意向なのか?」

 

 白いモビルスーツが2機と、金色のモビルスーツ。それは、旧世紀末期の戦争の最前線で使われた「ガンダム」達。それを補給物資としてハリソンの元に届けた士官は、まだ年若い女性だった。長い銀色の髪は北欧系の血筋を思わせるが、肌や顔立ちから日系を思わせる、アンバランスな長身の女性。女性は対テロを主任務とした特務自衛隊の所属であり、名を櫻庭桔梗、階級は中尉と名乗った。

 

桔梗「富士のロボット博物館から支給されたもので、あの戦争で使われたものを修復した機体であると聞いています」

 

ハリソン「そんな、本物の骨董品じゃないか。ゼータはともかく、他の2機は今更回されるならジェガンをしっかり回してほしいものだな」

 

 ゼータ。そう呼ばれたガンダムは、モビルスーツでありながら高機動戦闘機ウェイブライダーへの変形機構を有する可変モビルスーツ。現在ではコストの関係で開発されることもなくなったが、その価値は旧世紀の戦争で証明されていた。

 一方、ゼータ・タイプのモビルスーツの開発がされなくなったのは、戦争という行為がガンダムファイトによる代理戦争へ移行し、兵器開発競争にストップがかかったことも大きい。可変モビルスーツの価値が再認識されたムゲ・ゾルバトス帝国との戦争においては既にその存在がオーパーツと化していた。

 また、現行の最新モデルであるサナリィのフォーミュラ・ナンバー……つまりはハリソンが愛機とするガンダムF91などに比べて、当時のモビルスーツは大型であり、整備性に関しても難が残る。そんな骨董品を国連軍は、ミケーネ帝国との戦争の最前線に使おうというのである。

 

桔梗「国連上層部では、今だにガンダム神話というのは根強く残っているようですね」

 

 桔梗はそう、皮肉げに囁いた。

 

ハリソン「全くだな……。ガンダムファイトなんてものが定着したのも、旧世紀の戦争を終わらせた伝説のガンダムにあやかってのものと聞いている」

 

 旧世紀、コロニーの小国ジオン公国が国連への独立戦争を仕掛けたのが、宇宙戦争時代の幕開けである。それから何度となく戦争が繰り返され、ジオンの指導者シャア・アズナブルと国連軍のエースであるアムロ・レイの戦いで幕を下ろしたという。

 それらの戦争の至る所で活躍した国連側のエース達が搭乗したモビルスーツこそ、ガンダム・タイプであるという。

 今ハリソンの下に補給物資として届いたこのZガンダムとガンダムMk-II、百式の3機もそれら、旧世紀の戦争で活躍したガンダムだった。

 そういった歴史的背景があるからこそ、ガンダムファイトは「各国が自由に国の象徴であるガンダムを作れる」という点で歓迎されたのだろう。現在には仇敵であるはずのジオン公国もネオ・ジオン代表ガンダムファイターと代表ガンダムを有している。

 

桔梗「それでも、このガンダム達は最後まで、パイロットとともに戦い抜いた機体と聞いています。きっと、この戦いでもパイロットを守ってくれる。私はそう信じます」

 

ハリソン「随分、殊勝だな。誰かの受け売りか?」

 

桔梗「妹です。歴史が好きで……。モビルスーツそのものというより、そのパイロットや歴史については、私より詳しいんです」

 

 少しはにかんでそう答える桔梗の姿から、ハリソンは姉妹仲の良さを感じ取る。

 

ハリソン「では、確かにモビルスーツ3機受領した」

 

 敬礼し、桔梗も敬礼で返してからその場を後にする。後ろ姿を見送りながら、「そういえばサクラバという性は、槇菜と同じだな」と思い出していた。しかし、その瞬間である。

 突如として鳴り響いた銃声が、祭りの会場を混乱に陥れたのは。

 

ハリソン「何だっ!?」

 

桔梗「銃声!?」

 

 ハリソンや桔梗だけでなく、隊員達が警戒態勢を取った次の瞬間、武装した兵隊が格納庫になだれ込む。

 

ハリソン「こいつらっ!?」

 

木星兵「動くな!」

 

 そう言う兵隊の腕は、民間人の少年少女を抱き抱えていた。

 

桔梗「人質ってわけ……卑怯な奴らね」

 

 桔梗が吐き捨てる。しかしその額にはじわりと、汗が滲んでいた。

 

 

 

…………

…………

…………

 

 

—横浜/自衛隊駐屯地/データベース—

 

 

 データベースの管理を任されている男は今、窮地に立たされていた。突如現れた男に暴行され、首を絞められている。

 

管理者「ウッ、ウグググ……」

 

隼人「パスワードを言えっ!」

 

 突如現れた、正体不明のテロリスト。そうとしか表現できない。男は鋭利な爪を男の首下に食い込ませ凄んでいた。

 

管理者「G、A、S、A、R、A、K、I……」

 

 絞り込むように喉から声を洩らし、隼人はそのパスワードをデータベースに入力していく。これでようやく解放される。そう思った次の瞬間、男の爪は管理者の喉を潰し、鮮血が飛沫のように飛んだ。

 

隼人「さて……と」

 

 管理者の死骸を放置して、隼人はそのデータベースに登録されていた、最難関のセキュリティを突破し情報を閲覧する。

 

隼人(豪和一族……タクティカル・アーマー……マイル1……一見、ゲッターに関係があるようには思えないが)

 

 昨日の、鬼哭石での戦闘。あの時ゲッター線の力が増幅していた。今までの戦場になくて、あの場所にあったものは2つ。1つは鬼哭石の石舞台という場所。もう一つはあの小型機動兵器……タクティカル・アーマー。そのどちらか、或いは両方。それを調べるため、隼人は駐屯地を1人で襲撃していた。

 神隼人がゲッターチームに参加したのはそもそも、ゲッター線という未知のエネルギーの可能性に興味を抱いたからだ。

 宇宙から降り注ぐ、少量のゲッター線。それがゲッターロボのエネルギー源になっている。そしてこのゲッター線はどうやら、並行世界であるこの世界でも、問題なく宇宙から降り注いでいる。つまり、宇宙の成り立ちの歴史そのものは、この世界と隼人の世界に大きな違いはないということになる。

 

隼人(当然だ。早乙女の仮説が正しければゲッター線は人類に進化を促し、現行のホモ・サピエンス種が生まれる手助けをしたことになるからな……)

 

 この世界の人間が隼人のいた世界とそう変わらない人種である以上、ゲッター線研究の第一人者でありゲッターロボの開発者・早乙女博士の仮説が正しかったことを意味している。

 しかし、この世界では隼人の世界ほどゲッター線に関する研究は進んでいない。いや、発見すらされていない。

 

隼人(その代わり、この世界は光子力エネルギーが注目されている。それに、モビルスーツに関してもこの世界と俺の違いには差異があるようだ……)

 

 それらの「世界の違い」も、隼人の興味を引いていた。しかし、目下あのTAと鬼哭石の里、そしてゲッター線の関連を見つけることが、隼人の目的だった。

 一見して繋がらない情報だが、その意味まで考察する時間はない。だが、隼人がハッキングしている日本のSSS級情報の中にひとつ、隼人の興味を引くものがあった。

 

隼人(骨嵬、これは……?)

