モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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123痛みをこらえて戦いましょう。

頭が働かない。

考えようとしても、痺れる。

 

 

「ぐぁっ……!がっ……あぁっ…………!」

 

 

ジンオウガの雷撃に、直撃してしまった。

 

油断した。

ショウコが、危なかった。

だから庇った。

庇うような段階に行くまで、攻撃をするべきではなかった。

 

後悔は先に立たないけど。

 

 

「ふっ……ぐっ!……うぅ……!」

 

 

思考が戻ってくる。

だが、足が踏ん張れない。

ようやく立つ体。

 

……よろよろと揺らぐ足に、何とか活を入れる。

 

 

(やばい!やばいやばいやばい!!)

 

 

常に対象から視線は逸らさない。

基本中の基本なのに。

 

できない。

視界が揺らいで、目が言うことを聞いてくれない。

 

体は……分からん。

痛いという感覚は鈍くあるが、それさえ判断がつかない。

立てたということは、おそらく足は無事。

武器は……手放してない。

 

ビリッビリッと不規則に体がしびれる。

 

 

「グォォォ!!」

 

 

一瞬の思考。

すぐ後、雄叫びに、意識が覚醒してきた。

 

マジかよ。

あいつ、振り向きざまに尻尾攻撃してくるわ。

 

 

 

 

…………当たって、たまるか。

 

 

 

 

「ぐぅっ……!」

 

 

ズドォン!!

 

 

俺の左横に、いかついジンオウガの尻尾が落ちてきた。

いや、振り下ろされた。

急に後ろを向いたと思ったら、次の瞬間、バク転して尻尾を地面に叩きつけた。

 

咄嗟に体が動いた。

感覚の戻りつつある右足の膝を抜いた。

そしてそのまま転がっただけ。

 

……なんとか回避は成功。

 

だが、膝を地に着いてしまった。

 

 

「ご主人様ぁ!!」

 

 

ダダッ。

 

 

こちらに向かってくるショウコ。

 

 

「ご主人様!!」

「ショウ……俺の右手……ポーチ……!」

「は、はいっ!!」

 

 

言うことの聞かない右腕を、ショウコを使って、無理矢理にポーチに触れさせる。

 

 

(アイテム一覧……ウチケシの……っ!……もう一回!……アイテム一覧……ウチケシの実……!)

 

 

情報画面の選択がうまくいかない!

 

 

ガリッ。

 

 

口の中に突如として存在し始めた、何かの塊。

多分これがウチケシの実……!

 

…………噛む!

 

 

ボリ!ゴクン……。

 

 

「……おぉ……いってぇ……。」

 

 

効果は覿面だった。

全身のしびれから、肉体が解放されていく。

 

嘘みたいにクリアーになる思考。

それと同時に。

 

俺は激痛に襲われた。

 

 

(っ……!!……体全体が……痛い……。)

 

 

一瞬で自分の体の負傷部位の確認を終える。

雷撃は、俺の体全てにダメージを与えたようだった。

筋肉痛とは比較にならないほどの鈍痛が、ありとあらゆる部位に響いている。

 

 

「ガァァァァ!!」

「……!ショウコ!」

「避けます!」

 

 

バッ!!

 

 

二人揃って、大きくバックステップ。

 

 

「ガァッ!!」

 

 

タックルを、何とか避けた。

モーションが分かりやすい攻撃で良かった。

 

 

そして。

 

 

カチ。

 

 

ズドォン!!

 

 

「グァァァァァ!!?」

 

 

ついでに落とし穴を仕掛けて、ハメた。

 

時間はない。

未だ万全とは言えない体。

回復薬グレートを飲み干し、全身にぶっかける。

 

 

「グァッ!ガァッ!…………ギャァアォ!!」

「ふぅーーー…………。」

 

 

ジンオウガは、穴の中でもがき、暴れている。

 

呼吸法で息を整える。

…………うっし、少しは戻った。

 

 

「ご主人様、すみません!」

「俺もすまん、ショウコ。指示が遅れた。」

「……もう、喰らいません。」

「あぁ。油断はしないと決めたのにな。」

 

