モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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107ワサドラに帰りましょう。

ミヨシ村を出て、ポポ車に揺られ、数時間。

下り道ということもあってか、行きよりもだいぶ早くタオカカ村に到着した。

 

村の中は、結構混雑していた。

ハンターに商人っぽい人……周辺の村々からやってきた人々で、ごった返していたのだ。

 

これは俺も予想外。

 

 

「うわぁ……混んでいますねぇ……。」

 

ハイビスさんの声が、ため息とともに吐き出される。

ずっと山奥の辺鄙な村にいたからか、人酔いしそうだ。

 

 

「あー……この季節、増えるんだったー。忘れてたなー。」

「それにしても、多くないですか?」

「タオカカはこの辺一体の中心地だからねー。村の規模はそれほどでもないけどー、季節によっちゃー人が増えるんだよねー。」

 

 

なるほど。

タオカカは、街と言うには少し小さいが、村にしては大きい。

ワサドラよりは規模も小さいが、その建物の数も結構なもの。

そしてここら一帯の中心地であり、今が人が集まるその季節、というわけか。

 

 

「す、すぐに宿をとりましょう。」

「……ソウジとハイビスちゃん、お願いしてもいいかなー?」

「え?セツヒトさんは行かないんですか?」

 

 

宿取りを俺たちに任せて、セツヒトさんはどこかに行こうとする。

 

 

「ちょいと野暮用があってねー。宿、もし取れなかったらギルドに集合でー。」

「は、はい。」

 

 

そう言って、どこかに消えてしまった。

 

 

「…………自由な人だ。」

「そうですね……あ、ほら、ソウジさん!行きましょう!まだ宿、取れるかもしれませんよ!」

「は、はい!そうですね!」

 

 

慌てて村の大通りを進む。

 

しかし人が多いな。

歩けない……なんてことは無いが、気をつけて進まないとぶつかってしまう。

実際、色んな人を避けながら、時には避けてもらいながら歩いた。

 

 

ドンッ。

 

 

「あっ……す、すいません。」

「いいえ、こちらこそ。」

 

 

頭までローブをかぶった人にぶつかってしまった。

こういう時すぐさま謝るのは、日本人の悲しい習性。

……いや、俺が小心者なだけだな。

 

 

「お怪我はありませんか?」

「あ……い、いえ。大丈夫です。」

「そうですか……それでは、失礼します。」

 

 

スッとあるき出すローブの人。

声色からして女性だったけど……所作に隙がないな。

多分ハンター……それもかなりの腕前だろう。

 

 

「ソウジさーん!!どこですかぁー!?」

「あー、ハイビスさん!ここです。すみません!」

 

 

態勢を立て直し、立ち尽くすハイビスさんのもとに向かう。

 

 

「すみません……人とぶつかってしまって……。」

「これだけ多いと迷いそうですね……ソ、ソウジさん、はい、どうぞ。」

「…………へ?」

「で、ですから。はぐれると、い、いけませんからね!」

 

 

ギュッ。

 

 

手を握られる。

こういうのって男性側からエスコートするものなのだろうが、しっかり握られた手に慌ててしまう。

 

 

「す、すみません。俺、手が汚いかも……。」

「だ、大丈夫ですから!気になさらず!」

 

 

ギュッ。

 

 

しっかり握り直してくるハイビスさん。

冷えたのか、少し冷たい感触。

でも、女性の柔らかさを感じる。

 

…………。

 

いかんいかん。これはあくまで俺の迷子対策。

俺は紳士。

 

 

「…………い、行きましょうか。」

「は、はい。」

 

 

ハイビスさんの返事とともに、宿まで歩き出す俺たちであった。

 

 

…………。

 

 

宿は軒並み満室であった。

手をつなぎながら宿を探すなど、あんまりにも恥ずかしかったが、四の五の言ってられない状況。

 

そんな中、運良く空いている宿屋を発見。

……結構お高めの宿だが、この際いいだろう。

 

 

「それでは、一部屋ご用意いたします。」

「ひ、一部屋!?」

「えっ?」

 

 

宿の受付の男性は、おそらく俺たちをどこぞのカップルと思ったのだろう。

手繋いでるし。

間違われることに対して、俺はむしろ光栄であるが、ハイビスさんには失礼だろう。こんな男。

 

悪い印象を与えないよう、ゆっくり手を離す。

 

