スーパーロボット大戦VB   作:元ゴリラ

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第5話『メビウスの刻を越えて』

—バイストン・ウェル/ホウジョウ国—

 

コドール

「こんな時にフガクをお出しになるとは、王よ。何をお考えですか!」

 

 ホウジョウ国の女王コドール・サコミズは、夫であるシンジロウ・サコミズの決定に異議を申し立てていた。その理由は只一つ、海を輝かせ、空を覆うオーロラの光。バイストン・ウェルのオーラが震えているのを感じているからだ。

 

サコミズ

「狼狽えるな!」

 

 女王の隣に立つ男が、女王の弱気を一喝する。

 

サコミズ

「この光……私には覚えがある。これは間違いない!」

 

 コドールの隣に悠然と立つ男……180は超えていよう長身に襟まで絞めた軍服。それも、旧日本軍のものを思わせるそれを着た男。黒い髪を侍のように結い、目元には血のように赤いメイクを施した男も確かに、震えていた。

 しかし、その震えはコドールのように恐怖から来るものではない。

 歓喜による武者振るい。男……シンジロウ・サコミズにとってこのオーロラの光は、長年待ち望んだものなのだ。

 即ち、オーラロードが開く時の光。その光の先には、サコミズ王の故郷がある。

 望郷の念が、王を奮い立たせる。

 

サコミズ

「コドールよ、リュクスはたしかにリーンの翼の沓を盗んだのだな?」

 

 しかし、逸るわけにはいかない。状況を入念に精査し、行動を決定する責務が王にはある。それも、軍事行動ともなれば尚更だ。

 

コドール

「はい。リュクスは王の秘宝を盗み、キントキに密航した模様。そしてアマルガンの軍と共々消えてしまったと報告を受けております」

 

サコミズ

「フム……」

 

 若き日、サコミズ王はリーンの翼の沓を履き、聖戦士として戦った。オーラマシンなど存在しない、生身の戦いだ。リーンの翼の沓はその戦いの末に、サコミズ王の最愛の女性リンレイ・メラディの生命を糧として、オーラロードを開いてくれた。

 もし、リュクスに……或いはリュクスと魂を引き合う誰かに聖戦士の資格があるのならば、オーラロードは開くかもしれない。

 それだけではない。それから永い月日は経ち、オーラマシンが建造された。聞き伝えるところによれば、西の大陸で起きた戦争ではオーラマシンは地上人のオーラ力を増幅させ、地上への道を切り開いたという。

 

サコミズ

「アマルガンは、西の大陸の聖戦士を雇っていたと聞いている。キントキには武者トッドもいた。西の大陸の聖戦士同士がオーラ力をぶつけ合い、リュクスがリーンの翼を顕現させたのならば地上への道が開かれたと見るべきであろう。そして、この光が意味するものは只一つ……」

 

 リュクスか、西の大陸の地上人か、どちらがきっかけにせよオーラロードがまた開かれる。そこには十中八九アマルガンもいる。おそらく、小競り合いと地上へ落ちた影響で疲弊しているだろう。ならば、そこを叩く。

 

サコミズ

「よいか、フガクはここに固定! オーラバトラー各機も出撃準備を整え待機!」

 

 決定は下された。それに逆らうことができるものは、ここにいない。だが、不気味なほどに煌めくオーロラの光は兵達を不安にさせているのも事実だった。

 だからこそ、サコミズは重ねて言う。

 

サコミズ

「尚……この戦は私自らが最前線で指揮を取る!」

 

 その宣言は、狼狽える兵達を奮い立たせるのに十分な言葉だった。

 

兵士

「おお、聖戦士が……!」

兵士

「聖戦士自ら……!」

 

 聖戦士。その言葉はこのヘリコンの地において二つの意味がある。一つは地上人の戦士。西の大陸でオーラバトラーを駆り戦争の最前線で戦ったトッド・ギネスらを指す言葉だった。そして、もうひとつ。

 バイストン・ウェルの世が乱れた時に現れ、リーンの翼を顕現させバイストン・ウェルを平和に導く戦士のこと。

 シンジロウ・サコミズ。いや、迫水真次郎はこの世界で唯一、二つの意味を兼ね備えた真の聖戦士。日本の神奈川で生まれ、大日本帝国を護る特攻兵として命を燃やした男。その瞳は今、高揚にギラついていた。

 

 

…………

…………

…………

 

—オーラロード—

 

槇菜

「な、何これ!?」

 

 槇菜の目に映っているのは、不思議な光景だった。宇宙の星々が煌めき、次の瞬間には海を泳いでいる。海の中には巨大な魚が泳ぎ、そして海に咲く花の蕾から、命が生まれる。

 ゼノ・アストラは、その光景に悲鳴を上げている。その悲鳴は、何かを槇菜に伝えようとしているように感じられた。

 

槇菜

「触れては……いけない世界……? 生と、死の輪廻の調律? 何を、言っているの?」

 

 ゼノ・アストラの伝えようとしているものを、槇菜は敏感に感じ取っていた。しかし、それが何を指しているのかわからない。額の汗を拭いながら、槇菜はゼノ・アストラのメッセージを理解しようとしていた。

 

トビア

「クッ……これは……!?」

 

 スカルハートのトビアは、輸送機へ戻りながら猛烈な吐き気を催していた。

 

ベルナデット

「トビア!?」

 

 トビアを迎えるベルナデットも、猛烈な悪寒に晒されている。トビアの肩を抱きながら2人はその、あまりに純粋すぎる生と死の感覚に苦しんでいた。

 

ドモン

「これは……何が起こっているんだ?」

 

 風雲再起と共に駆け抜けながら、ドモンもまた混乱の中にいた。

 

レイン

「ドモン! 一旦こっちに戻って!」

 

ドモン

「ああ……この波、はぐれたらどうなるかわからんぞ」

 

 オーラの波の中で、ゴッドガンダムも輸送機へ不時着する。

 

ショウ

「みんな、なんとかして一つのところに集まれ! オーラロードで迷えば、生き死にどころではなくなるぞ!」

 

 ダンバインのショウが叫ぶ。ダンクーガはその巨体をオーラの渦に晒されながら、アプロゲネに捕まっていた。

 

「クソッ! 何なんだよこれは!」

 

アマルガン

「地上人のオーラマシンか!?」

 

 アプロゲネの艦橋から、アマルガンはダンクーガに向かい叫ぶ。

 

「この感じ……精神が粟立つ。何が起こっているんだ!」

 

アマルガン

「オーラロードだ。オーラロードが開き、バイストン・ウェルに出ようとしている。しかし、これは……」

 

 アマルガンらが地上へ浮上してきた時と、オーラロードの様子が違う。まるで、海が怒っているようにアマルガンには感じられた。しかしその違和感の正体を確かめるよりも早く、アプロゲネの後方……キントキの主砲が火を吹き、ダンクーガとアプロゲネを襲っていた。

 

沙羅

「キャァッ!?」

 

雅人

「あ、あいつら……!」

 

 ダンクーガも、パルスレーザーの砲門を開き応戦する。オーラロードの海で、砲撃戦が展開されていた。

 

リュクス

「オーラロードの中で撃ち合いなど、なんと愚かな…………」

 

 エイサップの膝の上で、リュクスが毒づいたその時だった。

 

???

「愚か者はお主じゃよ……」

 

 突如として、ひどく重い声がリュクス達の脳裏に響く。それは声として聴覚が認識しているのではない。脳に直接、響いていた。

 

槇菜

「な、何今の声……?」

 

トビア

「こいつは……」

 

 冗談じゃない。とトビアは思う。超越者。そうとしか表現できない存在の圧力をトビアは、敏感に感じ取っていた。

 

ショウ

「ジャコバ・アオンか!?」

 

 ショウが叫ぶ。

 

リュクス

「あの、神様気取りの……?」

 

 その時、波模様が巨大な掌のような形を象り、リュクスとエイサップの乗るオーラバトラーを掴んだ。

 

エイサップ

「なっ!?」

 

リュクス

「これは!?」

 

 2人の乗る名無しは掌に掴まれ、そして濁流に流されるように渦の中へ飲み込まれていく。

 

槇菜

「エイサップ兄ぃ!?」

 

 思わず、ゼノ・アストラはエイサップを追うように、渦の中へ飛び込んだ。

 

ハリソン

「槇菜君、危険だ!」

 

 輸送機に着艦していたハリソンが、通信を送る。しかし、オーラの力が干渉しているのか通信はクリアにならず、雑音だけが返ってくる。

 

槇菜

「エイサップ兄ぃ、待って!」

 

 叫ぶ槇菜。ゼノ・アストラは盾で水流を弾きながら、名無しのオーラバトラーを追う。しかし、急激に流れが激しくなり、ゼノ・アストラを押し流していく。

 

槇菜

「ゃっ……! あぁっ!?」

 

 濁流に流されるままに、ゼノ・アストラと名無しのオーラバトラーは集団からはじき出され、激しい波の中に消えていった。

 

ハリソン

「槇菜君! クソッ……」

 

トビア

「今は生存を信じるしかありません。とにかく……俺たちだって無事に戻れるかわからないんだ」

 

 輸送機とアプロゲネ、それにキントキ。彼らはオーラロードの潮流に乗り、やがて煌めく光を眼前に見る。それはバイストン・ウェルの空を覆う鱗の光。

 魂の故郷バイストン・ウェル。そこは……。

 

 

…………

…………

…………

 

 

—???—

 

