恐怖の象徴   作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ

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今回と次回はA組メインで、出久はサブです。けど、ヴィランが暴れたら、バットマンも暴れるんで、ご期待ください。

バグ修正、大変だった……


守護者対帝王
合宿開始


 ヴィジランテ騒動から時は過ぎ、雄英高校一年A組は現在、バスに揺られていた。

 

 というのも、一年A組は林間合宿の行先に向かっているのである。その行先は、市街の離れにある山岳地帯だ。

 

 雄英高校襲撃。(元)雄英生徒の行方不明。ショッピングモールでの轟焦凍と敵ヴィラン死柄木弔の接敵。これ等の出来事の結果、雄英は予定していた合宿先をキャンセル。今回、林間合宿に力を貸してくれるヒーロー集団の持つ私有地の山も正直不安であった。

 

 そう悩んでいた雄英に、一通の電話が来た。「うちの森を使用しないか?」と。最初は勿論疑ったが、そう言ってきた人物は信用に値する人物だったのだ。

 

 雄英校は、有難く使わせて頂くことになった。

 

 最初は乗り気ではなかったA組生徒も、息を吹き返すかの如く活発的になった。今、A組を乗せてるバスの車内がお祭り騒ぎ状態だということから、それが分かる。

 

 しばらくバスが揺れ、A組のバスが停車した。A組生徒は、パーキングエリアに付いたと思いバスを降り、ずっと座っていたために固まった体を伸ばしている。

 

 しかし、そこは少し広いだけの空き地で、停まっているのはバスのほかに乗用車一台だけである。峰田は、バスの中でジュースを飲み過ぎた結果、トイレを我慢している状況だ。だが、ここにはトイレはない。

 

「何の目的もなくでは、効果が薄いからな」

 

 相澤がそう言う。すると、乗用車の扉が開き、中から声が響いてきた。

 

「よう、イレイザー! 久しぶり!」

「ご無沙汰しています」

 

 相澤は、そう言って車から降りてきた二人の女性に頭を下げる。

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」

 

 猫をイメージしたメイド服コスチュームと猫の手グローブを身にまとった女性二人の名乗りに面食らったA組は、ただ無言で二人を凝視した。

 

「今回の合宿でお世話になるプッシーキャッツのお二人だ」

「誰それ?」

「あぁ~、ちょっと待って」

 

 切島の問いに耳郎は待ったをかけて、バッグからノートを取り出した。そのノートには、〝将来の為のヒーロー分析 №7〟と書かれている。

 

 実は、緑谷家の家にあった出久の所有物は、雄英が引き取って保管しているのである。それも、綺麗に磨き、色褪せた業者に頼んで新品同様にしてもらう徹底ぶりである。

 

 しかし、ノートは傷んでしまう可能性があるため、そう言う保管が得意な耳郎が所持しているのである。

 

 探していた項目はすぐに見つかり、耳郎が音読する。

 

「あったよ。えっと『ワイルド・ワイルド・プッシ―キャッツ。連盟事務所を構える四人一組のヒーロー集団。山岳地帯の救助を主に担うベテランチーム。ヒーロー名は、マンダレイ、ピクシーボブ、虎、ラグドール』だってさ」

 

 耳郎の説明に、「へぇ~」となるA組。そのA組に、マンダレイが説明を始めた。

 

「ここら一帯はある人の私有地なんだけどね、あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね」

『遠っ!!?』

「っていうか、ある人って誰ですか?」

「それは、お楽しみだ」

 

 相澤の含みのある言い方に、嫌な予感を覚えた一同。

 

「ま、まさか…」

「アハハ…バス戻るか……」

「そうだな、そうすっか!」

 

 次々と現実逃避を始め、バスに乗ろうとするA組。そこに、追い打ちをかけるかの如く、マンダレイの声が響いた。

 

「今は午前九時三十分。速ければ十二時前後かしら?」

「ま、まずい! 全員バスに戻れ!!」

 

 切島の叫びに、全員がバスに戻ろうとする。

 

「十二時半までに到着しなかったキティ達はお昼抜きねー」

「悪いね、諸君。合宿はすでに……」

 

 しかし、そこにピクシーボブが立ちはだかった。

 

「始まっている!!」

 

 相澤の声と共に、地面が隆起しA組生徒を崖下に吹っ飛ばした。

 

