動物さんとお話出来ます   作:知能が少し弱い

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動物(◼️◼️◼️◼️)さんとお話出来ます

 どこが悪かったのかを考えても、結局生まれた環境が悪かったという答えになる。

 子供は親を選べない。

 だから、わたしが悪い訳ではない。

 悪いのは誰かなんて自明の理。

 わたしをこんな風に育たせた親が悪い。

 そんな親を生かした社会も悪い。

 もし、神が存在するのなら、わたしをこんな社会のこんな親元に遣わした神が一番悪い。

 やっぱり神ってクソですわ。

 

 

 

 わたしは、とある新興宗教の熱心な信者である両親の元で産まれ、育った。育ってしまったのだ。取り返しのつかないことに。

 当然、そんな恵まれた環境で英才教育をうけた子供の精神がまともな確率は低い。約束された精神異常者の完成です。もっとも、わたしは数少ない例外の方だけど。

 

 ただし、雀の魂百までという言葉もあるように、幼い頃に身に付けてしまった習慣は消えない。なかなか消えてくれないのだ。忌々しいことに。

 だから、就寝前には写経しないと落ち着かないし、起床後には座禅を組み瞑想してしまう。ついでに、気温が丁度良いとそのまま二度寝に入ってしまうのは当然の摂理なのです。

 二度寝しないなんて、人生の……一厘くらい損してるよ!

 

 そもそもわたしは朝に弱い。それは血圧とか血糖値みたいな言葉で医学的に証明されている……はず。多分きっと。だから、仕方ないことなのです。

 精神的に追い詰められると出てきてしまう癖の一つである読経をいつの間にか始めていたことを自覚し、思わず腿をつねる。嫌な記憶が甦ってしまった。泣く代わりに念仏を唱えれば両親が褒めてくれることが嬉しくて……

 

 ダメダメ。黒歴史は封印!

 枕を抱えて足をジタバタさせる。ヤバイ。チョーヤバイ。ゴロゴロしたくなるが、ここは自宅の布団ではなく、アパートのベッドだ。ゴロゴロすると落ちると自分に言い聞かせる。

 枕元に常備している薬を口に放り込み、やはり常備しているペットボトルからコップに水を注ぎ、飲み込む。

 衝動が治まった……気がする。いや、ブラシーボだこれ。

 再びジタバタしようとして気付く。時間がないんだった。朝の時間は貴重なんだから有効利用しなきゃ。

 

 カップ麺にお湯を注ぎ、ジタバタを再開する。

 わたし、ポケモンだったらコイキングだわ。いやいや、コイキングなら跳ねなきゃ。

 試しに跳ねるとベッドの弾力でポンポン跳ねる。トランポリンみたい。たのしー。

 

 3分後、タイマーの音でハッとなった。

 何してるんだろう。わたしってほんとバカ。

 光さえ呑み込んでしまいそうなほど吸引力の強いベッドから決死の思いで転がり落ちた。痛い。

 カップ麺を食べようと蓋をはがしつつ、ふと顔を上げると時計が目に入る。

 

 あっ。

 

 

 もういいや。とりあえずカーテン開けよう。

 ふうふう。

 

 時間が無いのになんでカップ麺にしたんだろう。猫舌なのに。ついでに、食パンも机に置いていたのに。ご丁寧にジャムまで添えて。

 考えていると、またもや封印されし黒歴史が召喚されそうなので何も考えないことにする。

 心を無にしてカップ麺を楽しむのだ。

 いただきます。

 

 優雅なモーニングを食べ終えてエレガントに水出しの麦茶を飲んでいると電話が鳴ってビクッとした。電話にも少しトラウマがある。思い返すとわたし、トラウマばかりだ。取り立て屋でもメリーさんでもありませんように。

 そんなことを願っているとそんなレベルでない恐怖の存在が電話の相手だった。

 

「今どこにいる」

「………………コホッ、自宅です。すいません。さっきまで喘息で声が出なくって」

「そうか。それなら仕方ない。今日は休むか」

「はい、申し訳ございません」

「気にするな。体調が悪い時くらい誰にでもある。そういうときは笑え。それではお大事に」

「アハハ、はい、ありがとうございます」

 

 電話を切った。ふう。

 まさかヒーロー本人からとは思わなかった。

 これ要するに社長から電話が掛かってくるようなものだよね。こわっ。

 笑えだって。君の笑顔にティンときたってスカウトされたとき言ってたっけ。(言ってない)こわっ。

 個性がなければ社会的に即死だった。

 個性すごい。だからこの個性を持っているわたしすごい。

 一人で喜びの舞を踊った後、冷静になった。

 

 さて、問題を先送りに出来たのは良いが、このままだと明日も同じことが起きかねない。いいえ、確定的に明らかです。

 原因究明と再発防止策を講じなければならないのです。

 でも、5回も何故何故なんてしていると社会が悪いということに行き着いてしまう。1回でいいや。

 原因は二度寝、再発防止は……足つぼマットの上で瞑想すれば良いかな。

 明日のスケジュールに書き込み、アラームの設定を変更する。時間管理は大切ってわたしのスケジュールにもそう書いている。だからこれでよし。

 

 今日のノルマは終ったようなものだし、これから何しようかな。

 うーん、わたしの仕事ってヒーロー関連なんだから……情報収集のためにアンパン……は昨日見たし、プリキュアを見返すか。そうしよう。休日も勉強するわたしって勤勉。ほんとは今日平日ですけど。出勤日ですけど。出勤日に勉強するわたしって真面目。

 あ、でも職場の人にはお大事にって言われてた。明日から本気出すためにも今日は英気を養わなきゃ。

 となると、寝ながら観賞すれば完璧なのです。

 自分の頭の良さに畏れすら感じながらも、スケジュールに書き込む。あと、眩しいのでカーテンを締めようとして、鳩が飛んでいることに気付いた。

 

 鳥になりたいなんて思わないけど、空を飛べたらと思ったことは少しある。鳥の言葉なんて分からないけど、もし聞けるならどんな気分なのか聞いてみたい。

 そんなことを思っていると鳩が烏に襲われていた。

 やっぱり自然界怖い。そもそも、わたしって高所恐怖症だし。あ、トラウマが。墜落制止用器具は……前のは規格に合わなくなって捨てたし、新しく買ったフルハーネスどこ置いたっけ。

 カーテンを閉ざし、横になって気付いたら……明日でした。

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