モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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115人それぞれの趣味を学びましょう。

ハンターの装備の世界は、非常に奥が深い。

 

武器一つとっても、かなりの幅がある。

俺が扱う双剣は、いわゆる近接武器。

モンスターに接近して攻撃を繰り出すため、怪我を伴うリスクも大きい反面、大ダメージを与えられる可能性が高い。

片手剣や大剣、太刀やハンマーなど、その種類もたくさん。

ダメージを少しでも減らすため、防御力を高めたゴツゴツの装備をするのが一般的だ。

 

また、遠距離から攻撃できる武器も存在する。

俺は扱えないが、ライトボウガンやヘビィボウガン、弓などがそれにあたる。

こちらは習得にかなりの技術を要するが、安定した狩りが可能になるという大きなメリットがある。

単純に遠い為、怪我のリスクは格段に低くなる。

近接武器を扱うハンターの装備に比べ、見た目も軽い装備が多い。

 

ちなみにこれはあくまで俺の主観であり、基本的な話だ。

全身ガチガチに固めたヘビィボウガン使いだっているし、何だったら俺の装備は防御というよりも回避に特化しているため、かなり身軽なものである。

 

人それぞれ、という答えが最もしっくりくる。

 

 

「……という訳で、装備や武器を見直してみようかな、と。」

「なるほどねー。せっちゃんりょうかーい。」

 

 

休日2日目。

結局俺はやることもなく、ホエールさんの教えを破り、セツヒトさんの武具屋に来てしまった。

もはや休日が何だと気にしすぎる方が体に悪いと思い、思いつくままに行動した結果がこれである。

 

いいんだ。俺は仕事に生きるのだ。

 

セツヒトさんは、相変わらずのんびりと仕事をしていた、

何度かここに来るお客さんに会ったことがあるが、セツヒトさんのそののんびり対応にも慣れたものであった。

 

仕事にも、自分の生き方を反映している。

ちょっぴり羨ましい。

 

今日は無人であった為、セツヒトさんが椅子を出してくれた。

二人で受付を挟んで駄弁る形に。

 

 

「そういやさー、ソウジってー、スキル気にしてるー?」

「スキルは……一応今、砥石研ぐのが速くなったり、弱点に効くスキルとか……あと、回避距離が上がるスキルを使ってます。」

「おー、なるなるー。いい感じじゃなーい?」

「そうなんですよね。どれも使い勝手がいいというか……。」

 

 

スキルが付く理屈については、少し不思議なことが多い。

例えばショウコからプレゼントで貰ったお守り。

これには<弱点特効>と<回避距離>というスキルが付いていた。

 

前者は何というか、モンスターの弱点に攻撃が入ったとき、こうズバッといい感じに当たるような。

そんな感じ。

後者は、攻撃を避けるモーションに入るとき、その回避の方向に力が入りやすくなる……気がする。

結果回避の距離が伸びる……ような。

 

…………フィーリングでしか説明ができないのがもどかしいが、確かに効果はあるのだ。

だが、なぜその力が作用するのかについては、未だに全くわからない。

 

 

「…………セツヒトさん。」

「せっちゃんー。」

「せ、せっちゃんさん。……スキルって、どうやって身につくんですかね?」

「お?どゆことー?」

「だから、スキルが身につく理由というか……装備したりお守りを持つだけで力を発揮できるとか、おかしくないですか?」

 

 

前々から不思議だったことを口にしてみる。

この世界、結構ファンタジーな要素が少ない。

魔法らしい魔法なんてお目にかかった事などないし、ハンターは体力や技術を鍛え上げてモンスターに立ち向かう。

この世界はこの世界なりに、結構リアルなのだ。

 

 

「いや、スキルだけじゃなくて……俺のいた世界と比べると、色々ぶっ飛んだことはありますよ?例えば……。」

 

 

だが、回復薬の効き目のおかしさや、モンスターの物理法則を無視した動き、他にもハンターの体力や生命力のおかしさ……ファンタジーというか、よく分からん部分が多々あるのは事実。

 

色々とセツヒトさんに聞いてみることに。

 

 

「んー……考えたことも無かったなー、そんなのー。」

「そうですか……。」

「あ、でもでもー。ソウジのそのギフト?の力がー、一番おかしいってー。うん、ありえないー。」

「ま、まぁそれはそうなんですけど……。」

 

 