「私有地につき、個性の使用は自由だよ! 今から3時間、自分の足で施設においでませ!! この、魔獣の森を越えてね!!」

 

 マンダレイの言葉に、全員が森の中を見る。

 

「魔獣の森!?」

「なんだ!? そのFFめいた名称は!?」

 

 切島と上鳴の叫びが響く。耳郎が愚痴を零した。

 

「雄英、こういうの多すぎ…ノート無事でよかったよ……」

 

 段々と立ち上がるA組だが、一人大急ぎで木陰に入ろうとする者がいた。峰田である。あの土流に流されて尚、漏らさなかったのだ。

 

「耐えた! オイラ耐えたぞ! 木陰に隠れて!」

 

 峰田は涙目になりながら、木陰で用を足そうとする。

 

 しかし………

 

「グゥルルル……」

 

 峰田が隠れようとした場所には、黄土色の四足獣がいた。

 

「「ま、魔獣だああああ!!!」」

 

 彼等の合宿、最初の試練が訪れた。

 

 この後、彼らが昼食前にたどり着けたかは、日が地平線に沈みかけたところで到着したことから、推して知るべし。

 

 なお、峰田のプライドはズボンの染みとなった。

 

 

 

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 だいぶ疲労を感じさせながら、森を抜けてきたA組。制服は泥まみれでボロボロだ。

 

「何が三時間ですか!」

「ああ。それ、私たちならって意味。悪いねぇ~」

 

 マンダレイの言葉に不満を零すA組。

 

「実力差自慢かよ。やらしいなぁ」

「腹減ったー! 死ぬ!」

 

 その光景に、楽しそうに笑うピクシーボブ。

 

「ねこねこねこ。でも結構早かったね。私の土魔獣が簡単に攻略されちゃった。特にそこの3人!」

 

 ピクシーボブはそう言って、飯田、轟、爆豪を指さした。

 

「躊躇のなさは経験値によるものかしら?」

 

 そこで区切り、ピクシーボブは舌なめずりした。

 

「三年後が楽しみ! 唾つけとこぉ───!!!」

「・・・・・マンダレイ、あの人いつもあんな感じでしたっけ?」

 

 言葉通り本当に唾を四人に向けて吐きかける様子を見て、相澤は内心頭を抱えたくなった。

 

「彼女、焦ってるのよ。ほら、適齢期的なアレで色々とね」

「適齢期って言やぁ、その子どもは誰の子なんだ?」

 

 轟がそう質問すると、マンダレイが慌てて否定した。

 

「ああ、違うの。この子は、私の従兄の子どもだよ。洸汰こうた! ほら、挨拶しな。1週間一緒に過ごすんだから」

 

 だが、洸汰という少年は声を発さず、ただA組を睨みつけている。

 

「ほら、洸汰!」

「…ヒーローになりたい奴らなんかとつるむ気はねぇよ!」

 

 そう言い捨てて洸汰は、屋敷の中へ走って行ってしまった。

 

 

 

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 バスから荷物を取り出して屋敷の中に入っていくA組生徒達。その広さは少なく見積もっても普通の家屋の四倍はある。

 

「「「で、デケエエエエエエ!!!」」」

 

 その大きさに生徒たちが突っ込んでいると、二階から一人の男性が降りてきた。

 

「フフッ、最近の若者は元気がいいですね」

「あ、すみません」

「いえいえ、誰しも元気が一番ですから」

 

 相澤が謝罪するも、そう言ってにこやかに笑ってそう言った男。その男性は誰なのか疑問に思った生徒たち。そのうちの一人がその疑問を口にした。

 

「相澤先生。その人って誰っすか?」

「上鳴、いい質問だ。今回、この林間合宿時の私有地の森と別荘を貸して下さるルーシャス・フォックスさんだ。ちゃんと挨拶しとけよ」

 

 そう、この場所を貸し出したのはルーシャスだったのである。勿論、あの男の考えでだ。その紹介を聞いた一同は、眼を見開いた驚愕している。

 

「ルーシャス・フォックスさん!?」

「たしか、アメリカの大企業のウェイン産業の社長だよな!?」

 

 その騒ぎに、相澤の髪が逆立ち、眼が紅く光る。

 

