スーパーロボット大戦VB   作:元ゴリラ

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第4話『招かれざるもの、豊穣の国より来たりて』

—太平洋上/原子力空母パブッシュ—

 

アレックス

「では……ゼノ・アストラは海賊に奪われたというのだな」

 

マーガレット

「はい。申し訳ありません」

 

 マーガレット・エクス少尉は、パブッシュに戻り虚偽の報告を行っていた。それに頭を抱えるアレックス大佐と、さしも興味なさげなマキャベル司令。マーガレットとしては、アレックスはともかくマキャベルの反応は意外に思える。

 

アレックス

「すぐに海賊討伐隊を組織したいところだが、難しいな」

 

 宇宙海賊クロスボーン・バンガード。彼らはネオロシアのガンダムファイター、アルゴ・ガルスキーらと面識があり、それを利用してガンダムファイト国際条約で保護されている。

 ガンダムファイト国際条約は、南極条約よりも遥かに高い強制力を持っている。それ故に、この略奪を国際問題とするには凡ゆる拘束があった。

 しかし、みすみすヴリルエネルギーを見逃すわけにもいかない。どうにかして、海賊軍とゼノ・アストラに近づく必要はあった。だが、それを今考えていても仕方ない。

 

アレックス

「エクス少尉。君にはしばらくの謹慎を命じる。その後、辞令を伝える」

 

マーガレット

「了解しました」

 

 敬礼し、司令室から退出するマーガレットを見送ってアレックスは深いため息を吐いた。

 

アレックス

「問題は、山積みか……」

 

マキャベル

「しかし、これは利用できるかもしれんな」

 

 ずっと黙っていたマキャベルが、口を開く。

 

アレックス

「と、言うと?」

 

マキャベル

「例の海賊軍は、日本の科学要塞研究所へ協力体制を取り、ミケーネや木星軍と戦うための特殊部隊に編入されると聞く。そこでなら、より実戦に即したヴリルエネルギーのデータを観測できるはずだ」

 

 何しろ正規軍と違いフットワークが軽い。そうマキャベルは言って、葉巻を口に咥える。

 

アレックス

「…………監視しておけば、手に入れるのは簡単。そういうことですか?」

 

マキャベル

「ああ。ヴリルエネルギーは、今後の人類史を左右する存在だ。“ゴッドマザー・ハンド計画”が遂行されれば、だがね」

 

アレックス

「……そう、ですね」

 

 “ゴッドマザー・ハンド計画”。その第一段階が今日、行われる。このパブッシュが独立宣言し、無国籍艦隊として国連に承認される。

 アレックスが岩国基地を留守にしてパブッシュの艦長という地位についたのは、この計画の賛同者だからだ。しかし、マキャベルの背後にあるもの全てを理解できている気はしない。

 

アレックス

「…………信用できるのですか。例の“シンボル”とやらは」

 

 “シンボル”と名乗る秘密結社が、マキャベルの計画の裏で糸を引いていることを知っているのは極一部である。その“シンボル”によって提供された核弾頭を補完するパブッシュは今や、世界のパワーバランスの一翼を担う存在であると言えた。当然、ミケーネ帝国や木星軍もパブッシュを標的にするだろう。

 

マキャベル

「彼らは同志だよ大佐。少なくとも、コロニーに引き篭もってこの地球を思い通りにできている気になったインテリ共よりは有能だ」

 

アレックス

「…………」

 

 コロニーに引き篭もって、地球を思い通りにできている気になったインテリ共。そこにはマキャベルの明かな侮蔑の意図が見え隠れしていた。そして、そんな現状に意を唱えるために集った同志達が、世界中にいることも知っている。その中には、日本の国学者もいると聞いていた。

 

マキャベル

「それより、我々の計画が表沙汰になった時君はどうするのだね? 日本人なのだろう、君の家族は」

 

 話題を変えるように、マキャベルが訊ねた。家族。妻敏子と息子エイサップの顔を思い浮かべてアレックスは、自分がもしかしたら、とんでもない裏切りをしているのではないかと言う気にもなる。

 

アレックス

「それこそ、杞憂というものですよ。もう何年も前から、私達は家族と呼べるようなものじゃない。まあ、切っても切れない厄介な関係ではありますが……」

 

 それでも、自分はアメリカの軍人なのだ。日本人の妻と息子がいたとしても。それに、その板挟みこそが、アレックスが“ゴッドマザー・ハンド計画”に手を貸した一因なのかもしれない。と思う。

 ただ、エイサップや敏子を愛しているのは本当なのだ。国籍が違い、立場が違ったとしても。だから今アレックスにのしかかるものは、任務の重責だけではないのかもしれない。そう考えて、悪寒がアレックスの背筋を走った。

 

マキャベル

「どうしたのかね?」

 

アレックス

「いえ……。私も、持ち場に戻ります」

 

 そう言って退出するアレックス。その悪寒はもしかしたら、これから始まる出来事の前触れをバイストン・ウェルの風が彼のオーラ力を通して教えているものなのかもしれなかった。

 

 

 

…………

…………

…………

 

 

—岩国/エイサップ鈴木の長屋—

 

エイサップ

「知らないって言ってるでしょ!?」

 

 エイサップ鈴木はその日早朝、岩国基地のMPに詰め寄られて辟易していた。エイサップ鈴木のIDで、基地内のデータにハッキングした形跡が確認されたという。やりそうな奴にアテはあるのだが、それを自分のせいにされては敵わない。しかも、武器の横流しなんていう割に合わないバイト……。実際のところ、エイサップのIDを無断で使用し、ロウリと金本が何かをしていたことは知っている。しかし、それを話せば友達を売ることになる。エイサップとしては、強引に決めつけてかかるMPよりも、ここ半年ほどの付き合いになる悪友の方に肩入れしてしまうというのが心情だった。

 だから、この跨っているスクーターを発進させないで、口答えしているだけでも有難いと思ってほしい。そうエイサップは舌打ちする。しかし、その態度がMPを苛立たせていることに気付かない程度にエイサップはまだ、未熟だった。

 しかも、エイサップの神経を逆撫でるものはそれだけではない。

 

敏子

「そうですよ! この子は関係ありません!」

 

 隣でエイサップを庇う女性……鈴木敏子。鈴木という姓が表す通りエイサップの実母の存在だ。敏子は、エイサップの髪を撫でるようにして、MPに抗議する。

 

敏子

「海兵隊の方ならわかるでしょう。この子が岩国基地司令、アレックス・ゴレムの息子だって!」

 

 息子がどうして、親の仕事の邪魔するというのか。そんな内心が透けて見える。或いは、それは純粋に息子を庇おうとして出た言葉かもしれない。だが、それはエイサップの神経を逆撫でるのに十分な過保護だった。

 

エイサップ

「やめろよ!」

 

 母の手を払った、その直後だった。激しい爆発音が、その場にいた全員の鼓膜を刺激する。その直後、見れば岩国基地の方から炎が上がっていた。

 

エイサップ

「あいつら……本当に……」

 

 この場にいない、友人2人の顔が脳裏を過った。

 

MP

「エイサップ鈴木! あれは何だ!?」

 

 声を荒げるMPに、エイサップは舌打ちする。

 