事情を伝えて、二部屋空いてないか尋ねてみた。

 

 

「あいにくですが……現在ご用意できるのは一部屋まででございまして……。」

「……そうですか……実は連れがもう一人おりまして……。」

「左様でございますか……。申し訳ありませんが、今日ご案内できるのはこの部屋のみでして。」

「うーん……どうします?ハイビスさん?」

 

 

ハイビスさんを見る。

…………何か顔を真っ赤にしてうつむいていらっしゃる。

…………カップルと間違えられたことが恥ずかしかったのだろうか。

 

 

「…………ハイビスさん?」

「あっ!は、はい!一部屋!お願いしましょう!」

「えっ!?」

「あっ!違います違います!一部屋ではマズイのです。その、いろいろと!!」

「そ、そうですよね。参ったなぁ……。」

 

 

ほとほと困り果てる。

残りの宿は満室だし、打つ手が無い。

宿の受付の人も、困った顔をしている。

 

そんな時だった。

 

 

「…………あれ!?ソウジさんと受付嬢の……ハイビスさんか!?」

「あっ……。」

 

 

大きな声をかけられて驚く。

振り向くと、そこには懐かしい顔があった。

 

 

「いやー!久しぶりだなぁ!ソウジさん!元気にやっていたようで何よりだよ!ティガレックスやゴシャハギの狩猟の話は、こっちにも届いていてなぁ!」

「いやぁ……お久しぶりです、おじさん。」

「…………どうしたんだ?なんか元気がねぇが……。」

「いや、実は……。」

 

懐かしい顔。

それは、ワサドラから、ここタオカカまでガーグァ車を引いてくれた御者のおじさんであった。

 

心配をかけてしまったため、事情を説明。

 

 

…………。

 

 

「なんだ!なら、ソウジさん。俺の部屋に泊まればいい!俺もこの宿なんだよ!」

「えっ!?いいんですか!?」

「おうよ!命の恩人なんだからよ!遠慮すんなって!そしたら嬢ちゃんとセツヒトさんがもう一部屋で……万事解決じゃねえか?」

「…………お、おぉ。」

 

 

正直藁にも縋る思いである。

お言葉に甘えることにした。

 

ナイスタイミング、おじさん。

 

 

* * * * * *

 

 

「いやー!こんなに楽しい酒は久しぶりだ!ささ!セツヒトさんも飲んでくれ!」

「わー、すみませんおじさーん。どもどもー。」

 

 

セツヒトさんとも合流し、タオカカで一番賑わっていた食事処に入った。

部屋のお礼も兼ねて、おじさんも一緒に。

四人で食事を取るのも、野宿以来久しぶりである。

 

ちなみにセツヒトさんに何の用だったのか聞いてみたところ、

 

 

「野暮用の中身を聞くのはー、野暮ー?」

「それはそうですけど。なぜ疑問形なんですか。」

「まーせっちゃんにも色々あるのさー。」

 

 

と、はぐらかされてしまった。

 

そんなことはもう忘れて、四人で酒を飲み交わすことにした。

 

 

「おじさーん、良かったらまたー、ワサドラまで送ってくれるー?」

「おぉ!そいつは俺も願ったり叶ったりだ!こっちが頼みたいぐらいだよ!いいのかい!?」

「いいも何もー、私たちも安心っていうかー?ねー、ソウジー?」

「はい。おじさんが乗せて行ってくれるなら、とてもありがたいです。」

「よし!ちょうどそろそろ、ワサドラ辺りに戻ろうかと思っていたところよ!出立は明日でいいのか!?」

「いやーおじさん。話が早いねー。ぜひぜひー。」

 

 

トントン拍子に話が進んでいく。

おじさんがいたら、元から頼むつもりであったが、運がいい。

宿もゲットできたし、ワサドラまでの足も手に入れた。

 

ありがたい限りである。

 

 

「あ、ガーちゃんとグーちゃんは元気ですか?」

 

 

ハイビスさんが両手に持ったビールジョッキを机に置き、尋ねる。

片手でグイグイ飲むセツヒトさんとは違って、女性らしい飲み方である。

 

しかし、そこを聞くか。

大丈夫か。

 

 

「あぁ……あいつらはなぁ……。」

「えっ。」

 

 

言葉を詰まらせるおじさん。

……まさか。

 