 

 古代の、甲冑のようである。しかし、その意匠はまるで鬼のようだった。

 巨大な、鬼。その存在はまるで安倍晴明が召喚する鬼獣のようでもある。

 

隼人(豪話は日本を裏から支配する経済豪族。その豪和が開発にかかわるTA。そして、骨嵬……)

 

 骨嵬。その詳細を調べようとして、ロックがかかる。どうやら、管理者から聞き出したパスワードで調べられるのはこれが限界らしい。隼人はポケットからUSBメモリを取り出し、パソコンに差し込むとデータのコピーを試みる。

 データのコピーが80%を超え、89、90……もう少しで全てのデータコピーが完了するというタイミングで、突如として警報が鳴り響いた。

 

隼人「……!?」

 

 バレたか。隼人が全身の神経を集中させ脱出のタイミングを図る。しかし、どうも様子がおかしい。

 

隼人「まさか、ミケーネか。それとも……?」

 

 データの複製が100%を突破したのを確認し、隼人は音もなくデーターベース室から立ち去った。

 

 

…………

第3話

「倒せデビルガンダム!

 スーパーロボット軍団ここに集合!」

…………

 

 平和に祭りを楽しんでいた自衛隊駐屯地に、悲鳴が鳴り響いた時、槇菜とマーガレットはパンを食べ終えたところだった。渇いた音が一発。それが銃声だと人々が理解した瞬間、賑やかな祭りは一転、阿鼻叫喚へと変わったのだ。

 

槇菜「な、何っ!?」

 

マーガレット「!?」

 

 咄嗟に、槇菜の手を握るマーガレット。次の瞬間、基地の周囲を包囲するように多数のモビルスーツが展開されていた。さらに、武装した人間が多数、祭りの客の中に紛れていた。

 

甲児「な、なんだ……!」

 

木星兵「動くな!」

 

 銃声。甲児と鉄也も、身動きができないでいる。当然、槇菜とマーガレットも同様だった。

 

ハリソン「あれは……!」

 

マーガレット「バタラ……!」

 

 バタラ。かつて、木星帝国で使用されていたモビルスーツ。それが4機。ありえない。そんな感情がマーガレットを襲う。

 

シーブック「まさか、木星帝国が生きていたのか……!?」

 

 シーブックはしかし、木星兵に銃口を突きつけられていた。

 

槇菜「パン屋のおじさん!」

 

 その光景を目撃し、叫ぶ槇菜。

 

弁慶「こいつは……」

 

 大量の炒飯にご満悦にして弁慶の周辺にも、木星兵とバタラがいた。

 

弁慶「情けない……ん?」

 

 気付けば、炒飯を作っていた坊主の姿が見当たらない。

 とにかく、この阿鼻叫喚をどうにかしなければ。弁慶は合掌の形に手を合わせると、目を瞑った。

 

 そんな中、バタラのうち1機が祭りの客を踏み潰すことも躊躇わずに進行する。その手には、1人の人間が乗っている。木星軍のパイロットスーツを来た男だ。バタラは、会議室のあるビルにマニピュレーターを突っ込みガラスを割ると、その男を中に入れる。

 

カラト「な、なんだお前は……!」

 

 その日、横浜駐屯地ではネオジャパン全体での、対ミケーネを中心とした対策会議が開かれていた。そこにはネオジャパンコロニーからカラト首相も来ている。それを狙っての、襲撃。

 

カマーロ「フッフッフッ……この時を待ってたのよぉ」

 

 木星帝国の兵士……カマーロ・ケトルは醜く笑いながら、カラトを指差す。

 

カマーロ「カラト委員長……じゃなくて今は首相だったかしら。あなたは2年前のガンダムファイトの時、ウルベ少佐を側近として重用していたらしいわねぇ」

 

カラト「ぬっ……!」

 

 ウルベ・イシカワ。デビルガンダムを自らのものとするため木星帝国と密約を結び、反乱を起こした背信者。たしかにカラトは、ガンダムファイトを通してデビルガンダムを捜索するその最前線に、ウルベを置いていた。

 だが、ウルベは死に、カラトは彼の背信の分までネオジャパンだけでなく、デビルガンダムとの戦闘で被害を受けた各都市に復興支援を行ったことで国民から支持され、首相になったのだ。そのことを今更とやかく云われはない。

 

葉月「ウルベとの繋がりというなら、君達の方こそ責があるだろう!」

 

 ミケーネ対策会議に招かれていた葉月博士が言う。しかし、カマーロはそんなことどうでもいいとでも言いたげに、下卑た笑いを浮かべていた。

 

カマーロ「いいこと? 私がほしいのはねえ……2年前、高額のワイロ目当てにウルベ少佐と木星軍のパイプを作ったさる日本政府高官……その記録よ」

 

葉月「何……?」

 

カマーロ「薄汚い背信の証拠! 随分と探すのに苦労したのよ……この基地のデータベースに残ってるって情報を手に入れるのにもね!」

 

カラト「な……。お、お前ら、そんなものをどうする気だ!」

 

 カラトもその記録は知らない話ではない。しかし、その高官は自分のしたことを悔いていたから、目を溢して今も政府に席を置かせているのだ。だが、それを知れば世論はどうカラトを評価するだろうか。

 

カマーロ「どう? どうって……決まってるじゃない。政府に買い取ってもらうのよ。高い……高いお金でね!」

 

 カマーロからすれば、政府の腐敗など暴いたってなんの得にもならない。これはそんな大義の決起なんかではない。そうカマーロの顔は言っている。

 

カマーロ「だけど……だけどね。私達から賄賂を受け取って、そいつだけぬくぬくと肥え太って。私達だけが惨めに負けて、食うや食われるかの生活を続けているなんて、そんなの許せるわけないじゃない!」

 

 カマーロが叫ぶ。怨嗟の言葉を吐き捨てる。その怨念のようなものに、カラトも葉月も気圧されていた。

 これは、復讐なのだ。だが、ただ恨みを晴らすための復讐ではない。

 

カマーロ「だから……搾り取ってやるのよ。取れるところからは取れるだけ……それが当然の権利だと思わない?」

 

 そう、カマーロが言った時だった。

 

チン・チクリン「なるほどそういう事情か。わからんでもないけどね。でも、やめてほしいな。なんていうか……セコいし」

 

 窓に、少年が張り付いていた。

 

カマーロ「お……お前は!?」

 

チン・チクリン「あっ、おいらのこと知ってる? いやぁ、おいらも有名になったなぁ」

 

 挑発的に笑う少年を、カマーロは憎々しげに睨みつける。

 

カマーロ「忘れるものかよぉ……。ネオチャイナのサイ・サイシー!?」

 