エイサップ

「う……。ここは……?」

 

 エイサップが目を覚ましたのは、不思議な場所だった。魚が泳ぎ、海月が舞う海の中。オーラバトラーのキャノピーが開いていることに気付き、慌ててエイサップは口を閉じる。口を閉じて、そもそも自分は海の中で普通に呼吸をしていることに気付いた。

 

エイサップ

「どうなってるんだ……?」

 

 立ち上がろうとして、膝の上で気絶しているリュクスの存在を思い出す。それと同時、巨大な盾を持つ黒いマシンが、隣に不時着しているのを確認した。

 

エイサップ

「あれに乗ってるの、たしか……?」

 

 そう呟いたと同時、甲高い悲鳴が外からエイサップの耳に届いた。その声の主は、間違いない。

 

エイサップ

「槇菜ッ!?」

 

 エイサップが声を上げた時に、リュクスも意識を取り戻す。

 

リュクス

「ん……ここは……?」

 

槇菜

「え、えええエイサップ兄ィ!?」

 

 リュクスが目を覚ましたのと、槇菜が大慌てでオーラバトラーの前に駆けてきたのはほぼ、同時だった。槇菜の後ろには、およそ30cmほどの蜻蛉のような羽根を持つ妖精が数匹いて、槇菜を追いかけている。

 

フェラリオ

「へえ、これが地上人かー」

 

フェラリオ

「地上人って言っても、バイストン・ウェルのコモンと大して変わんないねー」

 

 などと、妖精達は口々に言って槇菜の様子を見て楽しんでいた。

 

槇菜

「エイサップ兄ィ、お、お、お化け!」

 

 「お化け」という言葉に、フェラリオ達は「ひどーい!」と抗議の声を上げる。

 

エイサップ

「ど、どうなってるんだ……?」

 

リュクス

「フェ、フェラリオ!?」

 

 エイサップとリュクスも、事態が飲み込めない。とりあえず、槇菜を助けようと2人はオーラバトラーのコクピットから降りて、槇菜の下へ向かう。すると、他の妖精達より大きい……人間の子供ほどの大きさの妖精が後ろからエイサップに抱きついていた。

 

エレボス

「へー、これが地上人かー。私はエレボス、よろしくね!」

 

エイサップ

「う、うわぁっ!?」

 

 驚くエイサップ。リュクスは、まるで悪い虫が出たかのように大きなフェラリオ……エレボスに警戒心を剥き出しにしていた。

 

リュクス

「エイサップ、ふしだらなフェラリオに気を許してはいけません!」

 

 しかしエレボスは人好きのする笑顔を浮かべて、リュクスにも「よろしくね?」と甘えてみせた。それがリュクスを余計に苛立たせていることは無視し、エレボスはエイサップの背中から離れると、可愛らしいふたつ結びの金髪を靡かせながら、踊るように他のフェラリオを散らせていった。

 

エレボス

「はーいみんな、今から大事な話だから下がった下がったー」

 

 エレボスが言うと、フェラリオと呼ばれた妖精達は槇菜から離れ、それぞれ自分の居場所へ戻っていく。

 

エイサップ

「なんなんだ、妖精……?」

 

槇菜

「それだけじゃないよ。さっき5メートルくらいあるおっきな金魚が泳いでた!」

 

 異常事態というかのように、槇菜は自分の見た「お化け」について早口で捲し立てていく。

 

リュクス

「エイサップ、この方は?」

 

エイサップ

「ああ、槇菜は地上の知り合いだよ。それより、ここは……?」

 

 そう言いながらエイサップが周囲を見回すと、フェラリオ達は花の蜜を吸いながらこちらの様子を伺っている。それに、槇菜の言う大きな金魚も泳いでいた。海の中でありながら、呼吸ができて、草木や人も生きていける世界。こんな場所が現実にあるのか。それとも、自分達はもう死んでいて、死後の世界を夢に見ているのではないだろうか。そんな雑念が脳裏を過るほどに、この光景はエイサップの常識から外れていた。

 

???

「ここは地上界とバイストン・ウェルをオーラロードで繋ぐ、フェラリオの生きる場所ワーラーカーレン。このくらいのことは驚くに値せぬよ、エイサップ鈴木」

 

 その時、あの声が響く。脳を直接刺激するような強い声。エイサップ達がその声の主の方へ目を向けると、巨大な木のようにも見える、いや植物と一体化しているようにしか見えない異様な老婆が、こちらを睥睨していた。

 

リュクス

「ジャコバ・アオン……!」

 

 ジャコバ・アオン。そう呼ばれた何かはエイサップの名を、たしかに口にしていた。

 

槇菜

「エイサップ兄ぃのこと、知ってるの……?」

 

エレボス

「ジャコバ様はフェラリオの王だよ、そのくらい見通せて当然さ」

 

 なぜかエレボスが得意げに言う。しかし、ジャコバはそれにゆっくりと頷き、「そう、視えておったよ……」と続ける。

 

ジャコバ

「リュクス姫……其方の無思慮な行いが、懲罰に値することもな!」

 

 宣告する。すると先ほど名無しのオーラバトラーとゼノ・アストラを巻き込んでいったのと同じような濁流がリュクスを襲い、リュクスはその中に囚われてしまう。

 

エイサップ

「お、おい!」

 

 抗議の声を上げるエイサップ。槇菜も、その傲慢にすら思えるジャコバの所業に、巨体を睨んでいた。

 

ジャコバ

「ほう…………。この者達に免じ、申し開きを許そうリュクス姫。言いたいことはあるか?」

 

リュクス

「カハ……!」

 

 水を吐き出しながら、リュクスは呻くように竜巻の中で弁明をはじめる。

 

リュクス

「ジャコバ・アオン様、私はオーラロードを開くつもりなどなかったのです! ただ、父の野心と義母の傲慢を糺し、アマルガンにはこの乱れた地を治めてほしいと……。そのために、リーンの翼の沓を持ち出したのです!」

 

ジャコバ

「フム…………」

 

 いかにジャコバ・アオンとて全能ではない。遠くコモン界で起きた出来事の全てに纏わる心情や動機まで見えているわけではない。しかし、今目の前にいるリュクスが嘘をついていないことと、そしてその程度のことでリーンの翼が顕現することはないだろうことくらいはわかる。

 

ジャコバ

「ならば、エイサップ鈴木。そなたがリーンの翼を開いたのだろう」

 

 ジャコバが竜巻を解除し、落ちるリュクスがエイサップの肩に捕まるようにして足を地につける。槇菜がそれを、少し羨ましそうに見つめていた。だが、当のエイサップはそれどころではない。

 

エイサップ

「俺が……? 待ってくれよ、俺はそんなリーンのなんとかなんて、大それたものを呼びさせる能力者じゃない。ただの、浪人中のフリーダーで……」

 

ジャコバ

「だが、リーンの翼のようなものをほしいと思ったことがあるだろう?」

 

エイサップ

「っ——」

 

 ハッとする。エイサップはたしかに、ずっと密かに抱いていた願望があった。違う世界へ羽ばたく翼がほしい。それは、幼少期の記憶に由来していた。

 幼い頃、1人で虫捕り遊びをしていた時……羽根を広げて飛んでいく甲虫を見て、思ったことがある。もしかしたらそれは、隣に親子で虫捕りをする級友がいたからかもしれない。

 

ジャコバ

「フ……。若き聖戦士か」

 

 ジャコバがひとりごちる。エイサップには、聖戦士という言葉の意味はわからなかった。

 

槇菜

「エイサップ兄……?」

 

ジャコバ

「それと、そこの女……櫻庭槇菜か。そなたの乗る絡繰、旧神だな?」

 

槇菜

「え……?」

 

 言われて、一瞬きょとんとする槇菜。しかし、ジャコバがゼノ・アストラについて何か知っているということに思い至ると血相を変えて乗り出した。

 

槇菜

「ジャコバさんは、この子が何か知ってるんですか! だったら……教えてください!」

 

ジャコバ

「ほう……。おまえはこれが何か知らずに乗っていたと言うのかい?」

 

 首肯する槇菜。ジャコバは一瞬、顎に手を添えるような仕草をして語り出した。

 

ジャコバ

「私も詳しくは知らぬ。だが、バイストン・ウェルは魂の安息と修練の場。本来、地上人は死後に輪廻の輪としてのみここを訪れる事になる……。槇菜、お前のその絡繰は地上に在りて数少ない、生と死の輪廻に干渉する力を持つ器だよ」

 

槇菜

「え……?」

 

 魂の安息と修練。輪廻の輪。言葉のニュアンスは理解できても、それを実感として感じることはできない。

 

ジャコバ

「だとすれば……地上で旧神が目覚めたことも、大きな意味があるのだろう。リュクス、エイサップにリーンの翼の沓を履かせ、エイサップと槇菜を連れてすぐにここを発ちなさい」

 

リュクス

「し、しかしこの沓は父が天から授かった大切なものです。簡単には……」

 

 有無を言わさぬジャコバの言葉に、リュクスは反論する。父の宝物を、今日知り合ったばかりの男に渡せと言われて簡単に了承することなどできないだろう。しかし、ジャコバはそんなリュクスの小さな視点での反論になど耳を貸す気がない。

 

ジャコバ

「わからぬか姫様よ……。今、世界は危急の時を迎えている。お前達3人はその渦の、中心にいるのじゃ」

 

 ジャコバは目を細めて、エイサップを一瞥する。ゾク、と背筋が凍るのをエイサップは感じた。

 