エイサップ

「力付くで言うこと聞かせようとするやり方が、問題なんでしょ!」

 

 その舌打ちは、自然と言葉として迸りエイサップの口をついた。その時脳裏を過っていたのは、父アレックスの顔。そして、

 

エイサップ

「だいたい……息子1人の責任も取れないやつが司令をやってること自体、たかが知れてるってことでしょう!」

 

 叫ぶと共に、スクーターのエンジンに火を入れる。それからアクセルを目一杯踏んで、逃げるようにエイサップはスクーターを走らせた。

 

MP

「なっ!?」

 

敏子

「エイサップ!?」

 

 走り去るスクーター。ヘルメットもつけずに速度を出し、エイサップの金髪が風に靡いていた。

 

 

…………

…………

…………

 

 

—岩国/岩国湾沿い道路—

 

 

 

 エイサップはスクーターを飛ばしながら、追跡するパトカーから逃げ回っている。しかし、エイサップのスクーターでは最高速度も、馬力も違うのだ。いつまでも逃げ切れるわけではない。

 

エイサップ

「クソッ、こうなったらあいつらの泥舟に相乗りするしかないのか……!」

 

 ロウリと金本の無思慮なテロ計画。本気でやるとは思っていなかった。しかし、あの鬼の襲来の時に使った武器を見れば、準備は確かにやっていたことを理解できる。そして、ミケーネ帝国と鬼の襲撃の後処理に追われている今を好機と見て、米軍基地を攻撃したのだろう。と推測する。

 

エイサップ

(でも武力には武力って……それじゃ結局……)

 

 この惨状を見れば、ロウリ達は根本的な部分を履き違えているように感じる。と、その時だった。耳を裂くような轟音とともに、海兵隊のヘリがエイサップの頭上を飛んでいるのが見える。

 

エイサップ

「ク、クソ親父……。これはやり過ぎだろ!?」

 

 エイサップが叫んだ、その時。

 エイサップの前に、小さな羽根が舞う。白く美しい、羽根だった。

 

エイサップ

「羽……? なんで?」

 

 あまりに美しいその羽根に、見惚れてしまう。だが、その次の瞬間に発生したオーロラのような光が、エイサップの目を奪った。そして、

 

エイサップ

「う、うわぁっ!?」

 

 水飛沫を上げて突き上がるものがあった。その振動に、エイサップはスクーターから振り落とされてしまう。海へ落ちるエイサップを助けたのは、飛沫の中から現れる光の翼だった。

 光の翼は温かく、水と汗に塗れたエイサップはそれが蒸発するのを感じていた。なのに、悪い気持ちはしない。

 光の翼と水飛沫の向こうに、女の子が見えた。青みがかった黒髪を不思議な形に結った、赤い和装にミニスカートのアンバランスな少女。可愛らしい瞳だが、凛々しい横顔をした子だった。その子に見惚れているうちに、翼が胡蝶のように霧散する。

 

エイサップ

「うぁっ!?」

 

少女

「きゃっ!?」

 

 落下した2人が落ちたのは、不思議な艦の艦板だった。

 

エイサップ

「っ…………クソ、何なんだよ」

 

 毒付くエイサップの眼前に飛び込んできたのは、少女の腿。しかし、それに見惚れる時間はエイサップには与えられなかった。

 

少女

「あ、青空……。この光!」

 

 立ち上がろうとした少女の膝が、エイサップの顔面を殴打したからだ。

 

少女

「バイストン・ウェルではない! ここは……地上界!?」

 

 空の光を浴びて、少女はそう叫ぶ。それから、「ジンザン、レンザンは!?」と周囲を見回す少女に、エイサップは抗議の声を上げた。

 

エイサップ

「あんたはっ!?」

 

 そこで、はじめて少女はエイサップの存在に気づいたように目を丸くする。

 

少女

「?」

 

エイサップ

「あんたは、膝で俺を殴ったんだぞ!」

 

 それなのに、謝罪の言葉もないのか。そう言おうとして、出てこない。少女の瞳に、不思議な引力を感じたからだ。

 

少女

「あなたが、呼んだのですか?」

 

エイサップ

「え……?」

 

 何を言っているのか、わからない。しかし、少女の言葉が理解できる。呼んだのだろうか。とエイサップが自問する。だが、答えが出る前に、またオーロラの光と水飛沫が、エイサップを襲った。

 現れたのは、甲虫のようなツノを持つロボット。藤色に赤い目をした機体と、紺色に黄色い目をした同じ機体が、剣を持ち鍔迫り合い合っていたのだ。

 その機体を、エイサップはニュースで見たことがある。ダンバイン。昨年、東京上空に現れた異世界バイストン・ウェルのオーラバトラー。甲児や槇菜達と話していたそれが、現実になる音をエイサップは聞いた気がした。

 

少女

「向こうのは……アブロゲネか!」

 

 少女が叫んだ向こうには、空を飛ぶ船が浮いている。船、とエイサップが感じたのは、その見た目がどことなく、旧日本軍の軍艦に似ていたからだ。

 アブロゲネ。少女にそう呼ばれた船から、禿頭に白髭を蓄えた、しかし筋肉質な老人が姿を現した。老人は腰に剣を携えており、その風貌からも「老武者」という言葉似合う。

 

アマルガン

「なっ、なんということだ……。リュクス姫様、『リーンの翼の沓』をお使いになってしまったか。世界の理が乱れるぞ!」

 

 老武者……アマルガン・ルドルの叫びはしかし、2体のダンバインが唾競り合う剣戟の音に掻き消された。

 

エイサップ

「何が起きてるんだよ、これ……」

 

 エイサップが呟くと、老武者は船から身を乗り出して叫ぶ。

 

アマルガン

「リュクス姫! なぜリーンの翼の沓をお城から持ち出してしまったのですか! 姫様の使い方では、世界が狂います!」

 

 リュクス。そう呼ばれた少女は老武者の言葉に「なっ……」と呻くと、顔を真っ赤にして言い返す。

 

リュクス

「何を言う! 反乱軍になど渡せるものですか! そちらこそ投降するのです!」

 

アマルガン

「異国の聖戦士が、サコミズ王打倒のために我らに力を貸してくれた。その意味をお考えください!」

 

リュクス

「アマルガン殿は、父の親友だったのでしょう。父の野心を諌めるのがあなたの務めだろうに!」

 

アマルガン

「だからこそ、です。今の王は聖戦士ではなくなってしまった!」

 

 エイサップには理解のできない言い合いをするリュクスとアマルガン。しかし、2人の間に確執があることだけは理解できる。そして、その確執がこの事態を招いてしまったであろうことを。

 

エイサップ

「あんた達……戦争をやってんのか?」

 

 戦争。ガンダムファイトなどという代理戦争ではない、生の戦争。未知の侵略者や、宇宙人が相手ではない、人間同士の戦争。エイサップの、知らないものが目の前で繰り広げられている。その現実に戦慄しているエイサップだが、老武者アマルガンの隣にひょっこりでてきた2人組の顔を見て唖然としてしまった。

 

ロウリ

「あ、向こうの船に乗ってるのエイサップだぞ!」

 

金本

「本当だ! しかもなんか可愛い子が一緒にいる! おーいっ!」

 