 サイ・サイシー。そう呼ばれた炒飯屋台の少年はニヤリと笑むと、張り付いた窓から飛び降りる。と、同時。高速で接近するものがあった。コア・ランダー。ある特殊なモビルスーツに搭載されている、コクピット兼任の高速戦闘機。サイ・サイシーはそれに飛び乗ると、指先をパチンと鳴らす。

 

サイ・サイシー「遊びは終わり。出ろ! ドラゴンガンダァァァァッッムッ!?」

 

 サイ・サイシーの声に応えるように、海が割れる。

 

槇菜「あれ……ドラゴンガンダム?」

 

 コア・ランダーがドラゴンガンダムの背中に収納されると、サイ・サイシーの身体を覆うように、コクピットから黒いラバーのようなものが展開されていく。モビル・トレース・システム。操縦者の身体がダイレクトにガンダムを動かすためのシステム。ガンダムファイトのために作られたモビルスーツ・モビルファイターの操縦システムがサイ・サイシーとドラゴンガンダムを繋いだのだ。それを示すようにドラゴンガンダムは大きくジャンプし、ビルの屋上へ降り立った。

 

カマーロ「おのれガンダムめ……だがなぁ、こっちは祭りの客全員が人質なのよぉ!」

 

 そう、カマーロがこのタイミングを選んだのは、祭りの客という人質がいるからである。この人質を盾に、目的のデータを手に入れた後はトンズラする……それが、カマーロの立てた計画だった。

 

サイ・サイシー「へへっ、そううまくいくかな?」

 

 サイ・サイシーはしかし、そんなカマーロを皮肉げに嘲笑う。

 

カマーロ「なんですって……?」

 

 次の瞬間、カマーロの通信機に悲鳴が届いた。

 

木星兵「た、隊長!? 助けてくれぇっ!?」

 

木星兵「こ、こいつら!? 人質がいるのを気にせず……」

 

 次の瞬間には、プツり。という音と共に砂嵐の雑音が通信機からただ聴こえるのみになる。

 

カマーロ「な、何が起こっているの!?」

 

 カマーロが窓から見たのは、信じがたい光景だった。

 

 

…………

…………

…………

 

 

 銃を構える木星兵に近づく男が1人。ボロボロのマントを羽織った、日本人だった。朴に傷があり、その目つきは険しい。

 

木星兵「な、なんだお前は……!」

 

 兵士の1人が、男に銃を構える。しかし、男はそれに臆することなく歩き、兵士をギロリと睨みつけていた。

 

木星兵「構うことはない。やっちまえ!」

 

 そう言って、銃を男へ向けて放つ兵士達。しかし、男は次の瞬間、目にも止まらぬ速さで駆ける。

 

甲児「あ、あいつは……!」

 

 それを間近で見ていた甲児が、声を上げる。

 駆けた男は放たれた銃弾を、指と指の間で受け止めていたのだから。

 

???「その程度か。木星軍も随分と落ちぶれたものだな」

 

 挑発的な言葉を吐き捨てると同時、男は拳を繰り出す。達人の動き。放たれた一発の拳は、その衝撃で一度に3人の兵士を殴り飛ばしたのだ。

 

木星兵「う、うわぁ!?」

 

木星兵「な、なんなんだこいつ……」

 

 人間じゃない。そう言おうとした次の瞬間には強烈なキックがお見舞いされ、また1人の兵士が倒れ伏す。

 

木星兵「な、何者だ貴様……!」

 

 兵士達が、人質となった人々が、皆がその男に注目する。そして、男はボロボロのマントを脱ぎ捨て、飛び上がった。

 

ドモン「教えてやろう! シャッフル同盟! キング・オブ・ハートの、ドモン・カッシュだァッ!?」

 

 みなさんお待ちかね!

 とうとうこの男がやってきました!

 前回のガンダムファイトを!

 ネオアメリカのガンダムマックスターと!

 ネオチャイナのドラゴンガンダムと!

 ネオフランスのガンダムローズと!

 ネオロシアのボルトガンダムと!

 ネオドイツのガンダムシュピーゲルと!

 そして、自らの師匠である東方不敗マスターアジアが乗った、ネオホンコンのマスターガンダムと!

 戦って! 戦って! 戦い抜いて!

 ネオジャパンを勝利に導いたガンダムファイター!

 即ち、ガンダム・ザ・ガンダム!

 そう、彼こそがゴッドガンダムのガンダムファイター、ドモン・カッシュなのです!

 

ドモン「はァァァァッッ、どぁぁりゃぁぁぁ!?」

 

 ドモン・カッシュの強烈な連打は、瞬く間に木星兵達をのしていきます! 強い! 強すぎるぞドモン・カッシュ!

 

槇菜「つ、強い……!」

 

木星兵「おのれ、シャッフル同盟! またしても我らの邪魔をするか!」

 

 事態を見守っていたバタラが、ドモンを踏み潰そうと足を大きく踏み出しました!

 民間人の命の盾など、ドモン1人を抹殺するコストに比べれば安い。そう、判断してのことです! なんて残虐なファイトなのでしょう!

 しかし、その足は地面につくことはありませんでした。坊主頭の巨漢が、バタラの足を持ち上げていたのです!

 

弁慶「くぬぬぬぬ……和尚直伝の、大雪山おろしぃぃぃぃぃ!?」

 

 弁慶は、バカ力でバタラを持ち上げ背負い投げる。モビルスーツを、ただの人間が1人で持ち上げていました。なんという力なのでしょう!

 

ドモン「ほう、やるなぁあんた!」

 

弁慶「ははっ、このぐらい朝飯前よ!」

 

 とはいえ、人間の力でモビルスーツを投げ飛ばすには無理がある。バタラは大雪山おろしでよろけこそしたが、飛ばされはしなかった。

 

木星兵「くそっ、こいつらっ!」

 

 事態を見守っていた木星兵達が、ドモンと弁慶に銃を構える。しかし、次の瞬間には木星兵達の顔面に、強烈な拳がお見舞いされていた。

 

竜馬「どぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁっ!」

 

 流竜馬。空手の達人がここにいたのだ。

 

弁慶「おお、竜馬!」

 

木星兵「くそっ、こうなったら……ジーク・ジュピタァァァァッッ!」

 

 叫び、ナイフを持った兵士が竜馬へ突撃する。竜馬はそのナイフを、素手で受け止めた。ナイフを握る手から、赤い液体が流れ出る。

 

木星兵「な……なぁ……!」

 

竜馬「どうした、お前がちょっとでも力入れれば、俺の指はスパッと行っちまうぜ。やれよ、指くらい落とせば面子も立つだろ?」

 

木星兵「ひっ…………!?」

 

 木星帝国の兵士達は、総統クラックス・ドゥガチに忠誠を誓っている。相当閣下が死ねと言えば、喜んで死ぬことができる。そんな兵士ばかりだ。

 しかし、今竜馬と相対しているこの兵士は感じてしまったのだ。

 恐怖を。

 それは死への恐怖ではない。木星のための死ならば、それは恐怖ではなく歓喜である。木星人とは、そういう生き物なのだ。だが、だが……ケモノに食い殺される恐怖を眼前に感じて、失禁しない人間などいないのだ。