ジャコバ

「その少年に出逢えたこと、偶然だと思うか? 私達フェラリオの祈りだけは開かないにオーラロードが2度も開かれたことや、リーンの翼が呼ばれたことも……」

 

エイサップ

「呼ぶ?」

 

ジャコバ

「そういうものらしい。リーンの翼に関しては、私にもわからぬことが多いでな」

 

 首肯し、ジャコバは海の中に広がる花畑を指差す。その花の蕾が開くと、中から赤子が生まれ、エレボスくらいの大きさのフェラリオが赤子を抱いていく。

 

槇菜

「……生と死の輪廻って、こういうこと?」

 

ジャコバ

「うむ。ここクスタンガの丘はワーラーカーレンでも特別な場所……地上で死んだ魂が生まれ変わる、神聖な場所でもある」

 

 地上を生の世界と呼ぶならば、バイストン・ウェルは死の世界であるとジャコバは続ける。生と死。隠と陽。隣り合わせに存在するが故に、本来踏み越えてはならない境界が、揺らいでいると。

 

ジャコバ

「リーンの翼は、地上とバイストン・ウェルの均衡が乱れた時に顕現する。わかるな、地上界、ワーラーカーレン、バイストン・ウェル……これら世界は別々のものではない。あらゆるものが紡ぎ合い、響き合っておるのじゃ。必要な時に、必要なものが現れるのも世界の必然……」

 

槇菜

「必要な時に、必要なものが……」

 

 つまり、ゼノ・アストラもこの世界が必要を感じたから、現れたのだろうか。或いはそれは、ミケーネ帝国の復活とも関係しているのかもしれない。

 

リュクス

「70年前に父がバイストン・ウェルに舞い降り、部族間の争いが絶えなかったヘリコンの地をリーンの翼で平定したのも、やはり世界の必然ということでしょうか。だとしたら、やはり父は聖戦士……!」

 

ジャコバ

「…………その後、お前の父が何をしているのか知っての痴れ言かな姫様よ。王は生まれ故郷に帰りたい一心で、オーラマシンを開発し戦乱を拡げている。その所業は最早悪鬼のものであろう?」

 

リュクス

「それは……!」

 

 リュクスの目には、父の望郷の念を利用して義母コドールが野心を燃やしているようにしか見えないでいた。

 

ジャコバ

「姫様よ……。もう少し、バイストン・ウェルの意志に任せてみませぬか?」

 

 そんなリュクスの焦りを見透かしたかのように、ジャコバは言う。

 

リュクス

「バイストン・ウェルの、意志……?」

 

ジャコバ

「エレボスをつけてやる。その少年と、巫女の少女と共に世界と、人というものを知りなさい」

 

 ジャコバの言葉を合図に、羽根をパタパタと羽ばたかせながらエレボスはオーラバトラーのコクピットへと移動している。

 

エレボス

「おーい、早くー!」

 

 エレボスに急かされて、リュクスとエイサップはオーラバトラーへ戻っていく。キャノピーを閉じ、オーラ力を吸う羽根を広げる。

 

槇菜

「…………ジャコバさん、一つだけ、教えてください」

 

 ゼノ・アストラへ向かいながら、振り返る槇菜。ジャコバは、「何か」と訊き返す。

 

槇菜

「ゼノ・アストラは……世界に必要なものなんですね?」

 

 それにジャコバは静かに頷く。それを見て、槇菜は再び歩き出すと、ゼノ・アストラの子宮へと戻っていった。

 

 

 

 

 2機が向かう先にあるのは、嵐の壁と呼ばれる断崖。巻き起こる突風が台風のように渦巻き、ワーラーカーレンとバイストン・ウェルを塞いでいる。

 

槇菜

「ここを、飛び込むの……?」

 

 昔、何かの映画で見たことのある巨大な暴風雨。それと同じか、それ以上の迫力。その中にこれから、飛び込めとジャコバは言う。

 

エレボス

「…………いや、怖いよこれ」

 

リュクス

「お黙りなさい」

 

 ピシャリと言い放つリュクス。エイサップも、その迫力に息を呑んでいた。しかし、今はやるべきことがある。

 

エイサップ

「リュクスの履いていたこの靴……なぜか俺にぴったりだ」

 

 リーンの翼の沓。リュクスが履いていたそれを今、エイサップはジャコバに言われるまま履いている。少女が履いていたものが、なぜこうもぴったりとフィットするのか気にはなった。だが、この沓が翼を授けてくれると言うのならば不思議と、嵐の壁も越えられるような気がしている。

 

エイサップ

「行くよ、リュクス」

 

リュクス

「はい、エイサップ」

 

 エイサップの膝に座り、その肩を抱くように捕まるリュクスと、その隣を飛ぶエレボス。そして、名無しのオーラバトラーはその羽根羽ばたかせて嵐の壁へと飛び込んだ。

 

槇菜

「エイサップ兄ぃ……結構勇気あるんだ。なら!」

 

 自分も、負けてられない。覚悟を決めてゼノ・アストラに「飛べ」と念じる。すると、黒い体躯が浮き上がり、空を舞う。ゼノ・アストラがどのような仕組みで飛んでいるのか、槇菜はわからない。しかし、「飛べ」と念じた時に槇菜は一瞬、翼を得たような気がした。

 

槇菜

(この子、やっぱり……私の思いを媒介して、機能を増やしてるんだ!)

 

 思いの翅。その翅を広げて、ゼノ・アストラは名無しのオーラバトラーに続いていく。

 

エイサップ

「槇菜も、離れるなよ!」

 

槇菜

「うん!」

 

 嵐の壁を突き抜ける、2機のマシン。突風の中、エイサップの履くリーンの翼の沓が黄金色に輝いた。それと同時、名無しのオーラバトラーの足下からも煌めきの翼が広がっていく。

 翼の導きのまま、2機のマシンは嵐の壁を越えていく。そして……。

 

 

…………

…………

…………

 

 

—ホウジョウ国—

 

 

 バイストン・ウェルの大国ホウジョウ国は、オーラマシンを建造し戦火を拡大するサコミズ王と、その姿勢に反抗する反乱軍の諍いが絶えなくなっている。この地に、2人の地上人がいた。

 彼らは地上人でありながら、バイストン・ウェルの人間……コモンに帰化し、狩猟で日々の糧を得ている。

 1人は、赤毛の青年だった。森の中で息を潜めるように隠れていた青年は弓を構え、矢を放つ。すると、矢は鹿のような生き物に命中し心の臓を射抜く。「よし……!」と赤毛の青年がガッツポーズをすると、後ろから金髪の青年が、バケツに魚を入れてやってきた。

 

シャア

「さすがだな、アムロ」

 

 アムロと呼ばれた赤毛の青年が振り返り、金髪の美青年シャアに頷く。

 

アムロ

「シャア、今日は大量だな」

 

シャア

「ああ。これなら数日は保つだろう」

 

 アムロ・レイとシャア・アズナブル。彼らはかつて、地上界で宿敵同士だった。宇宙世紀という時代……まだ各国家間が戦争を繰り返していた頃。宇宙世紀晩年の戦争で2人は戦い……そして、地上へは帰ってこなかった。

 アムロと、シャア。2人は気付けばここバイストン・ウェルにいた。どれほどの年月が経ったのか、本人達にもわからない。だがひとつわかっていたのは、この見知らぬ異郷の地において、2人は互いの憎しみを捨て去らねば生きて行けないと本能的に悟っていた。

 だから今、宿敵同士の2人はこうして、コモンとして暮らしている。それでも、世界の情勢や動向といったものには、敏感とならざるを得なかった。

 

シャア

「アムロ、お前はどう考えている?」

 

 魚を串焼きにしながら、シャアが訊く。

 

アムロ

「西の大国で建造されていたオーラマシンとかいうの、俺達が乗っていたサイコミュ・モビルスーツと似てはいるな。俺達がこの世界へ来た時は……機械なんてない、中世以前の戦いだった。だが、ここ数年でバイストン・ウェルの空気も変わりつつある」

 

シャア

「そうだな……バイストン・ウェルが宇宙世紀の様相を呈していることは、認めざるを得ん」

 

 焼け具合を確認しながら、アムロが続ける。

 

アムロ

「しかし、だからこそ地上人の俺達は無用の介入をするべきではないだろう。バイストン・ウェルは魂の安息の場所、これ以上の混乱は避けねばならないからな」

 

 そんなアムロの言葉に、シャアは首肯する。戦いとは、人の意志を呑み込むものだというのは2人の実感だった。もし、この争いに地上人の意志が介入するのならば、それは良くない結果を招く。それが、長い時を共に過ごした2人の出した結論だった。2人がオーラバトラーに乗り戦争に参加するのならば、戦況そのものに大きな変化を齎すことができるかもしれない。しかし、それは2人の……バイストン・ウェルの望むものではない。それに、何より地上界での度重なる戦争でアムロもシャアも、疲れていた。

 

アムロ

(バイストン・ウェルが魂の安息の場所と言うのなら、もう少しだけ休ませてほしい。俺もシャアも、十分すぎるほどに戦ったんだ……)

 

 それは、アムロの甘えなのかもしれないと自覚している。それでも、宿敵であるシャアと剣を交えずこうして共に過ごしていられるコモンの生活を、アムロは気に入っていた。

 決して許し合うことのできないだろう仇敵同士だったアムロとシャアだが、それは世界というしがらみがそうさせていたのだとここバイストン・ウェルに来てから思う。しかし、こうしてコモンの生活に甘んじることができるのも、後わずかなのだろう。そういう直感があった。