 ロウリと金本。米軍基地に爆破テロをしかけた張本人2人が、アマルガンの船アブロゲネに乗り合わせていたのだ。

 

エイサップ

「あいつら……何やってんだ……」

 

 エイサップの予想通り、基地へテロ攻撃をした2人は米軍から逃げる最中エイサップと同じようにオーラロードを開き浮上するアブロゲネに乗り合わせてしまったのだ。

 

金本

「しかしあの中学生の子といい、エイサップの周りって女の子いるよねー」

 

ロウリ

「あの青い瞳と金髪が、気を引くんだろうな」

 

 などと勝手なことを言っている2人が事態を正しく理解しているのか、エイサップには甚だ疑問である。何より、目の前で鍔迫り合いをやめない2体のオーラバトラーの存在が、何よりも異常だった。

 

 

 

……………………

第4話

『招かれざる者、豊穣の国より来たりて』

……………………

 

 

ショウ

「ウッ…………、ここは地上か?」

 

 ショウ・ザマが意識を取り戻した時、無意識のうちに紺色のダンバインのソードを受け止めていた。その景色は間違いなく、ショウの故郷日本である。

 

ショウ

「トッド、ここは地上だ!」

 

 ショウは咄嗟に、目の前の敵……トッド・ギネスへ通信を入れた。バイストン・ウェルよりもクリアに繋がるのは、ミノフスキー粒子の濃度がまだ低いからだろう。紺色のダンバインに乗るトッド・ギネスはしかし、そんなことはお構いなしに剣を振り上げる。

 

トッド

「地上に出れたのは嬉しいが、まずはお前を倒さなきゃ示しがつかねえんだよ!」

 

ショウ

「やめろトッド! バイストン・ウェルの戦乱を地上に持ち込めば、世界の理が乱れるだけなんだぞ!」

 

 トッドの剣を受け止めて、ショウは尚も説得を続ける。その言葉はショウにとっては実感だったが、トッド・ギネスにとっては戯言で、トッドのダンバインはショウのダンバインを蹴り上げ突き放す。すかさず上空へ飛ぶショウのダンバインを追うように、トッド機はオーラショットを放ちながら空を舞った。

 

トッド

「お前が地上に出て、ドレイクの奴らと決戦をしている間……バイストン・ウェルで燻ってた俺は地獄を見てきたんだ。ショウ、今度はお前にも地獄を見せてやるぜ!」

 

 それはあまりにも身勝手な理屈だが、トッドにとっては正当性がある。ショウのダンバインに撃墜され、あわや異世界で野垂れ死にするところだったトッド・ギネスからすれば、ここで借りを返したいという私怨の方が、ショウの言う「全てのオーラマシンを破壊する」などという絵空事よりも大事なのだ。

 

ショウ

「この、ヤンキー!」

 

 その幼稚さが、聞き分けのなさが、ショウを苛立たせる。

 

トッド

「今度こそもらったぜ、ジャップ!」

 

 ショウのダンバインがオーラソードを構え直し、トッドへ向かった。

 

 

…………

…………

…………

 

 

エイサップ

「なあ、あんた! あんた達はバイストン・ウェルとかいう世界の人間なんだろ?」

 

 2体のダンバインの激突を目撃しながら、エイサップは隣の少女……リュクスへ問う。

 

リュクス

「はい。海と大地の狭間の世界バイストン・ウェルから来たリュクス・サコミズ。そして父はホウジョウの王……真次郎・迫水。あなたと同じ日本人です。エイサップ鈴木」

 

エイサップ

「え?」

 

 自分は、名乗ったか? そんな疑念が過ぎる。それとも、この不思議な少女リュクスにはどこかで会ったのだろうか。とありもしないことを思う。だが、しかし。

 

エイサップ

「とにかく、ここは地上なんだ。あんた達の世界じゃない。ここでの戦いをやめてくれ!」

 

 昨年の東京上空事件。オーラバトラーの火力は、現代兵器のそれを大幅に超えていた。今こそダンバインはほとんど剣のみで戦っているが、いつ街に被害が出るかわからない。

 東京上空にダンバインと、バストールと呼ばれるオーラバトラーが現れた時、ものの数分の間に東京では30万人が死んだのだ。デビルガンダムのせいで甚大な被害を受けた東京は、たった2機のオーラバトラーに追い討ちをかけられて、壊滅した。

 それと同じことを、岩国で起こさせるわけにはいかない。しかし、エイサップのそんな懇願は、リュクスの背後から現れた2人の男によって阻まれた。

 1人は色黒の男武者といった風貌の男。もう1人は、上半身のほとんどを晒した半裸の装束を纏う、紫色の髪を持つ男だった。

 

リュクス

「コットウ、シャピロ……!」

 

 色黒の武者をコットウ・ヒン。半裸の男がシャピロ・キーツという。

 

コットウ

「姫様、お下がりください」

 

 コットウが言い、シャピロが続ける。

 

シャピロ

「姫様、これは天命です。リーンの翼のお導きとも言えるでしょう。アマルガン共反乱軍を滅ぼし、王の威光をこの地上に知らしめるのです」

 

リュクス

「シャピロ、お前は……!」

 

 リュクスはそんなシャピロへ侮蔑の眼差しを向ける。そしてそんなシャピロの口元が、醜く歪んでいるのをエイサップは見逃さなかった。

 

エイサップ

「お前……この街を、戦場にする気か?」

 

 シャピロはしかし、そんなエイサップの言葉を無視し、指示を出す。

 

シャピロ

「コットウ将軍。主砲を放て」

 

エイサップ

「なっ…………!?」

 

 シャピロの宣言にコットウは首肯し、合図を出す。それと同時、エイサップ達の乗るオーラ・バトル・シップ……キントキの主砲が火を吹き、火球が飛んでいく。

 しかし、その砲撃は敵であるはずのアプロゲネに命中することはなかった。

 岩国基地を焼くように、爆発が起こる。それは、尋常なものではなかった。

 

エイサップ

「うそ、だろ…………?」

 

 燃え盛る米軍基地。火の柱が燃え上がるように立っている。あまりにも現実感のない光景。ロウリや金本が起こしたテロなど、子供の火遊びにしか見えないものだった。

 

エイサップ

「親父…………?」

 

 エイサップの父は、今火の柱が上がっているそこの司令官なのだ。その父の顔が、エイサップの胸に去来する。それと同時、エイサップはコットウの胸倉を掴んでいた。しかし、その体格や筋肉のつき方、全てがコットウに分がある。遊ばれている。エイサップは真っ白な頭の中で、それだけを確信していた。

 

コットウ

「王から聞いているぞ。堕落した日本人よ」

 

 その証拠に、コットウ・ヒンは微動だにせず、エイサップを冷徹な目で見据えている。

 

コットウ

「我々とて無益な争いは望んでいない。故に、この地を我らに渡すのだ。さすればサコミズ王が、この地にもう一度輝きを与えてくださるだろう」

 

エイサップ

「お前達は……日本を侵略しに来たのか!?」

 

シャピロ

「フッ……感謝するんだな。この世界の荒れ事を、サコミズ王が平定してくださるのだよ」

 