少し物憂げな顔をしたおじさんは、食卓に並んだ特大の鳥の唐揚げをフォークで刺す。

持ち上げると、口でむしりとるように齧った。

 

 

「モグモグ……あいつらは……もう、な。」

「そ、そんな……。」

 

 

言葉を失うハイビスさん。

そうか、食肉になったか……。

 

いい奴らだったな。

 

 

「じゃ、じゃあ、ガーちゃんグーちゃん達はもう……。」

「あぁ、すまねぇな。冬の間、どうしても行き場もなくてなぁ……。」

 

 

仕方のない話だろう。

おじさんだって、商売でやっているのだ。

責めることなんて、とてもできることではない。

 

ハイビスさんはそれはもう哀しげな顔。

今にも泣き出しそうなのを堪えているように見える。

 

再会、楽しみにしていたからなぁ。

 

 

「あれー?」

 

 

ふと、セツヒトさんが声を上げる。

 

 

「でもさーおじさーん。さっきあの子達は元気にやっているって言ってなかったー?」

「えっ!?」

「……だははははは!!ばれちゃあしょうがねえなあ!!ははははははは!!!」

「えっ?えっ!?」

 

 

どういうこと?

 

 

「いやぁ、すまねぇ!ハイビスの嬢ちゃんを試してみたくてな!やっぱりアンタの愛は本物だよ!」

「え!?ということは、つまり……。」

「あぁ、ちゃんといるよ!言ったじゃねえか!これからが稼ぎ時の奴らだってな!」

「よ……良かったぁぁぁぁ………!」

 

 

おじさんがハイビスさんを試したってことか。

中々にいやらしいことをするではないか。

 

 

「すまねぇな!いや、実はな、少しそれも考えたんだけどよ……。」

「…………。」

 

 

おじさんが話し始める。

 

 

「ソウジさんとセツヒトさんが、ゴシャハギを倒したって聞いてよ。嬢ちゃんだって、臨時ギルドで頑張ってたんだろ?……あんたらが頑張って、俺たちを守ろうとしているってわかったら……こう、なんかよ……?こいつらを殺すのは、違うよなぁってなってな。」

「俺たちが……。」

「おう、噂は大したもんだったぜ。しかも後から聞いた話じゃ、セツヒトさんは有名な凄腕のハンターで、ソウジさんはそんなセツヒトさん差し置いて、ソロで強敵を撃破していったっていうじゃねぇか。……もう感動しちまってなぁ!!」

「そ、それはどうも。」

 

 

おじさんの話は続いた。

早い話が、俺たちの狩猟の話はこちらタオカカまで聞こえてきていたらしく、それを聞いてガーグー達を殺すのをやめたらしい。

なんでも、俺たちとの絆であるガーグァ達を、蔑ろにしたく無かったとか。

 

 

「ハイビスの嬢ちゃん、また明日にでも、あいつら撫でてやってくれ!喜ぶと思うぜ!」

「は、はいっ!ぜひ、やらせて下さい!」

 

 

今にも飛び出しそうなハイビスさんを抑えつつ、宴は続いた。

嬉しそうなハイビスさん。マイペースに酒を飲みつつ、俺に絡むセツヒトさん。

そして豪快に笑うおじさん。

 

 

帰りの道中も、楽しいものになりそうだ。

 

 

「そういやぁあんたら!男女関係に進展はあったのか!?」

「「「ブーーーーー!!!」」」

 

 

おじさんの爆弾投下に、全員が吹き出す一幕もありつつ。

 

その場はお開きになった。

 

 

* * * * * *

 

 

ガラガラガラガラ……。

 

 

荷台の中で、車に揺られる。

 

 

「あっ……ヤバいです。」

「えっ!?」

「何ぃ!?じょ、嬢ちゃん!車の中ではやめてくれよ!?大事な荷台なんだ!」

「だ、大丈夫です……。」

「おじさーん。前に嫌な感じするから休憩しよー?」

「お、そうか……じゃあ近くにきれいな川があるからよ。そこ、行くわ。」

「わかりました。」

 

 

ハイビスさんは、大変にお辛そうである。

寝たらどうかと進言すると「寝ると戻しそうで……。」と、どうしようもない返事を頂いた。

なのでずっと座って荷台に揺られているが、それでも辛そう。

 

原因は簡単。

昨夜の痛飲である。

 

