恐怖の象徴   作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ

9 / 16
今回は一話の話が出てきます。


追跡

 晴れやかな青空の下、今日も警察署は通報の電話のコール音や捜査会議の声が鳴り響く。

 

 そんな中、個性犯罪対策課ではある騒ぎが起きていた。

 

「え!? 薬の数が合わない!?」

 

 部屋の中で、デスクで資料整理していた塚内の驚愕が含まれた声が響く。それを、報告してきた玉川三茶は肯定するように頷いた。

 

「はい。例のあの人(バットマン)が港を片付けて去った後に我々が到着しましたが、その間の20分くらいで薬の三分の一が消えてました」

「三分の一? じゃあ、どっちが減ってるかも分かってはいるんだな? 薬の成分分析結果は?」

「はい、分かっていますし、分析も終わってます。しかし…」

 

 三茶が言葉を濁した。それを怪訝に思い、塚内が怪訝そうに尋ねる。

 

「なんだ? 何か問題か?」

「その成分が、幻覚剤のような物だったんです」

「幻覚剤? ってことはLSDか?」

 

 〝幻覚剤〟という単語だけで最も使用例の高い薬を即座に当てた塚内。個性犯罪を担当しているとしても、麻薬の種類や名前を憶えているのは、警官としての技量故だろう。

 

 しかし、その予想は外れていた。

 

「いえ、全くの新種です。データベースに何もありませんでした」

「そうか…ってことは、今夜呼び出すか…」

 

 塚内はそう言いながら、ため息をついて資料整理を再開した。

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 その日の夜。

 

 夜になったことを確認した塚内は、部屋を出て足早に屋上に向かった。屋上に着くとバットシンボルのサーチライトを点灯した。

 

「来てくれるといいが……」

 

 塚内が、そんな事を口にすると、後ろから何かが着地した音がした。振り返れば、そこにはバットマンがヒーロー着地をしている。

 

「来てくれたか」

「ヤクの三分の一が行方不明だ。警察はこの件は?」

「僕も昼間に聞いた。このことを調べられないか?」

「尋問しないのか?」

 

 バットマンの言う事は尤もである。関係者がすでに逮捕されているのだ。地道な足取り捜査よりも敵を取り調べるほうが圧倒的に合理的だ。

 

 だが、そんなものは誰だって思いつくものだ。それを行っていないのは、警官の尋問では効果がなかったのである。

 

「ヤツ等は口を割らなかったんだ、地道にやるしかない」

「……なら、私がやろう」

「君が?」

 

 バットマンの提案に、塚内は不安そうな顔になる。警官でない者が取り調べを行うというのだ。普通の人ならば、ある意味許されたかもしれない。だが、バットマンのやり方も尋問された敵の姿も塚内は見たことがあるのだ。威圧的に脅すバットマン。さらには、敵の腕をへし折る事もある。

 

 しかし、ドラッグが出回っては後の祭り。塚内は仕方がなく許可を出した。

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 二日後の夜。

 

 対面用の机がある灰色の質素な少し広めの取調室の中で、汚職を働いていた元ヒーローエアーマンこと天仁 空(あまひと そら)は囚人服で椅子に座っていた。外では何人もの警官がその様子を見ている。

 

 なぜか、偶に電気が消えたり点いたりしている所に、取調室のドアが開いて塚内が入って来る。

 

「すまないね、待たせてしまって」

「別に大丈夫ですよ。けど、この電気は何なんスか?」

 

 塚内の謝罪に気にしていないと言って己の疑問をぶつける天仁。それに、塚内は律儀に答えた。

 

「ああ、ちょっと前に暴走車が発電機に突っ込んじゃってね。予備発電が上手く回らないみたいだ」

「そうっスか」

 

 こうして、尋問が始まった。だが、難航していた。全く情報を喋らず世間話しかしない。

 

 そこで、塚内は切り札を使うことにした。

 

「ちょっと飲み物を取って来るよ」

「そうスか」

 

 塚内がそう言って部屋を退出した瞬間、警察署の照明が()調()()()()()だけ消えた。突然の暗闇に何も見えず、天仁はパニックになりかける。

 

 そこに、廊下から声が響いてきた。

 

「なんで、電気消えてんだよ!」

「今すぐ復旧してこい!」

 

 天仁は、どうやら、不慮の事故の様だと分かって安堵して、胸をなでおろす。

 

「直りました! 復旧します!」

 

 天仁は「やっとか」と呟くと照明が再び点いた。そして、そのことを一気に後悔した。照明がつくと、目の前にバットマンがいたのだ。

 

「う、うわあああぁぁぁあああ!! グハッ!?」

 

 今や、犯罪者にとってバットマンはオールマイト以上の恐怖である。それは、この男も例外ではない。バットマンに恐怖して叫ぶ天仁は殴られて椅子から転げ落ちる。

 

 そもそもこの部屋は、部屋に穴をあけてマジックミラーを取り付けただけの急造の取調室なのだ。その理由はバットマンが脅しやすくするためだが。

 

 バットマンは殴り飛ばした天仁に近づいて胸ぐらを掴んで引っ張る。

 

「残りのヤクは何処に行った!?」

「し、知らないって言ってんだろ!? 神に誓うよ!」

「私に誓え!!」

 

 バットマンは胸ぐらを掴んだまま持ち上げて壁に投げつけた。天仁は壁に叩きつけられて床に落ちる。そこに、バットマンがもう一度胸ぐらを掴んで引っ張り自分に近づける。

 

「話す気になったか?」

「あ、ああ! た、たしか、別の売人が買主に渡したんだ。アンタが去ったのを見計らって! 売人の場所は分からねぇけど、その買主の場所は分かる! な、鳴羽田だ! 鳴羽田にいる! あそこは犯罪の温床だ! ヒーローだって近づかない!」