 そう言って、シャピロ・キーツは不敵に笑う。その目は明らかにエイサップを、いや自分以外の全ての人間を見下した瞳だった。

 

リュクス

「シャピロ、お前もあのトッド・ギネスと同じ地上人なのであろう!」

 

 シャピロの言葉に、リュクスが激昂する。しかし次の瞬間、キントキが激しく揺れてリュクスの言葉が遮られた。

 

コットウ

「シャピロ・キーツ。あれは使えるのだろうな?」

 

シャピロ

「ああ。バイストン・ウェルの強獣の生態データが参考になった。問題なく、動くはずだ」

 

 シャピロがそう言った直後、キントキから落とされたものがあった。それは、赤い体色をしたメカ怪獣とでもいうべきもの。怪獣は咆哮を上げながら岩国の街へ上陸し、燃える街を踏み荒らしていく。先程のオーラキャノンで燃え上がる基地からジェガンが2機だけ出撃し怪獣を迎撃する。しかし、焼け石に水。

 

リュクス

「なんてことを……シャピロ、あなたは!」

 

シャピロ

「腐るものは腐らせ、焼くものは焼く。サコミズ王の御心を理解することですな姫様」

 

 平然とした顔を崩さず、鼻で笑うシャピロをリュクスは睨め付ける。その光景を見て、エイサップは確信した。この男……シャピロは、狂っていると。

 エイサップはリュクスの腕を掴み、走り出す。

 

リュクス

「な、何を!?」

 

エイサップ

「ここは俺の街なんだよ! だから、協力してくれ!」

 

 駆けながら叫ぶエイサップ。リュクスは意を決したように頷くと、「あっちです」と指差し、エイサップを誘導する。途中、近衛武者のような連中とすれ違ったが、リュクスが一喝すると、手を出せないでいた。その様子が、この子が本当に姫なのだとエイサップに理解させる。そして、エイサップ達が辿り着いた場所は、オーラバトラーの格納庫だった。エイサップは、その中にある青いオーラバトラーと目が合った気がした。それは甲虫ようなツノこそダンバインと共通しているが、西洋騎士のような風貌のダンバインと違い、日本の武者のように見える。エイサップの中に半分だけ流れている日本人の血が、その見た目を気に入ったのかもしれない。

 

エイサップ

「こいつを借りる」

 

 そう言ってエイサップは青いオーラバトラーのコクピットを開き、操縦系統を確認する。

 

リュクス

(この新型、トッド殿でも動かすことができなかったのに……)

 

 エイサップの隣に座り込むようにしてコクピットへ入ったリュクスは、エイサップのそのセンスに驚嘆していた。この新型は強いオーラ力を持つ者でなければ動かすことができず、フガクの中にこれを動かせる武者はいなかった。外の大陸で聖戦士として戦っていた地上人……トッド・ギネスを父が雇い入れた理由の一つが、この機体を動かせる武者を探してのことだった。にも関わらず、トッドのオーラ力を以ってしてもこの名無しを動かせなかったのだ。

 それを、この青年……エイサップは不慣れながらも動かして見せている。

 

エイサップ

「でもやっぱこれ、コツがいるな。この! この!」

 

 キャノピーを閉じ、歩き出してみせる名無しのオーラバトラー。聖戦士。そんな言葉がリュクスの脳裏を過った。

 

エイサップ

「よし、これで……」

 

 背中の翅がオーラ力を吸って、飛び立つ。ダンバインのようにオーラ力を推進力とするオーラコンバーター推進機を搭載せず、オーラ力で羽根の筋肉を動かす仕組み。それがこの名無しのオーラバトラーの特徴だった。

 キントキの格納庫から発信する名無しは、一目散に赤い怪獣へと飛んでいく。

 

エイサップ

「何か、武器はないのか!」

 

リュクス

「オーラソードがあります」

 

エイサップ

「こいつか!」

 

 腰の刀を抜く名無しのオーラバトラー。その青い機影に、誰もが注目した。

 

コットウ

「あの地上人が名無しを動かしたか!」

 

ショウ

「あれはっ!?」

 

トッド

「あれを動かした奴がいるだと!」

 

 トッドの紺色のダンバインが、鍔迫り合いあっていたショウのダンバインをオーラショットで牽制し、エイサップに向かう。

 

ショウ

「トッド!?」

 

トッド

「悪いなショウ、これは俺の沽券にも関わるんでよ!」

 

 紺色のダンバインが、名無しのエイサップに迫る。ワイヤークローを射出し、エイサップの足を止める。

 

エイサップ

「何だよ、こいつ!」

 

トッド

「そのオーラバトラーを動かしてる奴よ!」

 

 名無しはホウジョウ軍の新型だ。順当に考えれば、トッドの味方のはずだった。だが、トッドに動かせないオーラバトラーを扱う聖戦士の存在は、トッドの立場を危うくする。だから、自分に逆らうなと挨拶するつもりだった。これは、ほんの脅しだ。だが、しかし。エイサップの名無しはワイヤーに掴まれていないもう片方の脚で、トッドのダンバインを足蹴にする。

 

エイサップ

「そんな脅し、見えすいている!」

 

 名無しの強烈な蹴りが、ダンバインの右腕を吹き飛ばした。

 

トッド

「こ、こいつのオーラ力はっ!?」

 

 圧倒されるトッドを尻目に、エイサップは赤い怪獣を追う。トッドなど眼中にないとでも言わんばかりのその態度が、よりトッドを刺激した。

 

トッド

「お前、何者だぁっ!」

 

 オーラソードを振り抜き、渾身のオーラ力を纏い再び迫るトッド。エイサップはしかし、その渾身のオーラ斬りを剣で受け止める。

 

エイサップ

「俺はエイサップ鈴木、日本人だ!」

 

 エイサップのオーラソードが、彼のオーラ力に呼応するように燃え上がる。炎を纏ったオーラソードはトッドのダンバインの剣を斬り落とし、そして振り抜き様にエイサップの燃える剣は、紺色のダンバインを斬り裂いていた。

 

トッド

「エイサップ……鈴木? アメリカンとジャップの半端野郎に、俺は負けたのか!?」

 

 右のコンバーターを破壊され、地に落ちていくダンバインの中で、トッドは呻いていた。アメリカ空軍で鳴らし、聖戦士としてドレイク軍で戦い、日本人ショウに敗れてドレイク軍での居場所がなくなり、サコミズ王に拾われ再起を誓った。その途端に、ショウ・ザマが帰還し、見ず知らずの半端野郎に負けた。

 それは、トッド・ギネスにとって屈辱以外の何者でもなかった。

 

ショウ

「トッドを落とすなんて、あのオーラバトラー只者じゃないぞ!」

 

 しかし、その名無しは赤いメカ怪獣の吐く火炎に、近づけないでいる。

 

エイサップ

「クソッ、これじゃ……!」

 

リュクス

「エイサップ、何か来ます!」

 

 リュクスに言われ、エイサップが振り向く  

 米軍の輸送機から発進する機動兵器達が、エイサップの眼前に広がっていた。

 

 

…………

…………

…………

 

 

槇菜

「嘘、でしょ。何これ……」

 