おじさんの爆弾発言のあと、何故かハイビスさんとセツヒトさんのペースがアップ。

人間ってこれだけ飲めるのかと思わされた。

しかも2日続けての宴会である。

 

 

「もうお酒は飲みません……。」

 

 

弱々しくか細い声で休む姿も、これまた絵になるハイビスさん。

おいたわしや。

 

 

「あー……私も休むー……。」

 

 

そう言うと、セツヒトさんもハイビスさんの隣に行って、ゴロンと寝た。

 

 

「ソウジー……周辺確認……交代でー……。」

「は、はい。お任せください。」

 

 

一応マップを開いておく。

周りには……反応なし。よかった。

 

セツヒトさんもタオカカを出るときは平気な顔をしていたが……やはり乗り物に揺られるとキツイんだな。

二日酔いを何とかしようと毒消しを渡したが、あまり効かなかったらしい。

 

 

俺達は、今朝タオカカを出発し、もうすぐ昼を迎えようというところ。

全5日ほどの行程を進み始めたばかりだ。

 

 

「まさか旅の初日からこうなるとはなぁ……。」

「すみません……警戒は俺が引き継ぐので。」

「ソウジさんが見てくれるなら大丈夫だな!何とか今日中に中継の村まで行きたかったが……今日はやっぱり辞めといたほうが良かったんじゃねえか?」

「そうですね……。」

 

 

一応俺たち男性陣は、辛そうな女性二人に出発を遅らせることを勧めたのだが。

「迷惑はかけられないので。」と、一点張り。

 

……この状況が迷惑じゃないかと言われれば、まぁ迷惑なんだけど。

 

しょうがないよな。

ハイビスさんだって、毎日毎日過酷な業務をこなしてきたのだ。

セツヒトさんも、帰郷の最中とんぼ返りしてきたわけで。

 

はっちゃけて飲むのも、仕方がない。

 

 

「…………ソウジさん……あんた、自覚はないのかい?」

「え?じ、自覚?」

「いや……無さそうだな……。俺はソウジさんが一番すげえと思うぞ。」

「…………?」

「いやいや!気にしないでくれ!こう言うのは、他人がどうこう言うもんじゃねえやな!すまんすまん!」

 

 

そう言うと二人に水を渡しに行くおじさん。

よく分からんが……まぁ長い旅路だ。

ゆっくり行こう。

 

 

* * * * * *

 

 

旅の四日目。

下り道ということもあり、初日こそ色々あってまごついたが、その後は順調に行程が進んだ。

周囲の景色も山道からすっかり草原に変わり、まばらな木々や林が目立つようになってくる。

こうなると、ワザドラも近くなってきたと感じる。

 

このまま行けば、明日の早くにも着くらしい。

行きよりもだいぶ早い。

 

 

「凄腕二人がいるからよ!モンスターも全然出ねぇわ!はっはっはっ!」

 

 

大きな声で笑うおじさん。

ガーグァも力強く、その足を踏みしめている。

 

 

「ほんとよかったー……初日はどうなることかと思ったよー……。」

「すみません……私、ご迷惑を……。」

「いやいやーハイビスちゃーん……私も結構やばかったんだー……。ごめんねー、おじさーん、ソウジー。」

 

 

女性二人は、事あるごとに謝ってくる。

 

 

「いやいやいや。二人とも、気にしないでください。そもそもこの旅、俺の特訓の為に行くようなものでしたし。」

「うーん、申し訳なーい。……あー、ソウジー。見張り番代わるよー。」

「えっ。いいんですか。」

「うん。罪滅ぼしってやつー。」

 

 

いいのか。

こんな殊勝なセツヒトさんも珍しい。

 

荷台の上、幌から降りてセツヒトさんは逆に登る。

ヒョヒョイッという身のこなしは流石である。

今日のセツヒトさんの出で立ちは、いつものナルガ装備。

「流石に寒冷地仕様も暑くなってきたねー。」と胸元をパタパタさせていた。

色々と見えるその装備、ありがとうございます。

 

 

……変態思考のアホな俺は置いといて。

 

 

俺も流石に寒冷地装備は暑く感じるようになってきた。

低地に降りてきたからか、気候はガラリと変わる。

 

ついこの前まで、雪に囲まれた世界にいたのになぁ。

 

 

「雪……また見たいですね。」

 