 

どこか、慢心していた。

ディノバルドと比べ、雷球も尻尾も、その攻撃は遅かった。

反撃の術などないと、頭の何処かで決めつけていたのかもしれない。

 

 

「呂律も戻った。口の中はすごく苦いけど……体も動く。」

「……リタイア、しますか?」

「駄目だ。……来るぞっ。」

 

 

会話を打ち切り、剣を構える。

 

俺たちの後ろには、移動集落がある。

ここで取り逃がせば……万が一の可能性がある。

 

引くことは、できない。

 

 

「挟撃は一端中止!集落の反対側に誘導!」

「はいっ!」

 

 

正直言うと、立つのも辛い。

痛みは徐々に引いてはいるが、全快とは程遠い。

 

 

「回避優先!意識を俺に向ける!」

「はいっ!!」

 

 

チャッ。

 

 

だがここでやらねば、被害が出る。

かもしれない。

 

武器を構え、ジンオウガを見据える。

 

 

「……グァァァァ!!」

「くっ……。」

 

 

重い体に活を入れ、無理矢理動かす。

 

右の爪を振り上げ、俺を殺しに来るジンオウガ。

……トドメを刺しやすい俺を狙うよな、そりゃ。

 

 

ドガァッ!!

 

 

地を抉る音。

それが真横で響くのだから、恐ろしいという他ない。

 

しかも体が重い。

 

 

(予見するんだ……次は、次はなんだ?)

 

 

体は重いが、頭は働く。

ならば、先を読む。

 

それしかない。

 

 

「ガァッ!」

「うおっ!?」

「ガァウッ!!」

「ぬおおっ!!」

 

 

余裕を持つなど程遠い。

攻撃を見てからでは間に合わない。

ただただジンオウガの攻撃を読み、寸前で避ける。

 

あまりに危なっかしいからか、ショウコがチラチラと俺の方を見ている。

 

……大丈夫だ、何とか動きはできるから。

間一髪だけど……。

 

 

ジンオウガの猛攻。

文字通り、猛り狂って俺を猛追してくる。

 

俺はその尽くを。

 

 

(左!!)

 

 

ドガァッ!

 

 

(後ろっ!!)

 

 

「ガァッッッ!!」

 

 

ドォン!

 

 

避けに避けていった。

 

モンスターは必ず予備動作がある。

しかも、俺を仕留めようと必殺の攻撃を繰り出してくる。

 

モーションが大きい。

 

 

「よっ……と。」

「グァァァァ!!!」

 

 

ズガァァ!!

 

 

地を砕き、尻尾を振り回して、爪を立て。

その全てに、俺は対応した。

 

 

「……す、すごいです!ご主人様!」

 

 

ショウコから声が聞こえる。

反応はできない。

 

そこまでの余裕は、無い。

 

 

だが、体のしびれは徐々に取れ、痛みも……多分慢性化して来た。

時間をかけて、自身の回復を狙った。

 

 

…………。

 

 

「ショウコ!この辺で!」

「は、はいっ!!」

 

 

草原の更に奥。

相当に、移動集落から引き離す事に成功した。

 

依然としてジンオウガの猛攻は続いていたが、その全てを避ける。

 

 

回避に専念すれば、なんとか耐えられる。

 

 

(問題は……俺の方の攻撃だな。)

 

 

まだ動かしていない、両手に構えた双剣。

これが言うことを聞くのか。

 

 

(上腕……腕……握力……多分いける……。)

 

 

全身の、主に攻撃で激しく使用する部位を再確認する。

 

 

「ショウコ!10秒いいか!?」

「はいっ!ほらっ!こっちや!!」

「グァァァ!!」

 

 

ショウコが気を引いて、自身に攻撃を向けさせた。

そのスキに、双剣を研磨する。

 

 

……準備は多分、いい。

 

 

「…………交代!」

「はいっ!」

 

 

ショウコと瞬間的にスイッチする。

いきなり眼前に現れた俺に、敵意をむき出しにするジンオウガ。

 

 

「ガァァ!!」

 

 

両脚を踏ん張り、攻撃態勢。

俺も、構える。

 

 

(いけるか……!?)

