モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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12自分にできることを理解しましょう。

ドールに、剣の振りを見てもらうことにした。

 

いや、少女に何か師匠的な部分を見出したわけではない。

ただ、自分一人では煮詰まっていたのは確かなわけで。

 

 

「じゃあ、いくぞー。」

「う、うん。」

 

 

さっきドールにお願いしたら、今まで見たことの無いぐらい目を見開いて「え?」という顔をされた。

そりゃそうだよ。昨日今日会ったやつに「剣の振りを見てほしい」なんて言われてみろ。

 

……キモい。

 

早まったかもしれない。でももう遅い。すでに構えてしまった。

 

ちなみにドールに「ハンターになることはできたが、初心者講習会をまずは受けることになった。」と伝えると、「よかった。」とだけ返事された。

知り合ったやつが、無謀なことに突っ込むよりはよほどいいよな。

優しい子だな、と改めて思った。

 

 

「まずは、斬り下ろし……ハッ!!」

 

 

そうして、自分でもよくわからないまま、<操作方法>に書いてあった技名を言って、剣を振る。

するとすぐドールから指導が入った。

 

 

「斬り下ろし?片手剣の人って、もっと上から力強く振り下ろしてたよ?」

「そうなのか!?……じゃあ……こう?」

 

 

言われた通り、力強く振り下ろしてみる。

 

 

「うーんとね。ごめん、うまく言葉にしづらい。そんなに強くなくて、次の斬りにつなげられるような感じで。」

「……もう少し力を抜いてみるか……。」

 

 

* * * * *

 

 

「……ハアッ!」

「あ、いいかも。それ。」

 

 

様になってきたらしい。やはり人に見てもらって正解だったかもしれない。

いや、ドールに見てもらって、正解だったかもしれない。

 

多少フィーリングな言語を使うが、非常に分かりやすかった。

 

ただ、流石に長時間拘束するのはどうかと思う。すでに30分ほどは見てもらっていた。

 

 

「ごめんな、ドール。いい練習になったよ。ここからは一人で練習してみる。」

「そこは『ありがとう』だよ。謝られてもうれしくない。」

「そうか、確かに。ありがとう。」

「……ふふっ。どういたしまして。」

 

 

初めてドールが笑うのを見た気がした。

 

 

「じゃあ、次が最後ね。ソウジさん。もう一回、剣を振ってみて。」

「よしきた。じゃあ、今日の総仕上げだ。」

 

 

本当にいい子だ。

報いるためにも、今日一番の出来の振りを見せたい。

集中する。今日のことをおさらいする意味で、もう一度情報画面の<操作方法>を開く。

 

斬り下ろし、とだけ書かれている。何の説明もない。

 

でもだいぶ体に馴染んできたこの動き、モノにしたい!

 

 

 

 

そう願った瞬間だった。

 

 

 

 

頭の中に情報が流れ込んできた。

 

 

【片手剣の使い方……斬り下ろし……派生先…横切り……水平切り……回転切り……ハードバッシュ……ジャストスラッシュ……バックステップ……旋刈り……溜めてタイミングよく……ガードとカウンター……………】

 

そして何も変化のなかった<斬り下ろし>の部分が光り出した。

 

 

「ドール……そこからもう少し離れて見てて。」

「えっ?」

「頼む……。」

「わ、分かった。離れるね。そ、ソウジさん?大丈夫?」

「……いくよ。」

 

 

ドールが十分に離れたのを確認し、光り出した<斬り下ろし>を、頭の中で選択した。

 

 

「……フッ!」

 

 

息を吐きだすと同時に、斬り下ろす。すぐに刃を返して切り上げる。さらに踏み込んで斬り下ろしと切り上げ、そのまま横薙ぎ、勢いを殺さずに回転して強烈な横薙ぎを行う。

 

 

「れ、連続技…。」

 

 

ドールが何かを言っていたが、よく聞こえなかった。

それぐらい集中していたわけで。

 

最後の技が終わった後、俺は今までにない感触を得ていた。

 

 

「これは……。」

 

 

頭の中に情報が入ってきた、と思ったら、片手剣の操作の仕方が分かった。分かってしまった。

 

そうか、斬り下ろしはあくまで初手、そこから連続でつなげて相手を畳みかける。それがこの武器の特徴か。

 

 

「すごい……。」

 

 

あっけにとられているドール。だが、それは俺も同じだ。

急に<操作方法>が光り、武器を扱えたのだから。

 

なぜできたか、それは間違いなくこのギフトの力だろう。

そしてこの肉体。

先ほどの尋常ではない連続技の応酬。正直体がちぎれるかと思ったが、今では体はぴんぴんしている。

 

 

「ソウジさん。すごい。こんなの見たことないよ。」

「……うん。できたな。」

「感動が薄いと思うけど……。でも、斬り下ろしどころじゃなかったね。あんなに連続して素早く剣を振るえるなんて、驚いた。」

「……あのー、ドールさん。お願いがあります。」

「……何でしょう?」

「……もう一度だけ、剣を振るのを、見てもらってもいいですか?」

「……ふふふ。あははははは。」

 

 

こんなに笑う子だったっけ?そう思うほど、ドールは今までにないぐらい楽しそうだった。

 

 

「うん、いいよ。でも、さん付けじゃなくて、ドール、だからね。あと、敬語もなし。」

「はい、すみません。」

 

 

性懲りもなく再び謝り、その後何度もドールに剣の振りを見てもらったのだった。

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