 

ハイビスさんが、荷台の後ろを見てつぶやく。

視線の先には、俺たちがいた山々が見える。

 

あの山の一つ向こうが、確かミヨシだったはず。

遠くに行っていたもんだなと感じた。

 

後ろを見つめるハイビスさんに話しかける。

 

 

「……また行きましょうよ。ミヨシ村。」

「えっ。」

「今度は……観光目的で。ゆっくり温泉でも楽しみましょう。」

「あっ……それは、いいですね。」

 

 

ニッコリ笑うハイビスさん。

よかった、この所笑顔が少なかったから、心配だったのだ。

 

 

「今度は、ショウコやドールも連れて……みんなで行けるといいですね。」

「あー……そ、そうですね。」

「…………俺なんか変なこと言いました?」

「い、いえいえ!いいと思います。……みんなで行ったらきっと、楽しいですよね!」

「は、はい。」

 

 

様子がおかしい様な……気のせいか?

 

 

ゴトン!

 

 

荷台が大きく揺れる。

 

 

「わわっ。」

「おっと。」

 

 

態勢を崩すハイビスさん。

思わず手で抱きとめる。

 

 

「大丈夫ですか?」

「は、はい……すみません。」

「いえ。」

 

 

顔が赤いような……。

 

 

「あ、あの!ソウジさん!」

「は、はい?」

「わ、私……みんなでミヨシに行くのもいいですけど……。」

「は、はい……。」

 

 

どこか真剣な物言いに、こっちも姿勢を正してしまう。

 

 

「私は……ソウジさんと二人で、ゆっくり行きたいです。」

「……へ?」

「も、もしよかったら……こ、今度、私と―――」

「―――ソウジー!」

 

 

ハイビスさんの声を遮るように、荷台の上からセツヒトさんの声がかかった。

 

 

「す、すみません、ハイビスさん。」

「あっ……い、いえ。」

「何ですか!?セツヒトさん。」

 

 

ハイビスさんの発言に、少しドギマギしている。

えっ?今なんて言った?俺と?二人?

 

……いやいやいや、とりあえずセツヒトさんの方が先だ。

省エネ生活がモットーのあの方が大声を上げる。

緊急事態だ。

 

 

「セツヒトさん!どうしました!?」

「ソウジー!ごめーん!例のやつで、あの辺り、どう!?」

「は、はい!今すぐ!」

 

 

言うやいなや、情報画面を起動。

 

 

「な、何だ!?セツヒトさん!モンスターか!?」

「信号弾が見えたような気がしてねー……赤かったんだよー。」

「赤ってことは……救援信号か!」

 

 

おじさんが手綱を握りながら、心配する。

無理もない。

赤い信号弾は、基本緊急事態を示す。

俺の視力なら判別できたかもしれないが、マップを見た方が早い。

 

縮尺を合わせて……ん?

 

 

「……セツヒトさん、当たりです……結構遠いですけど、よく分かりましたね。」

「標的はー?」

「大型……だと思います。詳細は分かりませんが……。」

「そ、ソウジさん!?あんた、分かるのか!?」

「……俺、目が良くてですね。……それより、あっちです!」

 

 

危ない危ない。

ギフトとバレるわけには行かない。

 

それに、本当に救援信号なら、行ったほうがいいだろう。

俺も幾度となく、先輩ハンターに助けられてきた。

恩返しの連鎖だ。

 

 

「セツヒトさん!行きましょう!」

「私はオッケー。……おじさんとハイビスちゃんはー?」

「おぅよ!嬢ちゃんさえ良ければ、すぐに向かうぜ!」

「わ、私も賛成です!ギルド職員としても、助かります!」

 

 

全員一致。

息がぴったりだ。

 

 

「じゃあ向かうぜ!」

「はい!よろしくおねがいします!」

 

 

おじさんが手綱を操る。

すぐに方向を転換したガーグァ達は、今までと変わらぬ速さで草原を突っ切っていく。

 

 

「がんばってー!ガーちゃん!グーちゃん!」

「ガァー。」

「グァー。」

 

 

気合いの入った……とは言い難いが、しっかりハイビスさんに返事をする2頭。

頭がいいなぁ。よく懐いているし。

 

 

向かうは南西、モンスターの反応がある場所。

俺とセツヒトさんは、急いで装備の点検を始めた。

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