 ゼノ・アストラの中で槇菜が見たのは、燃え広がる岩国の街だった。通い慣れた通学路も、行きつけの喫茶店も、確認できる限り滅茶苦茶だ。これが、テロの結果だというのだろうか。

 

ハリソン

「基地が……おいっ、俺だ! 生き残りはいるか!?」

 

 青いF91に乗るハリソンが、通信回線で呼びかける。すると、微かだが反応があった。

 

海楽

「は、ハリソン大尉!」

 

 ジェガンで応戦していた兵士や、その他の生き残りだ。

 

ハリソン

「海楽! いいか、民間人の避難を最優先。後の対処は我々が行う!」

 

海楽

「了解!」

 

 ハリソンの指示で、統制を取り戻した在日米軍や自衛隊は、住民避難へ移行する。その様子に安堵しつつ、ハリソンは状況を見直していた。

 

ハリソン

「空飛ぶ戦艦が二隻、牽制し合っている。それと見知らぬオーラバトラーと、MIAとなっていたダンバイン……」

 

ショウ

「地上の軍か!?」

 

 ハリソンのF91に近づき、ダンバインが通信回線を試みる。

 

ショウ

「俺はショウ・ザマ。バイストン・ウェルの世界から再び飛ばされてきた。あの怪物を止めたい。協力してくれ!」

 

槇菜

「ショウ・ザマ……。甲児さんの知り合いの人?」

 

 ともかく、今なんとかしなければいけないのはあの赤いメカ怪獣だった。推進力が最も高いダンクーガがそのメカ怪獣に近づくにつれて、細部がはっきりと見えてくる。その姿に、彼ら4人は見覚えがあった。

 

沙羅

「忍! あれ……」

 

「あれは、ムゲ野郎の戦闘メカじゃねえか!」

 

 ムゲ・ゾルバドス帝国の戦闘メカ。それは彼ら獣戦機隊にとって、因縁深いものでもある。

 

「あれは確か、自爆するマシンの筈だ。街中で自爆なんてされたらまずいぞ!」

 

 データベースに“グザード”という名前で登録されているメカ怪獣を亮は記憶の中から引き出して、全員に通告する。

 

槇菜

「自爆!?」

 

 それは、ただでさえ火の海になっている岩国が、さらに悲惨なことになることを意味していた。

 

アラン

「ここで自爆させるわけにはいかない。機動力のあるマシンは先行して、あの化け物を麓の山へ誘導しろ。あそこなら、被害は最小限で済むはずだ」

 

 ブラックウィングのアランが、ポイントを指定する。

 

雅人

「親父……逃げててくれよ」

 

 祈るように、雅人が呟いた。

 

ドモン

「ならば、自爆などされる前に跡形もなく消滅させる!」

 

 輸送機の艦橋に立つゴッドガンダムの、ドモンが叫ぶ。

 

トビア

「でも、どうやって?」

 

 同じく艦橋に乗るマントを羽織った海賊のガンダム。トビアがドモンに訊く。輸送機が陸に上がるまでには時間がかかる。飛行ユニットを持つダンクーガや、空間転移能力を持つゼノ・アストラ、それとベース・ジャバーに乗ったF91が先行しているが、トビアとドモンのガンダムは上陸に少しばかり時間がかかる。だが、

 

ドモン

「どうって、こうするのさ!」

 

 ドモンが大袈裟に指を鳴らす。すると、どこからともなく空を駆ける白馬がゴッドガンダムの前に降り立った。

 

ドモン

「よく来てくれた風雲再起。行くぞっ!」

 

 モビルホース・風雲再起。ドモン・カッシュの師匠・東方不敗マスターアジアの愛馬であり、今や師匠の形見となったドモンの愛馬。風雲再起が、ドモンへ駆け付けたのです!

 ゴッドガンダムは風雲再起に騎乗するし、輸送機を離れて駆け上がる。

 

トビア

「何でもありだな、あの人……」

 

 呆気に取られて、トビアが呟いた。

 

 

…………

…………

…………

 

シャピロ

「ダンクーガ……。まさかこんなに早く再会できるとは思わなかったぞ」

 

 キントキの司令塔で、シャピロ・キーツは醜く笑っていた。ダンクーガ。かつて、ムゲ・ゾルバドス帝国の幹部だった自分の地位を失墜させた憎むべき敵。そして、自分を捨てた女の居場所。

 

シャピロ

「沙羅……。この私に逆らったこと、今日こそ後悔してもらう」

 

 右肩を震わせながら、シャピロはダンクーガを睨む。そしてシャピロの号令で、キントキの主砲がダンクーガを襲った。

 

「何っ!?」

 

 寸でのところで機体を逸らし、回避するダンクーガ。しかし、連続で撃たれる主砲がまたダンクーガへと飛んでいく。

 

雅人

「忍っ! あの船明らかにこっちを狙ってるよ!」

 

 躱しきれない。だがその火球はダンクーガに届かず、巨大な盾に防がれる。ゼノ・アストラ。槇菜が身を挺して、ダンクーガを庇っていた。

 

槇菜

「早く、あの怪獣を何とかしてください!」

 

「お前……」

 

 無我夢中で、槇菜が叫ぶ。オーラの火球は、堅牢なゼノ・アストラの盾を前に霧散していくがしかし、決してダメージがないわけではない。

 

槇菜

「ここは、私の故郷なんです。私が帰る場所なんです。だから!」

 

「わかった。行くぜお前ら!」

 

 「OK忍!」と返す3人を合図に、ダンクーガは加速する。ダンバインとゴッドガンダム、それにブラックウィングがそれに続いた。

 

エイサップ

「手伝ってくれるのか?」

 

ショウ

「ああ。こいつを山の方に誘導する。できるか?」

 

エイサップ

「やってみます!」

 

 名無しのオーラバトラーが羽撃き、メカ怪獣グザードはそれを追うように歩を進める。それからダンバインとダンクーガ、ゴッドガンダムは山へ回り込むようにして、名無しとグザードを待ち伏せる。その間、キントキとアプロゲネが睨み合うのをゼノ・アストラとF91、ブラックウィングが牽制していた。

 

シャピロ

「忌々しい奴等め……。コットウ将軍、ゼイ・ファー、ドル・ファー部隊を出撃させろ!」

 

コットウ

「うむ、今のうちに地上の戦力を削いでおく必要はあるな」

 

 合図とともに、キントキから放たれたのは緑色の異形のメカと、白い奇妙な戦闘ヘリ。それらはハリソンの持つデータの中には、ムゲ・ゾルバドス帝国の戦闘メカと記録されていた。自分も、戦った覚えがある。

 

ハリソン

「バイストン・ウェルの軍勢と、ムゲ・ゾルバドス帝国……どういう繋がりだ?」

 

 ビームライフルを構えながら、ハリソンが呟く。緑色の戦闘メカ、ゼイ・ファーのビームキャノンをビーム・シールドで防ぎながらビームライフルでそれらを迎撃していく。問題は、数が多いこと。そしてグザードと格闘するダンクーガへ迫るようにハリソン達を無視して動いていることだった。

 

槇菜

「こいつら、ダンクーガを狙ってる!?」

 