 

竜馬「やっぱりな……その程度の覚悟で、俺に挑んでくるんじゃねえ!」

 

 吐き捨てると同時、兵士の腹に蹴りを入れる。そのまま、兵士は崩れ落ちた。

 

ドモン「ほう、やるなあんた。名前はなんて言うんだ?」

 

竜馬「流竜馬だ。お前のパンチも、見事なもんだぜ!」

 

 僅かな言葉を交わし、再び敵兵に向かう2人の武闘家。その姿は、まるで古くからの親友同士のようでもあった。

 

ドモン「流竜馬……。ナイスガイ!」

 

甲児「さあ、みんな! この隙に逃げるんだ!」

 

 ドモンとゲッターチームの乱闘の中、声をあげたのが兜甲児だった。甲児のその一声で、祭りに来ていた人達は一斉に走り出す。

 

鉄也「慌てるな、自衛隊の護送トレーラーに入れ!」

 

 それに続く鉄也。

 

ドモン「兜甲児か、久しぶりだな!」

 

甲児「おうドモンさん! 2年前、ランタオ島でドクターヘルを倒した時には世話になったな。助太刀するぜ!」

 

 旧友との再会を喜びながらも、ドモンのパンチが、甲児のキックが木星兵に炸裂していた。

 

 

 同じ頃、MS格納庫でも騒動が起きていた。突如乱入した男が、木星軍の兵士達を圧倒していたのだ。

 

隼人「目だ! 耳だ! 鼻!」

 

 神隼人。ハッキングのために基地内部に潜入していた彼は、退散しようとしていたが、そこで木星軍のテロと鉢合わせてた。人質の少年少女を盾にするやり方に、ハリソン達が手を上げざるを得なかったその隙に後ろから回り込み、木星兵の顔を思い切り破壊したのだ。

 後は簡単である。動揺する木星兵達から桔梗が人質となっていた子供達を解放し、ハリソン達が木星の兵を取り押さえる。

 

木星兵「こ、こうなったら!」

 

 兵士の1人が合図を出すと、バタラの1機が格納庫にライフルを構えた。このまま、ビームで仲間もろとも殺せ。そういう命令なのだろう。とハリソンが理解した次の瞬間、そのバタラが火を吹き倒れる。

 

桔梗「…………」

 

 ハリソンが見れば、桔梗が真顔で巨大な銃口のハンドガンを構え、その銃口からは硝煙を撒き散らしていた。

 

ハリソン「な、なんだその銃は……?」

 

桔梗「特務自衛隊で研究中の、対機械獣を想定したハンドガンです」

 

 済ました顔でそう答える桔梗だが、下手なマグナムよりも大きく、ゴツいそのハンドガンに見えるそれは、弾丸を撃った跡を見れば散弾銃になっていることが伺える。それを片手で撃ちながら済まし顔をしている桔梗。

 

桔梗「私は、民間人の避難誘導に参加します。大尉もお気をつけて」

 

ハリソン「あ、ああ……」

 

 ハンドガンをホルスターにしまい、そう言って走り出す桔梗を見送りながら、とんでもない女性がいたものだ。そう思うハリソンだった。

 

 

…………

…………

…………

 

 

 兵士達はドモンとゲッターチームが相手をし、バタラ部隊はドラゴンガンダムが睨みを効かせている。最高のタイミングでの奇襲は、既に意味をなさなくなっていた。

 

カマーロ「お、おのれシャッフル同盟……」

 

 形成は、逆転しつつある。それを悟ったカマーロは、バタラ部隊に命令を下した。

 

カマーロ「あんた達! こうなったら民間人を焼き払いなさい!」

 

カラト「な、何だとっ!?」

 

葉月「なんて命令を!」

 

カマーロ「お黙りなさい! そうよ、元はと言えば地球人が悪いんじゃない。ガンダムファイトの被害者ぶりながら、木星のことなんか目にもくれず、木星は木星で自治しろって言って見捨てた地球人なんか、殺したっていいじゃない!」

 

 それは、カマーロには真理に思えた。カマーロの命令に従うように、退避を急ぐ人々のいるグラウンドにビームライフルを向けるバタラが、3機。

 

カマーロ「オッホホホホホホ! さすがのドラゴンガンダムでも、3機同時には防げないでしょう!」

 

サイ・サイシー「てめえっ!」

 

 ドラゴンガンダムは、竜の頭部を模した両手を伸ばしそのうち一機を取り押さえる。竜の口についている火炎放射器は、使えなかった。避難が完了するまでは、何が起こるかわからない。

 

カマーロ「さあ、今よ! やっておしまいなさい!」

 

 ビームライフルの照準が、グラウンドを指し示した。

 

マーガレット「くっ……!」

 

 ビームの熱なら、命中しなくてもその場にいる生身の人間全員を溶かすことができる。それを、やってのけようというのだ。

 

鉄也「クソッ、グレートはすぐそこだっていうのに……!」

 

 グレートマジンガーなら、バタラにビームを撃たせる前に撃破できる。しかし、そのグレートへ向かうには人々を押しのけなければならない。

 

槇菜「え……?」

 

 死。それを槇菜は改めて実感した。鬼に食われるのではない。ただただ無惨に、熱を受けて死ぬ。その恐怖で槇菜は、目を瞑りそうになる。しかしその次の瞬間、甲児に言われた言葉を思い出す。

 

『怖いって気持ちはわかる、でも、目を閉じたらもっと怖いんだ。目を開いて、相手を見ろ! そうすれば、勝てる!』

 

 たしかに甲児は、そう言ったのだ。だから、槇菜は銃口を見据えていた。逃げなかった。

 

槇菜(絶対、逃げないもん。絶対、諦めないもん……!)

 

 その時だった。突如として槇菜の身体が、光に包まれたように消えていく。

 

マーガレット「槇菜!?」

 

 そして次の瞬間、バタラのビームライフルを抑え込むように、黒い巨人が姿を現していた。

 ゼノ・アストラ。マーガレットと共に米軍に引き渡されるはずのそれは、まるで自分の意思で槇菜を守ったかのように、突然その場に姿を現したのだ。そして、巨大な盾でグラウンドを守るように構えている。

 

甲児「あれ、槇菜か……!」

 

槇菜「あれ……私……いつの間に?」

 

 ゼノ・アストラの内部で槇菜が最初に見たのは木星軍のモビルスーツ・バタラと、ゼノ・アストラの後ろで避難している人々。

 

槇菜「ゼノ・アストラ……。私を、守ってくれたの?」

 

 そして、自分にこの人達を守ってほしい。とゼノ・アストラは言っている。そう、槇菜は感じていた。

 

マーガレット「ゼノ・アストラは、槇菜を選んだ?」

 

 本来のパイロットであるはずのマーガレットではなく、槇菜を。こうまで超常的なことが起こってしまえば、マーガレットも認めざるを得ない。ゼノ・アストラに意思があることを。

