すみませんでした!
今回は短めです。正直言って、あんまし思いつかんかった……
爆豪の手を掴み損ね、棒立ちになるバットマン。もう少し早くあの手が伸びていればと、内心は嵐の如く荒れていた。
「かっちゃん?」
「お前…まさか、緑谷か?」
その意識を取り戻させたのは、障子と轟の言葉だった。爆豪勝己をかっちゃんと呼ぶのは緑谷出久だけ。バットマンの、出久の致命的なミスだった。
弁明の言葉が浮かばず障子たちに背を向けていると、轟が痺れを切らしてバットマンに近づき、体ごと目線を自分に向けさせる。
「おい! なんとか言、!?」
すると、バットマンの体が倒れ、轟に倒れかかった。
「少し……休ませて……」
「緑谷? おい緑谷!?」
バットマンは、出久はそう言って俯き、気絶した。
この後、出久は病院に運ばれた。
医師の話では、右腕に罅、肋骨が二本折れている状態だった。その状態で激しい動きをしたために気絶したのである。森で動いていた時はアドレナリンがドバドバ状態だったために動けていたのだが、敵連合が去り、そのアドレナリンが切れて倒れたのである。
ちなみに、出久が病院に運ばれたときは私服である。さらに言えば、A組と雄英にはバットマン=緑谷出久ということが完全にバレてしまった。
その他にも、三十九名の生徒のうち、ガスによって意識不明が十五名。重軽傷者重軽傷者十名。無傷で済んだのが十三名だった。そして、行方不明者一名。
また、プロヒーローは六名中二名が意識不明の重体になっていた。
一方で、敵側は、マスキュラ―、マスタード、ムーンフィッシュの三名が現行犯逮捕。彼等を残して、他の敵は姿を消した。
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雄英校に敵連合襲来から二日後。
出久はボロボロの体に鞭を打ち、病院の屋上に私服姿で立っていた。右腕には、バットマンのガントレットを付けている。昨日、ルーシャスにリュックサックに入れて持ってこさせたのだ。
屋上から街を眺めていると、ルーシャスから通信が入る。
『本気でやるんですか?』
「ええ。バットウィングを関東県内上空に飛ばし、ガントレットが録音していた荼毘、Mr.コンプレス、トガヒミコ、スピナー、マグネ、トゥワイス、黒霧の声紋を照合して、奴等の拠点を暴き出す」
『バットウィングに光学迷彩機能をつけといて良かったですな。やりますよ?』
「ええ。お願いします」
出久は、ガントレットにモニターとキーボードを出し、バットウィングを関東圏内の街中の上空で飛行させる。それにより、あらゆる人間の声がスキャンされていく。
しばらくして、ようやく見つけ出した。
「神奈川県の横浜市、神野区……」
『夜の街で有名な場所ですね。一度行ったことがありますが、私は好みじゃありませんでした』
「ありがとう、ルーシャスさん」
出久は通信を切り、ガントレットを背後のベンチに置いてあるリュックサックに入れた。
すると、屋上への出入り口が勢いよく開いた。そこには、A組の皆がいた。
「緑谷! ここにいた!」
「緑谷君! 安静にと医者「私は大丈夫だ。退いてくれ」
上鳴と飯田の話を遮って、A組の中を通って出口に向かう出久。その手を切島が掴んでいた。
「なぁ緑谷。一人で無理すんなよ! 少しは俺達にも頼ってくれよ!」
「………どうやって頼れというんだ? 私はヴィジランテ。犯罪者だ。犯罪者がヒーローに頼れるわけないだろう」
「ああ、確かにお前はヴィジランテだよ。でも、それは俺たちがヒーローになるのを邪魔したから! ヴィジランテになるしかなかったんだろ!?」
切島の叫びが屋上に響く。出久が少し振り返って彼の顔を見ると、泣いていた。悔しいのだ。合宿襲撃の時に屋敷のシェルターにいた間、もう雄英とは関係のない出久が戦って、傷ついたことが悔しいのだ。
「そうだとして、君たちに何の関係がある?」
「!?」
出久の言葉に、気付けば轟が出久の頬を殴っていた。よろめく出久の胸ぐらを轟が掴む。
「関係あるだろ! お前、職場体験行く前に飯田に言った事覚えてっか? 今、お前に行ってやる。辛いときは頼れよ! 俺たちは
「……だとしても、君たちを巻き込むわけにはいかない。話は終わりだ」
出久は轟の腕を振り払って出口に進んでいき、そのまま病院を去った。
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フォックス邸に戻った出久は、屋敷地下のバットケイブで戦いの準備を進めていた。塚内にメールで、爆豪勝己が攫われている場所に向かうと送り、その際、ある場所の座標も送った。その場所は、脳無の倉庫だった。
実はこの座標、誰かも分からない相手からある周波数がメールで届き、それを追った結果見つけたのである。最初はこのメールを疑ったが、ルーシャスが信用できると言ったため、出久も信用したのである。
敵襲来時の戦闘でボロボロになったバットスーツは、改修不可になる程に傷ついていた。そんな出久に、ルーシャスは新たなバットスーツを用意していた。
デザインと機能は同じまま、腕力補助強化装置や脚力補助強化装置を付けてパンチやキック、ジャンプ力を強化してある。その名も〝バットスーツV8.04〟である。
準備を進める出久に、それを手伝うルーシャスが声を掛けた。
「しかし、良かったんですか?」
「何がですか?」
「出久君の友達への冷たい言葉ですよ」
「……聞いてたんですか」
「というより、聞こえてしまった、というのが正しいですな。出久君。私は説教みたいなことを言うのは得意じゃないんですが、敢えて言わせてもらいますよ。もう少し友達に心を開いてもいいと、私は思いますよ」
「バットマンに友達はいない」
「バットマンにはね。けど、貴方は緑谷出久という一人の少年です。少しは弱音を吐いたって、罰が当たったりはしないんじゃないですか?」
出久は黙り込んでしまう。少し悩んだが、出久の考えは変わらない。彼等を、友達を危険に巻き込めない。だから、一人で戦うのだ。