 

シャア

「ホウジョウの王、地上人だと聞いているが……」

 

アムロ

「ああ。俺たちより古くから、バイストン・ウェルに流れ着いた聖戦士だと……そう聞いている」

 

シャア

「サコミズ王か……」

 

 2人の感性は、サコミズ王のオーラ力というものを鋭敏に感じていた。そして、そのオーラ力がバイストン・ウェル全体を呑み込もうとしていることも。

 

シャア

「アムロ……私は、かつての私を見ているような気さえするよ」

 

 焼けた魚に食らい付きながら、シャアは本音を吐いていた。

 

アムロ

「怨恨、怨念……。精神の世界でもあるバイストン・ウェルでは、それがより強く影響するのかもしれないな」

 

 シャアの心情を察しながら、アムロは魚に齧り付く。そうして、静かな夕食を終えた時だった。バイストン・ウェルの海が、オーロラの光に満ち溢れたのは。

 

シャア

「アムロ、これは……!」

 

アムロ

「ああ、サイコフレームの共振。あの時の輝きに似ている……何か来るぞ、シャア!」

 

 

 

……………………

第5話

『メビウスの刻を越えて』

……………………

 

 

 アプロゲネと、ハリソン達の輸送機がオーラロードを切り拓いた時、その眩い光が皆の視界を奪っていた。

 

ドモン

「こ、ここは……?」

 

 ドモンの第六感はしかし、強烈な敵意を感じていた。そして、視界が回復すると同時……最初に見えたのは、蝶のような羽根を広げた、赤と黒のオーラバトラー。その存在感に、キング・オブ・ハートのドモンが戦慄する。

 

ショウ

「まさか、あのオーラバトラーに乗っているのは……」

 

 言うまま、ダンバインがアプロゲネから出撃する。しかし、ショウはアプロゲネから離れられないでいた。

 赤黒いオーラバトラーと、その後方に控えるオーラバトラー部隊へ切り込むタイミングが、掴めないでいる。

 

アマルガン

「オ、オウカオー……!」

 

「なんだあいつは……!」

 

「気をつけろ忍。あの闘気、只者ではないぞ!」

 

 オウカオーと呼ばれたオーラバトラーの周囲には、ホウジョウ国のオーラバトラーが展開されている。そして、ドモン達と同じようにオーラロードから戻り、辿り着いたキントキは、既に主砲をアプロゲネとダンクーガへ向けているのが、ショウだけでなく、この場にいた全員を緊張させていた。

 

ロウリ

「な、なんだよこれ……」

 

金本

「虫ロボットが、あんなに……」

 

 格納庫に隠れて、ウィングキャリバー・フォウに搭乗していたロウリと金本も、脱出の隙を窺っていた。しかし、ダンバインだけでなくアプロゲネにしがみついているダンクーガが離れなければ、出るに出られない。いや、

 

ロウリ

「こうなったら、覚悟決めるしかねえ!」

 

 ロウリが叫ぶと、金本とロウリを乗せたフォウがアプロゲネから飛び出していく。

 

アマルガン

「地上人!?」

 

ロウリ

「俺たちぁこんなところで死ぬのは、ごめんなんだよぉっ!」

 

 操縦方法は、地上人のロウリには驚くほど簡単だった。これなら、コンピューター・ゲームのFPSの方がよほど難しいかもしれない。しかし、それで敵へ向かう勇気など持たないロウリと金本は、不慣れな操縦で一目散にその場を飛び立っていった。

 

 

サコミズ

「フ……アマルガンと、地上の軍隊と見た!」

 

ベルナデット

「トビア……」

 

 不安そうに、トビアの腕を掴むベルナデットを安心させるように、トビアは肩を抱いていた。だが、不安なのはトビアも変わらない。

 

トビア

「あの赤いオーラバトラー……とんでもないプレッシャーを感じる。何なんだ、あの人は……?」

 

 ともかく、敵に囲まれているという状況に変わりはない。F91とスカルハート、それにゴッドガンダムとブラックウィングも、ダンバインに続いて出撃し、赤いオーラバトラーと睨み合う。それが、合戦の合図だった。

 

サコミズ

「西の大陸の聖戦士、手合わせ願おうか!」

 

 赤いオーラバトラー、桜花王と名付けられたサコミズ王のオーラバトラーが、その美しい蝶のような翅を羽ばたかせダンバインへ挑む。あの名無しのオーラバトラー同様にオーラソードに炎を纏わせ、ショウのダンバインへ斬りかかる。

 

ショウ

「やはり、地上人か!?」

 

サコミズ

「ヤエーッ!?」

 

 咄嗟にオーラソードを抜き、ショウも己のオーラ力を剣に纏わせ鍔迫り合う。

 

ショウ

「つ、強い!?」

 

 その一打一打が、ショウを震わせる。それほどにサコミズ王のオーラ力は、覇気を感じる色をしていた。

 そのサコミズ王の一打と共に、ホウジョウのオーラバトラー隊が動く。ライデンと名付けられた軽装のオーラバトラー達。それが、地上のモビルスーツ達へ迫った。

 

カスミ

「地上人の武者の力、見せてもらおう!」

 

 ライデン隊の指揮を取る男カスミ・スガイ。カスミのライデンは、真っ先にドクロの紋章を胸に刻むガンダムへ挑む。

 

トビア

「何っ!?」

 

 さらに、ライデン隊に続くようにキントキからも再びゼイ・ファーとドル・ファー……ムゲ帝国の戦闘メカ達が展開され、攻撃を仕掛けていく。

 

「ムゲ野郎と手を組んでるっていうなら、容赦はしねえ! みんな、行くぜ!」

 

 アプロゲネから離れ、ダンクーガが応戦する。ムゲのマシン達はダンクーガを集中砲火するが、野生の力はそれをものともせずパルスレーザーで吹き飛ばし、専用のライフル、ダイガンで敵を撃ち落としていく。

 しかし、多勢に無勢。

 オーラバトラー隊の後方に控えるオーラバトル・シップ、フガクとキントキの砲門が開かれれば、数で劣るショウ達は一方的に押されていく。

 

ハリソン

「輸送機がっ!」

 

 輸送機の防衛をしながらオーラバトラーの迎撃をしていたハリソンが叫ぶ。これまでハリソンたちを運んでいた輸送機が、フガクの砲撃で推進部をやられ、落下したのだ。

 

トビア

「援護に、回れない! ベルナデット!?」

 

 ビーム・ザンバーでライデンのオーラソードと打ち合いながら、スカルハートのトビアは敵の隙を探る。

 

カスミ

「はははっ! 地上人とてこんなものか!」

 

 カスミの乗るライデンは、オーラソードの圧を上げていく。敵のオーラ力が、トビアを苦戦させていた。

 

トビア

「あの人達は、自信があるんだ。その自信が、このパワーに繋がってる!」

 

ドモン

「ならば、その自信を打ち砕くまで!」

 

 風雲再起に騎乗したゴッドガンダムが、進撃するオーラバトラー部隊の前に躍り出る。そしてドモンが精神統一すると、バックパックのバインダーが展開され、日輪のようなエフェクトがゴッドガンダムを覆った。

 

ドモン

「流派! 東方不敗奥義が一つ!」

 

 その威容を前に、進軍するオーラバトラー達が動きを止める。金色に輝くゴッドガンダムに、オーラの光を垣間見たものもいただろう。

 オーラ力とは、生体エネルギーである。で、あればそれは武術を修め、己の限界を磨き上げ続けたドモン・カッシュのオーラ力とは即ち金色のオーラ力。ドモンのオーラ力を受けたゴッドガンダムの全身が、竜巻のように唸りを上げる。そして、

 

ドモン

「超級! 覇王! 電影弾!!」

 

 その瞬間、ホウジョウの兵達は驚愕の叫びを上げました!

 なんと、ゴッドガンダムがドモンの顔を映し出し、自ら旋風気弾となったドモンが、オーラバトラーを巻き込んで暴れ出したのです!

 これぞ流派東方不敗が奥義の一つ、その名も超級覇王電影弾! 武術の心得を持っていよう武者達とて、この奥義を初見で躱せるものなどいるはずがありません!

 そう…………この男、迫水真次郎を除いては!