 盾を使って敵機を殴りつけながら、ゼノ・アストラを無視し進軍する白い戦闘ヘリ……ドル・ファーを横目に槇菜が叫ぶ。ゼノ・アストラの主な武装は指のワイヤードと、この大きな盾。物量を相手にする装備はない。

 

ハリソン

「まずいぞ。進軍部隊はあのデカブツを阻止してもらわなければ!」

 

 ハリソンのF91も、強力な大型ビームライフル・ヴェスパーを放ちゼイ・ファーを撃ち落としていく。その余波で数機のドル・ファーも巻き添えにしてしまうほどの高火力を街中で使えば、どれほどの二次被害が発生するかわからない。それでもこの場で使うのは、既に二次被害を気にしている場合ではないからだ。

 この場で敵を放置すれば、どれほどの被害になるかわからない。それならば、とハリソンはここで引鉄を引く。

 

アラン

「奴らのデータは揃っている。耐久力の高いゼノ・アストラは各機と街のカバーに周り、私とハリソン大尉を中心に各個撃破していくしかない。敵をダンクーガへ近づけるな!」

 

 ブラックウィングのビームガンで戦闘ヘリドラ・ファーを撃ち落としながら、アランが各機に指示を出す。

 

槇菜

「了解! でも……」

 

 巨大な盾を押し付け、ゼイ・ファーを一機ずつ殴り抜けるのでは、限界がある。機動力の高いブラックウィングや、殲滅能力の高いF91のようにうまくはいかない。そうしているうちに、ゼノ・アストラの手を逃れたゼイ・ファーが複数、街へ侵攻を開始していた。

 

槇菜

「しまっ……きゃぁっ!?」

 

 追おうとし、背を向けたその瞬間にキントキからの砲撃を受けるゼノ・アストラ。シールドを構えることができず、爆風で大きく吹き飛ばされる。槇菜の集中力が途切れたその一瞬に、ゼイ・ファーが身を乗り出して街への進軍を開始した。

 

槇菜

「そんな……!」

 

 ゼイ・ファーの軍勢が狙うのは、憎きダンクーガ。ゼノ・アストラは左手の指をワイヤーで射出し敵の足を止めようとするが、数が多い。

 

ハリソン

「ちぃっ!?」

 

 ハリソンの舌打ちと同時、同時に放たれたビームの雨がゼイ・ファーに降り注ぐ。ハリソンが後ろを見ると、マントを羽織り、胸に大きな髑髏のマーキングが施されたガンダムが、ボウガンのような形状をしたビーム・ライフルを構えていた。

 

トビア

「悪いな、こいつは手加減できねえぞ!?」

 

 トビアの乗る海賊のガンダム・スカルハート。クロスボーン・ガンダムX1と呼ばれるマシンに独自の改修を施したトビアのガンダムだ。トビアの“スカルハート”が持つ特殊なビームライフル・ピーコックスマッシャーは9つのビーム兵器を連結させ、同時に斉射することで広域にビームを発射できるという代物だ。1対多の戦いを強いられてきた海賊軍の、オリジナル装備。それが今こうして役に立っている。

 

ハリソン

「スカルハートか!」

 

トビア

「俺が地上に降りた奴らを片付けます。アランさんとハリソン大尉は空の奴らの対処を。槇菜ちゃんはあのデカブツと戦うメンバーに合流して、盾になってやってくれ!」

 

 ピーコックスマッシャーをしまうと、マントを翻し“スカルハート”は駆ける。その機動力でゼイ・ファーに追いつくと、腰のシザーアンカーを発射し突き刺す。さらにその振り抜き様、斬馬刀のようなビームサーベル・ビームザンバーでもう一機を斬り裂いた。

 ゼイ・ファーのうち1機が、反撃のビームカノンを放つ。しかし、そのビームは“スカルハート”のマントを前に霧散していく。

 ABC(アンチ・ビーム・コーティング)マント。マントそのものにビームコーティングを施した代物であり、Iフィールド発生器のような強力な耐ビーム性能を持続できるわけではないが、本体のエネルギーを使用せずに数度のビームくらいならば弾くことができ、補給線の薄い海賊軍で活躍した装備である。“スカルハート”はビームの雨を浴びながら、ABCマントでダメージを撃ち消し、飛び上がる。

 マントが弾け飛び、巨大な髑髏が晒されながら、集まったゼイ・ファーへ再びピーコック・スマッシャーを構え、斉射する。

 点ではなく、面を制圧するビームが飛び、ゼイ・ファーは忽ち爆散した。

 

槇菜

「つ、強い……。あれがトビア君?」

 

 槇菜の抱いていたおとなしそうな少年という印象から遠い荒々しい戦いぶりに戦慄しながら、ゼノ・アストラはグザードを誘き寄せる山へ向かっていく。その間にも、トビアの進撃は続いていた。

 

トビア

「き・さ・ま・らぁッ!」

 

 トビア・アロナクスは、トサカにきていた。バイストン・ウェルという存在について、コロニー育ちのトビアはニュースで見聞きした程度のことしか知らない。しかし、彼らが異世界人であるということくらいは知っている。

 異世界人。生まれた場所や環境で人は違う生き物になると、トビアの先生だった人物は言った。『自分達木星人は、地球人と違う生き物だ』と。

 その時、トビアは否定できなかった。おそろしかった。だが、今は違う。他ならぬ木星人の首魁クラックス・ドゥガチは、心が歪んでいるだけの、ただの人間だったのだから。

 そんな木星軍と戦ってきたトビアだからこそ、わかることもある。バイストン・ウェルの人間と地上の人間。そこには結局大した違いなどないのだということが。なのに、この現状はなんだ? バイストン・ウェルの軍はあろうことか外宇宙の侵略者の兵器を用い、地上に侵攻している。今戦っている戦闘メカ兵器の中に、そしてその指揮をする空飛ぶ船の中に明確な、人の黒い意志をトビアは感じていた。

 その黒い意思には、ドゥガチのような絶望も感じない。それでいて、ドゥガチ同様の憎しみを感じる。何がそこまで憎しみを募らせるのか、そこまでトビアには感じることができない。だが、明らかにこの世界を食い潰そうとする黒い意思が、介在しているものをトビアの鋭敏な神経は感じ取っていた。

 だから、この戦いはトビアの抵抗だった。

 クラックス・ドゥガチを否定したことの責任と言ってもいい。

 

トビア

「こんなものに、今を必死に生きる人達を脅かされてたまるものかぁっ!?」

 

 それは、トビア・アロナクスの魂の叫びだった。 

 

 

 

 

…………

…………

…………

 

 その頃、メカ怪獣グザードを山へと誘導したエイサップと、それを追い囲むダンバイン、ダンクーガ、ゴッドガンダム。彼らはグザードの強力な火炎放射を前に苦戦を強いられていた。

 

雅人

「うわっ!」

 

「野郎……上等だ!」

 

 ダンクーガの胸部から、6門の砲塔が展開される。パルスレーザーを撃ちながら、ダンクーガがグザードへと迫った。

 

「亮!」

 

 忍の合図と共に、ダンクーガの胴体に相当する獣戦機ビッグモスのパイロット亮が目を閉じ、全神経を集中させる。そして、グザードがそのツメをダンクーガ目掛けて振り下ろさんとした瞬間、

 

「見切った!」

 

 ダンクーガが加速し、グザードの懐へ入り込む。そして、掌底。そこにできた隙に、ゴッドガンダムが動く。風雲再起から降り、ダッシュしたゴッドガンダムが拳を連打。腹部をダンクーガが、背中をゴッドガンダムが叩いていく連携を前に、グザードは苦悶の咆哮を上げる。それと同時、再び火炎を吐いてダンクーガとゴッドガンダムを引き離していく。

 

ドモン

「くっ!?」

 

「あの恐竜野郎! つけ上がりやがって!」

 

沙羅

「…………」

 

 この状況の中、沙羅は1人不審げな表情をしていた。敵があまりにも、単純にこちらの誘いに乗っている。このメカ怪獣は以前にもダンクーガで倒したことがあるのだ。もし、ムゲ帝国が絡んでいるのなら、もう少し慎重に切ってくるカードではないか?