 

 

鬼人化。

そして脱力、集中。

 

大型犬が飛びつく様に、俺にのしかかってくるジンオウガ。

見える。

ゆっくりと、動きが読める。

 

今度は、避けない。

 

迎撃する。

 

 

「……ふっ!」

「グァァァ―――」

 

 

ジンオウガの足が、俺の体を抉る。

 

その寸前。

 

 

(バック……跳ぶ!)

 

 

距離を完璧に読んで、後退。

後ろに着地したその瞬間、足を踏ん張って。

 

 

「はぁぁぁぁ!!」

「―――ァァァァァ!!?」

 

 

俺は跳躍した。

ギリギリのタイミング。

目の前には、ジンオウガの顔。

 

立派な角に、刃を立て。

相手の勢いを利用し。

 

 

(空中回転乱舞!!)

 

 

宙に舞う。

 

 

ズザザザザザサン!!

 

 

切り裂く音。

だが、終わらない。

 

このまま着地すれば、ヤツの餌食。

 

 

(ここっ……!)

 

 

再び回転の力を利用して、ジンオウガの頭に双剣を一閃。

体を更に捻って。

 

 

「……ぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

ズザン!ズザザザザザザシュ!

 

 

「ガァァァァ!」

 

 

ジンオウガの背中を伝って、ヤツの尻尾まで。

余すとこなく、回転の斬撃を見舞う。

 

 

「…………っと!」

 

 

ズザァッ。

 

 

体を止める。

足を踏ん張って、なんとか着地。

 

 

「…………グルルルル…………。」

 

 

「何をした?」とお怒り顔の雷狼竜。

ティガレックス戦で行った、頭から尻尾までの()()()

頭に当てた切っ先を始点として、背中を伝い尻尾まで。

 

弱点では無いが、相手の後ろを取るには有効な技だ。

……失敗するかもしれないという最大のリスクに目を潰れば、だけど。

 

うまくいって良かった。

 

 

「グアゥ―――」

 

 

 

ジンオウガが、後ろを取られまいと俺に振り向く。

両の脚をこちらに向けて、地につけた……その瞬間。

チャンス。

 

 

(そこ!!)

 

 

その爪の隙間を狙って。

 

 

ザシュ!ザザン!ザン!

 

 

双剣で、斬りつける。

 

 

「ギャァァァ!!」

 

 

ここが弱点なんだよな、コイツ。

情報画面を信じれば、だけど。

 

 

「……グルルルル…………。」

 

 

ザッ!

 

 

バックステップで後退するジンオウガ。

本当に身軽なモンスターだ。

跳躍、突進、爪、尻尾、どの攻撃もティガレックスやディノバルドには及ばない。

 

だが、すべてのバランスが、いい。

 

さすが、無双の狩人と呼ばれるだけはある。

 

 

更に……。

 

 

「…………ウゥォォォォォォン!!」

 

 

遠吠えのような咆哮。

その声を皮切りに、身に纏う雷光虫は発光を強くしていく。

そして身に纏うは―――。

 

 

バヂィ!!バリバリバリ!!

 

 

「…………グルルルル…………。」

 

 

……これだ。

 

雷の力を身に纏い、敵を屠る。

こうなると、速さも攻撃の威力も跳ね上がる。

 

バランスの良さが売りのジンオウガが、更に強力になる。

 

 

「ご主人様っ!!」

「あぁ!……集中!更に来るぞっ!!」

「りょ、了解!!」

 

 

今までの攻撃を、危なげなく回避できていたショウコ。

だが、今から来るのは、次元が違う。

 

 

「避けきれ!」

「はいっ!」

「グォォォ!!」

 

 

更に力を増したジンオウガ。

 

 

受け切る。

受け切ってやる。

 

 

* * * * * *

 

 

「グァァァァ!!」

「ぐっ……!!」

 

 

ズドォン!!

 

ズドォォン!!

 

 

連続の爪撃を避ける。

 

 

「ご主人様!!」

「大……丈夫だ!!」

 

 

ヒュッ。

 

 

前脚の着撃に合わせて、双剣を食らわす。

 

 

ザシュ!ザザン!