やはりこの世界の人にとって、当たり前のことなんだよな。

万有引力に気づいたあの偉人はマジで凄いと思う。

目の前の当たり前に疑問を持つというのは、とても難しいことだ。

 

リンゴが落ちた所で、俺なんて「へー。」で終わる自信がある。

 

 

「何か昔ー、そういうのを本で読んだようなー……確かー、モンスターの素材とか鉱石とかその物に力が秘められていてー、身につけることでその力を発揮できるとか……そんな話ー。」

「うーん……。」

 

 

それは何だろう、理屈ではあるが、根拠が全くないワケで。

 

 

「……まぁでも、実際力は発揮されるワケですしね。」

「そーそー。そういう難しいことはいいのさー。……そんなことより、ソウジー……もちっとモンスター、狩ってみたらー?」

「も、モンスター、ですか?」

 

 

急に提案された。

そりゃそろそろ本格的に狩りに出かける予定だけども。

 

 

「んーっとねー、ソウジが目指すスタイルっていうのー?それを考えるとー、ちょっと素材が足りないんだよねー。」

「えっ。それは……。」

「私なりに考えてみたんだけどー、ソウジってガッツリ回避主体でしょー?しかも、カウンターが結構うまいしー。その辺、どーお?」

「そうですね……、」

 

 

セツヒトさんが言いたいことはだいたいわかる。

つまりは、自分がどういう狩りのスタイルで行くか、ということだろう。

装備というのは、千差万別。

俺自身が目指す形、か。

 

 

「…………回避はやっぱり外せないです。」

「…………うんうん、それでー?」

 

 

カリカリ。

 

 

セツヒトさんが受付台に肘をついてメモを取り始める。

銀髪が台にかかり、真剣な表情。

うーん、この人、こういう時は本当に美しい人なんだけど。

 

……見惚れている場合ではない。

話を戻す。

 

 

「それに……攻撃力強化は必須ですね。これから強敵を相手にしていくとなると、そこも外せません。弱点を的確に狙うことについては……自分で言うのも何ですけど、結構得意なんで……そこを生かせるといいかな、と。」

「ふんふん。」

「あとは、剣の切れ味管理……これも厄介です。ティガレックスを相手にした時、この大切さがよくわかりました。ここを何とか出来れば、より効率的に狩猟を進められる……気がします。」

「なるなる……っと。……他にはー?」

「……これはわがままかも知れないんですけど……窮地に立たされた時こそ、研ぎ澄まされていく……気がするんです、俺。……いや、誰でもそうだとは思うんですけど……何というか、ピンチで集中力が増すというか。そこを生かせたらいいですね。」

「……オッケー……うん。自己分析もできてるんじゃないー?」

「逆に不安なのは、防御ですね。打たれ弱いってわけではないと思うんですけど、双剣2本で攻撃を防ぐのは、これから結構厳しくなると思います。……危ない橋を渡るなと、ショウコに前回怒られました……。」

「あー……ソウジ、そういうとこあるもんねー。」

「はい……。」

 

 

謙遜も隠し事も無し。

恥ずかしいが、これが俺なりの自己分析&自分の理想とするスタイル。

回避主体、攻撃力強化を含めた効率の良い狩猟、その為の切れ味の持続……できればいざという時の集中力を活かせるような。

そんな感じ。

 

理想が高過ぎか。

 

 

「要素盛り過ぎですね……。」

「いやー……イケると思うよー?ちょっと待ってねー?」

「……え?」

 

 

言うや否や、セツヒトさんがメモを手に真剣に考え始めた。

何やらブツブツ言っている。

 

 

「攻撃強化……リオレウスとアンジャナフの装備でまかなうとしてー……効率重視……要は会心攻撃、カウンター主体……弱点狙うとかソウジならいけるでしょー?……なら弱点特攻のお守り生かしてー……あ、アイツかー……アイツはキッツイよねー……流石に私も持ってないかもー……でもこれが揃ったら力の解放もつくし……この際回避は捨ててー……ソウジ本人に頑張ってもらおうかなー……目もいいしイケるでしょー……あ、だめだ、切れ味切れ味……。」

「……。」

 

 

独り言を結構なボリュームで話しているセツヒトさん。

な、なんか……趣味に没頭しているマニアックな方々のような口ぶり……。

セツヒトさん、実はこういうの考えるの大好きとか……?