 そう考えた瞬間、沙羅は叫んだ。

 

沙羅

「忍! これは罠だよ!?」

 

「何っ!?」

 

 叫ぶと同時、グザードの内部の熱が高まっていくのを、彼らは感じた。

 

沙羅

「こいつの狙いは、最初から私達を……地上の戦力を道連れに自爆することだったんだ!」

 

雅人

「ど、どうするんだよ!」

 

 慌てふためく雅人。そのダンクーガの前に、ゼノ・アストラが立つ。

 

槇菜

「私が、ゼノ・アストラが縦になります。みんな、下がって!」

 

 黒い巨人からの声に、エイサップは聞き覚えがあった。

 

エイサップ

「お前……槇菜か?」

 

 櫻庭槇菜。昔からの付き合いで、自分のことをエイサップ兄ぃと慕っていた女の子。それが、こんなものに乗って戦っている。

 

槇菜

「エイサップ兄ぃ!? どうして……」

 

 その驚きは、槇菜とて同じだった。だが、今はこれ以上話している時間はない。あの化け物は、自爆しようとしているのだから。

 

ドモン

「こうなれば、石破天響拳で……!」

 

 ゴッドガンダムが構える。しかし、ゴッドガンダムのそれより早く、グザードのエネルギーは臨界を迎えようとしていた。

 

ショウ

「おい、そこのオーラバトラー!」

 

 その時、動いたのはショウ・ザマのダンバイン。

 

エイサップ

「俺のことを言っているのか?」」

 

ショウ

「ああ、オーラバトラーには、オーラバリアがある。その黒いマシンの盾と一緒に、爆発の衝撃から守るんだ!」

 

エイサップ

「そんなこと言っても、俺こいつに乗るのはじめてで……!」

 

ショウ

「いいから、前に出ろ!」

 

 ダンバインが前に出て、四肢を大きく広げる。瞬間、ショウのオーラ力がダンバインのパワーを増大させ、巨大な生体エネルギーの壁を発生させる。それに倣うように、エイサップとリュクスが乗り込んでいる青い名無しのオーラバトラーも前に出て、身を晒した。そして、次の瞬間。

 グザードの巨体が光り輝く、それが自爆の合図。直視すれば視力を奪われかねないピカという光と、モビルスーツの装甲を簡単に溶かしかねない超高熱の波。そしてグザードの装甲や内部のパーツ、その破片が爆風で飛び散りゼノ・アストラのシールドを襲う。

 

槇菜

「クッ……キャァァッ!?」

 

 シールド越しに伝わる熱に、槇菜は思わず叫んだ。

 

ショウ

「頼む、俺のオーラ力!」

 

 ダンバインから、ショウのオーラを吸い上げた光が放出されていく。そのオーラの煌めきが壁を作り、爆発から我が身を、友軍を、それに人々を守らんとする。その強い思いが、ショウのオーラ力をさらに増大させる。

 

エイサップ

「これは……!?」

 

リュクス

「この光……!?」

 

 リュクスは、父に聞いたことがある。かつて父は地上で、祖国に落とされるはずの原爆を阻止したのだと。その原爆というものについて聞いた話と、この光と同時に全てを溶かさんとする高熱の波状を浴びるのはよく似ている気がした。

 

 

…………

…………

…………

 

シャピロ

「フフフ……。あれはバイストン・ウェルで試しに作った爆弾だが、なるほど。地上で弾ければメガトン級の衝撃となるか……」

 

 爆発をキントキで観測するシャピロは、嬉しそうにほくそ笑む。その笑みをコットウは、不気味に感じていた。

 一方キントキと睨み合っていたアプロゲネでも、この以上は観測されている。

 

アマルガン

「なんということだ……!」

 

 老武者アマルガンが叫ぶ。その傍らで事態を見守っていたロウリと金本も、青ざめていた。

 

金本

「ろ、ロウリ……これじゃ……」

 

 尤も、青ざめる理由はその被害を心配してのことではない。

 

ロウリ

「せっかく仕掛けた爆発テロもよ……こんなことされたら目立たねえじゃねえか!」

 

 自分達が早朝仕掛けた爆破テロ。それを機に政治的アピールを仕掛けるというロウリ達ジスミナの算段が、完全に狂ってしまったことに対してだった。「クソッ!」とロウリは吐き捨てる。

 

金本

「どうするんだよ、ロウリ?」

 

ロウリ

「こうなりゃ……この異常事態全部、利用するしかねえな」

 

 しかし、そうであってもロウリは皮算用をやめない。この場をうまく制すれば、より大きなアピールができるはずだ。ロウリはそう考え踵を返す。

 

金本

「ロウリ?」

 

ロウリ

「なんとかして、向こうの船に乗り移りてぇよな……」

 

 見たところ、戦力が充実しているのは向こうの船、キントキの方だった。あの青いオーラバトラーでも拝借できれば……。そう考えていた次の瞬間、再び海がオーロラ色に光り輝く。

 

金本

「こ、これ……!?」

 

 しかもその光は今度は、自分達を飲み込むほどに大きく膨らんでいくのを、金本は感じた。

 

…………

…………

…………

 

 熱い。そうエイサップが感じた瞬間、青いオーラバトラーの足から翼が生えていた。高熱を、衝撃を、羽根の一枚一枚が吸い取っていき、その度に熱がエイサップに伝わっていたのだ。

 

リュクス

「リーンの翼の沓が……!」

 

 見れば、リュクスの履いていた靴から同じように美しい翼が生えている。

 

エイサップ

「なんだこれ、何が起きてるんだよ!」

 

 だが、それがリーンの翼の導きであるなどエイサップにはまだ理解できない。理解できていないのは、この場にいる誰もがそうだった。

 

槇菜

「エイサップ兄……?」

 

 暖かい光の翼が広がり、羽ばたいていく。その羽撃きがオーロラを広げ、ゼノ・アストラを、ダンクーガを、ゴッドガンダムを、それだけでない。この場にいる戦う意思を持つもの達全てを包み込んでいた。

 

トビア

「何だ、この感じは……?」

 

 温かいのに、少し悲しい。悲しみの翼が広がり包み込んでいく。

 

ドモン

「これは……!」

 

「何だ、これ!?」

 

 不可思議な現象だった。ただ、その場で唯一この現象について知識を持つ者がいる。

 

