モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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※受付嬢ハイビスの第三者視点になります。


13ある受付嬢の話➀

私はハイビスと言います。

 

お仕事は、今急成長中の村、ワサドラのハンターズギルドで、受付嬢をしてます。

 

……そうです!

全女の子の憧れ、ギルド受付嬢!

 

友達には心底羨ましがられます。

「そんなことないよ〜」とか返しつつ、内心は鼻高々!

 

だって筆記試験とかすごく難しかったですし、正直容姿が良くないと面接でキッパリ落とされる、とも聞いてました。

 

なので、合格できたときは……何かこう、人としても女として認められたような、そんな自己有用感に包まれました!

 

嬉しくて、涙を流したところまでは、本当に幸せでした。

 

 

……まぁ、仕事が始まってみれば、忙しすぎて未だに彼氏もできません。急成長中の村となればお仕事の量も増えます。

 

ま、まあそこはいいでしょう!

やりがいのある仕事だと思いますし?

まだまだ新人に毛が生えた程度の私は、一番大変な新人登録窓口にいるわけですけど!

 

 

でもそこで、金の卵を見つけるという、とても大切な業務を請け負っているんですから。

頑張りましょう、私!いつかイケメンハンターが並ぶ受付台に担当できる日を夢見て!

 

 

* * * * *

 

 

そうこうしている内に、ここで働いて数年が経ちました。

 

月日が立つのは早いですね、村もどんどん成長し、以前よりもさらに発展しております。

 

もはや村と呼んではいけないのでは……?

 

変なツッコミはさておき。

 

どうしましょう、私も最早中堅クラスです。

流石に部署の変更を申し出ておりますが、上司や先輩からは、

 

 

「さすがハイビスくんだね!的確にハンターの実力を加味して、対応する手腕。私も鼻が高いよ!」

「ハイビスすごいよ。私そこまで新人に細かにケアしたり、アドバイスしたりできないもん。」

 

 

と言われます。

 

いや、嬉しいんです。嬉しいんですけどね。

 

何というか、自分で言うのもアレですが、私有能な方らしく。

 

ギルド内どころか村の上役からも、発展に貢献している一人として扱われてます。

 

……困りました。

これでは私のイケメンゲット玉の輿寿退社計画が潰れそうです。

 

未だに、というか本格的に「ハンター登録」の部署の敏腕受付嬢としてやっております。

 

……お給料もかなり上がって、なかなか文句も言えません……!

 

 

新人さんって見ていてハラハラするんです。

私が一昨年から提案して実行に移った、新人育成講習会。かなり好評を博しました。

 

自分が受け持ったハンターさんが死ぬのは、悲しい連絡を貰うのは、懲り懲りなんです。

ましてや新人さんは、そうなってしまう確率が高いわけで……

 

何とかしたいと思って企画、提案をしたら、うまくいってしまいました。

 

おかげで、ギルド内でも盤石の地位を築いております。

 

 

しかも、育ったハンターさんはここには来ません。

イケメンの方なんて、先輩や後輩がゲットして掻っ攫う始末です。

 

今日は朝一から受付です。

……私、新人受付担当のまま、独身を貫くのでは……。

 

 

ですが仕事は仕事。ハンター志望の方に罪はありません。

今日も今日とて、業務を遂行していきましょう。

 

* * * * *

 

 

「ハンターの登録に来ました。」

 

 

早速いらっしゃいました。笑顔が素敵な方です。

しかもイケメンさんですよ!朝イチからラッキーです!

 

真っ直ぐここに来られたということは、間違いなくハンター志望の方でしょう。

 

 

「こんにちは!ハンターの登録ですね?」

「は、はい。」

 

 

堂々とされたかと思っていたら、急に新人らしい返事が返ってきました。

うんうん、始めは緊張しますよね!

 

 

「それでは、こちらをご記入下さい。代筆や代読は必要ですか?」

「多分大丈夫です。…もし必要ならお願いします。」

「わかりました!」

 

 

あちらは初めての経験。

私もなるべく笑顔で対応です。

しかし、とてもきれいな字……まるでお手本のようですね。

 

装備も一式揃えてきてます。合格!