 ゼノ・アストラは指をワイヤーで飛ばし、バタラのライフルを切断する。

 

槇菜「みんな、私が守るから……早く逃げて!」

 

 槇菜が叫び、人々がグラウンドから避難していく。その避難を誘導し、民間人を乗せていく自衛隊のトレーラー達。その一台の中に、槇菜の声を知る者があった。

 

桔梗「今の声、槇菜……?」

 

 特務自衛隊に所属する櫻庭桔梗だった。もう一台のバタラが、そのトレーラーにライフルの照準を合わせる。しかし、ビームが放たれるより先に、桔梗は運転席から対機械獣用のハンドガンをバタラにお見舞いする。散弾は、忽ちバタラは駆動系をズタズタにして、バタラはその場で崩れ落ちた。

 

桔梗「槇菜が、こんなところにいるわけないか。民間人の収容を確認。離脱します」

 

 桔梗の乗るトレーラーが駐屯地を後にする。ドラゴンガンダムとゼノ・アストラがそれを守るようにバタラ部隊を牽制し、戦闘区域から離脱するのを確認すると、真っ先に動いたのはドラゴンガンダムだった。

 

サイ・サイシー「さぁて、もう大丈夫だぜアニキ!」

 

 そう言って、ドラゴンクローをカマーロを運搬していたバタラへ伸ばす。

 

カマーロ「ひぃっ!」

 

 ドラゴンクローからカマーロを乗せて海の方へ逃げるバタラ。しかし、それも彼らの計算のうちだった。

 

ドモン「フッ、今回は美味しいところを譲ったからな……ここからは俺の番だぜ」

 

 そう言って、ドモンは指を鳴らす。

 

ドモン「出ろぉぉぉぉぉぉぉっ! ゴォォォォッド・ガンダァァァァッッム!」

 

 そう叫ぶと同時、海中から白いモビルファイターが姿を現した。ドモンがそれに飛び乗るとサイ・サイシーの時と同じようにモビル・トレース・システムに接続されていく。

 その勇姿を、多くの人が覚えていた。

 ゴッドガンダム。これこそが、ドモン・カッシュの愛機であり、第13回ガンダムファイトの頂点を勝ち取った最強のガンダム!

 前門のドラゴン、後門のゴッド。カマーロは今、2体のガンダムに挟み撃ちにされていたのだ。

 

カマーロ「こ、こうなったら……」

 

 ドラゴンガンダムと、ゴッドガンダム。第13回ガンダムファイトで激戦を潜り抜けた上位ファイターのガンダムが2体。さらに、カマーロの知らないスーパーロボットもいる。この時点で、作戦は失敗だった。

 しかし、まだ手はある。カマーロが大きく手を掲げた。その瞬間、大きな地鳴りがまるで、猛獣のように呻く。

 

槇菜「えっ、な……何!?」

 

サイ・サイシー「こいつは……」

 

ドモン「やはり、貴様らが……!」

 

 三者三様の言葉。そして次の瞬間、駐屯地の地面を割るように巨大なガンダムの頭が、触手のように伸びてきた。

 

槇菜「な、何これ!?」

 

 ゼノ・アストラは答えない。どうやら、ミケーネとは違うらしい。そして、海の向こうから姿を現すのはその触手の根本。悪魔のような形相をした巨大なガンダムが海を割り、姿を現したのだ。

 

ドモン「現れたな、デビルガンダム……!」

 

 デビルガンダム。2年前の第13回ガンダムファイトで、その力をめぐり多くの悪党が暗躍した悪魔のガンダム。自己進化、自己再生、自己増殖の三大理論を実現させ、地球再生のためのプログラムとして生み出されたそれは、プログラムのバグにより「地球再生のための人類抹殺」という答えを導き出した。

 しかし、デビルガンダムは2年前、ドモン・カッシュにより倒された。そのはずである。

 

 デビルガンダムの登場と同時、漸く格納庫からマジンガーZ、グレートマジンガー、ゲッターロボ、ハリソンのF91が発進する。

 

甲児「大丈夫か、槇菜!」

 

槇菜「甲児さん、私は大丈夫。でも、あれ……」

 

 槇菜はその、異形のガンダムに身震いしていた。無理もないことである。目の前に突如として悪魔が現れて、正気でいられる人間などいるだろうか。

 

鉄也「あれはデビルガンダム。2年前、新宿を壊滅させた悪魔のガンダムだ」

 

 まさか、まだ生きていたとはな。そう鉄也は吐き捨てる。

 

竜馬「へっ、デビルガンダムねえ、俺らの世界のガンダムも悪魔じみてたが……こいつも相当だぜ」

 

ハリソン「みんな、気をつけろ。デビルガンダムが現れたってことは……」

 

 ハリソンが言うと同時、多数の黄色い、一つ目モビルスーツが現れた。いや、本当にモビルスーツなのかも怪しいその見た目は、むしろ機械獣と言われた方が納得がいく。

 

ドモン「デスアーミー!」

 

 デスアーミー。デビルガンダム細胞に取り込まれ、ゾンビ兵と成り果てた人々が乗り込むデビルガンダムの尖兵。そして、その軍団の中央には改造されたバタラがいた。

 

カマーロ「オーッホホホホホ! こうなったら、全てを灰にしてしまうがいいわ。あの方から譲り受けた、このデビルガンダムでねえ!」

 

 アラナ・バタラと呼ばれるカスタムタイプ。デビルガンダム登場のゴタゴタでそれに乗り映ったカマーロが、デスアーミー軍団に指示を送る。

 

カマーロ「ひっひっひっ……恨み重なるシャッフル同盟……お前らさえ、お前らさえいなければ」

 

 デスアーミーの軍勢が、棍棒型ビーム・ライフルを斉射した。ゼノ・アストラが前に出て、巨大なシールドでそれを受ける。ビームの熱をものともしない強靭な盾。しかし、その熱は槇菜に伝わっていた。

 

槇菜「くっ……熱……!」

 

 デスアーミー達の進軍する先には、街がある。街には、人がいる。かつての自分と同じように、平穏な日常を生きている人達だ。

 彼ら彼女らを、自分と同じようにはしてはいけない。だから、どんなに熱くても槇菜は逃げなかった。

 

槇菜「マーガレットさん、私……。私、この子と一緒に、戦います!」

 

 ビームライフルの雨を浴びながら、ゼノ・アストラは一歩を踏み出していく。

 

竜馬「ヘッ、あいつ……思ってたより根性あるな」

 

 感心したように呟く竜馬。

 

竜馬「だったら、雑魚の相手は任せるぞ! ゲッタァァァァァッバトルウィィィィィングッ!」

 

 背中の翼を広げ、ゲッターロボが飛ぶ。目指すは親玉。デビルガンダム!

