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「よいしょ──っと!」
グッグッ──と、身体に溜った疲労を揉み消すように、ゼファーは入念にストレッチをする。仙丈ヶ岳への登山を思う存分楽しみ、ウマ娘専用レーンがある道まで下山した後だ。ウイナーを筆頭に他のステラのメンバーも登山用のシューズからマラソン用のシューズに履き替えたり、ゼファーと同様にストレッチをしたりと準備に余念がない。
これから行なわれるのは孤独な
「ウマウォッチ配るぞー。あとウイナーとアキツはハンデとして斤量ジャケットも装備するように」
トレーナーである柴中が一人一つずつ腕時計型情報処理端末、通称‘ウマウォッチ’を手渡していく。少し弄ってみると使える機能に制限が掛かっていて、ナビアプリ以外は使用する事が出来ないようにされていた。本来はスマートフォン等と同じく多種多様な機能が搭載された物なのだが、今回はナビアプリ以外の機能を使う必要が無い。全員が手首にウマウォッチを装着し終えたのを見届けた後、柴中は改めて今回のルールを説明しだす。
「それぞれのナビに表示されたルートを通ってトレーニング施設まで帰るんだ。ペースはそれぞれに任せるし休憩も自由にして構わないけど、ただのマラソンじゃなくて‘競い合ってる’って事実は忘れないこと。それと、言うまでも無いけど道路交通法はキチンと守ってくれ。ウマ娘専用レーンとはいえ、公共道路を使わせてもらうんだからマナーも忘れずにな」
無言で頷く。トレセン学園周囲の道路を使ってマラソンをしていると‘走っているウマ娘’に慣れている人が圧倒的に多いためつい忘れてしまいがちだが、時速六〇キロを超える速度で走る事が出来るウマ娘は、少しの不注意や慢心で大事故を引き起こしかねない。善悪や原因がどちらにあるかはさておき、そもそも事故を起こさないことに越したことなど無いのだ。
「開始時刻は今から十分後で、制限時間はスタートしてから三時間。それまでにゴールできなかった奴はもれなく全員失格にするからそのつもりでな。もし何か緊急事態が発生した場合、ウマウォッチの連絡機能を使って俺に連絡を寄越してくれ」
柴中はそう言って、用意されたバスに一人乗り込んだ。「んじゃ、頑張れな」と座席の窓から軽く手を振って、彼を乗せたバスはそのまま道路を走って行く。残されたチームステラの面々は殆どが静かに最終チェックをしていて、いつも明くてアクティブな性格をしているカレンチャンやヒシアケボノですらいつもはやらない長距離のマラソンなだけあって気合が入っているのか、真剣な表情で準備を進めていた。
「──さて、ではもう間もなく競争が開始されるわけだが……」
そうして開始前三分を過ぎた辺りで、指定の位置に付いたウイナーが全員を見やって口を開く。彼女の言葉に‘皇帝,としてのそれが混ざったのを感じ取り、チーム全員が立ったまま姿勢を正して言の葉を拝聴する。
「最後に言っておく。それがどのような形であれ、大小様々な有利不利の要素があってなお、これは紛うことなく‘
「…………」
「であるならば‘勝ちに行け’無論、怪我や故障も‘しないようにしろ’。……もっとも、貴様らには言うまでもない事だったかもしれんがな」
全員の表情と気迫に及第点以上のそれを見いだして、ウイナーは安心したように微笑んだ。「──はい! 勿論です!!」と力強く宣言したゼファーに同調するように他の面々も強く頷いて、そのままそれぞれに指定された位置に着いた。──そして。
──ピーッ! と全員のウマウォッチからスタートの合図が鳴り響いたと同時、彼女達は各々のペースで