 

 

「ギャァァァ!!」

「!!雷撃!!」

「はいっ!!」

 

 

バッ!!

 

 

バックステップ。

 

直後、落ちてくる雷撃。

当たったらと思うと、冷や汗が止まらない。

 

 

「次っ!!」

「は、はいっ!」

 

 

一応俺とショウコは無事。

…………無事といえば聞こえはいいが、摩耗は激しい。

 

ジンオウガが雷をまとって強化してから、一刻ばかり。

常に激しく、実に多彩な攻撃に悪戦苦闘しながら。

俺達は焦らずに対応していた。

 

 

(雷撃が怖いというのもあるが……少しずつ呼吸が読めてきた。)

 

 

ジンオウガの相変わらずの怒涛の攻撃。

ティガレックスの様に突進してきたかと思えば、ありえないほどの急旋回で尻尾を振り回して。

戸惑う俺達に、爪や尻尾のトドメを差してくる。

 

その全てに対応し、避け切ったり、受け流したり。

時には回避攻撃で反撃を試みたり。

 

 

傍から見たら、俺達は完璧に劣勢に映るだろう。

 

ショウコは、完全に反撃を諦めた。

それでいい。

雷を纏った状態のジンオウガは、通常時とは比較にならない程、強力。

スキを見つけられないのなら、いっそ俺に攻撃を任せ、自分は陽動に回る。

良い判断だ。

 

最適解と言える。

 

事実、俺は全身の痛みを差し引いても、完全に避け切れている。

何なら、わずかながらチマチマと反撃も。

 

ジリ貧だが、今できることはこれしかない。

 

……万全なら、回避攻撃の連続でジンオウガを怯ませ、スキをつくという戦法も取れた。

だが、今の俺の状態から考えれば、リスクがでかい。

 

少しずつ、少しずつ、ヤツを削る。

派手な手などは、いらない。

できない、というのもあるけど。

 

 

「グァゥ……。」

 

 

(まただ……3回目?)

 

 

先程から、ジンオウガの呼吸がほんの少しだけ乱れてきている。

きっと前の俺なら、気づかなかったであろう変化。

 

ジンオウガだって、生き物。

雷を使って攻撃するなどファンタジー極まりないが、生きている。

呼吸もするし、脚で地を駆ける、動物なのだ。

 

そして、雷を纏った強化、言わばドーピング状態。

 

……いつまでも続くわけがない。

 

 

「…………グァァァァ!!」

 

 

(遅いっ!!)

 

 

明らかに前脚を振り上げるモーションが、遅い。

 

 

ズガァン!

 

 

草原に生える草を根っこからえぐり取る、そんな一撃だが。

俺には、弱く見える。

弱まってきたと、思える。

 

 

「……ショウコ!」

「はいっ!」

「体力は!」

「いけますっ!」

「……次の攻撃に、狙う!反撃の準備!」

「……待ってましたぁ!!」

 

 

ここだ。

 

ここが、分岐点。

 

狙っていた、体力切れ。

そして温存してきた、俺達。

 

まだ鈍い痛みは残るし万全でもないが、回復はできた。

肉体は、問題ない。

 

 

「ガァァァァ!!!!」

 

 

ダダッ!

 

グルッ!

 

 

(体を捻って……後方回転の尻尾攻撃!)

 

 

来た。

狙い通りの、攻撃。

 

おそらくショウコにも、ジンオウガの動きが緩慢になっていることが分かっているのだろう。

だからこその「待ってました」の返事。

 

 

(鬼人化……集中…………!!)

 

 

万全であれば、連続使用も問題なくなってきた回避攻撃。

だが、今は一回一回でくる体の負担がすごい。

 

連続では、使えない。

 

 

(なら……これしかない!!)

 

 

「ガァァァァ!!!」

 

 

ヒュッ。

 

 

背を見せるジンオウガ。

その巨体をどうコントロールしているのか、そう思えるほどの身体能力。

身を縦に翻し、尻尾が天から降ってくる。

 

その、一瞬にも満たない、刹那。

 

 

(…………今っ!!!!!)