 

鉄也「甲児くん、俺達も続くぜ!」

 

甲児「ああ!」

 

 マジンガーZとグレートマジンガーも、紅の翼を広げてゲッターに続いていく。

 

ゾンビ兵「…………!」

 

 それを打ち落とそうと、ビームライフルを構えるゾンビ兵。それを、青い閃光が貫いた。ハリソンの乗るF91が、ビームサーベルで白兵戦に持ち込んだのだ。ビーム・ライフルは、余計な場所に被害を出しかねない。F91のビーム主体の兵装は、街中や基地といった場所では真価を発揮できなかった。

 

ハリソン「だが、やりようはある!」

 

 頭部のバルカン砲で、目を潰していく。そこに最小限の出力に絞ったビームサーベルを差し込んでいく。

 そうして弱ったところに、ドラゴンガンダムの脚技が炸裂した。

 

サイ・サイシー「雑魚の相手はオイラたちに任せて、アニキ!」

 

ドモン「ああ!」

 

 無影脚。影すら生み出さぬ速度の連続蹴り。サイ・サイシーの、少林寺の奥義がひとつ。それがデスアーミー軍団を蹴散らしていった。

 ゼノ・アストラが盾になり、F91とドラゴンガンダムがデスアーミーを相手取る。そしてマジンガーZとグレート、ゲッター、ゴッドガンダムがデビルガンダムへと向かっていく。

 

カマーロ「き、さ、ま、らぁ〜……」

 

 指揮官であるはずのカマーロは、無視されていた。

 

カマーロ「この私を無視しようなんて、随分舐めてくれるじゃない……」

 

 アラナ・バタラの右手に握られたモゾー・ブラスター。6本のビームサーベルを同時に、沿った形に展開することで高出力のビームの刃を生み出す特殊なビームサーベルが、ハリソンのF91を襲う。しかし、その攻撃はF91に届かなかった。

 格納庫から飛び出した白いモビルスーツ。その右手に握られたハイパー・バズーカが、アラナ・バタラの右手を器用に吹き飛ばしたのだ。

 

ハリソン「何……?」

 

槇菜「あれ……ガンダム……?」

 

 ガンダムMk-II。先ほど、ハリソンが受領した骨董モビルスーツ。それが、動きだしていた。

 

ハリソン「Mk-IIだと? 誰が乗っているんだ!」

 

 F91で、Mk-IIに通信を入れる。Mk-IIのコクピットでは、青髪の中年男性が不敵な笑いをしていた。

 

シーブック「すまないな。昔の戦争でモビルスーツを使ったことがある。昔とった杵柄だ。こいつでも援護くらいはできるぜ!」

 

 その声は、ハリソンには聞き覚えのある声だった。具体的には、2年前のデビルガンダムとの戦いの時……。

 

槇菜「パン屋のおじさん!?」

 

 しかし、その記憶の糸を手繰る作業は槇菜によって打ち消される。

 

シーブック「あの時の嬢ちゃんか。まさか、こんなもんのパイロットとはね」

 

 シーブックが乗るガンダムMk-IIが前身し、ゼノ・アストラと並ぶ。デスアーミー達の射撃をその旧式の機体は、まるで最新鋭の機体と遜色ない動きで躱していた。

 

ハリソン「昔乗った杵柄、だと。あんなオンボロを、自分の手足のように……まさか!」

 

 そんなことのできるパイロットを、ハリソンは1人だけ知っている。かつて自分のF91を唯一、戦闘不能まで追い詰めた宇宙海賊のエースパイロット。

 

ハリソン「生きていたのか……。だが、会いたかったぜ!」

 

 F91のバルカン砲が直撃し、デスアーミーが倒れる。その瞬間、シーブックのガンダムMk-IIが加速する。狙うは指揮官機である、アラナ・バタラ……!

 

カマーロ「き、貴様は一体、何者よぉ! 名乗りなさい!」

 

 ライフルを撃ちながらも、Mk-IIのシールドがそれを防ぎ、機体を守る。恐れなど一切ない動きが、カマーロを恐怖させる。

 

シーブック「知りたいなら教えてやる。俺の名は……」

 

 瞬間、ガンダムMk-IIの瞳がギラリと輝いた。

 

キンケドゥ「キンケドゥ・ナウ! 貴様が最も恐れる、海賊の名だ!」

 

 そして、瞬間の速さでビーム・サーベルを抜くと、アラナ・バタラとの距離を詰めてそのスイッチを入れる。周囲への被害を最小限に抑えながら、ビーム・シールドの展開も間に合わない速さでの抜刀。その動きにカマーロは確かに、見覚えがった。

 

カマーロ「その太刀筋……間違いない。奴こそが、奴こそが先代クロスボーン・ガンダムのパイロット! あの方に、あの方に報告せねば!?」

 

 行動不能になったアラナ・バタラから脱出し、カマーロは叫ぶ。カマーロを捕まえたバタラが戦線から離脱するのを見送り、シーブック……いや、キンケドゥ・ナウは海上の悪魔を見据えていた。

 

キンケドゥ「あとは、デビルガンダムだが……」

 

 ゴッドガンダムと、スーパーロボット軍団が、巨大な悪魔と戦っている。そこへ加勢に向かおうとするがしかし、デビルガンダムの触手とも言うべきガンダムヘッドが突如、Mk-IIに襲いかかった。

 

キンケドゥ「何ッ!」

 

槇菜「おじさん、危ない!」

 

 ゼノ・アストラが割り込み、巨大なシールドでその触手を防ぐ。盾を持たない左手の指をワイヤーで飛ばし、ガンダムヘッドの触手部分を締め付けるが、機械獣よりも遥かに硬いその装甲を斬り裂くには至らなかった。

 

槇菜「このっ! ……ああぁっ!?」

 

 もう一本のガンダムヘッドが、ゼノ・アストラの肩に噛み付く。その傷みが、ゼノ・アストラの悲鳴のように槇菜に伝わり、槇菜の痛覚を刺激した。

 

槇菜「痛い……やめてっ!」

 

 盾を振り回し、ガンダムヘッドを殴打する。しかし、ガンダムヘッドはやめる素振りも見せず、より力を強めていく。

 

槇菜「くっ……ぅぅぁ……っ!?」

 

 肩を襲う痛みに、声を漏らす槇菜。ハリソンのF91がガンダムヘッドを破壊しようとヴェスパーを構えるが、その威力をここで使えばどんな被害が発生するかわからない。

 

ハリソン「くそっ……!」

 

 動いたのは、ドラゴンガンダムだった。

 

サイ・サイシー「おいらに任せな!」

 ドラゴンガンダムの後ろ髪が、ナイフのような鋭さでガンダムヘッドの触手を切断する。弁髪刀。後ろに回り込まれた時に使用する隠し武器。その鋭さは前回のガンダムファイトの時よりも、鋭利になっていた。

 

槇菜「あ、ありがとう……」

 

サイ・サイシー「へへっ、いいってことよ姉ちゃん。さあ、まだ終わっちゃいないよ!」

 

 円陣を組み、ガンダムヘッドを相手取るゼノ・アストラとガンダム達。対して海上でデビルガンダム本体と戦うゴッドガンダムとスーパーロボット軍団は、デビルガンダムの肩から放たれる粒子砲の脅威に晒されていた。

 

甲児「おっと!?」

 