 

 

 

サコミズ

「ほう、今の武術、見事だったぞ地上人よ!」

 

 ダンバインと打ち合いながら、オウカオーはゴッドガンダムへ称賛の言葉を送る。次の獲物は、あの地上人。そうサコミズは決めていた。しかし、ダンバインはそう簡単にオウカオーを離しはしない。

 

ショウ

「サコミズ王、王はご乱心なされている!」

 

 オーラソードの鍔迫り合いの最中、近接戦は不利と見たショウはダンバインの鋭敏なツメを持つ脚でオウカオーを蹴り上げ、距離を取る。そこからオーラショットを放ち、サコミズ王をオーラの弾丸が襲う。

 

サコミズ

「君も地上人ならば、望郷の念くらいあるだろう!」

 

 だが、オウカオーはショウのオーラ力を纏った一撃を受けながらも傷一つつかない。そして、オウカオーの翅を羽ばたかせて再びダンバインへ迫る。燃え上がるオーラフレイムソードの一打が、ショウへ炸裂した。

 

ショウ

「だとしても、だ! 王がバイストン・ウェルで聖戦士となったことの意味を、今一度お考え直すべきではありませんか! ショット、シャピロのような悪鬼と手を組み、オーラマシンで戦乱を拡大するなどと!」

 

サコミズ

「シャピロもまた、地上へ未練を残しているのだ! その未練が今宵のオーラロードを開いたならば、それもまた世界の理よ!」

 

ショウ

「それは、屁理屈です!」

 

サコミズ

「貴様とて、日本人だろうに!」

 

 オウカオーの一撃が、ダンバインの背中のオーラコンバーターを破損させる。バランス感覚を崩したダンバインは、忽ち姿勢を崩し落ちていった。

 

ショウ

「南無三!」

 

 ショウのオーラ力で、ダンバインは翔ぶ。しかしサコミズ王のオーラ力を目の当たりにし、ショウは戦慄していた。

 

ショウ

「これが、サコミズ王のオーラ力なのか……!」

 

 ショウのオーラ力も、決してサコミズ王に引けを取るものではない。しかし、ダンバインは既にショウの力を十分に発揮できない機体だった。マシンの差。それがショウとサコミズ王を分けている。

 

ショウ

「ク……ビルバインがあればなんて、言いたくないが!」

 

 それでも、今ここでサコミズ王と戦うのが自分の使命なのだと、ショウは再び意識を集中させてダンバインを加速させた。

 

 

…………

…………

…………

 

 

 一方、ムゲの戦闘メカに取り囲まれながら応戦するダンクーガと、それを援護するブラックウィングは奇妙なものを感じていた。

 

「こいつら……俺達を取り囲んで攻撃するばかりで、他のマシンを狙わねえ」

 

 キントキから発進したゾルバドスの戦闘メカがサコミズ王の軍と協調行動を取るのなら、ダンクーガだけに拘る理由はない。しかし、奴らはあきらかにダンクーガを集中攻撃している。

 

アラン

「藤原、余所見をするな!」

 

 ダンクーガの背後に迫るゼイ・ファーをブラックウィングが撃ち落とす。その違和感を、アランも感じていた。

 

雅人

「まさかこいつら、ムゲの敵討ちが目的なんじゃ……」

 

「あり得るな。何しろこいつらの親玉にトドメを刺したのは、他ならぬ俺達だ」

 

 断空砲を解禁し、一気に敵を掃討する。しかし、それは同時にダンクーガの残りエネルギーを激しく消耗させていた。

 

沙羅

「忍、残りエネルギーが少ない。こっからは断空砲は使えないよ…………っ!?」

 

 沙羅が叫び、そして同時に悟る。

 敵の注意を引きつけ誘き寄せ、そして敵の退路を絶って嬲り殺しにする。この戦術は、ある男の得意とするものだ。

 そして、そのある男を沙羅は、知っている。

 

沙羅

「シャピロ……」

 

「何ッ!?」

 

 シャピロ・キーツ。沙羅の恋人であり、彼らの軍学校での教官だった男。しかし、彼はムゲ・ゾルバドス帝国に寝返り地球の敵となり……最終決戦で消息を絶った。

 

「シャピロが、なぜバイストン・ウェルの軍に加担する……?」

 

沙羅

「わからない、でもこれは間違いない。シャピロのやり口だ!」

 

 ダンクーガ越しに沙羅は、キントキにいるはずのシャピロ・キーツを睨んでいた。

 

「沙羅……!」

 

 シャピロ。その名前が沙羅の人生を縛り付けていることを、忍は知っている。そのシャピロが、ここにいる。少なくとも忍の経験上、シャピロに関して沙羅の勘が外れたことはない。ならば、とダンクーガは機体を加速させて、キントキへ迫る。雑魚を無視し、一目散に。

 

シャピロ

「ム……」

 その動きに、キントキの艦橋に立っているシャピロは気付いた。ダンクーガが、明らかにこちらを狙っている。

 

シャピロ

「コットウ艦長、主砲をあの巨大メカへ向けろ。奴はキントキに狙いを定めたようだ」

 

 内面の激情などおくびにも出さず、シャピロはコットウへ指示を出す。コットウはその指示を理解すると、キントキのオーラキャノンを全てダンクーガへ向け、発射する。オーラの火球が、ダンクーガを襲った。

 

雅人

「うわっ! 忍!?」」

 

「エネルギーも残り少ない、無茶をするな!」

 

 

 しかし、それでもダンクーガは怯まない。忍は、自身の愛機イーグルファイターをダンクーガから切り離し突撃する。

 

「シャピロてめぇ、いるなら出てこい!」

 

 イーグルファイター。ブラックウィング同様猛禽のような姿をした戦闘機は、オーラキャノンを掻い潜りながらキントキへ迫る。バルカン砲を撃ちまくり、迎撃するドル・ファーを撃ち落としながら、その風切り刃が忍の野性に感応するかのように熱を持ち始める。

 

コットウ

「これは、まさかあれもオーラマシンなのか!?」

 

 忍の野性をオーラ力と呼ぶのならば、コットウの認識は正しい。獣戦機は、野性を解放することで秘められた力を発揮する。それは生体エネルギーを糧としている点で、オーラマシンと似た性質を持っていた。

 そんなイーグルファイターの体当たりは、言わば獣戦機によるオーラ斬りと言っても過言ではない。キントキの船体に、野性のオーラは衝撃を与える。しかし……キントキから発進した紫色の戦闘メカが、イーグルファイターを捉えていた。

 

シャピロ

「藤原忍……無理だな、その腕では。この私に触れることもできん!」

 

 ロングバレルのビームキャノンが、イーグルファイターへ放たれた。

 

「何ッ!?」

 

アラン

「藤原、下がれ!」

 

 ブラックウィングが、イーグルファイターの盾となるように庇い、ビームの直撃を受ける。

 

「アラン!?」

 

アラン

「クッ……藤原、ダンクーガに合体しろ。奴がシャピロなら、それしか勝ち目はない!」

 

 イーグルファイターよりも一回り大きいブラックウィングは、ビームの直撃を受けながらもその装甲を貫くには至らない。そして、紫の戦闘メカとキントキの艦板上で接近戦を開始する。翼が折り畳まれ、猛禽の姿から人型形態へ変形し、ライフルを撃ってシャピロの乗る戦闘メカ……デザイアを牽制していた。

 

シャピロ

「黒騎士か。またしても私の邪魔をする!」

 

アラン

「お前に、ダンクーガをやらせはしない!」

 

 アランの言われるまま、イーグルファイターは旋回しダンクーガへ再びドッキングする。そして、ダイガンを構えデザイアへと狙いを定めた。

 

沙羅

「……忍、見えるだろあの戦闘メカ。右肩が震えてる」

 

「!?」

 

 右肩の震え。それは、士官学校の教官だった頃からのシャピロの癖だった。間違いない、あれはシャピロ・キーツ!

 

「忍、ダイガンのエネルギーも残り1発が限度だ。絶対に当てろよ!」

 

「わかった。…………沙羅、いいな?」

 

 シャピロの戦闘メカ・デザイアに狙いを定め引鉄を引く直前、沙羅へ訊く。沙羅は一瞬、言葉を詰まらせそして、きっぱりと言い切った。

 

沙羅

「ああ、忍……しっかりやんなよ!」

 

 沙羅の返事を聞いて、忍はひとつ頷く。沙羅の心が決まっているのならば、迷うことはない。

 

「OK……やってやるぜ!」

 

 その言葉を合図に、ダイガンが放たれた。威力は断空砲に比べれば大きいわけではない。しかし、それでも戦闘メカを屠る出力を十分に有している。

 

シャピロ

「何!?」

 

 アランとの戦いの中、シャピロは自分がダンクーガの射程内に引き摺り込まれたことに、その光を見て漸く、気がついた。避けようとしても、ビームの光は間に合わない。ならば、とシャピロは、マシンの両腕でコクピットをガードした。

 

「しまった!?」

 

 両腕の装甲を吹き飛ばしても、致命傷には至らない。しかしシャピロはコクピットの中で、憎しみの視線を、ダンクーガへ向けていた。

 

シャピロ

「この私に楯突くとは……後悔させてやる!」

 

 装甲が剥げ、機械部品の顕になった腕でビームキャノンを構えるシャピロ。ダンクーガには、応戦するエネルギーはもはや残されていない。

 

アラン

「藤原、撤退しろ!」

 

アランが叫ぶ。しかし、どこに撤退しろというのか。この異世界バイストン・ウェルで。

 

「クソ……!」

 

 その時だった。高出力のビームの光が、シャピロのデザイアを襲ったのは。

 

シャピロ

「ビームだと? どこから……!」

 

 シャピロが、周囲を見回す。すると、墜落した輸送機から2機のモビルスーツが大地に立ち、そして大口径のメガランチャーでデザイアを狙っていた。

 

 

…………

…………

…………

 

—輸送機—

 

 時は、少し遡る。

 オーラバトラー隊の攻撃と、オーラロードを越えたダメージで墜落した輸送機を、2人の男が見ていた。アムロ・レイとシャア・アズナブル。2人はこの異常事態を見届けながら、感じていた。

 

アムロ

「この憎しみは……?」

 

シャア

「憎しみ、悲しみ、郷愁、未練……感じたか、アムロ?」

 

 頷き合い、2人は蝶の翅を広げる赤いオーラバトラー・オウカオーを見やる。そこに乗っているのが地上人の王、迫水真次郎であることを知らぬ者は、ホウジョウの国にはいない。

 

アムロ

「あれが、サコミズ王なのか……?」

 