武器も見たかったのですが、まぁ持ってきてないというケースは、ままあります。

 

 

「はい!ありがとうございます。きれいな字でとても読みやすいです!」

 

 

褒めるところは褒めます。これ、大事です。

この方、なんとか頑張りたいという空気がビシバシ感じられます。

少しでも自信をつけてあげて、モチベーションを維持させるのが良いタイプだと思います。

 

名前は「ソウジ」さんですね。

筋肉の付き方もとてもしなやかです。うん、この方は伸びますよ!

 

いけないいけない、業務をきちんとこなしましょう。

 

 

「ソウジさん……ですね。ハンターズギルドでは、その方にあったクエストを紹介・斡旋し、ハンターの方々と依頼主が同時に笑顔になれるよう、お手伝いをする機関です。そのため、ハンターとなられた皆さんには、必ずこうして簡単な面接を行っています。たくさん質問しますが、よろしいですか?」

「はい、大丈夫です。」

「それではよろしくお願いします!」

 

 

私の予想ではこのソウジさんという方、村付きのハンターだった可能性が高いです。

しかも即戦力も狙えそうなレベルだと睨みました!

 

でも、自信が無さ気なのは気になりますね。

面接で見極めましょう。

 

 

「答えにくい質問は、お答えいただかなくて大丈夫ですよ。ではまず、ご出身は?」

「えと、覚えが無くて……。」

 

 

ん?覚えがない?……つまり隠したいということでしょうか。それとも記憶喪失パターン?

 

 

「……記憶があやふやということですか?……では、得意な武器種やハンタースキルなどはございますか?」

「ぶ、武器ですか?ちょっとよくわからなくて……。」

 

 

ちょっと待って下さい、下方修正しましょう。

武器も知らないとなると、全く話が変わってきますよ!

 

 

「……では、以前なされていたお仕事などは……?」

「えと、資材管理です。クライアントに資材等物品を納品する業務の傍ら、そのシステムの構築や改善、現地の担当者との交渉など、あらゆる部門で仕事を行ってきました。」

 

 

えっと……よくわからないです!

クライアント?システム?何を仰っているのか、良くわかりません!

というかこの方そのものが良くわかりません!

 

 

「な、何かしらの商いを行っていた、ということですよね?」

「そ、そうです。」

 

 

フォロー成功です。

 

……おかしいですね。私、自慢じゃありませんが、ここ最近は目も鍛えられてきたのか、ハンターさんの腕の目利きにはかなりの自信があります。

 

ですがこのソウジさん。全く経験に当てはまりません。

 

参りました。

雰囲気というか、身に纏う空気は明らかに強者なんです。

でも受け答えは、素人さん丸出しです。

 

 

頭が混乱してきました……。私、見る目には自信があったのになぁ……。

 

 

* * * * * *

 

 

結局、面接では何もわかりませんでした。

正確に言えば、何も分からないことが分かりました。

 

受付嬢失格です、こんな方、どうやって報告を上げればよろしいのでしょうか。

 

 

「さようなら。」と、切り捨てることもできます。

でも違うんです。

 

私の第六感が、この方を逃してはならないと、警鐘を鳴らすのです。

 

 

……直感を信じましょう。

 

 

ハンターに登録後、見極めも兼ねて、講習会に参加してもらいます。

まさか自分が作った講習会制度が、このように役立つとは……やっておいてよかったですね。

 

 

その後、ハンターになる危険性や講習会についてお話して、ソウジさんにはお帰りいただきました。

 

明日また来られるようですし、担当の教官に彼がどんなものだったか教えてもらいましょう。

教官の人、まだ決まってないんですよね。

どんな方なんでしょうか。

 

しかし、熱弁を振るい過ぎたでしょうか……ソウジさん、落ち込んで帰っていった様です。

若いのに醸し出す雰囲気が少しくたびれていて……何かうまく言えないんですが、おじさんを奮い立たせようと活を入れている気持ちでした。

 

明日も来てくれるといいのですが……お金貸しましたし、来るでしょう。真面目そうな方でしたから。

それに、整ったお顔は好印象でした。

もしハンターとしても一流なら、私コロッといってたかもしれませんね!

 

 

ソウジさんのギルドカードを眺めながら、自分の行く末を案じる自分。

 

 

新人さんの行く末も一緒に考えなければならないのが、この仕事の大変なとこです……。

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