「私がヒーローに見えるか?」

 

 バットマンは、顎を殴りつけて脳震盪を引き起こさせ、部屋から出てきた。そこに塚内が近づいてくる。

 

「バットマン! 何か分かったか!?」

「どうやら、ヤクと、それを買った人間は鳴羽田にいるようだ」

「うっ、鳴羽田か…」

「その街でなんかあったのか?」

「ちょっとね。一応言っとくと、僕はあの町に行けないから、頑張って」

「? まぁ、分かった。警察の救援は考えないことにしよう」

 

 バットマンがそう言うと、その場を去っていった。その後ろ姿を見て、塚内は溜息を吐いた。

 

「アイツに電話入れとくか……」

 

 そんな塚内の声がポツンと廊下に零れた。

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 数分後、バットマンはバットウィングで警察署から鳴羽田に向かって飛行していた。雨が降り出し、土砂降りとなっている。

 

 鳴羽田上空に着くと、バットウィングから飛び降りてマントを広げてハンググライダーのように飛行を始め、高いビルの屋上に着地する。鳴羽田は高いビル群や薄暗い路地が多い下町だ。高速道路が開通してから、治安もあまりよくないらしい。

 

 バットマンは、ビルから飛び降りて飛行を再開した。マスクの眼の部分を捜査スキャンモードにして探索をすると、程無くして怪しいマンションのような建物を見つけた。

 

 バットマンはマントを元に戻して急降下でガラスの割れた窓から部屋に侵入した。中は散乱しており、食器や本が所狭しと置かれている。その部屋に箱が数個置いてあった。

 

 中を見れば、そこにはドラッグの袋が入っている。つまり、ここで辺りということだ。

 

 すると、そこに三人の男が入ってきた。一人は、眼鏡をかけたスーツ姿の爽やかそうな男。他二人は屈強そうなチンピラのような男である。

 

「ここも用済みですね」

「ってことは、始末すんですか?」

「ああ。全部燃やせ」

 

 スーツの男がそう命令すると、二人は油やガソリン、アルコールを部屋に撒き始めた。そのうちの一人がガソリンを撒いていると、トイレを見つけてそこに入っていく。

 

 ガソリン缶を床に置いて用を足そうとしていると、ふと横に鏡があるのに気付いた。鏡に目を向ける男は、次の瞬間、物陰に隠れていたバットマンに頭を鏡に叩きつけられていた。

 

 二人はそれに気づいて、チンピラ風の男はライターの火をつけて辺りを見渡す中、スーツ姿の男がどこかに行く。

 

 チンピラ男が何もないと思ってニヤリと笑うと、横からバットマンが現れてライターを持つ腕をへし折り、頭を殴りつけて気絶させる。

 

 バットマンが上体を上げた瞬間、先ほどどこかに行ったスーツ姿の男が頭に布を被ってバットマンの顔に掌をかざした。掌には穴が開いており、そこからガスが飛び出してバットマンに降りかかる。

 

 バットマンの、出久はそのガスを喰らって幻覚を見始める。

 

 そこには、眼が紅く光った1年A組に襲われる幻覚だった。爆豪に顔面を爆破され、背中に飯田の蹴りが飛ぶ。

 

「お前が日本にいると聞いて、驚いたよ」

 

 そんな声が響く中、障子の六腕のラッシュが胴体に叩き込まれる。それを避けようとして横へ体を向ければ、峰田のモギモギを踏んでしまって足が動かなくなる。

 

 そこに、耳郎のイヤホンジャックが胴体に刺さり、爆音の衝撃波が体を襲う。

 

「今度こそ、理解させてやろう。お前がただの人間だってことを」

 

 その言葉と共に、体に何かが掛けられる。前を見れば、八百万がアルコールのビンを持っていた。そこに、轟が現れて左手に炎を出現させる。一方で、現実ではスーツ姿の男がライターに火を灯した。

 

『燃えろ、緑谷』

「消えろ、バットマン」

 

 そう言われた瞬間、轟に炎を放たれ全身が燃え始める。

 

「うっ!? ウオオオアアアアア!」

 

 全身が炎に包まれていることにパニックを起こした出久は窓から飛び出して地面に転がった。炎を消すために地面を転がって消火する。

 

 その間に、野次馬が少し集まってきた。バットマンはそれらに視線から逃れるために、路地裏に逃げ込む。フラフラとおぼつかない足取りでなんとか逃げられたバットマンは、上にグラップリングしてどこかの天井に昇る。

 

 しかし、そこで力尽きてしまい、雨に打たれながら倒れ伏す。

 

「誰か…助けて……」

 

 仰向けに体を向けて点にそう呟きながら手を伸ばす。

 

 しかし、

 

『アンタを助ける人間なんて、どこにもいないのよ!』

 

 そんな母の声に出久は意識を手放そうとする。すると、そこに誰かが来たようで、何かを言っている。

 

「助……求め…声…手……ばす男! ザ・…ロウ……!!」

 

 しかし、少ししか聞き取れず、それも意識が朦朧としている故に聞き取れない出久は、いよいよ意識を手放した。




前話で言ったように、あんましオリジナルのヴィラン思いつかなかったんで皆さんにアイデア貰いたいです。ジョーカー役とかはすでに決めてるんですけど、日ごろ出てくるボス敵が思いつかないんです。※仮面ライダーオーズのヤミーみたいなヤツ。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view_list&uid=304573

活動報告に置こうと思うんで、よろしくお願いしますm(__)m

AFO戦の後の出久のその後は?

  • 雄英復学、バットマン活動継続
  • 孤独に戦い続ける。サイドキック無
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。