 少し掠めるだけでも超合金Zが弾け飛ぶ脅威の威力を前に、マジンガーZは足止めを食らう。一方、グレートマジンガーはその攻撃を避けながら、デビルガンダムに食らいつこうとしていた。

 

鉄也「スクランブル・オフ!」

 

 マジンガーZのスクランダーと違い、グレートのスクランダー・スクランブルダッシュは収納式になっている。それをしまい、デビルガンダムへ急降下するグレート。魔神の剣・マジンガーブレードを展開し、デビルガンダムへ迫った。剣を掲げ、その頭部を狙い斬りつける。しかし、突然デビルガンダムの背後から現れたガンダムヘッドがグレートマジンガーに体当たりする。その質量に、グレートマジンガーすら突き飛ばされてしまう。

 

甲児「鉄也くん!」

 

 突き飛ばされたグレートを、咄嗟に受け止めるマジンガーZ。

 

鉄也「不覚をとった……。助かったぜ甲児くん」

 

甲児「へへっ、いいってことよ。しかし、このままじゃ攻撃が届かねえ」

 

  デビルガンダムは両肩の粒子砲に頭部のバルカン。それにガンダムヘッドを自在に操り、常に弾幕を張っている。まさに移動要塞とでも呼ぶべき存在だった。

 その要塞から放たれるガンダムヘッドが、マジンガーZを、グレートマジンガーを襲う。しかし、その体当たりはマジンガーに届かない。

 

ドモン「分身殺法! ゴッドシャドー!」

 

 分身したゴッドガンダムが、全てのガンダムヘッドの体当たりを受け止めていたのだ。

 かつて、ネオアメリカのガンダムマックスターが一発で10のパンチを繰り出した時、ゴッドガンダムは10体に分身しその全てのパンチを受け止めていた。そのゴッドシャドーで、スーパーロボット軍団への攻撃を全て受け止めていたのだ。

 その攻撃を受けながら、ドモンはデビルガンダムの動きを冷静に観察していた。

 かつて、ギアナ高地やデビルコロニーで戦った時に比べて、その動きは精細を欠いている。その理由は、おそらく今のデビルガンダムは生体ユニットを搭載していない、自律回路で動いているのだろう。しかし、敵の弾幕が厚く、近寄るのも一苦労。どうする?

 ドモンが攻めあぐねたその一瞬、勝機は海から訪れた。

 突如、デビルガンダムがその態勢を崩し大きく傾く。見れば海中には、巨大なアームを持つ黄色いロボットがネットを射出し、デビルガンダムを雁字搦めにしたのだ。

 

弁慶「わぁーはっはっはっ! ゲッター3参上!」

 

 ゲッター3。自在に変形合体するゲッターロボの海底探査形態であり、3形態の中でも随一のパワーを誇る怪物が、デビルガンダムの脚部を掴む。

 

弁慶「必殺、大雪山おろしぃぃぃぃぃっ!」

 

 その超馬力が、あのデビルガンダムを持ち上げ背負い投げる。その瞬間、敵の弾幕が弱くなる。自律回路が、想定外の状況にバグを起こしているのだ。

 

甲児「今だっ! 行くぜ鉄也くん!」

 

 デビルガンダムの正面に、マジンガーZが躍り出る。それに続いてグレートマジンガーもスクランブルダッシュで飛び、マジンガーZに並ぶ。そして2体の魔神の胸の赤が、輝いた。

 

甲児、鉄也

「ダブルバーニング・ファイヤー!」

 

 マジンガーZのブレストファイヤー。グレートマジンガーのブレストバーン。2つの熱線がデビルガンダムを襲う。デビルガンダムに言葉はない。しかし、その熱に悪魔のような口で苦悶の表情を浮かべていた。

 

ドモン「ナイスな奴らじゃないか……よし、行くぞ!」

 

 デビルガンダムの動きに大きな隙ができた。その瞬間にドモンは意識を集中させる。するとゴッドガンダムのウィングが開かれ、日輪のようなエフェクトが展開される。そして胸のハッチが開くと、シャッフルの紋章が輝いた。

 

ドモン「俺のこの手が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと轟き叫ぶっ!」

 

 ゴッドガンダムの右手に、エネルギーが集まっていく。熱を帯びた右手で突き出して、ゴッドガンダムが突撃する。

 

ドモン「ばぁぁぁぁぁくねつ! ゴッド・フィンガァァァァッッ!?」

 

 爆熱ゴッドフィンガー。ゴッドガンダム必殺の一撃が、デビルガンダムの胴体を貫いた。デビルガンダムはしかし、ゴッドガンダムを引き剥がそうとするが、懐に入り込んだゴッドガンダムは、うまくデビルガンダムの死角を取っていた。

 

ドモン「ヒィィィィィト・エンド!」

 

 ドモンの宣言。それを最期に、デビルガンダムは爆散した。DG細胞の一片も残さない爆熱の嵐に、いかにデビルガンダムと言えど生体ユニットのいない不完全な状態では耐えようがなかったのだ。

 

甲児「やった、デビルガンダムを倒したぞ!」

 

 甲児の歓声。しかし、ドモンは深刻そうな顔をしたままデビルガンダムの爆散した方を見やる。

 

ドモン「いや……あれはおそらく、盗まれたDG細胞の一片で復元した、一部だろう」

 

鉄也「デビルガンダムの、一部?」

 

 それは、聞き捨てならないことばだった。

 

???「そこから先は、俺達が説明しよう」

 

 そう言って現れたのは黒い、猛禽のような姿をした戦闘機だった。それに続いて、民間の艦船が続く。しかし、その船は巨大な髑髏を模したマストを張っていた。

 

槇菜「海賊……?」

 

 それが、槇菜の第一印象。

 

キンケドゥ「あれは、リトルグレイ……?」

 

 キンケドゥには、その艦に見覚えがあった。リトルグレイ。かつて宇宙海賊クロスボーン・バンガードの補給船として活動していた艦である。

 

サイ・サイシー「おいらとドモンの兄貴は、木星帝国の動きを察知して、先発でこっちに潜り込んでたんだ」

 

 サイ・サイシーが言う。

 

ハリソン「海賊軍……」

 

 かつてハリソンは、海賊軍と敵として、ある時は味方として戦ったことがある。立場としては海賊を取り締まる側だが、個人的な感情では敵ではない。

 だが、彼らがここに現れた理由。それを聞かないわけにはいかなかった。

 

ドモン「フッ、どうやら随分警戒されているらしいぞ」

 

 皮肉げに、ドモンが笑う。黒い猛禽に乗るパイロットは「無理もないな」と呟いた。そんな時、会議室からその場にいた全員に声が響いた。

 

葉月「彼らは、私がここに招きました」

 

 葉月孝太郎。極東地区に拠点を持つ獣戦機隊の責任者のひとりであり、ロボット工学の権威でもある男だ。

 

葉月「彼……アランは、我々の戦友です。そして、これから共に科学要塞研究所へ集合する仲間でもあります」

 

 アラン。そう言われた男は、マスクを外し、その素顔を晒した。

 