 

 

俺は全てを解放し。

跳躍した。

 

 

キンッ!!

 

 

左の剣にかする尻尾。

半歩だけ、右に移動した俺は、瞬間飛び上がる。

 

 

「おぉぉぉぉぉ!!」

 

 

世界が回る。

ヤツの尻尾の真ん中めがけて、双剣を当て。

 

 

ズザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ!!

 

 

振り下ろされる力を利用し、痛む体を捻りに捻って。

ありえないほどの回転を加え、剣を入れる。

 

 

ブチッ!!

 

 

「ギィィャァァァァァ!!?」

 

 

ドンッ……ドッ……!!

 

 

(おぉ……多分……史上最高回転…………。)

 

 

……成功した。

ジンオウガの尻尾切断に。

切れた尻尾は音を立て、地に転がっていった。

 

 

「たたみ込め!!」

「はいっ!!」

 

 

悠長にしてはいられない。

俺は、ジンオウガの前脚を。

ショウコは後方から。

 

……それぞれに、攻撃を叩き込む!!

 

 

「うらぁぁ!!」

「やぁぁぁ!!」

 

 

ザシュ!ザザザザザザザザン!ズザザザザ!

ヒュパッ!シュッ……ザン!ザシュ!ザシュッ!

 

 

「グァゥ……ガァッ!……グァァ!!」

 

 

ジンオウガは反撃を試みようとするが、俺達の猛攻は続く。

そりゃ自分の尻尾を切られたら、たまらないだろう。

 

 

「うらぁぁぁぁ!!!」

 

 

目標を変更、頭の角に目掛けて攻撃。

 

 

ザン!ズガァ!!

 

バキィ!!

 

 

「っし!!」

 

 

角を斬りつけ、折る。

だが攻撃はやめない。

止めてやらない。

 

 

「うらぁ!!」

 

 

ザシュッ!ザザザザザザン!

 

 

ベキイ!

 

 

「グァァァァ……!」

 

 

右前脚、爪の破壊を確認。

 

 

「ガァァァァ……。」

 

 

ズン……。

 

 

倒れ伏せるジンオウガ。

その瞬間、纏った雷の光は霧散、元の状態に戻った。

 

 

「まだまだぁ!!いくぞ!!!」

「はいっ!!」

 

 

仕留める!

絶対に!ここで!

 

 

お前を、倒す!!

 

 

 

ズザザザザザサン!!ザシュッ!!!

 

 

(空中回転乱舞……。)

 

 

トンッ……。

 

 

ズザン!ザシュ!ズザザザザザザン!!!

 

バキィ!!

 

 

(背中破壊!確認!だけど……!)

 

 

 

「…………後退!」

「はいっ!」

 

 

倒し切れなかった……けど……。

 

 

「…………グルルルルル…………グァァァ…………。」

 

 

ようやく立ち上がったジンオウガは、しかし満身創痍。

これ以上は、反撃が怖い。

 

判断は間違いたくない。

 

 

「結構やりましたけど……。」

「コイツ……?」

「グルルル…………ガァッ…………。」

 

 

ヒョコッ……ヒョコッ……。

 

 

明らかに足取りがおかしい。

 

 

「ご主人様!!チャンスじゃ!?」

「いや……いい。」

「えっ!?」

「グルル…………。」

 

 

なおも立ち向かってくるジンオウガ。

目の色がおかしい。

 

充血し、真っ赤に染まるそれは、見ているだけで痛々しい。

 

 

「ジンオウガ。」

「…………グルル…………。」

「…………じゃあな!!」

 

 

ザッ!

 

 

ビュッ!!

 

 

その赤い目を目掛けて、一閃。

双剣を、振り抜いた。

 

 

「グォッ……!!………………。」

 

 

ユラッ……。

 

 

ズゥン…………。

 

 

無尽蔵に思えたその体力を使い果たしたのか。

または単純にダメージがデカかったのかはわからない。

 

とにかく、ジンオウガはその巨大を横たえ。

 

 

「………………。」

 

 

 

沈黙した。

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