 

 

「……研ぐの速くするか持続させるか……あー、武器から考えればいいのかー……ティガの双剣は……会心率がなぁ……あ、ナルガクルガ!……そうだ、こいつがいた……。」

 

 

カリカリ!!

カリカリカリカリ!!

 

 

……めっちゃ高速で鉛筆を動かすセツヒトさん。

……正直に言おう。

少し不気味。

 

 

「あー……いい感じー……でもモンスターきっついよねー……ま、当面はこれを作るのに集中して貰えば……。」

「……あ、あのー?せっちゃんさん……?」

 

 

たまらずセツヒトさんに声をかけてみる。

 

 

「ん?……あーあー、ごめんねー、ちょっとトリップしてたー。はははー。」

 

 

ちょっと?

……ま、まぁいいや。

 

 

「その……今日答えを出さなくてもいいんですよ?その、休日の時間潰しに店に寄ったっていうのもありますし……。」

「いやいやー、いいのいいのー。こう言うの考えるのー……好きなんだよねー。」

「は、はぁ。」

「まー、趣味の一つでねー。……で、今の所の結論としてー。」

 

 

セツヒトさんが好きな物。

酒とイジリが好きなのは知っていたが、こういうことを考えるのも好きなんだな。

意外、では無いけど。

だって武具屋を開いているぐらいなんだし。

 

セツヒトさんが少し咳払いをして、話し始めた。

 

 

「攻撃力の強化とー、会心……こう、ズバッといく感じのアレねー?アレを強化してー、切れ味確保の砥石使用高速化、業物っていう……武器の切れ味が強化されるスキルもつけてみてー、ソウジの集中力を生かした力の解放っていうスキルもつく……そういうスキルの構成が可能だよー?」

「ま、マジですか。」

 

 

すげぇ。

俺の要望丸々クリア。

恐ろしい。

 

……ん?

 

 

「か、回避は……?」

「んー。回避距離とかそういうのの強化も考えたんだけどー、そのお守りについている回避距離っていうスキルー?それで十分だと思うよー?ソウジ、単純に避けるの上手いしー。……そのお守り、すごいやつだよー?大事にしてねー?」

「お、おぉ……。」

 

 

ショウコはそんなにいいものを俺に……。

ありがとうショウコ……これからも大切にします……。

……元はフェニクさんが発掘したんだっけ。

フェニクさんもありがとう……。

 

 

「ただねー……結構キッツイこと言うよー?」

「は、はい。」

「素材が足りないと思うんだよねー。ソウジー……オロミドロ、リオレウス、アンジャナフ、ラージャン……この辺のモンスター、相手にしたことあるー?」

「い……いえ、無いと思います。」

「なるほどねー……ジンオウガもなんだよねー……。こいつらの素材が必要なのさー。わー、ソウジ大変ー。」

「……そいつらは、正直に言ってほしいんですけど……俺は勝てますか?」

 

 

素材を集めるのはいい。

クエストにあるかは分からないが……そいつらを見つけて狩ればいいのだから。

問題は、俺が敵うかどうかである。

 

 

「……正直言うよー?」

「は、はい。」

 

 

緊張する。

まぁ敵わないとしても、俺が強くなるしかないんだけども。

 

 

「……大体は、いけるっしょー。」

「……え?」

「だからー、大体はイケるってー。オロミドロとかちょーめんどいんだけどー、まーソウジならイケるイケるー。リオレウスは閃光玉でハメちゃってー……アンジャナフはソウジめっちゃ相性いいでしょー?……ジンオウガは、まぁ頑張ってー?」

「は、はぁ。」

 

 

もっとキツいこと言われるかと思ったが。

「まだソウジには早いかなー」なんて。

 

 

「……でも、ラージャン。……こいつは別格ー。」

「……強いんですか?」

「……私の主観だけどー……ティガレックスが可愛く見える……かなー?」

「うわぁ……。」

 

 

俺が必死こいてようやく倒したティガレックスが可愛く見えるとか。

なんの冗談だ。

 

 

「……どーするー?ソウジー?……やるー?」

「……。」

 

 

……まぁでも。

強くなりたいんだから。

……これから、そういった強敵を相手にしていくんだから。

 

それくらいの試練、乗り越えないとな。

 

 

「……やりますよ。俺。」

「……おー。」

「いや、絶対倒すなんて大口は叩けませんけどね。……やってみます。死なない程度に。」

「うんうん……ソウジー、やっぱ良いよー、君はー。」

「あ、ありがとうございます。」

 

 