 リーンの翼の聖戦士。その伝説に聞く勇名よりも2人が感じていたのは、負のオーラ力。かつて、アムロとシャアが共に戦った戦争において、地球を覆い尽くすほどの怨念を渦巻かせた刻の涙。それと同じものを、2人は感じていた。

 

シャア

「サコミズ王の悲しみは、やがて世界を食らい尽くすことになる……」

 

 それでは、このバイストン・ウェルは宇宙世紀の二の舞になる。それを、2人は本能的に理解していた。そして、何よりも。

 墜落した輸送機からアムロとシャアを呼ぶ声が聞こえたのだ。それは、バイストン・ウェルのコモン界で暮らしていた時の中で、地上に置き、忘れ去られたものの声。今まさに、アムロとシャア。2人のニュータイプの存在を必要としている人達の声でもある。

 勘弁してほしい。そうアムロは思った。せっかく得た安らぎすらも、自分の預かり知らぬ世界の都合で破壊されてしまうというのか。だからシャアは地球潰しをしようとしたんじゃないか。人間は、未だにここまで愚かしいのか。そんな負の思念が、アムロの中に去来していた。だが、シャアは違っていた。

 

シャア

「アムロ…………。私は、ずっと考えていたんだ。私の犯した過ちを、どう世界に贖罪せねばならんのかと」

 

アムロ

「シャア、それは……」

 

 シャアは確かに、地球へ隕石落としを敢行した大罪人である。2人はその渦中の死闘の最中、お互いの乗っていたサイコミュ・モビルスーツの共振と人々の意識が集中したことによる理解不能の現象によってここ、バイストン・ウェルへと飛ばされてしまった。

 だが、シャアはコモン界での生活でだいぶ、負の感情から脱却できていた。そうなれば、次に考えるのは過去への贖罪である。それを理解できるからこそ、アムロは自分の甘えを、押し殺さざるを得なかった。

 

アムロ

「……墜落したのは、地上の輸送機に見える。シャア、行くぞ!」

 

 叫び、アムロとシャアは一角獣を駆り、輸送機へ向かい駆けていく。戦火の中を、2人はまるで自分の手足のように一角獣を巧みに操り、輸送機の中へと飛び込んでいった。

 

 

 

アムロ

「これは……!」

 

 輸送機の中に格納されていたモビルスーツを見て、アムロは自分達を呼んでいたものの正体を理解する。

 

アムロ

「Zガンダム……カミーユ・ビダンなのか?」

 

 カミーユ・ビダン。かつてアムロとシャアが共に戦っていた時期に、2人が将来を期待した少年。その愛機だったモビルスーツが、ここにある。それは、バイストン・ウェルという世界が人の精神の世界であることとも関係しているのかもしれない。

 カミーユが、アムロとシャアを呼ぶためにこの場にゼータを置いた。そんな風に、アムロには思えた。

 

シャア

「百式……。アムロ、私は百式で援護する。お前はゼータで、邪悪なオーラ力の元を断て!」

 

アムロ

「シャア……わかった」

 

 頷いて、Zガンダムのコクピットを開き乗り込むアムロ。シャアも百式に乗り込み、そのコクピット・シートの座り心地を思い出していた。そして、

 

アムロ

「アムロ、ガンダム……行きます!」

 

 誰に言うでもなく、自分に言い聞かせるようにアムロは、ゼータのコクピットの中で叫び、旧式のモビルスーツを発進させた。

 

 

…………

…………

…………

 

 

ハリソン

「ゼータと百式が、動いている? 誰が操縦しているんだ!」

 

 受領したはいいものの、持て余していたモビルスーツが動き、友軍の危機を救った。この状況にハリソンは理解が追いつかないでいる。それでも、搭乗者だけは確認しなければならない。ハリソンは、ゼータのパイロットに通信を試みる。しかし、待っていたのは予想もできない回答だった。

 

アムロ

「こちらロンド・ベル所属アムロ・レイ大尉だ。これより、貴官らを援護する!」

 

ハリソン

「あ、アムロ・レイだと!?」

 

 アムロ・レイ。宇宙世紀時代にシャア・アズナブルと並び撃墜王と称されたトップエースが、なぜかここにいる。しかもモニタに映し出された顔はヘルメットなど付けていないので判別できるのだが、それはたしかに教科書で見たアムロ・レイ大尉の写真と瓜二つだった。

 

シャア

「こちらはシャア・アズナブル。これより地上人の戦列に加わる!」

 

 百式からも、アムロと同様に……いや、人類史においてはアムロ以上の大人物が、写真そのままの顔を晒していた。

 

トビア

「アムロと、シャア……本物なのか?」

 

 カスミのライデンと斬り合いながら、トビアが呟く。以前、トビアは『アムロの戦闘データのみをコピーしたバイオ脳』と戦ったことがある。その時、初見での対応が難しい武装を装備していたスカルハートがなければ間違いなくトビアは死んでいた。コピーとはいえアムロ・レイ全盛期の戦闘能力は、それほどの強敵だった。

 

カスミ

「余所見をするな地上人!」

 

 そこに、カスミのライデンがオーラソードを振り上げる。突然の乱入者に目を奪われていたトビアは、その斬りに反応できなかった。

 

トビア

「しまった!』

 

 だが、直後カスミのライデンを襲う爆炎。その隙にクロスボーン・ガンダムは距離を取り、ピーコック・スマッシャーを構え直す。

 

トビア

「い・ま・だぁっ!?」

 

 乱射されるビームの扇が、ライデンの装甲を貫いた。

 

カスミ

「何とッ!?」

 

 予想外のダメージを受け、怯むカスミ。怯え、迷いはオーラ力を鈍らせる。ライデンの、動きが鈍くなる。そこに、さらに火力が撃ち込まれ、カスミのライデンは墜落していった。

 

トビア

「今のは……?」

 

シャア

「少年、敵のプレッシャーを感じてもそれに呑まれてはいかん。迷いは自分を殺すことになるぞ」

 

 既に旧式の、トビアのクロスボーン・ガンダムと比べれば骨董品であるはずの百式が、バズーカ砲を構えている。先ほどの援護射撃がシャア・アズナブルによるものだと、トビアは理解した。

 

トビア

「あ、ありがとうございます。シャア……大佐」

 

 大佐。軍人としての階級はそうであったとトビアは以前、本で読んだことがある。だから、そう付け加えた。

 

シャア

「大佐呼びはやめてくれ。私はあくまで義勇兵だからな……名を、何と言う?」

 

トビア

「トビア……トビア・アロナクスです」

 

シャア

「そうか、いい名だな。百式で空中戦はできん。私は地上から援護射撃を行う。君達が本命を叩いてくれ!」

 

 まるでブランクなど感じられぬ機体さばきででシャアは、オーラバトラー部隊へ牽制射撃をかける。応戦するオーラバトラー達だが、

その攻撃は当たらない。

 

ハリソン

「あれが……赤い彗星」

 

 味方すらも戦慄させる操縦技術、シャアは敵を引きつける。そしてそれは確かに、敵の隙となった。

 

ドモン

「今だみんな、行くぞ!」

 

 ドモンの合図で、スカルハートとF91、そしてゴッドガンダムがオーラバトラー部隊へ切り込んでいく。先程までの苦戦が嘘のように、ガンダム達はオーラバトラーを墜としていった。

 

 

シャピロ

「アムロ・レイだと……? 過去の亡霊如きが、この私に逆らったか!」

 

 シャピロ・キーツには尊敬する人間がいた。1人はナポレオン・ボナパルト。もう1人は、ギレン・ザビ。彼らは己が才覚を持って英雄への道を歩みながら、志半ばで倒れた。それは、愚民の天才への無理解が起こした時代の堕落だとシャピロは盲信している。アムロとシャア。その存在は言わば、シャピロの尊敬するギレン・ザビを失墜された要因であるとシャピロは考えていた。

 そのアムロとシャアが、ここにいる。それは、シャピロにとって最も許せない冒涜だった。

 沙羅の、ダンクーガのことなど忘れたようにシャピロの戦闘メカ・デザイアはゼータへ駆ける。ビームキャノンを撃ち、アムロを狙う。

 

アムロ

「その邪気……負のオーラ力の源は、こいつか!」

 

 だが、アムロはそんなシャピロのプレッシャーを跳ね除けて、旧式であるZガンダムを機動させる。ビームを避け、高機動航空機形態ウェイブライダーへと変形したゼータは、ビームガンを撃ちながらシャピロへと迫る。

 

シャピロ

「この私を侮辱した罪、命をもって贖うがいい!」

 

アムロ

「やるかよ!」

 

 ビームを撃たれる前に、ウェイブライダーのビームガンがビームキャノンの砲身へ命中する。忽ち引火し、ビームキャノンは爆散。慌ててそれを捨て、シャピロはゼータを睨んでいた。

 

シャピロ

「この私をここまで苦戦させるだと、アムロ・レイ!」

 

アムロ

「その怨念だ! その怨念が世界に悲しみを広げることになる!」

 

 ウェイブライダーが赤いオーラ光に包まれていくのを、その場にいた全員が呆然と見つめていた。

 

ショウ

「あれは、モビルスーツがハイパー化する!?」

 

サコミズ

「このオーラ力は、何だ!」

 

 やがてゼータは空中で変形し、左腕に隠されているグレネードランチャーをデザイアへ浴びせると、右手にビームサーベルを構えた。

 