ショウ

「リーンの翼の導き……! リュクス様か!」

 

 ショウ・ザマ。ジャコバ・アオンの命を受けバイストン・ウェルに帰還し、ドレイク亡き後もオーラマシンを建造し戦乱を起こす王サコミズと戦っていた聖戦士。彼はバイストン・ウェルから地上に上がった時、トッドとの戦いで増大したオーラ力とリュクス姫の持ち出したリーンの翼の沓が、オーラロードを開いたと理解していた。

 今同じことがもう一度起ころうとしているとするならば、それはこの場に聖戦士ショウ・ザマがいることと、もう一つ。

 

ショウ

「トッドを倒すほどのオーラ力を持つ奴が、リーンの翼の沓を目覚めさせたのか!」

 

 ショウが叫ぶと同時、リーンの翼と呼ばれたそれは大きく羽撃き、そして津波のように全てを飲み込んでいく。

 

槇菜

「何、何っ!?」

 

ショウ

「オーラロードが、開く…………!?」

 

 瞬間、岩国に大きな光の柱が生まれた。それは太平洋から岩国を目指していた無国籍艦隊パブッシュからも観測されたほど強い光。しかし、それが見えたのは一瞬のことだった。

 一瞬が過ぎた後岩国に残されていたのは戦火の爪痕が広がる街並みだけであり、オーラマシンはおろか、ガンダムも、ダンクーガも、ゼノ・アストラも……全てが消えていた。

 

 

…………

…………

…………

 

—避難施設—

 

 

敏子

「何が、何がどうなってるのよ!」

 

 岩国基地の在日米軍人や、派遣自衛隊員、警察官などの誘導されるながら避難施設へ移動していた敏子は、夫であるアレックスへ必死に電話しようとしていた。しかし、あの強烈なオーロラ光の後発生した大規模な通信障害により、未だに連絡つかないでいる。

 

敏子

「アレックス……エイサップ……」

 

 アレックスが暫く基地を留守にしているのは、不幸中の幸いだった。だが、エイサップが家を飛び出した直後にこの騒ぎ。そしてエイサップとも音信不通のまま。

 不安だけを募らせながら、敏子は携帯電話を握りしめていた。

 そんな敏子の下に、1人の男が歩いてくる。男は身なりのいい服を着た、紳士然とした人物だった。男の周囲をそれとなく米軍兵がついて回っているのを見るに、民間人に解放する避難施設に入るような人間ではないのかもしれない。或いは、この施設とも繋がりのある人物か。

 ともあれ、敏子が落ち着きを取り戻したのはその男が持ってきたミネラルウォーターの力もあるだろう。

 

雅男

「その様子だと、ご家族と連絡が取れないのですかな?」

 

 男……式部雅男は、敏子にそう訊ねる。

 

敏子

「はい……。息子が」

 

雅男

「そうですか……。すぐに行方不明の捜索にかかる手筈になっていますから、落ち着いてください」

 

敏子

「はい……」

 

 雅男はそれだけ言って、踵を返し避難施設を後にする。式部雅男がここにきたのはたしかに避難のためだった。だが、彼にはやらなければならないことが多い。

 

雅男

(式部重工として、我が式部家は莫大な利益を得てきた。だがその兵器がこうも容易く異界の軍勢に敗北するのならば、やはり抜本的な改革が必要かもしれんな)

 

 とはいえ、この通信障害が収まるまでは雅男もここで立ち往生とならざるを得ない。ため息をひとつつくと、壁にもたれかかりながら紙に印刷された文書に目を通す。

 

雅男

(ゴッドマザー・ハンド計画か……。果たして、出るのは鬼か、蛇か)

 

 

…………

…………

…………

 

—科学要塞研究所—

 

 

甲児

「消えたって、どういうことだよ!?」

 

 それから1時間後、岩国へ派遣した部隊が消失したという報が科学要塞研究所に齎され、衝撃が走っていた。

 

ジュン

「わからない。でも、見て。これが消える直前に観測された光よ」

 

 ジュンが観測所から印刷してきた写真には、巨大な光の柱が海と大地を貫くように伸びていることが確認できる。その光景に、甲児は見覚えがあった。

 

甲児

「オーラロードじゃねえか……!」

 

 甲児がショウと共に戦ったあの戦い。消えていったオーラマシン達のこのような光に飲み込まれて地上から姿を消したのを、甲児は間近で見ている。

 それと、同じ。

 

竜馬

「何だ、そのオーラロードって?」

 

剣蔵

「うむ、詳しい事は我々にも解明できていない。だが、海と大地の狭間にある世界バイストン・ウェルとこの世界を繋ぐ道である。と言われている」

 

隼人

「成程、不可思議な現象か。俺達が黒平安京やこの世界に迷い込んだのと、似てるかもな」

 

 だが、本当にオーラロードなら、岩国へ行った面々はこの世界から消えて、別の世界に飛ばされてしまったということになる。

 

さやか

「槇菜……無事だといいけど」

 

 心配そうに、さやかが呟いた。

 

サイ・サイシー

「大丈夫だよさやか姉ちゃん、あっちにはドモンの兄貴がついてるんだからさ」

 

 気遣うように、サイ・サイシーが言う。

 

さやか

「信頼してるのね」

 

サイ・サイシー

「そりゃあね。それに、本当に大変な状況ならこのシャッフルの紋章が教えてくれる。だから、大丈夫」

 

 サイ・サイシーの手の甲で光るシャッフルの紋章は、仲間の危機を知らせてくれる。だが、まだその熱を帯びてはいない。つまり、無事。そうサイ・サイシーは考えていた。

 

鉄也

「しかし……このまま戻ってこないとなると戦力半減だ」

 

キンケドゥ

「大丈夫、トビアならなんとかするさ」

 

 鉄也の言葉をキンケドゥが制す。しかしその無責任にも見える信頼感が少しだけ、鉄也には気に食わない。

 

鉄也

「……ともかく、今の状態で俺達は当面ミケーネや木星軍と戦わなければならないんだ。警戒はしておいた方がいいと思うぜ」

 

 そう言って、鉄也は管制室を後にする。

 

甲児

「どこに行くんだ鉄也君」

 

鉄也

「トレーニングルームだ。少し身体を動かしたい」

 

ジュン

「もう、鉄也!」

 

 ぶっきらぼうな鉄也の物言いに腹を立てるジュンだが、これでも鉄也なりに消えたメンバーのことを心配しているにだろう。そう甲児は思った。

 

甲児

「ジュンさんは鉄也君についてやっててくれないか。鉄也君の言ってることも、正論なんだ」

 

 だから、そんな鉄也を気遣うように甲児はジュンへ促す。「わかったわ」と言ってジュンが鉄也の後を追うのを見届けて、甲児は腕を組んだ。

 

竜馬

「意外だな。お前他人を気遣えるのか」

 

甲児

「よせやい。……でも、あいつらが戻るまでここを守らなきゃいけなくなったんだ。責任重大だぜ」

 

キンケドゥ

「ああ、そうだな……」

 

 

 深い沈黙が、科学要塞研究所に流れた。沈黙は何も語らない。

 物語は暫し、海と大地の狭間の世界へと舞台を移す……。

 

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