Fate/Virtual_Apocrypha 作:うるち※
同日、カラカバーの城。
その地下に設立された魔術回廊、そこでは今にもサーヴァントが地に降り立とうとしていた。
既にこちらは3騎のサーヴァントが召喚されている。どうも我等一族の一部は自由気質な性格らしい、聊か問題だ。
「――いよいよですか?」
「あぁ。キャスター、戻ってたか」
「大事な召喚タイムの時ぐらい呼んでくださいよ、サーヴァントには見る権利なしってことですか?」
「いやいや、忘れていただけだ。問題ない」
残り4騎のサーヴァントの召喚を待ちわびる男、『カラカバー』の一族であり、電気による拷問魔術について研究をするハーベルニック・フォン・カラカバーの元に一人の小柄な少女が歩み寄る。
碧色の瞳にフードを羽織る銀髪の少女にして、キャスターのクラスを与えられたサーヴァントだ。そのマスターも当然彼である。
「残り4騎。セイバー・アーチャー・ライダー・バーサーカー、でしたか。電子触媒はもう用意済みですよね?」
「勿論。どれも凄腕のサーヴァントだ。召喚に成功した瞬間、私達の勝利は決まったも同然のようにな」
「成程。余程の自信、だね」
キャスターは小さく笑いながら、彼の横に並び下の召喚場を見下ろす。普段の聖杯戦争ならば、他のサーヴァントの召喚風景を見る事なんて滅多にないため、こういう光景はサーヴァントにも新鮮に映るのだろう。
無邪気な少女の様に、ふふんと鼻息を鳴らしながら、その瞬間を静かに待ちわびる。
「そういえば、他のサーヴァントは今何してる?」
「ランサーとアサシン? ランサーはマスターさんと対談中、アサシンは周囲の密偵とかだった気もする。後者は敷地が敷地だからね、戻るの時間かかりそう」
「成程な」
ランサーのサーヴァント。ふわふわした印象が見受けられる碧髪の少女。アトランティスの一族の末裔と言われているが真偽は不明。
アサシンのサーヴァント。緑髪の容姿端麗な黄金瞳の少女。今の所何かしら失敗したという声は上がってない為、その腕は確かなのだろう。
かくゆうキャスターは、自身をただの見習いと称している。感じられる気迫から、とても見習いとは思えないが、余程のネガティブ精神なのだろう。
彼が様々な想いを迷走させていると、下の召喚場がようやく騒がしくなる。その準場が整ったのだろう。
「いやぁ、当主のじいさんも色々文句煩いっすね~。勝ちゃいいだけの話じゃないっすか?」
いつも通り陽気かつ気怠げな性格と風貌を纏った『電気』魔術による呪殺の専門家、ランデンネック・フォン・カラカバー。
今回はライダーのマスターを担ってもらう予定なのだが、大丈夫なのだろうか。
「ライデンネック、本日ばかりは改めなさい。我が一族の悲願が成されようとしているのです」
次期一族の当主として名を上げている有力な魔術師にして、『電気』魔術による人体改造の専門家、メルニア・フォン・カラカバー。
アーチャーのマスターを担当する者、当主と彼の男と同じ三騎士クラスの手綱を握る者として、これほどの適任者はいないだろう。
「……ふん」
俗称は『冷血な雷帝』。『電気』魔術による攻撃系の黒魔術の専門家、ジャン・フォン・カラカバー。
バーサーカーのマスターを担当する者、感情が薄く、何事も冷血に対応するこの男なら、狂った厄介御霊すらも指揮することができるだろう。
そして――。
「静粛! これより降り立つは、我等が手綱を握る使い魔だ!」
『カラカバー』の現当主にして、『電気』魔術のありとあらゆる物事を指揮する天武の魔術師、ライラス・フォン・カラカバー。
最優と称されるセイバーのサーヴァントを召喚する男だ。魔力量、気質共に申し分ない存在だ。
ついにサーヴァントを召喚する4人が集結した。事前に用意された魔法陣の中央に触媒となるメモリを設置し、その方向へ目掛けて令呪の宿る手を手向ける。
「「「「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。手向ける色は黒。」」」」
始まった。魔法陣が淡く青色に輝き出し、触媒が宙を舞う。
魔術による電流が周囲の空気粒子に帯電し、幻想的な風景を映し出す。
「「「「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」」」」
「
「――ランサー」
召喚の最中に観覧場の背後からスッと影のように少女がやって来る。どうやらマスターとの対談は終わったみたいだった。
ランサーで呼ばれているのに、その姿に槍要素は何処にも感じられない。どっちかというと、異生命ではないだろうか?
「
「召喚されるサーヴァントの系統が系統だからな。案外知り合いが来るかもしれないぞ?」
「勘弁してほしいね」
「「「「告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!」」」」
周囲の荷電粒子が爆雷へと変わり、幻想的な風景が一変して物々しい何かへと変わる。
いよいよだ。
「「「「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者!」」」」
これより地に降り立つは、我々に忠義を誓い、我々の悲願を成すべき為に動く御霊。
誰にも負けない、最強のサーヴァントたちだ。
「「「「汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」」」」
詠唱が完全に終わる。刹那、大きな爆雷がはじけ、激しい砂煙を巻き起こす。それはまるでこの世ならざるヤバイ何かが降臨したかのような光景だ。
悲願の達成に一歩近づいた瞬間だ、キャスターもランサーも『おお』と感嘆な声を上げる。
そして――。
砂煙が晴れた先の4つの魔法陣の上には、望んでいた4騎のサーヴァントたちが跪いていた。
「「「「召喚の招きに応じ参上した。我等は黒のサーヴァント」」」」
偉大なる電子生命体。それらが私達に忠義を払う。
「我らの運命は――」
緋色の髪をしたオッドアイをした船長服の女性サーヴァント、ライダー。
「カラカバーのもとにあり」
淡い髪色をした好青年のような風貌を持つ男のサーヴァント、アーチャー。
「我らの剣は――」
額に角が日本はえた東風の衣服をまとう二刀剣士の女性サーヴァント、バーサーカー。
「あなたがたの剣である」
そして――。
銀髪をこさえ獣のような耳をつけた少女のサーヴァント、セイバー。
この4騎のサーヴァントが、ついに私達の前に姿を現した。
「お、おお――!」
「無事、召喚できたみたいですね」
「
これにてようやく、今後現れるであろう魔術師どもを蹴散らす準備は整った。
こちらが用意したのはどれも優秀なるサーヴァント、負ける筈等ありはしないだろう。