アムロ

「これは……そうか、バイストン・ウェルが魂の安息の地なら、安息を願う魂に満ちている。それが、ゼータに力を与えているのか。ならばっ!」

 

 巨大な敵を討てと。渦巻く血潮を燃やせと。魂の安息を願う命たちが、ゼータを介してアムロに力を与えているのを、アムロは感じていた。

 

アムロ

「だが、俺が撃つのはその、怨念だけだ!」

 

 赤い光に包まれて、巨大化したビームサーベルがシャピロを飲み込んだ。

 

シャピロ

「何だと!? デザイアよ、動け……なぜ動かん!?」

 

 オーラ力が、シャピロの戦闘メカに誤作動を起こさせているのかもしれない。ともかく、シャピロはこの時、回避することができずにデザイアはその全身を、ハイパー化したビームサーベルに呑まれて……消えた。

 

沙羅

「シャピロ…………成仏しな」

 

 吐き捨てるように、沙羅が言う。

 

「沙羅…………」

 

 シャピロ・キーツの最期は、呆気ないものに忍達には見えた。

 

アムロ

(いや……奴は死んでいない)

 

 ゼータのハイパー化を解除し、アムロは自分の意識を現実に引き戻す。だが、シャピロの怨念のような意識が霧散していないことを、アムロは感じていた。

 

…………

…………

…………

 

 

 シャピロとカスミが撃墜されたことで、ホウジョウ軍の士気が低下しているのをサコミズ王は感じていた。

 

サコミズ

「ヌゥ……!」

 

 自分はまだ戦えるが、戦いとは1人でするものではない。軍団と軍団の戦いにおいて、それは鉄則である。サコミズが若き日に聖戦士と呼ばれていた時代から今まで、それは変わらない真理だった。

 しかし、サコミズ王は王としてこの場に立った。戦いを、不利の一言で終わらせるならばせめて、敵が軍の撤退を許さざるを得ない状況を作らねばならない。どうしたものか、とサコミズは考える。そして、結論が出るとオウカオーの翅をはためかせ、ダンバインをすり抜けオウカオーはアプロゲネへと突進していった。

 

ショウ

「しまった!?」

 

 ダンバインの今の推力では、追いつけない。しかし、地上人の軍もそれぞれの応戦でオウカオーにまで手が回らない。

 

アマルガン

「サコミズ!」

 

サコミズ

「我が盟友アマルガンよ、その首貰い受ける!」

 

 オウカオーのオーラソードが燃える。そして、アプロゲネの艦橋へむけて勢いよく、振り下ろされる。その時だった。

 煌めく翼が、空を裂く。そしてその中から青いオーラバトラーと、ゼノ・アストラが飛び込んできた。

 

サコミズ

「あれはっ!」

 

 ホウジョウ軍の新型。それがアプロゲネを庇うように前に出て、オウカオーと睨み合う。そして、それを守るようにゼノ・アストラは巨大なシールドを構え控えていた。

 

槇菜

「みんな、戦ってる!?」

 

ハリソン

「槇菜君、無事だったか!?」

 

 オーラソードを振り下ろそうにも、ゼノ・アストラの盾が邪魔をする。10mにも満たない小型のオーラバトラーと、20mほどのゼノ・アストラの体格差も、ゼノ・アストラの盾としての性能を発揮させていた。

 

サコミズ

「ええい、どけ!」

 

リュクス

「いいえ、退くのは父上です!」

 

 青いオーラバトラーから、聴き慣れた声がする。リュクス・ホウジョウ・サコミズ。迫水真次郎にとって、他界した長男シンイチを除けば唯一の、バイストン・ウェルで血を分けた存在。

 

サコミズ

「リュクスか!」

 

 娘の介入。サコミズ王は思わず剣を収める。だが、リュクスが地上人の傭兵トッドでも動かせなかったオーラバトラーを動かしているとは、信じられなかった。

 

 

 

 オウカオーは兵を後方に下がらせ、そして青いオーラバトラーを「こちらへ来い」と誘導する。しばしの、停戦号令。地上人達もその隙に、アプロゲネへと集まっていった。

 

槇菜

「エイサップ兄ぃ……」

 

 心配そうに見守る槇菜。

 

ショウ

「ここは、あいつのオーラ力を信じるしかない」

 

 ショウは、オーラロードが開かれたのはエイサップの存在が大きな意味をもっていると感じていた。だから、そのエイサップを信じ、事態の推移を伺っている。やがて、オウカオーが剣を抜き、青いオーラバトラーへ向けた。

 

サコミズ

「示しである。オーラシップを無断で繰り出し、しかも意図したものであるかどうかはともかく……地上人を招き入れた責は追うべきだろう!」

 

リュクス

「…………!」

 

エイサップ

「ち、違います! 巻き込まれたのは、あなた達の軍が地上へ攻撃を始めたからだ! リュクスは関係ない!」

 

 黙っていたエイサップは、リュクスを庇うように捲し立てた。

 

サコミズ

「君がそれを操縦しているのか、名を何と言う!」

 

エイサップ

「エイサップ鈴木……日本の、岩国から来た!」

 

 日本人の、若き聖戦士。サコミズはマシン越しにその強い才覚を感じていた。

 

エイサップ

「俺は、ジャコバ・アオンに言われてこの争いを止めるようにここに来た。サコミズ王、あなたがリュクスの父ならどうか子供のことを考えてやってくださいよ!」

 

 鈴木という青年は、王としてではなく、リュクスの親としての自分を糾そうとしている。その言葉も、心地いい。だが、サコミズ王はあくまで、王としての威厳を捨てるわけにはいかない。

 

サコミズ

「リュクスと岩国の少年が、この王に刃向かうか!」

 

 オーラソードを、思いっきり突き立てる。名無しのオーラバトラーはそれを躱し、剣を抜こうと鞘に手を伸ばす。

 

エイサップ

「リュクス姫は、心配しているだけです! だからこうして、名無しに乗ってまで……」

 

サコミズ

「ナナジンと名付けたかッ! 七福神のッ!」

 

 そのセンスも、サコミズとしては合格である。ますますサコミズ王は、この鈴木という日本人を気に入った。

 

リュクス

「父上!」

 

 ナナジンのキャノピーを開き、リュクスが叫ぶ。一瞬、サコミズ王は目を見開いた。それからリュクスは、感情のまま父へ叫び続ける。だが、サコミズ王はその声を受け入れることなど、できはしない。

 

リュクス

「なぜ、若き日のように聖戦士であろうとなさらないのです! 年老いて妄執に囚われた父など、見たくありません!」

 

サコミズ

「この地に残した禍根を断ち、打倒アメリカを願うのが、なんで妄執か!」

 

リュクス

「これまで父上が地上界へ行けなかった意味をお考えください!」

 

 リュクスのその言葉には、言外の意味が込められているとサコミズ王は悟る。今回のオーラロードに纏わる騒動。その一端。

 

サコミズ

「やはり、お前が盗んだのか!」

 

 リーンの翼の沓が、王の城から消えていたのだ。それを盗んだのが、沓の在り方を知る者であるというのならば容疑者は只一人になる。自身の後継者である一人娘のリュクスには、いずれ沓とオウカオーを託すつもりでいた。だから、内緒で靴の隠し場所を教えた自分の甘さをサコミズ王は恥じる。それが娘をこのように増長させるなど!

 

リュクス

「今回、私は地上へ行けたんですよ!」

 

サコミズ

「それは岩国に鈴木君がいたからだ!」

 

 オウカオーが、ナナジンを蹴り上げる。まるで折檻のように。エイサップは、リュクスが振り落とされないように必死にナナジンを操作していた。

 

エレボス

「わ、わ、わ、危ないよ!」

 

エイサップ

「クッ……」

 

 ほう。とサコミズ王は感心する。生半可な兵なら、今の蹴り対応できずマシンを横転させてしまうところだ。だが、この金髪碧眼の日本人は違う。サコミズ王は、もうひとつ踏み込んでみることにする。

 

サコミズ

「エイサップ鈴木君! ホウジョウの国を、リュクスと共に継いでくれ!」

 

エイサップ

「えっ!?」

 

リュクス

「ハァッ!?」

 

 これにはエイサップもそうだが、それ以上にリュクスの方が動揺を見せた。動揺のあまりキャノピーから手を離してしまったリュクスは、機体が揺れた振動でナナジンから振り落とされる。

 

リュクス

「あっ、きゃぁっ!?」

 

エイサップ

「リュクス!?」

 

 咄嗟にナナジンの腕を動かし、リュクスをキャッチする鈴木君。その動きの機微は、繊細さに関してはサコミズ王の想定よりも遥かに巧いと言わざるを得なかった。自分なら、リュクスをキャッチできず地面に落としてしまっただろう。

 十分に、合格点。そうサコミズはエイサップ鈴木を評価する。

 

サコミズ

「鈴木君は政治を司る、新しい聖戦士をやってくれ!」

 

エイサップ

「くっ、そんなことを言って隙を作らせる気かっ!」

 

 フ……。とサコミズ王は、薄く笑んだ。この日本人の感性はシャープだ。そして、本質を見抜く目をもっている。このような青年がリーンの翼を継いでくれるというのならば、それは男として本望というもの。故に、

 

サコミズ

「そうでもあるがぁっ!?」

 

 今は、自身の力を示す必要があった。オウカオーは剣を投げ捨てると、柔道の要領でナナジンを背負い投げにする。

 

エイサップ

「うわぁぁっ!?」

 