礼を述べておく。

天狗にはなりたくない。

 

 

「しかし、あれですね。……強敵を倒すための装備を作るために強敵に立ち向かうとか、笑えませんよね……。」

「んー……ソウジにこんな言葉を送ろうかなー。」

「へ?」

 

 

セツヒトさんがすぅっと息を吸い込む。

 

 

「……ようこそー、修羅の道へー。」

 

 

修羅の道。

茨の道。

 

これから目指す俺の理想。

それは修羅の道のりであると聞いて。

 

 

「は、はは……。」

 

 

……俺は、乾いた笑いしか、出てこないのであった。

 

 

* * * * * *

 

 

セツヒトさんの武具屋で過ごしたその日の夕方。

しこたまアイテムを買い漁り、わざわざ部屋に持ち帰ってからポーチに収納した。

 

おおっぴらにポーチにしまえたら楽なのだが、そういうわけにもいかない。

 

 

「……トレーニングして、銭湯行って、飯食いに行くか……。」

 

 

理想の休日の過ごし方を、今日はことごとく破ってしまっている。

ならもういっそ、通常運転でいこうと思う。

 

俺は服を着替え、トレーニングに勤しむことにした。

中庭を借りて、筋トレと素振り。

……全く疲れなくなったなぁと、実感。

 

雪山のランニングは、スタミナの面でも相当な効果があったらしい。

明日の朝は、ワサドラの外周をランニングしてみよう。

どれだけ速くなったか、楽しみである。

 

 

トレーニングを終えると、俺は銭湯に直行した。

 

 

…………。

 

 

銭湯。

ほぼほぼ毎日通っていたここだが、先日久々に帰ってきたものだから、番台のおじさんに大きな声で挨拶されてしまった。

目立つのは少し恥ずかしいので、若干居心地が悪くなってしまった。

……まぁ気にしないことにする。

 

湯浴み着に着替えてサウナ室に入ると、幾人かのハンターと思しき輩に、ジロジロ見られた。

……何だかよく分からんが、スキル、気にしないを発動。

 

堂々と汗をかく。

しばらくしたら汗を流して水風呂へ。

クールダウンしたら、備え付けのベンチで一休み。

再びサウナ。

水風呂。

ベンチ。

 

3回ほど繰り返せば、なんとまぁ、心地良い。

と、ととのう〜……。

 

恍惚の時間、最高の瞬間である。

 

 

「ソウジ様。」

「へぁ!?」

 

 

だ、誰!?

めっちゃ変な声出ちゃったよ!?

某宇宙からやってきた光の巨人みたいな!!

 

 

「わ、私です、ヒナタです。……急に申し訳ありません。」

「あ、ヒナタさん!これは、すみません。驚かせてしまって……。」

「それはこちらのセリフです。急にお呼びして、申し訳ありません。」

 

 

謝り合う俺たち。

俺のことを様付けで呼ぶ人なんて、ヒナタさんぐらいなのに。

反応できなかった。

最高のヒーリングタイム中で、隙だらけだったな。

 

 

「いえいえ、気にしないで下さい。ヒナタさんは、今日はお休みですか?」

「はい、ソウジさんがお休みなので、それに合わせました。」

「あ、なるほど。」

 

 

ヒナタさんは、ハイビスさんと同様に俺のクエストの受付業務を専属でやってもらっている。

新人ながらとても有能であると、ハイビスさんからはよく聞いている。

凛とした佇まい。フェニクさんとも違う、大和撫子のようなイメージ。

湯浴み着を着て、髪はアップに束ねて、タオルを頭に巻いている。

髪が長いと大変だなぁ……って。

 

そういえば……。

 

 

「……まずいですかね……俺たち、以前一緒にいて、ハイビスさんに怒られましたし……。」

「あ……そ、その節は、ご迷惑をおかけしました。」

「い、いえいえ。その辺事情に疎いもので。こちらこそご迷惑を。」

「……その、サウナ室に一緒に入らなけば、大丈夫かと思います。……男女のそういった関係の方は……そ、その、一緒に入るそうですが……。」

「あ、な、なるほど。」

 

 

うーん。

やはりよく分からん、こっちの世界の貞操観念。

 

そしてヒナタさん、急にしどろもどろにならないでほしい。

ギャップというのか……しっかりした女性が弱みを見せるのは、男性にとってかなりのダメージを与える。

今、俺の心にクリティカルヒットしてしまった。

 