「おい、お前ら……挨拶しろっつったろ…!」

『よろしくお願いします!!!!』

 

相澤の威圧に、A組は慌てて挨拶をした。

 

「いえ、こちらこそよろしく。先に説明しとくと、君たちが使用できるのは一階の男子部屋と女子部屋、食堂に使うダイニング。それと、男女別の風呂です。二階は立ち入り禁止にしているから、気を付けてください」

「質問してもよろしいでしょうか!」

 

 ルーシャスが一通り説明を終えると、飯田が手を伸ばして質問の許可を求めた。相澤が止めようとするが、それをルーシャスが手で制する。 

 

「構いませんよ。何でしょう?」「この建物は二階建てですが、なぜ二階は立ち入り禁止なのでしょうか!?」

 

「それを今から説明しましょう。実は、私は今、一緒に暮らしてる青年がいましてね、ここは別荘ですが、二階は彼のトレーニングルームや自室があるんです。だから、立ち入り禁止にしてます。それと、一階のガレージも立ち入り禁止です。一応、張り紙を張っておきますけど、気を付けてください」

「ありがとうございます!! 失礼致しました!」

 

 説明を終えたルーシャスは、「では、失礼します」と言って二階に戻っていった。

 

 それを見送った相澤は、A組に指示を出し始めた。

 

「よし、荷物を部屋に運んだら食堂にて夕食。その後入浴、そして就寝だ。本格的なスタートは明日からだ。さあ早くしろ」

『はい!!』

 

 

 

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 同時刻、出久は屋敷の二階の巨大3モニターのバットコンピュータで、その様子を見ていた。

 

「皆元気そうで良かった。前は酷い別れ方したからな」

 

 出久は、そう言いながら他のモニターをチェックする。中央モニターには屋敷と一定範囲の森の中をエリアごとに分けたマップ、右モニターには無数に仕掛けた監視カメラの映像、左モニターにはバットマンとしての他の仕事のファイルが映されている。

 

 すると、後ろのドアからルーシャスが入ってきて、出久の横に立った。

 

「しかし、思い切ったことをしましたね。彼等に見つかったら、緑谷出久は終わりですよ?」

「分かってます。けれど、少しでも彼等の夢は応援したいですから。余計な邪魔を敵共に加えさせたくない」

 

 出久にとって、A組は〝夢を追う者たち〟だ。夢に破れ、歪に夢を叶えた自分とは違う。夢を見ることはできない。けど、守ることはできる。

 

 出久は今、全力で彼らの夢を守っていた。

 

 その後ろで、ルーシャスが「貴方だって、夢を追えるでしょうに……」と零す。しかし、それは出久には聞こえていなかった。

 

 

 

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 その後、A組は夕食の絶品さに感動して数人泣きかけたり、峰田が風呂で覗きを働こうとして爆豪に爆破されたり、いろいろあった。

 

 そうして、気付けば皆が就寝した頃、洸汰は中々寝付けず、屋敷の中を歩き回り、気付けば二階に来ていた。

 

「あ、クソッ、ここは……?」

 

 道に迷った事に気付いた洸汰は、衝動的に愚痴を履いて、周りを見渡した。階段が何処にあるか分からない以上、歩いて探すしかない。

 

 洸汰は先に進もうとした。

 

「そこで、何をしている?」

 

 背後から声が聞こえたことに驚き、バッと振り返る洸汰。そこには、長身と思われるマントを付けた男がいた。

 

「な! なんd「シッ! 静かに。大声を出して、他の人に迷惑はかけたくないだろう? 階段なら、この先を少し行ったところで右だ。分かったな?」

 

 大声を出そうとした洸汰の口を押えて、道案内する男。洸汰は、男の問いに縦に頷いた。それを見て、男は「よし、では」と言って、反対方向に歩いて行こうとする。

 

 それを小声で呼び止めた。

 

「な、なぁ、アンタ!」

「どうした?」

「アンタが、ルーシャスっておじさんが言ってた青年なのか?」

「ああ」

「名前は……?」

「いつか、分かるさ」

 

 男は、そう言って去っていく。

 

 その後、洸汰は一階に戻り、部屋で就寝した。

AFO戦の後の出久のその後は?

  • 雄英復学、バットマン活動継続
  • 孤独に戦い続ける。サイドキック無
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