リュクス

「きゃぁっ!?」

 

 その動きに対応できず、ナナジンは横転してしまった。しかし、リュクスを握る腕のパワーを上げ振り落とされないように気をつけながら、自らも受け身の体制を取るかのようにリュクスの開けたキャノピーを閉じた。その動きだけでも、凡百のオーラバトラー乗り等とは比べものにならないほどに優秀である。

 オウカオーは、ナナジンの頭を掴むと持ち上げる。まるで、中世の戦争で武将が、敵将の首を持ち上げるように。

 この時、エイサップ鈴木は完全にサコミズ王に敗北していた。

 

槇菜

「エイサップ兄ぃ!?」

 

 叫ぶ槇菜。エイサップは、ひっそりとゼノ・アストラへ通信を試みる。

 

エイサップ

「槇菜……今のうちにみんな退くんだ」

 

槇菜

「で、でもっ!」

 

エイサップ

「サコミズ王も、リュクスとリーンの翼の沓を取り戻せば、深追いはしないはずだ。だから、その間に体勢を立て直せ」

 

槇菜

「…………うん」

 

 頷き、槇菜はアプロゲネと味方に撤退を促す。ドモンが頷き、ゴッドガンダム、スカルハート、F91、ゼータ、百式、ダンクーガ、ブラックウィング、ダンバインはアプロゲネへと収容され、最後にゼノ・アストラを回収したアプロゲネは退却していく。それを、サコミズ王は追う命令を出さなかった。エイサップの、言う通りになった。

 

サコミズ

「フム……。見事だよ鈴木君、その難しい機体を操りながらキャノピーを閉じ、ツノも折らなかった。そして、味方を退却させる時間まで作るとはな。聖戦士の資格があると見た!」

 

 おそらく、この日本人は初陣だろう。初陣でこれほどの働きをするのは、確かにリーンの翼の聖戦士かもしれない。とサコミズ王に思わせる。かつて自分がアマルガン・ルドルに聖戦士として期待されたように、この少年に期待を抱く自分自身を、サコミズ王は認めていた。

 

サコミズ

「ホウジョウ国の婿にならんか?」

 

エイサップ

「婿? 婿ってなによ……」

 

 そして、エイサップが簡単には自分の言うことを聞かないことも、理解している。そこで、サコミズ王はオウカオーの左手を上げる。すると、待機していたライデンのうち一機が、その手に2人の人間を乗せているのをエイサップに見せた。

 

エイサップ

「ロウリ、金本……」

 

 フォウで脱出したロウリと金本は、戦火の中で被弾し、墜落していたところをホウジョウ軍の女武者・ムラッサに拾われていた。そのムラッサのライデンの手の中で、ロウリと金本は青くなっている。

 

サコミズ

「仲間共々、許すぞ……?」

 

 自分が阿漕な真似をしている。その自覚はあった。しかし、それをしてまでもこの日本人の青年を、サコミズ王はほしくなっていた。

 

エイサップ

「クッ……」

 

 両手を上げ、ナナジンは降参のポーズを取る。オウカオーに連行されながら、ナナジンは彼らの母艦・フガクへと回収されていった。

 

 

…………

…………

…………

 

 

—フガク艦内—

 

 連行されたエイサップ達は、どういうわけか客人としてもてなされていた。いつの間にか、エレボスの姿がない。リュクスは、サコミズ王に個室へ軟禁されてしまっていた。

 

ロウリ

「冗談じゃねえ、協力しないと打ち首だと!」

 

金本

「俺達、ここで一生暮らすのかな……」

 

 それぞれに毒付くロウリと金本。エイサップとロウリ、金本3人は衛兵に案内されるまま、サコミズ王のいる大広間へと案内された。

 

コドール

「まさか、打ち首などと! 地上人はご歓談の際に無粋な話がお好きか?」

 

 サコミズ王の妻、コドール・サコミズはロウリの言葉を笑って一蹴する。サコミズ王は、戦場で見せたものとは別人のような穏やかな表情でコドールの言葉に頷いていた。

 

金本

「でも、俺達だって安心したいんです」

 

ロウリ

「そうだそうだ!」

 

 異世界という地に来て、気が動転しているロウリの気持ちも、エイサップにはわかるしサコミズ王も同様だった。

 

コドール

「コモン人よりもオーラ力が強いと言われている地上人を、我々がどうして自ら手放すことがあります?」

 

ロウリ

「それって、俺たちをあんたらの軍に参加させたいってことだよな?」

 

コドール

「戦わなければ、得られないものもある……」

 

 そう言って目を細めるコドールからは、独特の色香があった。

 

サコミズ

「うむ。君達と我々の目的は同じ……地上への扉を開くことなのだからな」

 

ロウリ

「な……。ふざけるなっ! 地上侵攻のどこが同じだっ!」

 

 「同じですよ」と、ロウリの声を遮るものがあった。金髪の青年。しかし、その頬には大きな傷があり、目付きは険しい。

 

サコミズ

「紹介しよう。彼はショット・ウェポン。このヘリコンの地にオーラマシンの技術を齎した男である」

 

ショット

「はじめまして、だな。地上の方々」

 

エイサップ

「ショット・ウェポン…………」

 

 エイサップは、その名前に聞き覚えがあった。ニュースで聞いたことがある。1年前のバイストン・ウェル事件の際、オーラシップ・スプリガンの艦長を務めていたという男のはずだ。しかし、太平洋での全面戦争でその消息は定かになっていなかった。

 

ショット

「私が生きていることが、不思議かな。エイサップ鈴木君」

 

エイサップ

「はい……」

 

ショット

「だが、私は生きている。それはバイストン・

ウェルの意志と思わんか?」

 

 バイストン・ウェルの意志。そんなものが本当にあるというのだろうか。エイサップはまだ、信じきれていなかった。いや、もしバイストン・ウェルの意志というものがあるのだとしたら、ショットがこうして肉の身体を持って生きながらえていることは、その意志に反しているのではないか。とさえ思う。

 

エイサップ

「…………」

 

 つまり、それは逆に言えばバイストン・

ウェルの、世界の意志を歪める何者かがショット・ウェポンを生かしたのではないか。と考えることもできた。その正体はわからない。だが、ショットが生きてサコミズ王の未練を刺激しているように、エイサップは考える。

 ショット・ウェポン。彼こそが自分の討つべき敵なのではないか。そうエイサップは感じていた。その剣呑なオーラを察したのか、ショットは「では、私はオーラマシンの整備に戻ります」と告げ、退出していく。

 

サコミズ

「……フ、話が逸れたな。君たちに見てもらいたいものがある」

 

 そう言って、サコミズ王がボタンを押すとカーテンが開いていく。そこには、ロケットのような形状をした戦闘機が展示されていた。

 

金本

「こ、これって……! 昭和日本軍が使った特攻機、桜花!」

 

 桜花。第二次世界大戦末期、大日本帝国軍が使用した特攻戦闘機。機首部に大型の鉄鋼爆弾を搭載し、体当たりすることで全弾命中させるというコンセプトの飛行機。アメリカ軍から「バカボム」と揶揄されると同時に、恐れられた兵器だ。

 地上界に残っていた桜花のレプリカは、特攻兵を祀る神社に奉納されていたが、ガンダムファイトで失われたとエイサップは聞いている。

 それが、何故このバイストン・ウェルに。

 

サコミズ

「私はこの桜花で広島、長崎の次……小倉に落とされる予定だった第3の原爆を阻止したのだ」

 

ロウリ

「第3の、原爆……?」

 

 そんなもの、教科書にもアングラのネットワーク・サイトにも載っていない。だが、嘘を言っているようには見えない。

 

エイサップ

「ン……?」

 

 桜花のコクピットに、紙人形が飾られているのをエイサップは見逃さなかった。手作りの、古ぼけた紙人形。それだけは、新品同様に見える桜花の中でひとつだけ、経年劣化を感じられる。もしかしたら、それはサコミズ王にとって桜花以上に思い入れのあるものなのかもしれない、とエイサップは思った。

 

サコミズ

「この桜花はレプリカだが、私はその作戦の中、コルセカに撃墜され……私はその爆発で無念の中オーラロードを切り開き、バイストン・ウェルに流れ着いたのだ」

 

金本

「成し遂げられなかった国防への想い……」

 

サコミズ

「そう、私の目的は日本に帰還し、オーラマシンの力で日本を最強の軍隊へ押し上げる。そして、我が愛する日本国を護ることにある!」

 

 国防。その言葉が金本と、ロウリを感動させる。彼らがテロへ画策したのも全ては、ガンダムファイトなどという代理戦争で全てを決め、あまつさえ旧世紀の講和条約などに縛られている日本を憂いてのことである。

 その点で、サコミズ王の理想とロウリ、金本の思想は近い。そんなシンパシーを感じていた。

 

ロウリ

「そういうことなら、協力するぜサコミズ王!」

 

エイサップ

「し、しかしフェラリオの王ジャコバ・アオンはバイストン・ウェルの意志に従えと……!」

 

 エイサップの声は、ロウリと金本の歓声に遮られる。今この場において、エイサップは明らかに劣勢だった。

 

エイサップ

(このままでは、ジャコバ・アオンの言う通りになる。なんとかして、リュクスを助けて脱出する隙を作らないと……)

 

 バイストン・ウェルを渦巻く混沌。その渦中の中心に今、エイサップは立たされている。そのジャコバ・アオンの言葉の意味を、エイサップは肌で感じていた……。

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