アラン「俺はアラン・イゴール。極東基地長官のロス・イゴールの息子であり、このバンディッツを率いる者だ」

 

 

…………

…………

…………

 

—横浜/自衛隊駐屯地—

 

 

マーガレット(木星帝国。それに、デビルガンダム……)

 

 輸送機の中で戦いを見ていたマーガレットにとって、それらは過去の存在だった。

 第13回ガンダムファイトの裏で行われた、木星戦役。その最前線に、新兵だったマーガレットは立たされていたのだから。

 マーガレットは、首に下げたロケットを弄り、それを開く。

 その中には、その戦いで死んだ恋人の写真が今も、眠っている。

 

マーガレット「紫蘭……」

 

 紫蘭・カタクリ。彼と恋人になったのは、士官学校でのことだった。彼は一つ歳上で、一年先に配属先が決まった。そして、彼は新宿で死んだ。そう聞かされた。

 遺体を見ることはできなかった。見せてもらえなかった。恋人は、DG細胞で見るも無惨なゾンビ兵に作り替えられていたのだから、見分けもつかないだろう。そう、医者に言われた。

 ただ形見として残された銃だけは、今もマーガレットの懐に眠っている。

 木星戦役終了後、DG細胞は全て処分された。そう、聞いていた。しかし、実情はどうだ。

 

マーガレット(……もしかしたら)

 

 嫌な符合を、想像した。

 デビルガンダム細胞が秘密裏に保管されていた。それには必ず、何者かの意思が介在している。そしてその何者かが、ゼノ・アストラについて知っているとしたら。可能性はないわけではない。

 

マーガレット(何かが、裏で動いている。とてつもない大きな何かが……)

 

 ゼノ・アストラは槇菜を選んだ。おそらく、その何かはこれから槇菜に関わってくる。だとしたら……。

 

マーガレット(私のやるべきことが、見えたわね)

 

 マーガレットはジャケットから煙草を一本取り出すと、火をつけようとして……ここが格納庫の中であることを思い出して、やめる。

 やがてゼノ・アストラが帰投したのを認めると、杖をつきながらコクピットでへとへとになっている槇菜の下へ歩き出した。

 

マーガレット「お疲れ様、槇菜」

 

槇菜「マーガレット、さん……。その……」

 

 ごめんなさい。そう言おうとした槇菜の唇を、マーガレットは人差し指で制する。

 

マーガレット「さっきの約束、覚えてる?」

 

槇菜「やく、そく……?」

 

 当然、覚えていた。真実が明らかになったら、真っ先に槇菜に伝えるというもの。

 しかし、槇菜はゼノ・アストラに乗って戦ってしまった。そのことを、後ろめたく思っているのは、マーガレットにも理解できた。

 

マーガレット「ねえ、槇菜。あなたはこれから、ゼノ・アストラで戦うつもり?」

 

 だから、敢えて訊く。槇菜の、本音を。

 槇菜の顔を、マーガレットの紅い瞳が覗き込む。槇菜の青い瞳が、マーガレットの顔を映し込んでいた。

 

槇菜「私……帰るところなんて、もうないんです。ゼノ・アストラから降りても、元の日常には戻れない。それに、ミケーネだけじゃないんだって、何の罪もない人を傷つける鬼がたくさんいるって、今日の戦いでわかりました。だから……」

 

 そこで、槇菜は言葉を詰まらせる。何を言いたいのか、何を伝えたいのか。自分でもはっきり見えなくなってしまう。

 世界を守る? そんな大層なことは考えていない。

 先生やクラスメイトの仇打ち? 違う。そういうことじゃない。

 ただ、槇菜が思ったことは。もっと素直な気持ちは。

 

槇菜「これ以上、誰かが傷つくのを黙って見ていたくないんです……!」

 

 それが、槇菜が戦う理由だった。真っ直ぐに、マーガレットの紅い虹彩を見つめながら、宣言する。

 

槇菜「だから、お願いですマーガレットさん。ゼノ・アストラを、私に貸してください!」

 

 きっぱりと言い切った槇菜に、マーガレットは小さく微笑んだ。

 

マーガレット「一応。それは軍の所有物だからね。私の一存じゃ決められないけど……」

 

 そう言って、顎に手を当てるような仕草をする。しかし、マーガレットの回答も既に決まっていた。

 

マーガレット「槇菜。あなたは海賊軍に捕まって、ゼノ・アストラも海賊軍に奪われた。そう、報告するわ」

 

槇菜「え……?」

 

 きょとん、とする槇菜。海賊軍。というのは先ほどやってきた海賊艦のことで間違いないだろう。とは理解している様子だった。しかし、それではマーガレットは……。

 

マーガレット「当然、バレたら懲戒じゃ済まないでしょうね。でも、私もあなたにゼノ・アストラを預けてみたくなったの」

 

 そう言ってウィンクしてみせるマーガレット。そんなマーガレットは懐から何かを取り出し、槇菜の手に預けた。

 

槇菜「これって……」

 

 黒光する、鉄の塊。それが銃であることは、槇菜にも理解できた。

 

槇菜「だめですよ、こんなものっ!」

 

 マーガレットに返そうとするが、マーガレットは受け取らない。

 

マーガレット「あなたはゼノ・アストラで、みんなを……大事な人達を守りなさい。だけど、あなた自身に何かがあった時のために、持っていて。御守りよ」

 

 御守り。そう言われてしまえば、槇菜は言い返すことができない。

 

マーガレット「弾丸は、入ってないの。撃ったって素人の槇菜じゃ当たらないわ。だけど、持っているだけで牽制くらいにはなるから」

 

槇菜「わかりました……マーガレットさん、戻っちゃうんですよね?」

 

 槇菜も、理解はしている。マーガレットは、アメリカの軍人なのだ。

 

マーガレット「ええ。だけど、私は私でゼノ・アストラについて調べてみるつもり」

 

 そう言って、マーガレットは踵を返す。

 マーガレットは、マーガレットの戦場を見つけたのだ。

 

槇菜「あの、マーガレットさん……。色々、ありがとうございました!」

 

 そう言って、槇菜はぺこりとお辞儀する。その姿が小動物みたいで可愛らしく……マーガレットはガラにもなく微笑んでしまった。

 

マーガレット「それじゃあ槇菜、また会いましょう」

 

 去っていくマーガレットの後ろ姿を見送りながら、槇菜はなんだか、姉がもう1人増えたような気持ちになっていた。




次回予告
 みなさんお待ちかね!
 ついに科学要塞研究所に辿り着いたスーパーロボット軍団。
 マジンガーZ、グレートマジンガー、ゲッターロボ、ゴッドガンダム、それにダンクーガとクロスボーン・ガンダムを交えて、ミケーネやデビルガンダムから世界を守るための同盟が結成されるのです!
 ですがその直後、槇菜の故郷岩国でテロ事件が発生してしまいました!
 それは、オーラロードの導きなのでしょうか!?
次回、『招かれざるもの、豊穣の国より来たりて』に、レディ・ゴー!
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