おっさんハートよ、落ち着くのだ。

 

 

「……で、ひ、ヒナタさんは、お元気でしたか?」

 

 

何でもない会話で緊急回避。

話題転換の技、発動。

 

……若干噛んだけども。

 

 

「あ、はい。ハイビス先輩がいなかったので、少し寂しかったのですが……新しい友人もでき、楽しく過ごしておりました。」

「新しい友人。」

 

 

話しながら、俺の横に腰掛けるヒナタさん。

若干の距離を取って座るのは、致し方無かろう。

距離感。これ大事。

今日はうちわは持ってないのか。

俺も忘れたけど。

 

確かハイビスさんは、ヒナタさんは友人が少ないとか何とか……そんなことを心配していた様な。

同郷で可愛い後輩……あ、ヒナタさんも首都出身てことか。

ヒナタさんはクールに見えて、結構おしゃべりが好きな女性である。

話すのは、中々に楽しい人だ。

美人だし、友達を作ろうと思えばすぐにできると思っていたが。

良かった良かった。

 

 

「こう、空気が合うと言いますか。一緒に過ごしていて、とても楽なんです。ハンターの方なのですが、不思議と。」

「ほ、ほぉ……。」

 

 

これは……彼氏ができたとか、そういう話か……?

もしくはそれに近いような方が現れたとか、そういう……。

 

ま、まぁ、邪推はしないようにしよう。

大変失礼なことである。

聞くに徹する。

 

 

「それは良かったですね。」

「はい。休日も一緒に過ごすことが多いです。その友人のオトモアイルーも、それはもう可愛らしく……。」

 

 

あ、目の色変わった。

……さすが、アイルー好きのヒナタさん。

俺は知っている。

この人はもう、俺なんか目じゃないレベルで猫……アイルー好きな人であるということを。

 

最近はなんかもう隠す気もあまり感じられないけども。

まぁいい傾向……なのか?

 

 

「割と無口と言いますか、クールなアイルーで……それがもう、私としてはたまらないという次第です、同志。」

「それは……重ねて、よかったですね。」

「はい、いい出会いをしました。ものすごく。」

 

 

素敵な男性ハンターと出会い、アイルーも愛でられる。

いい話である。

……多分。

 

 

「同志、ソウジ様も、ご一緒してそう思われませんでしたか?」

「……はい?」

 

 

ヒナタさんお友達できてよかったね、なんて思っていたら、ヒナタさんが不思議なことを言い出した。

ご一緒?どういうことだ?

 

 

「ですから、そのアイルーです。……ソウジ様の琴線には触れませんでしたか?」

「え、ええと……話の流れが読めないのですが。」

「その、トツバ様です。」

「……へ!?」

「私の新しい友人はフェニク様で、クールなアイルーというのがトツバ様です。」

「……あ、あー、なるほど……。」

 

 

……あの二人のことかよ!!

 

……とは突っ込まない。

男性ハンターへの淡い恋心とか、そんな少女漫画ちっくなことを想像したのは、俺である。

アホか。

 

しかし、トツバか。

……確かに、ショウコのブロンドの髪と猫耳とは違って、トツバは黒髪黒耳黒尻尾。

黒猫アイルー好きには、たまらないだろう。

 

 

「トツバは……とんでもないポテンシャルを秘めています。」

「やはり……!同志もそう思われますか……。」

「あの黒耳が……。」

「しかし口調も……。」

 

 

ボソボソ。

 

ゴニョゴニョ。

 

 

二人のアイルー談義……もといアイルーこそこそ話は止まるところを知らず。

かなりの時間、ベンチで愛を語りまくってしまった。

トツバから話題はショウコ、そしてオスズに飛び。

オスズの弁当をほぼ毎日購入しては、萌えに萌えているというヒナタさんの話まで及んで。

 

非常に充実した時間となった。

 

 

 

 

 

 

ちなみに。

 

 

「ですから!!どうして風邪を引くまで二人で過ごすことがあるんですか!!」

「ぶ、ぶぇっくしょい!!……す、すみません……でも、一緒にサウナは入っていませーーー」

「そそそ、そういうことではありません!!ソウジさん!!あれだけ冬山で体調管理について話しましたけど!」

「は、はい……。」

 

 

体調を崩したヒナタさんに異変を感じたハイビスさんが、ギルドで俺に説教を食らわすのは、また別の話。

 

趣味の話も、程々に。

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