2話【趣味試作夕張とロリバちゃん】
あの唐突な引退表明から一夜明け、夕張にとってこの鎮守府で最後の日がやってきた。
今朝の朝礼にて、今夜夕張を青葉に合成するとの告知があった。現状私古鷹がわかっていることとしては
1.合成されると記憶も合成される。
2.青葉は発端をおそらく知っている。
3.提督の真意は不明だが、引退する前に猶予期間を設けていたり、全艦娘を合成しようとしていることから、今でも艦娘達を大切に思っていると思われる。
4.艦娘は合成、解体されてもまた別鎮守府へ配属することになる。この鎮守府の艦娘達は提督の引退はむしろ前向きに捉えており、残りの時間は休暇として楽しもうと思っている。
そんな中でこの鎮守府のムードメーカー皐月が夕張の元に駆け寄り「今日は夕張さんの卒業記念日だね!なにかやりたいこととかあれば言ってね!」と明るく話しかける。他の艦娘達も救われたように少し寂しげなムードから、いつも通り明るい雰囲気に戻った。
ただ夕張は答えに悩んでいた。彼女にとっては試作や実験をしている時が一番楽しく、現状でその必要がなくなったため、他に何をするのが楽しいのかすぐには思い浮かばないようだ。
一緒の思い出を振り返りたかった私古鷹は夕張に提案をしてみた。「今までの試作品をみんなで見て回らない?次の鎮守府で役立つ知識があるかもしれないし」とそう言って、夕張との思い出振り返り巡りを提案した。そして、一同それに賛同し、格納庫へ向かった。
夕張の試作品には提督と青葉も携わっており、艤装等だけでなく、日用品等に至るまで設計開発の幅を広げていた。使える物から全く使えないものまで、各それぞれに様々なエピソードがあり、その時の思い出を振り返り一同は一喜一憂していた。
ひと通り振り返ってから、思い出したように「そういえば、ロリバちゃんって試作してたAIの完成型なのかな?」っと夕張が共同試作していた青葉とロリバちゃん本人に尋ねる。「いかにも自立駆動型AIのロリバちゃんでしゅ!」とロリバちゃん(中身は提督)は答える。
そうロリバちゃんとは提督が夕張の技術と青葉の機転を利用して作り上げた自分の分身体のような思考回路を持ったAIであったのだ。
この事実は古鷹にとって新たな謎であった。
時間は過ぎ夜になった。夕張のみに司令室への呼び出しがあり、他艦娘は自室待機を言い渡された。
夕張との別れ際、皆が別れを惜しむ中で古鷹は夕張より封筒を受け取った。夕張と再開を誓い、一同は自室へ戻り、夕張のみ司令室へ向かった。
夕張と提督が2人っきりで何をするのかと想像しつつ、自室へ戻った古鷹は夕張からの渡された封筒を開いた。
そこには「きっと大丈夫!!」というとても大きく書かれた文字とUSBの音声データが入っていた。
そう夕張はロリバちゃんAI試作のため、ここ最近では提督と1番ダイレクトに交流していた。知らせてなかったとしても感づく可能性は高い。そんな彼女が大丈夫だというのだ、その言葉は古鷹の中にあった小さな不安を消し去った。
USBの音声データの中身はロリバちゃんに言語を記憶させるために提督が色々なセリフを記録していたものだった。基本的にはありきたりなセリフばかりだったが、一様に感謝を伝えるようなものが多かった。これも古鷹にとっては安心感の増すものとなり、その日はぐっすり眠った。
そして次の日の朝、夕張の姿はなく、予告どおり青葉に合成されたか、あるいは、、、などと考えていると、今日が最後になる艦娘の名前に皐月があげられた。3話へ続く。
次回3話は皐月が主役です。